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plumeria

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今日も綺麗な先生が診察室で私を看てくれた。
やっぱり恥ずかしい・・・この先生が西門さんの言葉を聞いてるのかと思うと・・・。

「はい、特に問題はなさそうですね。もうこれで通常の生活に戻られていいですよ」
「ありがとうございます」

「でも、良かったですね。もう少し遅かったら腹膜炎でしょう?そうなったら大変でしたもの。手術までの時間も短くて本当に手際が良かったのね。どうして総二郎様はここに転院を?腕のいいお医者様だったんでしょうにねぇ」

「は、はぁ・・・」


西門さんのヤキモチですから、とはとても言えない。
しかも手術後の経過が問題ないんだってことは判りきっていた。ってことは西門さんが・・・いやいや、いきなり今日ってことはないでしょうよ。

主治医の先生の前で悶々としていたらニコニコ笑って恐ろしい言葉も出てきた。

「それではこの結果を総二郎様にもお伝えしていいですか?そのようにご希望なんだけど」
「えっ?!こ、この検査結果ですか?」

「えぇ、そうなの。一応個人情報ですからご本人様に確認してからって言ってあるんですけど・・・問題ないのでお話ししても宜しいわよね?」

「・・・え、えぇ、まぁ・・・」


流石だわ、なんて手回しのいい・・・そこまでするとは。

と、言うことは今日マンションに帰った時点で私の検査結果はバレてて・・・所謂許可が出たって事になるのよね?
そのあとの行動が恐ろしい・・・晩ご飯さえ食べずに部屋に籠もられたらどうしよう!って、それが自分の彼氏に対して言う言葉かどうかも疑問だけど。


先生と看護師さんにお礼を言って診察室を出て、お会計も済ませてまたバス停に向かう。
時計を見たらまだ4時で、今から買い物をして帰れば充分間に合うよね、そんなことをぶつぶつ言いながら歩いていた。


コツコツ・・・コツコツ・・・

随分近くで誰かの足音が聞こえるなぁってほんの少し後ろを振り向いてみたら、帽子を被って俯いてる男性がすぐ後ろを歩いていてドキッとした。
なんでこんなに近づいて歩くの?気持ちが悪い・・・そう思った瞬間、その人が顔を上げた。


「・・・えっ?あなた・・・」
「・・・黙って歩け」

「も、森本君だよね?なに?どうしてここにいるの?!」
「いいから!黙って真っ直ぐ歩け!・・・そうしないと本気で刺すぞ」

「・・・は?刺すって・・・」

真後ろにいたのはストーカーと下着泥棒で捕まっていた森本君・・・取り敢えず保釈されて警察からは出たと聞いていたけど、確かまだ刑は確定してなかったんじゃないの?
そのまま執行猶予になれば刑務所に行くことなく、普通に暮らせるって・・・でも、今こんな事をしたら今度は刑務所行きじゃないの?!

驚いて森本君の前で立ち止まったらその服のポケットから小さなナイフのようなものをチラつかせた。
刺すって・・・私をナイフで刺すつもりなの?どうして・・・被害者は私のはずなのに!


「このまま真っ直ぐ歩いたら車が停まってる。その車に乗るんだ・・・いいか、声を出すなよ」
「なっ、何やってんのよ!こんな事したって・・・!」

「煩い!ホントに刺されたいのか!い、いいから早くしろ!」

ナイフの先が少し私の方に向かって光り、帽子の奥で森本君の目が歪んでるのも見えた。
今ここで騒げば本気で刺す気なのかもしれない・・・そう思ったら言うことを聞くしかなくて、私は震えながらこの人の言うとおり真っ直ぐ歩いた。



バス停も通り過ぎて交差点に近づいて、その少し手前の空き地に1台のワンボックスカーが停まっていて「あの車だ」って小さい声で言われた。

他に誰かが乗っていたみたい・・・私たちが近づくと中から後部座席を開けられて、そこに突き飛ばされるような感じで押し込められてシートの上に倒れ込んだ。

西門さんに電話を!・・・そう思ったときには鞄ごと取り上げられて、森本君は私の横に乗ってきた。

車内には森本君ともう1人だけ・・・全然知らない人だった。
私たちよりは少し年上だと思うその人が運転してワンボックスカーは空き地を出た。


「も、森本君!なんでこんなことするの?いっ、今・・・今こんな事したら自分がどうなるかわかってんの?」
「・・・捕まらなきゃどうって事ない。俺はあの男が許せねぇんだ!」

