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plumeria

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総二郎に言われて、類の部屋の向かい側・・・奥様のお部屋と思われる可愛い部屋に通された。

この人が類の奥様・・・ソフィアさんって言うのね。
あの時に少しだけ見た人・・・なんて綺麗な人なんだろう。あの時は見たくなかったから覚えてもなかったけど・・・
綺麗な柔らかそうな金髪で、類とよく似たブラウンの瞳・・・でもとても悲しそう・・・。

『あの・・・初めまして。牧野つくしと言います。英語だと大丈夫とお聞きしたので』

『あなたがツクシさん?聞いています。ルイの恋人だった人ですね?』

『もう・・・昔のことです。私はもうすぐ彼と・・・総二郎さんと一緒になりますから・・・』

とても静かに話をする人・・・私にはわかる。この人もとても類の事を愛しているんだ。
私の事も聞いているんなら会いたくなかっただろうに。

『ソフィアさん、後で類に会ってもいいですか?私たちの関係はもう終わっているんですが、病気だと聞いて心配で
ここまで来たんです。ちょっとだけ話をしたら日本に帰りますから』

『ルイは今でもあなたのことが好きなんです・・・私の事なんて見てもくれない。部屋にさえ入れてくれない。
あなたがいる限りルイが私を見ることはないんです。もう・・・耐えられない!』

類がそんな事を・・・?私1人が苦しんでいたわけじゃないのね・・・

『ごめんなさい。でも私からも伝えたいんです。もう元には戻れないって・・・ダメですか?』

泣き出した彼女の背中をさすって、でもなんて声をかけたらいいかわからなかった。
この人も随分悲しい恋をしているんだ。結局、この結婚は類も彼女も私も・・・誰もが傷ついたものでしかなかったのね。
私には総二郎がいたから良かったけど、この人はずっと1人で耐えてきたんだ・・・


『ソフィアさん、類の心は類のものだから私が動かすことは出来きません。でも、話し合いたいんです。
私と総二郎さんのこともわかってもらいたいと思ってます。私を支えてくれたのは総二郎さんですから・・・だから、今度は
あなたが彼を支えてあげてくれませんか?類は寂しい人だったから1人にはしたくないんです。今は辛いかもしれないけど、
あなたのことをいつか見てくれると思うんだけど・・・どうですか?』

『ツクシさんはお幸せなのね?でも、ルイと別れたときは私のことを恨んだでしょう?』

『あなた・・・と言うより、この花沢の家のことは恨んだかもしれません。でも、今はそんな気持ちもありません。
類にもあなたにも幸せになってもらいたいと願ってます』

涙を拭いたソフィアさんはにっこり笑ってくれた。
この人にもいつか私のように心から笑えるようになってもらいたい。それが類の側であってもなくても・・・


******


この部屋の中に彼女と牧野がいる。・・・どんな会話が出来たのか心配だった。


「牧野・・・類が呼んでるから。来れるか?」

ドアを開けたら類の嫁さんと笑って話してる。2人が同時に俺の方を見た。
いつの間に・・・いや、牧野だからだろうな。普通なら考えられない相手でもすぐに心を開かせるヤツだから。

「類は・・・会ってくれるの?大丈夫かな・・・」

「あぁ、大丈夫だろう。早くしてやれ、待ってるから」

類の嫁さんに頭を下げて牧野を連れ出した。どうやら彼女も納得してるみたいだな。


「類は起き上がれないからベッドの横まで行ってこい。俺は部屋には入るけど入り口のソファーで待つから。
俺がいても何を話してもいいからな。聞かなかったことにしてやるから・・・入るぞ」

もう一度ノックをして部屋に入った。
牧野は恐る恐る部屋に入ると奥にある類のベッドの方を覗き込んだ。でも、そこから動かない。

「ほら、行ってこいって・・・心配ねーよ、まだ生きてるから」

「なんて事言うのよ!縁起でもない!!」

大きな声を出したから類に聞こえたんだろう、奥の方から類の声がした。


「牧野・・・そこに・・・いるの?」


近づく勇気が出ない牧野の背中をポンと押して、類のベッドの方へ行けと眼で合図を出す。
牧野は俺の方を振り向きながら、だんだんと類に近づいていった。
そして俺は2人に背中を向けるようにして、入り口近くのソファーに座った。
会話なんて多分全部聞こえるだろうけど、いきなり牧野が愛してるなんて類に言わない限り我慢できるだろう・・・

少しだけイライラしながら、目を閉じて2人の会話が終わるのを待った。


「類・・・類?・・・私だよ?わかる?・・・」

「牧野・・・本当に牧野だよね?来てくれたんだね、本当に・・・」

「こんなになるまで・・・どうしてもっと自分を大事にしなかったの?」

「ごめんね・・・あの時に約束を守れなくて・・・でも牧野は俺の所に帰ってきてくれたんだよね?」

類・・・その質問をしてどうするんだ?お前の側に牧野の帰る所なんてないのに。
そんな事も今はわからないか?心底牧野を愛してんだな・・・その気持ちだけはわかるけど。

その次に出る牧野の答えに神経が集中した。


「類・・・私は本当に類の事が大好きだったよ。ずっと一緒だってあの日までは信じてたの。でもね・・・今は違うの。
類の事は大好きなままだけど私は別の道を選んだの」

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