FC2ブログ

plumeria

plumeria

散歩から帰ったら彼の事を放ったらかして1人で逃げ込むように屋敷の中に入った。

まさか急にあんな事・・・胸がドキドキして顔が熱くて、自分の出した声があまりにも大きくて誰かに聞かれたんじゃないかと焦る。
急いで外されたブラウスのボタンを締めて、なんでもないフリをして・・・西門さんが戻ってきた足音がしたから慌てて鰹節を手に持った!

そして勢いよくそれを削る!
バレバレの態度だって思うけど、もうどうしようもなかった。


そんな私を見たのか見なかったのか、西門さんは台所を通り過ぎてお茶室の方に向かった。


その時に誰かが玄関の呼び鈴を鳴らし、西門さんがそこに向かった。
もう誰も来ないと言ったのに・・・そう思って台所から顔を出してみたら、さっきの着物姿の上品な女の人が何かを置いて帰っていくところだった。
彼はそれを持ってまたお茶室へ・・・私が慌ててまた台所に引っ込んだら彼の笑い声が聞こえた。

「全部見えてんぞ、お前」って。あはは!そりゃそうでしょうね。


仕方ないから恥ずかしかったけど私も鰹節を置いてお茶室に行ってみた。
そしたらそこには着物が広げられてて、衣紋掛けに西門さんがそれを掛けてる所だった。

「・・・綺麗な着物だね。秋の色・・・」
「衣紋掛けが見当たらなかったから持ってきてもらったんだ。あんまりこの屋敷の細かい所まで覚えてなくてさ、どっかにあるんだろうけど」

「西門さんのもあんまり見ない色・・・へぇ、素敵だねぇ」
「ここを出るときにはお前が1人で着れるようにするからな。休暇だけど修行って言ったのも本当だから」

「・・・ホントにするんだ?じゃやっぱりお花も?」
「あぁ、毎日管理人が門の前に生け花用の花を持ってくるからそれを使って華道の稽古な。茶花は自分で選んで自分で生ける・・・華道との違いは教えてやる」

「はぁ・・・大変そう」
「くくっ!これで大変だったら西門で暮らせねぇからな」


夕方になって山の紅葉は夕日を浴びてますます綺麗・・・燃え上がるような紅い色が、少なくなった常緑樹を押し退けるかのように広がって、銀杏もその途中に鮮やかな黄金色を見せる。
もう窓を開けてたら寒いぐらいになってきて、急いで戸締まりして台所に戻った。



用意してもらった野菜で味噌汁を作り、お煮染めと焼き魚に即席のお漬物。
物足りないかな?って思って彼に聞いたら「酒があるからいい」なんて大怪我をした人の言葉とは思えない返事が来た。

お酒を飲むならと簡単なおつまみを作ったら、外の戸締まりを済ませた西門さんが入ってきて「美味そう!」って顔を綻ばせた。

豪華なものなんて何もないのに・・・そう言うと「豪華なものが美味いって限らねぇだろ?」だって!


「先にお酒飲むの?傷、大丈夫?」
「あぁ、お前も飲めよ」

「え?日本酒でしょ?飲めるかなぁ・・・」
「少しだけでも飲んでみ?身体が温まるから」

意外だったけど慣れた手つきで西門さんがお燗をつけてくれる。
石川県の酒蔵のもので『飄々』とつけられてる名前のお酒。如何にも西門さんだとクスクス笑うと変な顔された。


「なんかワインとかシャンパンのイメージしかなかったからホント意外だよね。1人で晩酌とかすんの?」

「するように見えるか?爺さん達との会食は殆どが和食だから日本酒はよく飲むんだよ。だから仲間で飲むときには絶対に洋酒なわけ」

「あぁ、そっか!飲む相手が毎回お姉さんだと思ってたからさ」

「くくっ、ヤキモチ焼いてんの?可愛いな、牧野」
「・・・ば、馬鹿!そんなんじゃないよ!」


古いお屋敷だからダイニングテーブルなんてない。和室に座卓だから西門さんの対面に座ろうとしたら「遠いから嫌だ!」と言って隣に座ることになった。

確かに・・・流石西門の別荘だもの、座卓と言っても幅は2メートルぐらいだからお酌をしようにも手が届かなかった。


お猪口に熱い日本酒を注ぐといい香りがする。
お酒は全般苦手だけど、やっぱりここはひと口だけでも・・・そう思ってクイッと飲んでみた。

「あれ?意外と美味しい・・・!私、日本酒初めてなのに」
「そうか。でも急いで飲むなよ?ゆっくり飲まないと後から酔いが来るぞ」

「うん、少しずつね」



*************



牧野の手料理を摘まみながら酒を飲んで、腕が触れるぐらいの距離に座っているこいつにも酌をする。
そのお返しにって色気のない手つきで俺にも酒を注いでくれて、他愛もない会話で時間を潰した。

