RoyalBlue~恋心~ (53)

類の側に1歩ずつ近づいた。近づく度に心臓がドキドキした。
もし、ここにいる類が昔と違っていたらどうしようかと、その顔を見ても泣かないだろうかとそればかりが心配で
総二郎を振り向きながら進んだけど・・・。

でも、総二郎は私たちに背中を向けて座ってしまった・・・私に任せるって事なんだね?


そしてとうとう類の顔が見えるところまで来た。
ゆっくりとそのベッドに寝ている類の顔に眼を向けてみる・・・その顔を見た瞬間、私の中で何かが大きな音をたてた!

そこにいるのは私が愛した類とはまるで違う・・・これが現実だと受け止められないほどの衝撃だった。

どうして?・・・あれだけ輝いていた人がこんなに窶れてしまうなんて・・・!
胸が締め付けられるように痛かった。こんなに痩せて・・・今にもこのまま儚くなってしまいそうで怖いくらい・・・!


「こんなになるまで・・・どうして自分を大事にしなかったの?」

そう言うと類の手が私に伸びた・・・そしてやっぱり泣いている私の涙を拭いてくれた。
その手は昔のままの類なのに、冷たくて細くなっていた。

「ごめんね。あの時は約束を守れなくて。でも、帰ってきてくれたんだよね?」

「類・・・私は本当に類の事が大好きだったよ。ずっと一緒だってあの日までは信じてたの。でもね、今は違うの。
類の事は大好きなままだけど私は別の道を選んだのよ?」


私の顔に当てていた類の手が止まった。そして音もなくベッドの上にその手は落ちた。


「じゃあ、どうしてここまで来たのさ・・・」

「あなたは私の大切な人だからだよ?何にも持ってなかった私に沢山の思い出をくれて、愛することを教えて
くれた大事な人だもの。こんなに身体を壊したって聞いたら会いに来るのは当たり前でしょう?
類・・・私も同じだったの。心も身体もぼろぼろになるまで傷ついて、立ち直るまで随分かかったの・・・
でも、前を見れるようになったの。類にもそうなって欲しいからこうして会いに来たんだよ?」

類は少しだけ開けている眼を天井に向けたまま、私の方は見なかった。

「私は類から逃げたりしないよ?これからもずっと会いたいと思った時には会える関係でいたい。ダメかな・・・」


「でも・・・恋人じゃないんでしょ?」

「でも、大好きな友人だよ。私は類を見捨てないし、何かあったら助けに行くよ!それじゃダメなの?心が繋がってたら
呼び方が恋人でも友達でも変わんないと思うの。私はそう思うことにしたのよ・・・類と離れたくはないから」

「・・・もう一度俺が牧野の前に現れたらどうする?今までもそうなんだ・・・無意識のうちに行ってしまう・・・牧野の所に・・・」

「その時は・・・私が止めてあげるよ。今度からは自分の身体に帰れって・・・そう言ってあげるよ!」


「牧野は強くなったんだね・・・」

ふふって昔みたいに類が笑った。やっぱりこんなになっても素敵な笑顔だよ・・・類。

「ちょっとだけね。類に愛されて強くなって、総二郎に支えてもらってもっと強くなったの。でも、さっきも言ったでしょ?
何回も倒れたの・・・毎日泣いてて総二郎を困らせた。・・・本当に少しずつなのよ?前を向けるようになるまで」

布団の上に力なく置かれた類の手を取って、私の両手でギュッて握った。

「類に会いに来て良かった・・・会えて良かったって思ってる。だから、こんな風に自分を傷つけないで・・・。
こんな形でもしも私の前から消えたりしたら許さないからね?」


類の眼からも涙が流れた・・・いくつも、いくつも。

「類、あなたの奥様ともさっきまでお話ししてたのよ。とってもいい人なのね。類の事をすごく愛してるのよ?
わかってあげてないんでしょ。そうやって周りには沢山支えてくれる人がいるんだから・・・よく見てあげて?
私もね、西門のおば様とおじ様には受け入れてもらえないって思ったけど、今では本当の親子みたいにして
もらってるの。私も類も・・・1人じゃないと思うから。少なくても私は類の事、いつも想ってるからね・・・」


「・・・また、会える?」

「もちろんよ!ずっと言ってるじゃない!あなたは私の大事な人なんだから、死んだりしたら許さないって!」


類の表情が変わっていく・・・昔の類の顔になっていく。
もう、心だけを遠くに飛ばさないでね?そうなりそうになったら私を呼んで?そしたら私がここに来るから。


「総二郎から返してもらったよ。この指輪・・・俺のものと一緒に置いておけって。でもさ、お互いがつけられないなら
もう意味がないんだ。・・・牧野、この指輪をどこかに捨ててくれない?絶対に離れないようにして・・・
それでもう・・・俺もやめるよ。牧野を探すのを・・・牧野を追いかけるのをさ」

「それでいいのなら預かるよ。でも捨てたりはしない。この指輪は私たちが恋人だった証だからね・・・」

類から二つの指輪を受け取った。あのタンザナイトが光り輝く指輪。



「俺は本当に愛してるよ・・・今でも牧野だけ・・・」

「ありがとう。私も類の事は好きだよ。・・・でも、ごめんね」


「総二郎の所に行くんだね・・・」

「うん。西門で生きていくって決めたの」


「総二郎を愛してるの?」

「うん。そうだよ」

お互いに溢れる涙を隠すこともなく、でもしっかりとその眼を見つめていた。


「そう・・・じゃあ、仕方がないね。・・・幸せになってなんてまだ言わないよ・・・?」

「うん。でも、私は類の幸せをずっと願ってるよ」



「うん。牧野・・・総二郎と2人にしてくれる?」

ao21.jpg


花より男子

2 Comments

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2017/04/20 (Thu) 13:10 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

W様、いつもありがとうございます。

何かを感じていただけたら嬉しいです。
そうですねぇ・・・恋人以上の友人って本当に存在するのかなって
思ったりはします。男女間でですよ?
もし、あるんならこのお話のなかの類とつくしみたいになればいいな。
いや、生き霊は別ですよ?

人生の中で別れって何回もあるんでしょうけど、出来たら
「哀」はあっても「憎」はなければいいなぁっとか。

もう一つの方・・・あれは今からが真っ暗ですよ!
人生にも山あり谷あり。お話しにも山あり谷あり。

結構深い谷へ陥れてしまう私です・・・。

応援コメント、本当に嬉しいです。
ありがとうございました。

2017/04/20 (Thu) 14:42 | EDIT | REPLY |   

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