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plumeria

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<東京>

すごく身体が痛い。何だろ・・・いや、これは重たい?・・・く、苦しい・・・。

寝返りが・・・打てないんだけど。


昨日日本に戻ってから寮に戻り、何もかも放ったらかしたまま類と倒れるように寝てしまった。
それは覚えてるけど、今のこの重さはなに?って顔を起こして後ろを振り向いたら・・・類が私に巻き付くようにして寝ていた。

よく見たら昨日の服のままだ・・・ってことは、やっぱりあのままダウンして朝まで寝てた・・・それしかないよね?

今度はちゃんと目を開けて前を見たら確かに類の部屋だ。
いつものテーブルの上にはケースに入ったお婆さまのヴァイオリンがある。

少し目線を上げたらいつも出入りしていた窓・・・そこのカーテンが少しだけ開いてて日差しが眩しかった。
あぁ、帰ってきたんだなぁって・・・そう思ったら、またポスッと枕に頭を落とした。

その音で類が目を覚ましたみたい。巻き付いていた手を余計に引き寄せて私の髪の中に顔を埋めてる。
お風呂に入ってないから止めたらいいのに、って思うけど、類の吐息が耳にかかるからゾクゾクして肩を竦めた。


「・・・もう起きるの?まだ眠い・・・」
「だってお風呂入らなきゃ・・・それにお洗濯とかしたいもん・・・類、飛行機でもずっと寝てたのにまだ眠いの?」

「・・・ん、でも牧野とお風呂入る」
「いや、1人で入りなよ、のんびり出来ないから。私は自分の部屋に戻るからさ」

そう言えば余計に引き寄せるから、機内で身体がカチコチだった私は色んなところがボキボキ言ってる。
「痛いって!」って言っても「じゃ帰らないで」・・・まるで子供の我儘なんだから!


「わかった!わかったからとにかく離して。腕が痛いよ、類」
「あっ、ごめん・・・」

腕が痛いって言葉にはまだ敏感な類はやっと離してくれた。
だからベッドから起き上がって床に散らばったままの自分の荷物を纏めた。類はそれをつまらなさそうに見ながらベッドの上で膝を抱えてる。

ボサボサの髪で半分しか開いてない目を擦りながら・・・なのにすごく見惚れてしまうからすぐに視線を外した。


「それじゃ、ちょっと自分の部屋でシャワーしてくるね。窓も開けて風を通さなきゃ1ヶ月も留守をしていたからさ」
「ん、わかった。じゃ、俺もシャワーしてくる」

「うん、片付けたらまた来るからね」
「終わったらすぐね」

「・・・はいはい」


片手をひらひらとさせて苦笑い・・・。すぐ隣の部屋に行くだけなのに、まるで外国にでも行くのかってぐらい名残惜しそうにするから帰りにくいったらありゃしない。


玄関から出ると303号室が見えた。まだ空き部屋のままだった。

陽翔は今頃どうしてるんだろう。法学部に入るための勉強、頑張ってるのかな・・・お父さんの家で。

またひょいっとドアが開いて陽翔が出てきそうな気がして、ついドアの前に行ってみた。
でも、その部屋からは物音ひとつしない。当たり前かって頭をかきながら302号室に戻った。


**


「うわっ・・・なんか匂いが籠もってる。真夏に1ヶ月も留守したからなぁ・・・こりゃ、しばらく風通さなきゃダメだよね」

急いでカーテンを引いて窓を開けて、久しぶりにベランダからの風景を見た。
大学が少し離れたところに見えて、近くの美味しいパン屋さんが見えて、真下には類の車が見えて・・・何にも変わってなくて嬉しくなった。
やっぱり帰ってきたんだなぁ!って・・・ここが自分の部屋だなぁって今更ながらに感動してた!


うーん!と背伸びをしてお日様を見上げる・・・日本も少し秋の空に変わっていた。雲が薄くなって高くなってる・・・風がちょっとだけ爽やかに感じる。
カラッとした天気の日にする事はただ1つ!急いで洗濯機を回した。

そして自分の部屋でシャワーを浴びて、髪を洗ってさっぱりした。
でも、その時にズキズキする手首がパリでの練習を思い出させる。苦しかったけど今となっては心地よい痛み・・・目を閉じたらあのリサイタルの光景が鮮明に思い出された。


類がタキシード着てスポットライトを浴びて、格好良くヴァイオリンを弾いていた姿が今でも目の前で見えるみたい。

「スマホで写真撮れたら良かったのに、残念なことしたな!」

よく考えたら類の演奏する姿はこれからも見られるかもしれないけど、私のリサイタルドレス姿はおそらく最後だっただろうからそれも撮れば良かった!なんて終わったから言える事。
少し大きめの星の指輪を触りながら洗濯物を干していった。

それが終わったら掃除機をかけて、持っていった荷物の整理。お土産なんて僅かしかないからあっという間にその仕分けも終わった。



「あ~!疲れたぁ・・・はぁっ!」

着古したTシャツに短パンで自分のベッドにボスッと寝転ぶ・・・これも久しぶり過ぎて懐かしかった。

いつからこの部屋で寝てないんだろう。あの雷の日から?そうだとしたらもう2ヶ月ぐらいかなぁ・・・そんなことを考えていたら、またウトウトし始めた。
だって、1人で手を広げて寝るだなんて・・・類といるようになってからは出来なかったから。



どのぐらい時間が経ったのかわからなかったけど、すごく暑くなって目を覚ました。

「あれ?なんでこんなに暑苦しい・・・・・・えっ!」

横を見たら私の部屋のベッドに類が寝ていた。
また私にぴったりとくっついて、背中を丸めて猫みたいにスゥスゥ寝息を立てて。

いつの間に・・・って思ったら窓が開いたまま。あぁ、ベランダからね、って変に納得する自分が可笑しかった。


「類・・・ねぇ、類・・・るーいーっ!」
「・・・ん?なに?まだ眠たい・・・」

「どれだけ寝れば気が済むの?起きようよ、類。お買い物行かなきゃ・・・冷蔵庫が空だよ?」
「・・・届いたよ」

「は?何が届いたの?・・・うわっ!」

私の質問に答えもしないで、急に類が私を抱き締めて自分の上にひょいっと乗せた!それに驚いて大きな声が出たけどすぐに唇は塞がれた。
まだ、少し湿ってる髪の毛・・・類からも同じシャンプーの香りがする。

唇を離したら目の前15センチに薄茶の瞳・・・一気に上がる体温と鼓動がダイレクトに彼に伝わるから恥ずかしい。
だから類の肩に顔を埋めたらクスクス笑って「可愛い・・・」って、またムズムズするようなことを平気で言ってくる。


「さっき、加代が来たんだよ。また沢山食材持ってきてさ・・・牧野に渡してくれって」
「あっ!そうなの?挨拶すれば良かった!」

「近いうちに2人で屋敷にも顔を出してくださいって言ってた・・・行きたくないけど」
「もうっ・・・類ったら!」


「じゃあ帰ろうか、向こうの部屋に」
「・・・うん!」

類はまたベランダに出て、慣れた感じで自分の部屋のベランダに飛び移った。
そして前みたいに私に両手を広げてくれる。


「・・・おいで、牧野」


私は勢いよく彼の腕に飛び込む・・・そして受け止めてくれたと同時にもう1回抱き締められて「腕は鈍ってないね!」だって。


「よし!じゃあ晩ご飯の支度しなくちゃ!」
「それが終わったらレポートだね」


「あ・・・また忘れてた」




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2018/10/02 (Tue) 08:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、こんにちは。

久々の寮でのイチャイチャ♥
超甘えんぼの類君、美味しゅうございましょ?(笑)

このぐらい書いておかないとこの先読者様に怒られると思うので(笑)
ハピエンの直前にはとんでもないことがあるものです。

どうか心静かにおまちくださいませ・・・あはは(笑って誤魔化す)

2018/10/02 (Tue) 10:42 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/02 (Tue) 11:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

うふふ!類君、可愛いでしょ?
振り向いたら丸まってる類君・・・速攻襲ってしまいそうですけど(笑)
てか、いつまで寝てるんでしょうね、ホント。

あぁ~、このお話とももうすぐお別れ・・・。
意外と楽しかったなぁってしみじみ思います。

長編って次に移りにくくて困る(笑)
10月の向日葵に似た気分です。

2018/10/02 (Tue) 14:20 | EDIT | REPLY |   

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