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「はい!終了です。お疲れ様。合否は一週間後だからね。直接事務所の方に来て下さい」

試験管の言葉に一気に気が緩んだ。
何とか出来たかな。・・・あの3人のお陰で緊張もせずにできて良かったよ・・・。
よしっ!今日はお礼も込めて、手抜き料理じゃなく本格的に庶民の晩ご飯でも作ろうかなっ!

試験会場の教室を出て、ラウンジの方に向かうと3人がなんだか真剣に話をしていた。
いつもなら笑いながら、まるでソファーに寝っ転がるみたいにして座ってる人たちなのに・・・。
どうしたんだろう・・・何かあったのかな?


「終わったよ。どうかしたの?真面目な顔して・・・」

近づくと3人共がハッとした顔をして・・・でもすぐにいつもの表情に戻った。

「どうだった?ちゃんと出来た?フランス語、間違えずに話せたの?」

類が少しソファーを空けてくれて、そこに座るように合図してきた。

「うん、まぁ。ちょっと去年のよりは難しかったけど・・・でも力は出してきたから!会話もね、類のお陰で
上手くいったと思うんだけど。・・・合否は一週間先だって」

「ま、大丈夫でしょ。お疲れ様!一週間は遊べるじゃん。その後合格してたら大変だよ?なんたって特待生は
学年の10番以内じゃないと学費免除から外されるからね」

「そうなんだよね・・・それも合格してから考えるよ!」

「お守りが効いたんだろ?なんたってこの俺たち3人からもらったお守りだから効果絶大だよなっ」

美作さん、西門さん・・・私の事も考えてよ?ホントに命がけなんだからね?あなた達とこうしてるのも・・・。
高校の時もそうだった。2階にあった高校のラウンジに入っていけた女子はあたしだけ・・・
それでどれだけ危ない目に遭ったか!大学でも同じなのよ。
大学のカフェスペースの一番奥に作られたこのラウンジはこの3人と私と桜子しか入らない。

だから、今でも私を睨んでいる視線を感じてるのよ!
絶対に朝の件は噂になってるに違いないわ・・・一週間の間にみんなが忘れてくれたらいいのに・・・。

「俺のお守り1つで十分だったよね?あんたが隙ばっかり作るからあきら達が調子に乗るんだよ?」

いや、そういう事でもないと思うんだけど・・・特に今朝の類はお守りと言うより完全にキスだったような・・・?
って思いだしたら急にまた恥かしくなった。この2人の前でしたんだった!!

「なーに赤くなってんだよ?思い出しちゃったの?牧野、類の・・・」
「止めてよ!西門さん!おっ・・・思い出してなんかないわよっ!」

「まさか・・・したことなかったの?類と・・・」
「そんなわけないじゃない!したことぐらいあるわよっ!・・・あれ?」

ヤバい・・・今なんか2人の会話に動揺してとんでもないことを言ってしまったような気がする・・・。
美作さんと西門さんが固まった私を見て大笑いしてるけど、自分の隣にいる類の方を見ることが出来ないっ!

「いいよ。別にバレたって。牧野がいいならこいつらの前だろうが、テレビで放映されようが、いつも行くスーパーの
中だろうがキスぐらいしてあげるよ?」

はいっ?って隣を見たら天使の微笑みをした類が私の方を見てた。
スーパーの中はマズいでしょう・・・?テレビ放映?類ならやりそうで怖いかも。

しばらくこんな会話を4人でしながら、その後類と一緒に大学を出た。


******


ラウンジで見た類達の深刻な様子がずっと気になっていた。

どうしたんだろう、類の様子がおかしい・・・すごくピリピリと神経を尖らせてるような気がする。
いつもより周りを気にしてる?私にもピッタリとくっついてるけどその寄り添い方がいつもと違う?気のせいかな?

「ねぇ、類。今日はちゃんとした物作るから食べて帰ってよ。今から買い物に付き合ってくれない?」

「ん・・・わかった。いつもの所でいい?」

最近よく行く近所のスーパーに行った。いつものように類がカートを押してくれて私が食材を入れていく。
ちょっと照れるけど、この時間はすごく好きだった。
今日も庶民の味で悪いけど炊き込みご飯ときんぴらゴボウ、筑前煮と生姜焼きとお味噌汁・・・こんな感じでいいかな?
材料を選んで入れてたら、やっぱり周りを見てる?誰か探してるんだろうか・・・まさかね。

「類?やっぱり何かあったんじゃないの?周りが気になるの?」

そう声をかけたら何でもないって笑うけど、すぐにその眼は何かを探しているように動いた。

帰るときも同じだった。車の中でもいつもより会話がなくて、なにか考え事をしてるみたい。
そうだよね・・・類だってあの花沢物産の跡取りだもの。私になんか言えない事もあるよね。
道明寺が私のことをほったらかしにしたように、類にも私より大事な問題があってもおかしくないじゃない・・・


「あんたより大事な物なんてないよ。そこは間違えないで?」

「え?あ・・・ごめん。聞こえてたんだね」

「いいよ。こっちこそごめんね。ちょっと考え事してたから。でも、牧野の心配することじゃないんだ。顔に出てたんだろ?
試験終わったばかりなのに気を遣わせて・・・ホントにごめん」

類の気持ちにはっきりと答えてないくせに、こんな嫉妬みたいな事考えた自分が恥ずかしい。
でも、もし類が悩んでる事があって私になにか手伝えるなら力になりたいって思う。

「もし、私が類の力になれるならなんでも相談してね?役には立てないかもしれないけど聞くぐらいなら・・・」

「牧野はそこにいてくれるだけでいいよ。出来たらずっと笑っててくれたらもっと助かる!」

「え?それって役に立ってるの?笑うだけでいいなんてバカにしてるでしょ!」

「・・・本当にそれでいいんだよ。牧野が側にいてくれていつも笑ってくれたら後は何もいらない。
あ、ごめん!!また変なこと言ったね。試験が終わったからもう牧野の家庭教師も終わっちゃうでしょ?
なんだか寂しくなってね!」

本当にそうなのかな・・・もっと深刻な悩み事でもあるように思えたけどそれ以上は聞かなかった。

もうすぐアパートに着くって言うところで急に類が花沢の自宅に取りに行きたいものがあるって言い出した。

「自宅に戻るんなら今日はアパートに寄らなくてもいいよ?ご飯はまたいつでも作れるから」

「ううん。今日も牧野の晩ご飯にするから!せっかくメニュー考えて買ったんでしょ?1人で食べても美味しくない
っていつも言ってたじゃん。ついでにうちのシェフが作ったデザートとかもらってこようよ。牧野、好きでしょ?」

「ホント?最近類の所のデザート食べてないなぁ・・・。ちょっと楽しみ!」

「試験、頑張ったご褒美だね!すぐ用意しとくように電話入れるね」

類はそう言ってお屋敷に電話を入れて、アパートの前を通り過ぎた車は花沢邸に向かった。


久しぶりに見る花沢邸は相変わらずの豪邸で、その門から玄関までの遠いこと!
顔なじみのメイドさんにご挨拶してリビングに通された。
このリビング、私のアパートよりも広そう・・・よく考えたら類もこの世界の人だった。
最近はあのアパートで私なんかの庶民ご飯を一緒に食べてたからすっかり忘れてたよ・・・。


「牧野、ちょっと待ってて。すぐに戻るから」

類が部屋を出て行ってからすぐに、お抱えのシェフの方が類が頼んだデザートを持ってきてくれた。

「牧野様、またこの家にも食べにいらして下さいね?」

「はいっ!ありがとうございます。また近いうちにお邪魔しますね。類は何処に行ったんでしょうね・・・」

「類様はなんだか急いでうちの警備員の部屋の方に行かれましたよ?なにも言われませんでしたから理由は
わかりませんけど・・・探し物でしょうかね?」

警備室?そんな場所なんか行った事もないからわからないけど・・・何をしにいったのか不思議だった。
しばらく待ってたら戻ってきた。その手には小さなバッグがあって今探してきたものなんだって思ったけど
もちろん、中身がなんなのかは聞かなかった。

「ごめんね、時間かけて。じゃ、行こうか!」

いつもは私と並んでくれる類が、私よりも前を歩くなんて珍しい・・・とても早足で。


普段ゆっくりしてる類に似合わないこの行動に少し戸惑った。

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Comments 2

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2017/04/16 (Sun) 16:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

S様、爆笑❗

吉田沙保里そのものはどうだろう。
連れてあるくんですよね?少し後ろに吉田沙保里🎵

いや、それいいかも。
いい給料払ってくれそうですもんね。

これからシリアスになる予定なのに、笑わせないでくださいよ‼

今日もありがとうございました❕

2017/04/16 (Sun) 17:00 | EDIT | REPLY |   

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