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plumeria

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朝、目が覚めたけど起きる気にもならなかった。
頭が重い・・・何だか身体も少し熱い気がする。もしかして南の島に来たのに風邪引いたのかな?

こんなにも冷めた空気の中で起きる朝なんて今まであったかしら・・・なんて思いながらクセで手が隣を探す。
でも、当然そこには誰もいなくて冷たい布団があるだけだった。


私の大好きな人はここにはいないんだって・・・起きた瞬間に思い知る絶望感。
類もどんな気持ちで昨日の夜を過ごしたんだろう、それを思うと自分を許せなくてまた頭から布団を被った。


もしかしたら一睡もしないで私の事を探したんじゃないんだろうか。
動いたのがお父様だって気が付いて大喧嘩になってないだろうか。

せっかく仲良くなったお母様とまた口をきかなくなったとしたら私のせいだ。
大学・・・ちゃんと行くだろうか。独りにはなってないかしら・・・。


そんな事を考えながらもう1度目を閉じてウトウトした。
彼の夢でも見れたらいいのに・・・いや、見ない方がいいのかな。夢だってわかったら寂しくなるかもしれないしね・・・。



『牧野、何ぶつぶつ言ってんの?早く起きないと大学に遅れるよ?あんた、今日から試験だって言ってなかった?』

「え?そうだった?やだ、類!早く起こしてくれてもいいのに~!意地悪っ!」

『だってそっちが俺から離れたんでしょ?側にいないと起こせないんだから戻っておいで?』

「あ・・・ううん、ごめん。戻れないんだった。私ね、もう類の所には・・・」



ハッと目が覚めてガバッ!と身体を起こした!

なに・・・?今のは・・・今のは夢?私、類の夢を見たの?

私が戻れないって言ったら、類が凄く悲しそうに笑いながら背中を向けて何処かに行くの・・・そして2度と振り向いてくれないの。
そんな夢を見て涙と汗が同時に私の頬を流れた。


「はぁ・・・夢かぁ・・・類に会えたと思ったのに、また離れて行っちゃった・・・」


あまりにも頭が痛いから熱を計ったら38度。そりゃキツいはずだわ、ってお水だけ飲んだらすぐにまたベッドに倒れ込んだ。


フランスでも熱を出したなぁ。

あの時はお母様がお医者さんを呼んでくれて類が一晩中傍にいてくれて、身体はボロボロだったけど嬉しかったな・・・。
それなのに今は1人・・・誰も私の手を握ってはくれないんだよね。

この先も・・・病気になっても1人で治るのを待つしかないんだね。


そう思ったらまた涙が流れ始めた。
もう涙なんて出ないって思うぐらい泣いたのに・・・こんなに熱が高いときに泣いたら余計キツいのに。
頭が痛いことよりも、熱が高いことよりも、類の悲しそうな顔を思い浮かべたら胸が痛くて死にそうだった。


「類・・・ごめんね、ごめんね・・・逃げてった私のことなんて早く忘れていいからね。ごめんね・・・」


言葉ではそんな事を言っても私の両手は類を求めて目の前に伸びてく・・・この手を掴んで欲しいと思いながらずっと手を宙に伸ばして目を閉じる。

次に目を開けたとき、彼がそこに居ないかなぁ・・・なんて勝手なことを思いながらいつまでも手を下ろすことが出来なかった。



**************



「花沢様、今のところ東京駅も付近の駅でも牧野様のお姿は確認出来ません。相当な台数ですからまだまだ時間はかかります。少しお休みになりませんか?」

美作のシステム担当者からそう言われたのは次の日の朝、一睡も出来なくて俺も監視カメラの映像を確認していたけど流石に限界だった。
朦朧として画面が見えない・・・仕方なく地下からあがると、あきらと総二郎がこっちに様子を見に来るところだった。


俺の顔を見て呆然として、今度は2人が顔を見合わせる。
親友を見たら少し緊張の糸が緩んで、すぐ横の壁に凭れ掛かって・・・そのまま踞るように座った。

「大丈夫か?類・・・ひでぇ顔だな」
「一晩中お前も探してたのか?」

「・・・うん、でもわかんなかった」

取り敢えず休めって言われてあきら専用のゲストルームに連れて行かれて、そこで珈琲と軽めの朝食を用意された。
でも何も喉を通らないから珈琲だけ・・・牧野のいない朝なんて今となっては考えられなかった。