学生時代の馬鹿話や何処かに出掛けた話。スキーしにカナダに行った時のことや南の島でクルージングした話・・・古いものになると「赤札」の話まで。


「あの時はホントに嫌だったのよ、あんた達F4なんて。意地悪だったよねぇ・・・それなのに懐かしいって何だろうね」
「意地悪・・・?俺もか?俺、何かしたっけ?」

「してないとは言わせないわよ!止めてくれなかったじゃないの、道明寺の苛め!」
「・・・あぁ、そりゃ無理だわ。何回か止めろって言ったぞ?俺、基本女には優しいから」

「あぁ、優しかったよねぇ、私以外の人にはね」
「馬鹿言え!牧野が気付いてねぇだけだって」

「本気で止めてくれたの花沢類だけだった・・・どうしてるのかなぁ、花沢類」

「・・・どっかで生きてんじゃね?」


少し酒が入って酔っ払ってるから高校生の時のような口調で絡んでくる。
それはすげぇ可愛かったけど類の名前が出るのは気に入らねぇ・・・あいつは多分今でも牧野の事を想って誰とも恋なんてしてないだろうから。

話題を変えたくて「自分で作ったんだから食え!」って肉じゃがの肉を口ん中に押し込むと「ぐえっ!」ってカエルみたいな声出してそいつを食っていた。

「もうっ!なんてことすんのよ!・・・西門さん、お酒・・・もう一杯、ダメ?」
「は?何杯飲んだんだよ。俺、結構注いだ気がするけど?」

「だってお猪口って小さいよ?一口サイズだよ?」
「・・・これで最後にしとけ。お前、いくらこのあと何処にも行かねぇって言っても気分が悪くなるぞ?」

「うん!これで最後にする!」


牧野が作ったものは殆ど食い終わって座卓の上には酒の徳利と空の皿ばかり・・・そして案の定隣の牧野は俺の膝枕で爆睡中。
真っ赤な顔してスゥスゥ寝息立てて、ガキみたいに綺麗な肌が全体的にほんのりピンク色になって・・・。

その柔らかそうな唇・・・無防備過ぎてヤバい。
ブラウスの隙間から谷間っぽいものが見えて、さっきの山道でのことを思いだした。初めて聞いたこいつの矯声・・・。


「牧野・・・お前、そんなにしてるとまた襲うぞ?おい!牧野・・・起きろって、牧野ーっ!」
「・・・ん?ヤだぁ、西門さんのエッチィ・・・触っちゃダメ!・・・くぅ・・・」

「触っちゃダメって言うけどお前、自分が何処で寝てるのか知ってんのかよ!これ、結構拷問なんだけど・・・おい、こら!」
「ふぅ・・ん?なんかねぇ・・・温かいところ・・・」


温かい所ねぇ・・・そりゃ温かいだろうよ。俺が暑いんだから。


やれやれ・・・この後一緒に風呂に入って、って思ってたのに完全にダウンしやがった。
仕方ないから牧野を抱きかかえて奥の部屋に連れて行き、布団を敷いてそこに寝かせた。

そして俺は1人でこの別荘の露天風呂に行き、湯に浸かった。



やっぱりまだ傷が痛む。

手術の傷跡は15センチにも及ぶからそこが疼く・・・湯治なんてガラじゃねぇけど、少しでも痛みが早く治まるようにと湯に浸かってぼーっと夜空を見上げていた。


「ヤベ、酒飲んでるからあんまり長いこと入ってられねぇな。頭がクラクラするわ・・・」







76bbb4e821b1349126fa61804ef956c4_t.jpg
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/14 (Sun) 12:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは🎵

yuka様 こんにちは!

え?・・・期待しましたか?
毎日は嫌でしょう!(笑)

総ちゃんの傷はですね、右脇腹です。貫通とかしてませんから!怖い怖い!
それだと臓器が無事じゃないですよね?
森本君がビビリなので真っ直ぐ刺せなかったんですよ。

流石に私も総ちゃんを・・・いや、出来ないわっ!


あっ?それもダメ?

うん、お酒飲んでますもんねぇ。
でも、このあとがね・・・ヤバいのよ。むふふふ!

2018/10/14 (Sun) 14:11 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/14 (Sun) 14:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

さとぴょん様、本日の♥マークは総ちゃん3作品で20個でした(笑)
ちなみに・・・この奥日光は何回かありますので、冒頭のフレーズにご注意ください。
総ちゃん、怪我しててもなんのその!暴走しておりますので!

温泉ねぇ(笑)

だめよねぇ、お酒飲んで入っちゃ!でも・・・いいこともあるかもよ?(笑)


あっ!あのお酒の名前は『飄々』(ひょうひょう)と読みます。フリガナしなくてごめんね💦
ホントにあるお酒です。

2018/10/14 (Sun) 21:24 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply