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plumeria

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若洲に行くのに車だと面倒だってことでマンションに移動させていたバイクに跨がりエンジンをかけた。

この方が早く着く!
とにかく今は牧野が無事なことをこの目で確かめないと・・・ハーレーは爆音を響かせてマンションを飛び出し、猛スピードで若洲に向かった。

ハンドルを持つグローブの中、焦りのためか掌に異常なほど汗をかいてる。
目では通行人や信号を見てるはずなのに浮かんでくるのは捕まってる牧野の姿・・・怯えてるあいつの泣き顔が浮かんでイライラしながらバイクを走らせた。



海浜公園の奥の方、倉庫が並んでる所まで来たら速度を落として走り、すぐに電話で言われたようなワンボックスカーを見つけた。

そこはもう使われていない古い倉庫のような建物・・・その正面のシャッターがわざとらしく少し開けてあった。如何にもここから入れと命じられているかのようだ。しかも、外から見る限り灯りは確認出来ない。

俺はその倉庫の前にバイクを停めてヘルメットを外し、1度大きく息を吸い込んでから足を踏み入れた。



牧野は2人だと言った。
2人ぐらいならどうってことはねぇが牧野が捕まってる以上下手に動けない。

まずはその状況を確認しないと闘えるかどうかがわかんねぇな・・・そんなことを考えながら奥に進んでいくと僅かな灯りが見えてきた。
俺はわざわざ足音を消さなかったから入ってきた事は気が付いてるはず。

高く積み上げられた廃材を避けながら少し広い場所に出ると、そこに牧野が椅子に縛り付けられて座っているのが見えた。
牧野を後ろから小汚い手で押さえつけてるのは森本・・・そして牧野の斜め前に立ってニヤリと笑ったのは見たこともないチンピラのような男。
こいつが電話で話した良平ってヤツか・・・?


「にっ・・・西門さん、なんで来たのよっ!来ちゃダメでしょうーっ!馬鹿ぁっ!」
「は?迎えに来てやったのに馬鹿はねぇだろうが!こんなのに捕まるお前の方が馬鹿だろう!・・・ったく隙ばっか見せやがって!」

「そ、それはそうだけど・・・でも、2人なんだからね?いくら西門さんが喧嘩に強くても・・・!」
「いいからお前は黙ってろ!こいつらは俺に用があるんだろ?さっさと言えよ・・・何でこんな事してんだ?」

森本が牧野の首をグッと押さえ込んでナイフを突きつけた。
でも、その震えてる手じゃとてもじゃないが人なんて刺せねぇだろう、そうは思ったが自棄ヤケを起こされても困る。チラッと良平って男を見るとすぐ傍にあった鉄パイプを持って、それをブラブラ振り始めた。



「電話かけてきたのはお前か?・・・牧野を離せ!何が目的だ!」

「1人で来たのか?いつもくっついてたヤツは連れて来てねぇんだろうな?」

「いつも連れてたヤツ?誰だ、そりゃ。もしかしてあきらのことか?あいつならもう半年も前に日本から出てる。お前、いつの話ししてんだよ、馬鹿じゃねぇの?」

「うるせぇ!女を人質に取られてるのによくそんなデカい態度に出られるな!この女殺すぞ!」

「・・・出来るもんならやってみろよ。間違いなくお前らも死ぬぞ?牧野をこんな目に遭わせた時点で俺ん中じゃ限界通り超してるからな・・・今のうちに牧野を返せ。このままだと本当にお前ら、命ねぇけど?」


どう見ても大した腕は持ってなさそうだ。
牧野さえ捕まってなければ1分で倒す自信がある・・・ただ、牧野の首に向けられたナイフが言葉とは裏腹に俺を焦らせた。


「理由を聞こうか。なんで牧野を拉致ったんだ?森本・・・お前、今は保釈中だろ?これがわかったら執行猶予なんてつかねぇぜ?速攻ムショだな。で、もう1人のお前・・・俺、会ったことあんのか?全然覚えがねぇけど」

「そっちが覚えてなくてもこっちにはムカつくことがあるんだよ!銀座の美奈子って女に覚えがあるだろう!」

「銀座の美奈子・・・全然?」
「何だとっ?!忘れたのか!」

「忘れたんじゃなくて知らねぇな。それがどうした?」

女絡みか・・・ってことはこいつの女が俺に熱を上げたってヤツか?バカバカしい!
そんなのこれまでに何人そうなったかなんて知るか!勝手に近寄って来て勝手に俺の女になったかのような気分になって、勝手に泣き喚く女は何人も見てきたが、そんな女の名前なんて覚えてるわけがない。

ただこの状況なのに牧野の方が反応して俺を睨み付けたのには驚いた!

「ちょっと西門さんっ、そんな事のために私が捕まったの?!」
「お前、誰の言葉信じるんだよ!いいから黙っとけって!」


俺はもう2年以上女を連れて飲んだこともなければ誰かを誘ったこともねぇし!
たまたまあきらに誘われて飲みに行って、あいつが女を引っ掛けたことならあるかもしれねぇが、それでもイチイチ覚えるか!


「弄んだクセに知らねぇだと?!」

「ってか、他の女も覚えてねぇよ。それにいつの話しか知らねぇがこの最近誰1人相手にしたことねぇし?」

「なんだと?そんなはずはねぇ!美奈子がお前と寝たって言いやがったんだ!だから俺とは別れるって出て行ったんだ!」

「・・・それ、俺じゃねぇと思うが?名前だけ使われたのかもしれねぇけど、ただ単にお前と別れたくて言ったんじゃねぇの?それに他人の女に手を出すほど困ってねぇし」

「嘘つけ!!お前の事は調べてんだよ!金をチラつかせて見境無く女に手を出す下衆野郎だってな!」


「調べたのにその程度の情報か?もしかしてお前、西門の名前を知らねぇの?そうなら後悔するぜ・・・この俺にそんな言葉を出したこと」

「やっ、喧しいんだよ!ガタガタ言ってんじゃねぇや!この野郎っ!!」


良平は鉄パイプを高々と上げて俺に向かって飛びかかってきた!
それが振り下ろされる瞬間、横に避け片足を出したら簡単にそれに引っ掛かってその場に転がりやがった。

その動きを見ても喧嘩は素人。
鉄パイプは持ったままだったがそいつを足で蹴り、立ち上がろうとした良平の胸板を思いっきり蹴り飛ばしたら後ろの廃材の中に倒れ込んですげぇ埃が舞い上がった!

もう一発殴り倒してから牧野を脅してる森本を片付けに行こうかと、良平の転んだ方に向かっていたら急に牧野の悲鳴が上がった!

「きゃああぁーっ!何すんのよーっ!」
「う、うるせぇ!黙ってろ!ほ、本当に刺すぞ!」


******


西門さんが良平って人の身体を蹴り飛ばして、倉庫の壊れかけた棚みたいな所にその人が倒れ込んだとき、森本君が急に私の首を絞めてた腕の力を強めた!
ぐぐっと持ち上げるようにして締められ、足が床から浮いてしまうほど!それを我慢して声を出さないようにしていたら、首にチクッとした痛みが走った!

ナイフで傷をつけられた?森本君が・・・私を?

「きゃああぁーっ!何すんのよーっ!」
「う、うるせぇ!黙ってろ!ほ、本当に刺すぞ!」

大きな声を出さないようにしていたのに急に恐くなって悲鳴を上げたら、西門さんがハッとして私の方に身体を向けた。
その時の顔・・・今まで冷静だったのに私の首を見た途端、その目は大きく変わった!


「森本ーっ!!てめぇ、牧野に何しやがった!!その汚ぇ手を離せ!」
「西門さんっ!来ちゃだめぇっ!」

「来るな、来るなぁ!!ホントに刺すぞ!俺は・・・俺はもうどうなっても構わねぇんだよっ!だから・・・だからこいつを道連れに・・・道連れにして・・・!」

「み、道連れ?じょ、冗談じゃないわよっ!」

ちょっとだけ見上げたらガタガタ震えた森本君がいて、真っ赤な顔して汗を流してる。

いつも大学でオドオドしながら隅っこを歩いていた人とは思えない行動だけど、私の部屋に入り込んであんな事したんだから自棄になったら何をするかわかんないのかも!
私が首を仰け反ったら、そこに押し当てたナイフをまた少し引いたのか、さっきみたいなチクッとした痛みが走った。

テープで止められた足をバタバタさせて椅子を動かそうとしたら、一瞬ナイフを持った手を私の首から離して、今度は平手で私の顔を叩いた!

「きゃあっ!」
「お、お前が騒ぐからだ!静かにしろっ!!」


「・・・てめぇ、よくも牧野に!!・・・この野郎っ!」


私が撲たれたのを見て、今度は西門さんがキレてすごい勢いで森本君に殴りかかってきた!
目を吊り上げて見たこともない恐い顔・・・振り上げた拳は筋張ってる!私の首を抱え込んでいた森本君が驚いて腕を離し、私は椅子ごとその場に倒れてしまった!

森本君もナイフを持ったまま西門さんに斬りかかって行ったけど、それを寸前で交わして思いっきり森本君の左頬を殴りつけ、彼はその勢いでガタン!とすぐ傍にあった机の縁に身体を打ち付けて倒れ込んだ。

「牧野、大丈夫か!少し待ってろ、あいつらを片付けてくる!」
「に、西門さん、無茶しないで!怪我したら、怪我したら・・・!」

「お前が無事なら俺はどうでもいいって!それに簡単にやられるわけがないだろ、いいからもう少し我慢しろ!」


私が縛られてる椅子を起こしてくれた時、また森本君がヨロヨロと立ち上がって西門さんの方にナイフを向けていた。

口からは血が出てる・・・さっきの一発で口の中を切ったんだ!
それを拭いながら森本君は震える足で立ち、西門さんを睨み付けていた。

「森本・・・お前はもしかしてこの前の逆恨みか?俺達のせいで警察に捕まったから・・・そういうことか?」

「そ・・・そうだよっ!俺は、俺は・・・ただ、牧野さんが好きなだけだったのに・・・!」

「惚れた女に見向きもされねぇから不法侵入して盗撮か?自分のものには出来ねぇから見るだけで満足しようってのか?最低な男だな、お前」

「う、煩い!捕まったせいで親からは勘当されるし大学は行けなくなるし・・・だ、誰も俺の周りからいなくなったんだ!」

「自業自得だろうが!クソ馬鹿野郎!!」


西門さんが森本君にもう1回殴りかかろうとした時、後ろの暗闇から人影が現われて彼に鉄パイプを振り上げた!


「きゃああぁーっ!西門さん、後ろーっ!!」



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2018/10/03 (Wed) 16:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

・・・ホントにごめんなさい。先に謝っておく・・・。

いや、でも・・・これは避けられなかったのよ(笑)
ハピエンの前のトラブルって事で許してください。

別に私がドSって事でもないんですが・・・ホント、ごめんなさい💦

2018/10/04 (Thu) 00:12 | EDIT | REPLY |   

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