「あの男?あの男って・・・西門さんの・・・こと?」

ここでギラッと光るナイフを私の目の前に突き出して「黙れ!」とひと言、それに驚いて私は何も言えなくなった。
どこに行くんだろう・・・どうやら街の中じゃなくて海側に向かっているような気がするんだけど、濃いめのシールドが貼ってあるからよくわからない。


「おい、哲也、マジであそこでいいのかよ。ホントに来るのか?西門総二郎」

「・・・あぁ、この女が電話すりゃ飛んでくるだろう。いい格好見せたいだけの男だから言われた通りにするはずだ」
「ははっ!そうか・・・楽しみだな」


どういう意味?私を人質みたいにして本当の目的は西門さんなの?
西門さんに何をするつもり?まさか・・・って、この人達、西門さんが怒ったらどんなことになるか判ってんのかしら?


素手で喧嘩させたら道明寺の次に恐いと思うんだけど。
なんて、捕まってるくせにこの人達の心配をしてしまった。



****************



『・・・と、言うことで検査結果は問題ございませんでした。だからって無茶はいけませんよ?急に痛がるようでしたら必ず病院に来て下さいね?そこまでのコトをしないように・・・宜しいですか?総二郎様』

「勿論手加減しねぇと初心者なんだから。連絡サンキュ!悪かったな」

『ほほほ、手加減できたらいいんですけどねぇ。念のため今晩は待機しておきますわ』


うちの主治医からの連絡を千葉の講演会場の控え室で受けた。
あの様子を見て問題があるとは思えなかったが、ちゃんと医者の言うことを守った俺を褒めて欲しいってもんだ!


講演も無事に終わったし、これで今日の仕事は終わり。
早めに帰って飯食って・・・そのあとの事を考えていたら何故か顔が緩んでいたらしい。弟子に気持ちが悪いと言われたが、それさえも許してやれるほど気分が良かった。


「お疲れ様でした。若宗匠」

「あぁ、お疲れさん。運転ご苦労だったな」

「はっ?は、はい・・・いえ、とんでもございません!」

普段俺がそんな事言わないからって怯えてやがる。まぁいい・・・たまには言ってみたいってもんだ。
マンションのエレベーターの中でも出て来るのは鼻歌。そんな自分が可笑しかったが気が付いたら心臓がドキドキしてる。


やっと・・・やっとあいつが全部俺のものになるかと思うと。


でも玄関のドアを開けて中に入った途端・・・空気が冷たいことに気が付いた。

誰もいない・・・牧野の靴がそこにはなかった。
どうしてだ?病院は随分前に終わってるはず。どうして帰ってないんだ?


「牧野?・・・おい、居ないのか、牧野?」



・・・何故かすごく嫌な予感がした。




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2018/10/01 (Mon) 12:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

申し訳ない・・・こんな展開になってしまった(笑)

何とか無事で・・・はい!命は取りませんからっ!
ほら、今までハピエン以外ないでしょ♥

少し時間がかかってますがもうちょい待っててね!

2018/10/01 (Mon) 20:30 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/02 (Tue) 10:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

Aria様、こんにちは。

ありがとうございます♥
あっはは!ソウイチロウ・・・こんな所にも隠れファンが(笑)
続編頼まれてるけど中々書けないソウイチロウですが、現在も悩み中ですよ(笑)

ではAria様はCPオールでお考えなのですね?素晴らしい!!

総ちゃん、楽しみにしていますね♥


リンクの件、了解しました。もし、バナーが必要でしたら持って行ってくださいませ。
では、私もリンクさせていただきますね♥

Aria様のバナーが見当たらなかったので(あったらごめんなさいっ!)
FreeImageと言うことで画像を貼らせていただきます。

今後バナーを作られましたら変更しますのでご了承くださいませ。

これからも無理せず気長に、と言う事でお互い頑張りましょうね♥
コメント、ありがとうございました。



2018/10/02 (Tue) 10:39 | EDIT | REPLY |   

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