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『・・・本気で怒るぞ、類。今度はなんだ!こんな時間から何をさせる気だ!』
「ごめん、あきら。今どこにいる?」

『六本木のバーで総二郎と飲んでる。まさか、お前、また・・・!』
「牧野がいなくなった。どうしてもすぐに探したい・・・悪いけど美作のシステム室に大至急入りたいんだ。頼んでもらえない?今あきらの家の前にいるから」

『牧野が?』
「事情はあとで話す。いつもごめん、花沢じゃ探せないんだ」


美作の屋敷の前であきらに電話を入れた。
あきらがすぐに動いてくれたんだろう、暫くして奥の方から数人の男が走り寄り、門の前に立っている俺に話しかけてきた。


「花沢様、ただいま門を開けますのでお車を中に」
「・・・すまない。あきらから連絡あった?」

「はい。あきら様から花沢様に協力するようにと。地下にご案内致しますのでとにかく中に」
「わかった、ありがと」

程なくして門が開き、俺は敷地内に入った。
正面玄関まで入ると後の移動は美作の人間に任せて急いで車を降りた。

重厚な扉は数人のボディガードによって囲まれていて俺が向かうとサッと開けられ屋敷の中に・・・まだ灯りのついてる部屋があったけど、出てきたボディガードに「旦那様方へのご挨拶は結構です」と言われ、直接地下に向かった。

真っ白な調度品に囲まれた美作の1階フロアを突き抜け、見た目だけは華美な装飾で美しい扉を押し開けると一気にその様相が違う通路に出る。
薄暗い、金属壁に囲まれた冷たい空間・・・靴音がやけに響く廊下を進み、階段を降りるとまるで核シェルターのような扉が見えてきた。



「ご存じでしょうが入室記録のため花沢様にも全ての認証クリアをお願いします」
「わかってる」

美作が非合法に独自で情報収集を行っている地下のメインコンピュータールーム。

ここには官公庁はじめ各国のあらゆる情報が集められ、細かい所では都内殆どのコンビニの防犯カメラに侵入できるほか、航空会社、携帯電話会社のホストコンピュータに侵入可能だ。
それ以外にも医療方面や鑑識、警察の内部情報など手に入らないものは殆どないと言われている。

それを悪用しているわけではなく、悪用しようとする者から自社を守るためにあきらの親父さんが作らせたシステム。

これまではあきらからの連絡待ちでも良かったけど、今回だけはすごく急いでいたから無理を言ってここに入ることにした。



「それではこちらで」

案内してくれた男が俺に指さしたのは3D顔認証システム。
それに続いて指紋認証、光彩認証、最後に静脈認証、これを全てクリアすると登録してある自分の名前が表示されゲートが開く。

「相変わらず厳重警戒だね」
「申し訳ございません。それだけの情報を保有しておりますので」

「ううん、いつも助かってる。ありがと」


また通路を通って奥の部屋に入ると、そこには24時間体制で数人の専門家が待機しているメインコンピュータールームがある。
部屋一面を覆い尽くすような計器類と大量な小型モニターがあらゆる場所を映し出してて、ここだけを見ると少しゾッとする。


「花沢様、何を調べますか?」

「今日、東京から出た全ての飛行機の搭乗者名簿をまず見たい。調べるのは彼女、牧野つくしが東京からどうやって出て行ったかだ。飛行機とは限らないから車、鉄道、船・・・あらゆる交通手段でこの子が何処かのルートを通過してないか調べたい」

「畏まりました。それでは人数か必要ですので招集します。花沢様の推測はどれですか?」
「・・・海外じゃない気がする。パスポートが絶対条件だと足がつく。そうじゃないのなら日本国内・・・それぐらいしか思いつかない」

「同感です。それでは飛行機の国際線は除外し、その他を当ります」

彼に牧野の写真を渡すと即座に大画面に彼女の笑顔が映し出された。
それを見るのも苦しい・・・今、こんな笑顔でいるわけがないんだから。


「花沢様、この方の携帯電話の番号を教えていただけますか?電波が拾えるかやってみます」

「ありがと、これだけど・・・。でも、かけてるけど繋がらないんだ。多分電源を切るように指示されてると思うんだけど」

「1度でも入れてくれれば携帯電話の基地局で微弱電波を拾うことは可能です。保証は出来ませんが」



数分もしないうちに大勢の人間がこの部屋に集まり、一斉に牧野の足取りを探り始めた。

その時に駆けつけたのはあきらと総二郎。
2人とも息を切らして飛び込んで来て、俺の傍にやってきた。


「類、どうした!何があったんだ?」
「牧野がいなくなったって・・・あれだけ浮かれて帰ってきたんじゃねぇか!何を言ったんだ!」

「俺じゃない、花沢が・・・父さんが動いたんだ。どう言ったのかは言わなかったけど牧野を寮から出るように仕向けたんだ。おそらく牧野が動かなかったら俺の方を外国へ単独留学でもさせるって言ったんじゃないかな・・・そう言えば牧野は自分から出て行くって言うだろうからね」

