FC2ブログ

plumeria

plumeria

朝になってモゾモゾ動くものがあって目が覚めた。
何だろうって向きを変えたら・・・そこには西門さんのドアップの寝顔があって、驚いてもう少しで悲鳴を上げるところだった!

あぁ・・・そうだった。
昨日、西門さんが我慢出来ないって言い出して私を・・・・・・はっ!

「ま・・・まさか!」


思わず出てしまったひと言で西門さんが「・・・あぁ?」って薄く目を開けた。
私は自分がちゃんと病衣を着てるかどうかが気になったんだけど、やっぱり半分以上脱がされてた!


「・・・なんだ?もう朝か?」
「なんだじゃないわよっ!どっ、どうして私が半分裸になってるのよ!」

「・・・そんな事言っても仕方ねぇじゃん。全部脱がせたわけじゃなし、病人だから手加減しただろ?」
「手加減って・・・充分痛かったわよっ!」

そう言った途端にまた引き寄せられて西門さんの腕の中、よく見たらなんでこの人までが何故か上半身裸で驚いたのなんのって!私がジタバタしたら「傷が痛むぞ?」って言うから動くのを止めたら・・・当然のようにキスが来る。

その後時間を確認して「やべっ!寝過ごした!」ってベッドから飛び降りた。


「寝過ごした?仕事なの?」
「あぁ、今日は横浜まで朝一で行かなきゃいけねぇんだ。茶道教室の特別講師、お偉いさんが来るから遅れるわけにはいかなかった」

「間に合うの?大丈夫?」
「問題ねぇだろ。車飛ばして帰りゃ10分で西門だし」

そう言いながら私の目の前でパンツ1枚になって着替え始める。「うわぁっ!」って布団を被ったらケラケラ笑っていた。
僅か数秒で服を着て、そのあとまたギシッと音を立ててベッドに座ったから布団から顔を出してみた。


「それじゃ行ってくる。また夕方来るからな」
「う、うん・・・行ってらっしゃい」

「・・・忘れてねぇか?」
「何を?」

「そういう時の約束みたいなもんだろ?」

そう言って自分の唇に手を当てる・・・まさか、私から西門さんに?!
まだそんなの無理無理っ!って首を振ったら「仕方ねぇな」って声と共に彼の方から触れるだけのキスをくれた。


心臓が痛い・・・急に大接近の彼に私の全部が対応できなくて焦ってばかりの朝だった。



****



西門さんが仕事に行ってからはこの部屋には来客だらけだった。
朝一番のお医者様の回診では「問題ないですね、明後日には退院しましょうね」で良かったけど・・・。

「くれぐれも無理はしないようにしてくださいね。2週間後、1度様子を見てから許可しますからね」
「は、はぁ・・・ありがとうございます」

「総二郎様にはもう1度念押ししておきます。看護師が夜にラウンド(巡視)に来たときに驚きますからね」
「も、申し訳ありません!」

なんで私が謝らないといけないのよっ!

30歳ぐらいの美人でグラマーな女医さん・・・こんな綺麗な先生にあんなことを聞いたのかしら?!もう顔から火が出そうなほど恥ずかしい思いをしてベッドに倒れ込んだ。


それが終わったら今度は家元夫人と志乃さんがお見舞いの品物を山ほど抱えて入ってきた。
殆どが食べ物で何故かこっそり防犯グッズまで・・・それを不思議そうに見ていたら心配そうに声をかけてくれた。

「今回は大変だったわねぇ!もう大丈夫?落ち着いた?」
「は、はい、もう大丈夫です。ご心配お掛けして申し訳ありません。それに・・・ここは西門家の・・・」

「あぁ!そんな事はどうでもいいの、牧野さんが入院するならどんどん使ってくれていいのよ?うちの人間はみんな元気なもんだからこの部屋もそんなに使うことはないんだから。それより・・・怖かったわねぇ」

「は?怖かった・・・手術ですか?そこまで考えるほど余裕もなかったんですが」


怖かったってなにが?
西門さん、私が入院した理由ってどこまで説明してるんだろう・・・虫垂炎、つまり盲腸って言ってるんだよね?
志乃さんを見たら家元夫人の言葉にうんうんと頷きながらリンゴを剥いてる。

「まさかって思うわよねぇ!うちも祥一郎さんが内科医になったもんだから、それを聞くと怖くなって話しちゃったわよ!そしたら逆に怒られたけどね」
「え?お兄様にですか?何を聞いたんですか?ってか、西門さん、私の事をなんて言ったんですか?」

「・・・気にしなくていいわ。誰にも言いませんからね。牧野さんがT大付属病院の先生にセクハラされただなんて!とんでもない話だわ、手術をしなくちゃいけない状態なのにそんな事するなんて。訴えたいぐらいだけど総二郎さんが止めたから!」

「・・・セ、セクハラ?」

どんな説明してんのよっ!
セクハラ・・・言われてみればそうかもしれないけど、実被害は何もないから!むしろ救急車で運んでくれたんだけど?

だからお見舞いが防犯グッズ・・・女医さんなのに。ちょっとズレてるこの感覚が流石家元夫人だ。



2人が帰った後は桜子が来た。
前みたいに明るい表情で派手な服で、真っ赤なハイヒールが何とも言えず病院には不似合いだった。
そして手に持ってきたものは・・・!

「ちょっと!何なの?これは・・・こんなもの着ないわよ?!」
「あら!男性の好みに合わせてあげないと可哀想ですわよ?西門さん、何年も我慢してるんですもの。このぐらいサービスしないと!ほらほら、可愛いでしょ?」

「似合わないでしょうがっ!」
「似合わないけど西門さんは喜びますわ」

紫色のベビードールって・・・しかもこの下着はなに?こんな布きれじゃ何処も隠れないじゃないのっ!
こんなものをベッドの上に並べないでー!って叫ぼうとしたらズキンとお腹が痛くなった。まだそこまで力が入んないっつーの!


それでも少しだけ申し訳なさそうな顔をして「ごめんなさいね」って謝っていた。
西門さんから聞いていたから、もうそれ以上私が問い詰めることもない・・・この子も慣れない失恋ってものをして少しはショック受けてるんだろうし。

「やっぱり私は追うより追われる方が好きですわ!これからもどんどん世の男性を堕として見せますからね!」
「いや、そんな事に力入れなくていいからマトモな恋をしなさいよ」

「あら、本気で好きなくせにモタモタしてばかりの人に言われたくないですわ。いつまでも若くはないんだから突っ走らなくてどうするんです?先輩も曲がり角なんてすぐそこですわよ?早めにヤッちゃってくださいな!」
「きゃああぁーっ!なんて言い方してんのよっ!そ、そんなの急がなくてもいいのよ!」

「急がなくても相手が待ってくれない人ですから時間の問題ですわ」


そう言ってまたベビードールをチラつかせる・・・まぁ、桜子らしくて安心するけどさ。



午後からは西門さんが連絡してくれたから、田舎からパパとママが来て家元夫人の持ってきたお見舞いの食料品だけを自分たちの鞄に詰め込んだ。
道明寺の事で浮かれたり沈んだりしてたけど、今度は西門さんって聞いたもんだから「その方が日本にいるから安心だよね!」って変な理由で喜んで、「大丈夫?」のひと言もなく「ホテル暮らしみたい!」ってそればっかり。

アメニティグッズまでちゃっかり持って帰られた。



夕方になって窓から外を眺めていたら真っ赤な車がやってきた。
運転席から飛び出すように降りて走ってるのは彼・・・私がここで見てることにも気が付かずに夜間救急の入り口の方に回っていった。


もうすぐここに私の「彼」がやってくる。
きっと廊下で息を整えて、走った事なんて隠すつもりだろうな・・・。



7c98588e5ec8bb215da97db052a241a6_t.jpg

<お知らせ>

ご心配おかけして申し訳ございません。なんとか止まらずに公開出来そうです。

よって「忘れられた約束」は30日から偶数日に公開致します。もうしばらくお待ちください。
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/09/27 (Thu) 12:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

あっはは!総ちゃん、もう走りまくりでしょ?(笑)
今すぐにでもつくしちゃんの元に!って思うならなんで今までヘタレだった?って言わないでね💦

このお話の家元夫人は楽しい人設定なのでご心配なく。
「喧仲」ほどぶっ飛んだ人ではないですが、そこそこいい人にしてあります♥


毎回お気遣いありがとうございます。

ボチボチ平常に戻りつつあります。ちょっと疲れてるので誤字があったら教えてね(笑)

2018/09/28 (Fri) 00:28 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply