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plumeria

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「お世話になりました」
「はい、お大事に。無理しないでくださいね、2週間後、必ず来て下さいね」

予定通り4日めに病院を退院した。

1人でも大丈夫って言ったのに西門さんが無理矢理仕事を変わってもらったと言って迎えに来てくれた。
とても病院から退院するとは思えない可愛い服に着替えて、他の病院で手術した盲腸患者に院長先生から大きな薔薇の花束もらっての退院。

なんだか結婚式の帰りじゃないの?って思われるような拍手の中、病院の正面玄関を出て行った。

「・・・もうっ!なんでこんなに派手なことするの?恥ずかしいじゃん!」
「いいんじゃね?1人寂しく退院するよりいいだろうが」

「そうかもしれないけど・・・」

そんなに嬉しそうな顔をされたら何も言えなくなる。
さりげなく繋がれた手・・・もう慣れたけど病室以外では初めてだからドキドキしながら駐車場までの通路を歩いた。



西門さんの車はあのマンションに向かった。
地下の駐車場にいつものように停めて、少ししかない荷物を全部西門さんが持ってくれて1階のエレベーターに向かったら、そこでコンシェルジュさんが近寄って来た。

「あの、西門様、233号室の竹本様から伝言なんですが・・・」

西門さんは竹本さんの名前を聞くと眉間を寄せて、露骨に嫌な顔を見せた。


「なんでもここを出で行くからお世話になりました、とのことでした」
「・・・出て行く?あいつが?」

「はい。まだお引っ越しはされていませんが、もうここには戻らずに大学病院に暫く泊まり込むそうで・・・伝えたらわかると言われましたのでお伝えしますね」

「あぁ・・・わかった」
「それでは失礼します」

エレベーターに乗ってから彼の顔をチラッと見たら機嫌が悪そう・・・この話題には触れない方がいいだろうと思って黙っていたら「俺の方が新しいマンション探そうと思ってたのに!」って怒りだした。
もうひとつマンションを買いそうで怖い・・・だからその独り言には釘を刺しておいた。

「あ、あのさ!マンションとかもう買わないでよ?」
「・・・なんで?ここよりいいのがあったら買おうと思ってるけど?」

「・・・嫌だ、他にもマンションとか持つの、反対!」
「どうして?金の問題なら心配ねぇけど?」


「・・・ここより他に帰る場所、作っちゃ嫌なの」


正直に話したら西門さんの方が驚いて、その直後に「お前、可愛いこと言うな!」ってエレベーターの中なのに荷物を全部投げ出してキスされた!

そして5日ぶりに『2人の部屋』に戻った。


「あーっ!そうだった、急に留守にしたから食材が全然なかった!どうしよ・・・西門さんはお仕事何時から?」

「昼飯食ってからって思ったけど買い物に行く方が先か?」

「うーん、そうだね。行かなきゃ何も作れないかも・・・」
「それじゃ、行くか。お前、まだ荷物持てねぇだろ?」

「ありがと!ちょっと待っててね」

急いで自分の部屋に戻って買い物に行く支度をしようとしたら、ベッドの上に置きっぱなしだった雑誌が目に入った。あの時、西門さんの記事を見てたら竹本さんが来たからそんなところに放り投げたんだ。

「あっ、この雑誌、忘れてた・・・!西門さんが載ってるヤツだ・・・」


『茶道表千家西門流 西門総二郎氏インタビュー!アメリカでの交流会を終えて』 ・・・もう1度これが掲載されてるページを少しだけ捲ってみた。

『西門総二郎氏、ご自分の結婚観について語る!』

その見出しにドキッとした瞬間、ドアの向こうから西門さんの声がした!


「おーい!何してんだ?早く行くぞ!」
「あっ、はーい!」


この人の結婚観・・・?

結婚・・・西門さんの結婚・・・この言葉だけが頭の中をグルグル回ってたけど、彼を待たせちゃご機嫌が悪くなるから後で読もうと思って今度は雑誌をベッドの下に隠した。
なんで隠すのか自分でもよくわからなかったけど・・・。


「どうしたんだ?顔が赤いけど。腹が痛いのか?」
「ううん!全然!どっこも痛くない!うん、なんでもない、なんでも!」

「は?変なヤツ・・・何焦ってんだよ」
「焦ってない、全然焦ってないし!」

いや、めっちゃ焦ってるけど。本当は。


いつもの高級スーパーで買い物をして、今回は初めっから西門さんが買い物カゴを持ってくれた。
だからってわけじゃないけど山ほど買い物をしてその荷物も全部持ってもらって、またマンションに帰る。


時間がないから簡単なお昼ご飯になったけど、いつものように味噌汁は作った。

「やっぱいいよな、お前の味噌汁。美味いわ・・・最近自宅の味噌汁がイマイチって気がするもんな」
「大袈裟だよ~!西門の料理長の方が腕がいいに決まってるじゃん」

「俺に合うかどうかだろ?ん、このつまみも美味いな」
「・・・意外と庶民の味が大丈夫なのね、西門さんって」

お昼ご飯が済んだら大急ぎで西門に戻った。
今日はまた雑誌の取材と撮影、夕方は後援会の方のお稽古があるらしい。それが終わったらまたここに戻ると言ってた。

それを見送ってから急いで自分の部屋に入った。
まだお昼ご飯の後片付けもしてないのに。



さっきの雑誌をベッドの下から出して、ドキドキしながら急いで西門さんのページを開いた。


『西門総二郎氏、ご自分の結婚観について語る!』、その見出しの記事を読んでいくと・・・。

『そうですね・・・必ず伝統文化の家系から選ばないといけない、とは全然思っていませんね。本当に愛する人がそうであれば問題はありませんが、家業で決めるということは致しません。ですからその人が一般家庭の人であっても惚れたら申し込むでしょうし、西門のことを教えていくでしょうね』

「・・・西門の事を教える?そう言えばこの前茶道会館で事務してる場合じゃないって言われたような気もする・・・」


今までの西門流の家元夫人は皆様家柄が大変ご立派なのですが、という質問に対しては・・・

『相性の悪い女性と一緒に暮らす方が拷問でしょ?』

「ご、拷問ってなんなのよ!西門さんと一緒にいる方が拷問の時だってあるんだからね?・・・って、まだ知らないけど」


最後には「どんな人がタイプですか?」って質問。
ここで1回ページを閉じた!・・・ヤバい、見ても大丈夫かしら。

これ読んだらもしかしてショック受ける?でも、ここまで来て読まないってのも・・・そう思って勇気を出してページを開いた!

『性格は鈍感でドジでもいいんですが、明るくて前向きな人が好きです。私のことを特別扱いしない人・・・隣を歩ける人がいい。料理が上手で特に味噌汁には拘りたい。毎朝その人が準備してくれて、私が茶を煎れるような光景に憧れます。
あとは強そうに見えるけど本当は臆病で弱い部分がある人・・・それを見せまいと努力して頑張る人が好きかな・・・』



「・・・・・・」


これ、誰のことよ!
そう言いながら熱くなるほっぺたを押さえてた。




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2018/09/28 (Fri) 14:01 | EDIT | REPLY |   
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2018/09/29 (Sat) 13:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは!

え?なにが?(笑)

もしやってなにが?(笑)

2018/09/29 (Sat) 14:23 | EDIT | REPLY |   
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2018/09/29 (Sat) 16:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

もう西門ってだけで薔薇の花束なんですよ(笑)
病院もご苦労様です。

ちなみにうちの旦那が5ヶ月の入院を終えて退院するときは看護師さんが2人でガーベラ2本でした(笑)

でも嬉しかったな!
最近って長期入院出来ないでしょ?だから何回も転院したんですよ。
最後なんて老人介護施設でしたからね(笑)一番若かったです・・・ははは!



そうね!2週間我慢出来るかしら?!この調子だと・・・
(でも、書くのは私だからねっ!あはは!意地悪pluちゃんだから)


2018/09/29 (Sat) 17:50 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

あはは!意味がわかった!

私が疲れてて頭が呆けていたんですよ!
文章の位置が悪かった(笑)

修正してます・・・念のため!
申し訳ございませんでした。

2018/09/29 (Sat) 17:51 | EDIT | REPLY |   
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2018/09/29 (Sat) 20:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・凄い事ってなに?(笑)

いや、聞いたら怖いからもう止めとく・・・ははは!
お騒がせしました。

2018/09/29 (Sat) 20:30 | EDIT | REPLY |   

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