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plumeria

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3年前に類の所から黙って姿を消してしまった。

その頃、類は大きなお屋敷を出て私の小さなアパートに住んでいた。
何も言わなかったけれど、私のことで両親と対立したんだろうということは何となく感じていた。
それがわかっていても、私は類と離れることは出来なくて・・・毎日私の所に帰ってきてくれるまで不安が消えなかった。
もしかしたら、今日は戻ってはこないのかと・・・遅くなる日は心が震えた。

信用していないわけじゃない。
類は花沢の人だから、私だけのものにはならないから・・・その日がくるのをただ恐れていた。


今日は学校が休みだって言ってたのに、朝起きたら類がいない日があった。
ベッドから飛び降りて類を探した。小さな部屋は探す所は実はなくて、類が家に居ないことはすぐにわかった。
もしかしたら、外のどこかにいるんじゃないかって・・・着替えて外に出たけど、どこを探したらいいのかわからない。

人が見ててもかまわない。類が帰ってくるまで階段の一番下に座って待っていた。
毎日のように考えてたことが起きたんだとしたら・・・花沢の人が迎えに来たんだろうか。
込み上げてくる息苦しさと涙を堪えた。両手で自分の顔を覆って必死で堪えた。

そのうちアパートの向こうに歩いている類の姿が見えた。
トクン・・・と私の心臓が音をたてる。冷めていた気持ちが急に熱くなる。


「牧野?どうしたの?そんなところに座って・・・また、風邪ひくよ?」

「類・・・、何処に行ってたの?起きたらいなかったから探したんだよ?」

「忘れたの?昨日の晩、牛乳と食パン買い忘れたって言ったでしょ。今そこのコンビニで買ってきたんだ」

そうだった・・・昨日私が買い忘れたって話したんだったね。
仕方がないからご飯にしようって言ったのに、類が買い物に行ってくれたんだね?

「ほら・・・またあんた冷たくなってるよ?今日は家でゆっくり休んどきな。俺が食事ぐらい頑張るからさ」

類はコンビニの袋を片手に持って、もう一つの手を私に差し出した。
その手を取ろうと思ったけど、手を通り越して類の身体に抱きついてしまった。

「何も言わずに出かけたら嫌だ・・・それだけで壊れそうになる・・・」

「ごめんね。牧野がよく寝てたからさ。起こしたら悪いと思っただけだよ。ほら、おいで?」

類は私の肩を抱いて部屋まで支えてくれた。
部屋に入った途端に類は私にキスをする・・・コンビニの袋なんて下に落として類の両腕は私の身体を包んでくれる。
私も類の背中に手を回して夢中で類を抱き締めた。
この人の総てが私のものになるなら、例えこの先が地獄でもかまわないとさえ思った。

もう日が高いのに、類とベッドの中で過す・・・なにも食べてなんてないのにお互いを求め合った。
どのくらいこうしていたら私は満足するんだろう・・・不安が積もるばかりで余計に寒かった。
だからもっと類が欲しくて、絡めた指を離せなかった。

「今日の牧野は甘えん坊なんだね?」

私を上から見下ろしながら、綺麗な笑顔でそう言った。


どのくらい愛していると伝えたら・・・類を私にくれますか?



類が外出中に突然その人は現れた。

すごく綺麗な女の人。花沢の家が用意した類の相手だと言った。
その人は多くを語らず、類を花沢に返すように言ってきた。

そうだよね・・・どこにいてもこうやって見つけられてしまうんだね。
類はそういう世界に生まれた人だから、私のように一度消えたら見つけられない人間とは違う。

類が私と花沢の間で苦しんでいるのはわかっていたから、もう終わらせた方がいいのかもしれない。
出来るのかと言われれば自信ないけど。


「類はやっぱり花沢に帰った方がいいと思う。類の事は愛してるけど、私では類が不安になってるのを助けて
あげられないの。そんな類を見るのが辛いの」

ある日、散歩って言って誘った河川敷で覚悟を決めてそう告げた。
自分の一言が自分自身に突き刺さったけど、もうこれが限界だと思ったの。
あの人に渡したくはないけど、やっぱり類は輝いた道を歩く人だから・・・そうして欲しいから。


ごめんね。類。

私以外の人を愛してもいいの。でも・・・私を忘れないでね。
部屋の鍵を残してカバン一つでこの町を出る。

あなたには黙っていなくならないでって、あれほど頼んだのになんて酷い女だろう。
結局地獄に落ちるのは私1人でいい。類を一緒に連れてはいけない。


それが3年前の春

ねぇ、類。
今日は桜が咲いてるのよ。でもその桜は雨に濡れてるの。とても寒そうに咲いてる。
私はその桜の花が悲しそうに泣いているのを東京から遠く離れた場所で見ていた。

気が付いたら私の頬に涙が流れている。

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Comments 2

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2017/04/08 (Sat) 12:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは

えみりん様、こんにちは🎵

ぐっときていただいて、ありがとうございます❗

私らしくないお話ではありますが、ちょっとブルーな毎日が続いたのでお話までこんなになりまして。
はやく、くっつけなきゃいけませんねぇ。

嵐じゃないことは確かです。コブクロかな?

今日もありがとうございました❗

2017/04/08 (Sat) 13:46 | EDIT | REPLY |   

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