「そんな事で?牧野はそんな事でお前から離れたのか?」
「総二郎!・・・多分、牧野も花沢の大きさをイヤって程知ったからだろう。自分の気持ちを貫いたら苦しむのが類だって思ったんだ」


「うん・・・そうだと思う。それだけのものをフランスで味わったからね。1度は闘って勝った気分だったけど、次は考えられなかったのかもしれない。俺は何度でも闘う気でいるんだけど、牧野には辛すぎたんだと思う」



このあと作業をした担当者から報告があった。
飛行機の国内線、今日の全ての便に「牧野つくし」の名前はなかったと。
そして駅周辺の防犯カメラの解析には時間がかかるからすぐには無理。フェリーの乗車名簿にも該当はなかった。
高速道路も牧野の乗った車種がわからないから追跡不可能。


「花沢が迎えに来たんなら車種がわかるんじゃねぇの?」
「わからないような車を使ってるのと寮の防犯カメラを切られてるから調べられない」

「引っ越し業者は?何処かわからないのか?そこの業者から探るって事も出来るんじゃないのか?」
「名前すら書いてない車だったってさ。それは守衛が見てるけど何も聞かされてないから不審に思わなかったし車番も控えてない。牧野が最後の挨拶をしてから気が付いたみたいだから」


国内線の飛行機も本来は他人名義で乗ることは出来ないとされてるけどチェック機能はない。
だから他人の名前で乗ればわからない・・・牧野の行き先はこの膨大な監視カメラの映像を検証するぐらいしか今は他に手段はない。


あとは母さんが調べてくれるかどうか。
父さんが話してくれるかどうか・・・これには期待なんてしなかった。

いずれにせよ父さんが遠回しな手を使って牧野の移動手段を手配したのは間違いない。
だから探せば何処かに手掛かりがあるはず・・・ただ、その方法も行き先も不明で絞れないからどうしても時間がかかってしまう。


「どうすんだ、類」
「どうするって・・・探すよ。絶対に探してみせる。それだけは決まってるよ」

「・・・そうだな。花沢が物騒なことはしないだろうから牧野が安全なところに居るってのは間違いないと思う。出来るだけ俺達も協力するからな」

「ん、ありがと」


寮に戻る気にもならなくて暫くあきらの屋敷に留まることにした。
2人は部屋に戻ったけど、俺はこの地下で一晩中、牧野の行き先を調べる連中を見ていた。


今この時間・・・あんた、何処でどうやって寝てるの?


この言葉だけが何度も頭の中で繰り返される・・・俺の名前を何処かで呼んでるような気がしてならなかった。




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2018/10/17 (Wed) 06:19 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/17 (Wed) 08:53 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/17 (Wed) 09:15 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/17 (Wed) 15:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

はい、ありがとうございます♥
類君に頑張ってもらいます!!

もう少し待っててやって下さいね~!

2018/10/17 (Wed) 16:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは。

あっはは!懐かしい曲ですね。私もよく聞いてました。
「愛は勝つ」・・・そう言えば歌詞はぴったりですね!!

見つけるのは苦労しますが味方も多いので♥

独りぼっちのつくしちゃんを早く助けなきゃ!ですよね。


ふふふ、私は子供が受験の時は嵐の曲をよく聴いてました。今でもそれを聴くと子供の必死な姿を思い出します。

2018/10/17 (Wed) 16:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんにちは!

類パパ(笑)非難囂々ですが・・・まぁ、仕方ないですよね(私のせいだけど)

私の友人も今の時代に「絶対男で2人以上!」とお舅さんに言われ続けて病気になって、最終的に男の子1人しか生まれなくて離婚した人がいます。
本当に普通の家なんですよ?花沢家のような家じゃないです。
で、その男の子にも生まれつきの持病があって(酷いもんじゃないんですが)2人で追い出されましたよ。

その後、別の人と結婚して男の子が生まれたそうですが・・・それってどうなの?っていつも思います。

でも、友人は今では子供と2人で元気に楽しく暮らしてます。
やっぱり笑顔になれる場所は大事だなぁ。持病も随分よくなって中学生ぐらいになるのかな?


総ちゃん(笑)

あははははははは!許してください💦総ちゃんですから!!


秋風・・・♥

とにかくほんわかとしたお話を目指しております。
お楽しみに~!





2018/10/17 (Wed) 17:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

あっはは!思い出しました?
でもそれは今でも思いつかないから書かないと思うんですけどね(笑)

私、この部屋が好きなんですよ(笑)

今回も書けて嬉しいです!!


スマホの電源・・・イベント中に無性に切りたくなるのは何故でしょう(笑)
ラインの未読が怖いから。

2018/10/17 (Wed) 22:10 | EDIT | REPLY |   

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