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plumeria

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アパートの片付けが終わると西門さん達3人は帰って行った。帰り際に桜子が一言・・・

「花沢さんはまだここに残しますからね!邪魔はいたしませんわ!」

だから、まだそんな事にはなってないって言ってるのに!ちょっとだけ考えてることはあるけど・・・

類はあと少しだけ残った片付けをしてくれていた。こんなに動く類を見るのは本当に珍しい・・・
って、よく見たら桜子が大量購入した日用品を不思議そうな顔して見てた!

「あ、そっ・・・それは深い意味はないのよ?予備・・・予備がないと不安だからそれでねっ・・・」

「なに慌ててるの?ただね・・・このボディシャンプーの香りの説明が「魅惑の香り」って・・・どんな香りかと思ってさ」

あぁ・・・それだけ?良かった、そこだけ悩んだんなら。量じゃなくて香りね?

「試してみたい・・・牧野、一緒に使ってみない?」

・・・は?一緒に使う?ボディシャンプーを一緒に使うってどういう意味っ!!まさか、類まで?
桜子的発言を類から聞くと思ってなかった私は、さっきまでの類への感謝の気持ちが吹っ飛んでしまった!
これってもしかして4人で仕組んで私をからかってるの?それとも・・・それともっ!

「なに今度は赤くなってんの?冗談だよ。変な牧野!でもね?・・・こっちは「誘惑の香り」なんだって。
どっちもすごく興味がある。牧野って自然派だと思ってけど、意外とこういうのが好きなんだね。知らなかった!」

「・・・気になるなら今日のお礼にあげるよ・・・桜子がこんなに買ってくれたから」


後で知ったんだけど、類ったら本当に「誘惑の香り」を持って帰ってたのよね。

******

今度こそ全部の片付けが終わって、引越祝いだってシャンパンを開けた。
もちろん類からの最高級品のシャンパン!この部屋には全然似合わないけど2人で乾杯をした。


「類、色々とありがとう。本当に助かったよ」

「どういたしまして。・・・でも、本当に1人で暮らすの?」

「・・・今日引っ越したばっかりじゃない。1人で暮らすよ。大丈夫だって!」

すごくガッカリした顔で見るの、やめてほしいわ。まるで悪いことしたみたいじゃないの。
そこまで落ち込まなくてもいいと思うんだけど。今度はすぐ側にいるのよ?
類にマンションのすぐ近くなんだから。そうじゃないと許してくれなかったのは類なんだよ?


「それよりも類・・・あんな大きなベッドどうしよう。美作さん家も考えて欲しかったよ」
「牧野が甘いよ。俺は絶対この位のものが来るって思ったよ?」

「うそっ!教えてくれたら良かったのに・・・シングルサイズに変えて欲しいなぁ・・・もう無理かな」

「俺はこの位じゃないと寝られないから。牧野もすぐに慣れるんじゃない?大丈夫だよ」

そりゃ類には丁度いいかもしれないわよ?シングルベッドなんてもっと無理でしょうけど。
私程度の大きさならそれで十分なの。そしたら部屋だって十分広く使えるのに・・・。
しかも、類が寝られるかどうかなんて、誰も聞いていないって・・・本当に自己チューなんだから、みんな・・・。

ぶつぶつ文句言ってたら・・・急にふわっと類の香りがして、私の首の下で類の腕が重なった。
え?類が後ろから抱きついてんの?どっ・・・どうしたの?今度はなにっ?


「さっき、泣いてたからさ。なにか悲しいことでもあったのかと思って・・・」

いや、そんなのドキドキするだけだからっ!余計に心臓が痛いから離れて欲しいんだけどー!

「大丈夫って言ったでしょ?さっきはね、嬉しかったからなのよ。嬉し涙!」

そう?って言うけど離れようとはしないから、何となく類に身体を預けた。・・・なんか安心するのよね。背中が温かいと。


「類ってやっぱり男の人だったんだね!」

「どういう意味さ・・・ちょっと傷つくんだけど?」

「だって、私がこうやって寄りかかっても倒れないし、腕だってこんな長くて大きいし・・・温かいし!」


****


牧野をこうして抱いてるとまた気持ちが焦り始める・・・ゆっくり待つって決めたばかりなのに。

それなのにホント煽るような事言うよね。昔っから鈍感だけど、結構罪なんだよ?牧野・・・まぁ、俺がこんなコトするから
なんだけど。そんな風に体重かけられてもなんてことないよ・・・あんたみたいに小さな身体なんて。

あんまりくっついてると俺の心臓の音があんたに聞こえるかもね・・・でもかまわないよ。


「明日の朝、迎えに来るよ。大学に行くでしょ?春休みだけど事務所は開いてるから手続きしないとね」

「あぁ、そうだったね・・・忘れてたよ・・・」

もう一つやらないといけない事があったって顔して、またしょんぼりしてる。何回言ったらいいのさ。
大丈夫だよ、俺が付いててあげるから。

「明日から試験まで毎日ここに来るね。勉強見てあげるから」

「ホント?ただで?」
「ぷっ!もちろん、ただで!」

「でも、まだ申し込みもしてないのに?時期が違うのにホントに試験させてくれるのかな?」
「ついていくのが誰だと思ってんの?俺たちだよ?」

フフって笑う牧野の顔が、早く昔のようにはじけた笑顔になったらそれでいいんだ。


「牧野のご飯、作ってくれる?試験勉強の間ここで食べてもいい?」

「もちろんだよ!じゃあ、家庭教師代は手作りのご飯でいいかな?頑張るよ!」

「頑張るのは勉強の方だけどね。あ、作ってたら時間が足りない?それとも英語で話しながら作る?」

それもいいねって話す間も、ずっと牧野を抱き締めたまま・・・牧野の頭の上に自分の顎を乗っけてる。
わかってるの?牧野・・・こんな事は友達同士じゃやらないんだよ?
もしかしたら今この時間にいきなりあんたを押し倒すかもしれないよ?

それとも・・・牧野は絶対に俺がそんな事をしないって思ってるの?だから、安心してる?
これ以上は自分を抑える自信がなかったから牧野の身体を離した。


「疲れたよね。さっき美作さんがくれた紅茶があるの。ちょっと待っててね!」

牧野は紅茶を入れてくれた。小さなアパートに似合わない、総二郎の持ってきた高級なカップに2人で笑った。

「すごい部屋になっちゃったね。豪華なんだか貧乏なんだか・・・笑えるわ!」
「総二郎のカップってウエッジウッドじゃない?洗うときに傷つけないでね?」


もうそろそろ帰らないといけない時間になった。
俺が帰る支度を始めたら牧野が自分の手になにかを持って側に来た。

「類・・・これを持っててくれる?」

「なに?」

手を差し出して、その中にいれられたもの・・・ここのカギ?


「いいの?」

「・・・うん。だから、もう少し時間くれる?それまではこれで許してね?」

「わかった。ありがとう・・・」

銀色に光るカギを握りしめた・・・そこに牧野の気持ちを感じた。俺が焦ってるのが伝わったのなら
恥ずかしいけど、それでも牧野は受け止めてくれたって事だよね?

「明日からよろしくね?花沢先生!」

「教え甲斐のある生徒で嬉しいよ!・・・それよりも1人で大丈夫?ホントに泣かない?」

「泣かないよ!もう1人じゃないからね。近くに類がいてくれるんでしょ?」

じゃあ、今日は起きてるあんたに、そして不意打ちじゃないからね!
ドアを半分出たところで、振り返って牧野に軽くキスをした。


「おやすみ!ちゃんとカギ締めてね」

びっくりした眼の牧野にウインクして、ドアを閉めた。

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