俺と同じ思いで何処かで1人、朝を迎えたんだろうか・・・そう思ったら珈琲でさえテーブルに戻して頭を抱え込んだ。


「大学は休むよな?教授には適当に言っといてやるから心配すんな」
「・・・頼む、あきら」

「大学のパソコンでも調べることは出来るだろ。俺達も出来るだけ探るから」
「総二郎・・・ごめん」


暫く時の部屋を自由に使えと言われて、あきらに肩を支えられながらベッドに向かった。
そこに寝かされると疲れから身体が重くなって自然と目を閉じた。

「地下には自由に出入りしていいけどあいつらに任せた方が確実だと思うぞ。向こうはプロだからな。気になるようなら確認だけしに行って今日は休んでおけ。そんな頭じゃ考えも纏まらないだろう?」

あきらの言葉には返事もせず片手だけあげて合図だけ送る・・・そんな俺を残して2人は大学に向かった。



それから僅か1時間後、2人は美作に戻ってきて俺の寝ていた部屋のドアを勢いよく開けてベッドの方に走ってきた。
それに驚いて身体を起こしたら、あきらの手には1通の手紙が握られていた。


「どうしたの?それ・・・なに?」

「類、牧野が大学に退学届を送ってきた!学長が何か知ってないかと大学に行ってすぐに学長室に向かったらちょうどこれが届いたんだ。だから奪い取ってきた」

「え・・・牧野の退学届?」

「そう!問題はそいつの消印だ」


急いでその封筒を見たら消印が昨日の日付で蒲田郵便局。
蒲田?なんでそんな所に・・・そして宛名をみたら確かに牧野の字で丁寧に学長の名前が書かれていた。

「牧野がそれを出したのは羽田空港じゃないかと思う。蒲田郵便局は羽田空港の集荷担当局だ。そこで出された郵便物は特別に頼まない限り蒲田郵便局の消印が押されるんだ」

「羽田?じゃあやっぱり飛行機で・・・しかも国内線だよね?」

「パスポートを使ってたらもう情報が上がってるさ。それがないなら日本国内だ」
「消印の時間から考えて羽田を飛び立ったのは午前中だ。今、地下で調べてるのは東京駅とかの防犯カメラだろ?これを羽田空港の国内線ターミナルの午前中に絞って調べさせようぜ」


総二郎の言葉が終わると同時に立ち上がって地下に向かった。

そして今の話をシステム担当者に伝えるとそれまでに行っていた調査対象を変更し、壁一面に並んだモニターには羽田空港の防犯カメラの映像が映し出された。
それだけでも数十台・・・そして映し出されている人数の多さを見ても頭が痛くなる作業だ。


まだ全然牧野に辿り着いた気にはならないけど、それでも諦められない。
祈るような気持ちでこの地下の部屋の中央に映る彼女の笑顔を見ていた。




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2018/10/18 (Thu) 08:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます🎵

水香様、おはようございます。

お久しぶりです。寒くなりましたね~💦
でも、このぐらいが好きです♥

ただし、温かくしてすぐにコロンと寝てしまうのでお話は捗りませんけど!あはは!


ふふふ、こういうのを調べるのは好きなんです。
だから美作邸は必要なんです!
まぁ、結構無茶な設定もありますけどね!

見つけるときのオチがこれかいっ!ってなるとは思うけどお楽しみに~!

2018/10/18 (Thu) 09:41 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/18 (Thu) 10:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

あっはは!総ちゃんが地味に(笑)
はい、みんなで頑張っております!

羽田空港の消印が希望だったら空港内の郵便局に出せばいいんですって。
飛行機マークの可愛いのが押されるみたいです。

空港のポストに入れたら蒲田郵便局の消印になるそうです。
変な知識が増えていくよね(笑)

出て行ったのが羽田・・・まだここまでですが、これからまた絞っていきます!

頑張るぞー!!

2018/10/18 (Thu) 15:22 | EDIT | REPLY |   

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