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腹腔鏡下手術だったこともあって次の日のお昼過ぎにはもう歩けるようになった。

今は点滴も外されて身体は自由・・・起き上がっても殆ど痛みはなかったから、渡された書類を書き上げて時間が過ぎるのを・・・西門さんが来てくれるのを待っていた。

本当に京都のお仕事を終えてここに来るのかどうか、朝も話してないから全然わからないんだけど。お茶会って言ってたから電話は出来ない。
仕方なくメッセージで私の事を連絡したら「わかった」って味も素っ気もない返事が返ってきていた。

「朝ご飯、少しだけど食べたよ」「点滴外れたよ」「1人で歩いたよ」「書類、ありがとう」・・・これに全て「わかった」のひと言。

これって昨日ホントに「俺が守る」って言ってくれた人のする事?
腹が立って思い切って入れてみたのは・・・

「私のこと本当に好きなの?」


どういう返事が来るんだろう・・・まさかこれだけ無視するんじゃないでしょうね?ってドキドキしながら返事を待っていた。
でも、何故か返事が来ない。ホントに無視するのかしら?ってスマホを見ていたら急に電話が鳴った!

かけてきたのは・・・西門さんだ。

ヤバい・・・怒ったのかな?そんな事聞くなって怒鳴るのかな?
怖々と通話をタップして耳に当てたら、後ろから聞こえる雑音は駅のホームみたい。もう京都を出るんだって思っていたら彼の声が聞こえた。


『・・・おい、聞こえてんのか?』
「あぁ!聞いてるよ。ごめん、仕事だったのに」

『今から京都を出る。そこに着いたらすぐに転院するから準備してろ、って何も持ってねぇんだっけ?』
「まぁね。救急車で連れて来られたんだから何もないよ。実は服でさえぐしゃぐしゃでさ。でも、病院に行くんならいいかな」

『用意してやる。それと・・・』

あっ・・・まさかの返事かも?なんてちょっと期待してスマホを耳に押し当てた。
聞こえてきたのはお弟子さんが『若宗匠、もう出ますよ』なんて言ってる声。それなら早く言いなさいよっ!って思った瞬間、

『悪ぃ、もう行くわ。じゃな!』
「えっ!ちょ、ちょっとーっ!肝心なこと言ってないわよ、おーい!・・・おーいっ!!」


・・・叫んでみたけどもうスマホは切られていた。

なんて男なのかしら!
それならメッセージでも・・・そう思ったけどそれさえ入ることはなかった。


その3時間後、廊下の方で悲鳴のようなものがあがったから何かと思ってドアを見ていたら、ノックもせずにガラッとドアが開いて着物姿の西門さんがすごい勢いで入ってきた。

あぁ、そのせいで看護師さん達が悲鳴を上げたのね?って納得してたら、ダッダッダッダッ!とその勢いのままベッドに向かってきて、そこに腰掛けてた私をガシッと力一杯抱き締めた!

「きゃああぁーっ!いきなりなにすんの!痛い、痛いってば!」
「喧しい!あんなもの送ってきやがって・・・いつも誰かが横にいるんだから声に出せねぇってのに!」

「は?あ、あぁ!ごめん・・・だって、だって、あの・・・メールでも」
「そんなもの、文字で済ませられるか!」

突然この香りに包まれてしまったから私の方もドキドキしちゃって、抱き締められて痛いのがお腹なのか心なのか腕なのかさっぱりわかんない。

西門さんの吐息が肩に掛かるからそこが熱くて熱くて・・・私も腕を伸ばしてこの人の背中に回したかったけどそれさえ出来ないほど身体全体を抱かれていた。


「あの・・・ホントに痛い。西門さん、傷がまだ痛いんだってば・・・」

そう言ったらやっと離してくれて、すぐに唇を重ねられた。

唇が離れたら今度は優しく胸の中に入れられた。
着物の生地が顔に当たってくすぐったい・・・お茶会用の着物のままだから本当にすっ飛んで帰ってきてくれたんだね。


「お帰り・・・お疲れ様でした」
「あぁ、ただいま・・・」

「朝はごめんね、起きられなくて」
「気にすんな。今は病人だから」

あのメッセージの返事は?って聞きたかったけど言葉に出来なくて、もういいかなって思っていたら・・・


「・・・もう何年も前からお前のことしか見てねぇんだ」
「え?何年も・・・って?」

「あんまり長いから今更言うのが照れ臭かっただけだ・・・」
「・・・でも、聞きたかったんだもん」


身体を少しだけ離したら西門さんの片手が私の頬に優しく触れた。そしてジッと目を見つめられて・・・私は息が出来なくなった。
胸が苦しくて苦しくて・・・もう目の奥が熱くて今にも溢れそう。

彼の指がそこに触れたら、涙がその綺麗な指を伝ってベッドに落ちた。

「泣くようなことか?ばーか・・・」
「・・・西門さん、意地が悪い・・・」


「悪かったな、皮肉れ者で・・・・・・愛してるよ、牧野」


**



何年も前から・・・そう言われて驚いたけど、私もこの時正直になろうって思った。

西門さんはほんの少しだけ赤い顔して私の横に座り、もう1回頬にキスする・・・「すぐに言えなくてごめん」って。
だから私も彼の肩に頭を乗っけたまま、今まで認めなかった言葉を出した。

「私もね、いつの頃かわかんないけど、もう道明寺の事を待てないって思ったときに違う人のことが好きになってるんだってわかってた。その人・・・いつも側にいてくれるけど何考えてるかわかんなくてさ。綺麗な女の人がいつも周りにいるしさ・・・。
やっぱりセレブだし、好きになっちゃいけないって自分に言い聞かせてたの。同じ思いは2度としたくなかったから」

「いつ頃かぐらい覚えとけよ。そいつが可哀想じゃん」

「くすっ、そうだよね。でも本当に自然だったのよ。毎週1回は絶対に会えるけど、全然女の子扱いしてくれないし、ドジだ馬鹿だってそればっかり。食べに行っても会話は弾まないし他の女の人に睨まれるし。
でもね、見てるだけで幸せだったの・・・側にいるって大事なんだなぁって思った。私には遠距離恋愛は無理だってわかったのよ」

「・・・そっか。そいつにちゃんと気持ち伝えたのかよ」

「あぁ、まだ言ってなかった!忘れてた!」


クスクス笑いながら私を抱き寄せる腕に力が入る。
「今なら伝えられるんじゃね?」なんて言うから西門さんの目を見ながら言葉を出した。


「ずっと・・・好きだったの。もう、伝えることもないと思ってた・・・」


また西門さんが動きを止めて私の事をニヤッと笑って見つめる。
いつもの角度で、いつものように髪を掻き上げて・・・少しだけ目を細めて口元をちょっと上げて。

妖しげな瞳の奥には私しか映ってなくて、私の身体を抱く腕はまた少し強くなって彼の方に近寄っちゃう。
そしたら綺麗な指先が私の顎を持ち上げて・・・また重なる唇。

さっきよりも長く・・・さっきよりも甘く、確かめ合うようにキスしてた。



「よし、じゃあここを出るか」

西門さんが持ってきた荷物の中から可愛らしいラベンダーのワンピースが出てきた。いつの間に?って思うけど、きっとこの人のことだから新幹線で手配して東京駅で受け取ったんだろう。

もうそんな事にも慣れたからワンピースを受け取って、着替えようとしたら西門さんが嬉しそうに見てる・・・。


「に、西門さん、着替えるからちょっと向こう向いててよ」
「なんで?彼氏に見せても問題ねぇじゃん。ほら、着替えるの手伝ってやるから。まだ腕を後ろに回すと腹に響くだろ?」

「あっ、確かに・・・でも、でも・・・あ、わざとこんなワンピースにしたわね?!」
「いいから!早くしねぇと向こうの病院が待ってるから」

仕方なくワンピースを半分着てから病衣を脱いで、西門さんに背中を向けてファスナーを上げてもらう事に・・・それを上げてくれた最後に後ろから抱きついて言われたのは・・・。


「次は降ろす方を任せてくれるよな?もう待てねぇから」

「はっ?・・・あ、あの・・・傷が痛むからもう少し先で・・・ね!」
「・・・いつだ、そりゃ」


いつだろう・・・?恐ろしくて考えることも出来ないけど。




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「Stop Motion」は本日で終わりです♥
明日からは「Set in Motion」になります。
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2018/09/24 (Mon) 16:15 | EDIT | REPLY |   
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2018/09/24 (Mon) 16:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

やっぱり驚いた?!そうだろうと思った!

わざと予告なしでLastStoryとか入れたから、びっくりするだろうなぁって!
ごめんなさいね?

意味はそういうことなんですよ。

Set in Motion・・・動き出す。
これから2人の時間が動くぞって意味で少し前からカテゴリに入れていたので気が付くかな?って思っていたんですけどね。

ただし、いつ頃それが来るのかはわかりませんので(笑)
焦らしに焦らしますのでもう少し待っててね♥

総ちゃん、いきなりのバカップルぶり(笑)
こうしたくて我慢してたので堪えられないご様子♥

ファスナー下ろしながらホックも外しそうで怖いですね!
上から下まで1回で全部脱がせます!みたいな(笑)

いかんいかん、まだ病人ですからね。

明日からもこの延長ですので宜しくです。

2018/09/24 (Mon) 20:09 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

うかちゃん様、こんばんは~!

お久しぶりです~。
お気遣いいただきありがとうございます。今の所元気に過ごしております。
夏にめっちゃ弱いのにイベントのおかげで気合いが入っていたんでしょうか?

今年は1度も点滴を受けませんでした。近年にしては珍しい・・・。

あら!類君のもですか♥ありがとうございます!

両方とももう終わりに近いので最後まで応援宜しくお願いいたしますね!
今日はありがとうございました。

2018/09/24 (Mon) 20:12 | EDIT | REPLY |   
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2018/09/24 (Mon) 21:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

えへへ!格好だけ付けてるヘタレ総ちゃんを書いてみたかったので。

総ちゃんって臆病な部分があるんだと思うんですね。
4人の中じゃ1番天邪鬼で、自分を隠して、粋がってるイメージがあります。

これからはつくしちゃんを手に入れてラブラブ・・・するんでしょうか?(笑)

ここからがドSのplumeriaでございます♥
総ちゃんに怒られそうな展開になるかもですが、今度は恋人設定なので楽しんで書こうと思います!

2018/09/24 (Mon) 23:38 | EDIT | REPLY |   

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