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plumeria

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解熱剤を飲んで無理矢理熱を下げてから、夕方だったけど渡された資料にあった大学に行ってみた。


アパートから歩いて行ける距離の私立のN大学。

広い敷地は芝生に覆われてて緑が多い。
校舎は英徳大学みたいに豪華でも大きくもなくて可愛らしかったけど、学生達の顔は日焼けしててみんな明るくて楽しそう・・・。
如何にも南国って感じの木が沢山植えてあって遠くには海も見えた。

運動してる生徒も多いし外国人も多いみたい・・・セレブってイメージの人は何処にもいなくてみんな普通に見える。
仲良さそうなカップルもいたけどTシャツにジーンズって姿でブランド品の匂いは全然しなかった。

私は今まで特殊な場所に居たんだなぁって思いながらキャンパス内を歩いていた。


学生課に行って書類を渡すと少し待つように言われて、応接室みたいな個室じゃなくてコミュニケーションホールと書かれた広い談話スペースの椅子に座って待っていた。

そして来てくれたのはニコニコと愛想のいい女性だった。
安里(あさと)さんというその人は私の事を聞いていたみたいで早速その場で今後の手続きについて教えてくれた。


「牧野つくしさんですね?英徳大学のスポンサーでいらっしゃる花沢様からの連絡は受けてますよ。沖縄でお勉強がしたいんですって?嬉しいわ、それでこの大学を選んでいただけたなんて」

「は?はぁ、まぁそんな感じですかね・・・」

「楽しい3年半にしましょうね。それでは説明しましょうか」


私が好きでここに来たと思ってるんだ?

そんなんじゃなくて東京から追い出されて南の島に来ただけですけど・・・なんて、今更そんな言葉も出さなかったけど、この愛想の良さは花沢家が絡んでいるからか、と思った瞬間に冷めてしまった。
もしかしたら多額の寄付でもしたのかしら・・・そんな勘ぐりをしてしまう自分が情けなかった。

「牧野さんの学費は今後3年半分のものを既に納入していただいてますからご心配なく。学部は外国語だと聞いていますけど良かったかしら?」

「え?3年半分・・・卒業までのものをもう納めてるんですか?」

「正式にはお預かりしています。納入はその都度ですからお預かりしているものの中から私たちが処理しますのでご心配なく、と言う意味ですよ。牧野さんは卒業までの間、学費のご心配をせずにお勉強に力を入れて下さいとのことでしたよ」


帰ってくるな・・・無言でそう言われている気がした。
確かに大学の費用は心配しないようにと言われたけど、もうそこまで手を打つとは。

何もかも先に先に決められて、私は自分の意思ではなく、お父様の敷いたレールの上しか歩けない・・・そういう事なのね。
だからこのあとも嬉しそうに説明してくれる安里さんの言葉はぼんやりとしか耳に入ってこなかった。

「校舎は5棟ほどあるんですけど1番南側の校舎の2階が外国語学科です。体育館があの向こうに見えているところで、サークル活動をしていない学生さんもたまにスポーツ大会なんてするんですよ。その時は参加してくださいね。
学食は東側校舎の1階です。なかなか評判ですよ」

「そうなんですね・・・楽しみです」

「大丈夫でしょうけど大学内での喫煙と飲酒は禁止です。あぁ、未成年かしら?誰かに誘われても乗っちゃダメですよ?花沢様に叱られますからね」

「・・・私の監視、いえ・・・何か花沢家に報告をするんですか?」


花沢に叱られる?その言葉に違和感を感じて安里さんに聞き返したら、一瞬ハッとしたみたいだけど「別に報告なんてしませんよ」って張り付いたような笑顔を向けられた。

報告・・・するんだろうな。


「えっと、最後に・・・英徳では英語を中心でしたか?ここでは外国語は英語と中国語ですけど」

「え?あぁ・・・私は英語とフランス語、イタリア語をやっていました。予科としてドイツ語ですけど・・・そうですね、もう英語1本に絞ろうと思っています」

「それでは3日後に形式的ですが編入試験を受けて下さい。合否は一応あるんですけど、牧野さんの場合は英徳大学の特待生で頑張っておられたのですから問題はありません。必要なものはこの封筒に入っていますから記入して持ってきて下さい。
その時に講義日程などが書かれたものをお渡ししますからね」

「・・・はい。それでは3日後に」
「はい!お待ちしていますね!」


安里さんにお礼を言って大学を出た。

これでいいんだか悪いんだか・・・3年半が過ぎたとき、私はどこに行けばいいんだろう・・・。



*************



「あきら様、花沢様、この方ではないでしょうか?服装がわかりかねますがお顔が似ていませんか?」

モニターを確認していたうちの1人がそう叫んだ時、部屋で1番大きな画面にある監視カメラの映像が映し出された。

「右側から1人の女性が現われます。そのまま1度立ち止まって何かを確認したら奥の方に消えて行きます。それでは再生します」


大画面のモニターが再生された・・・同時に総二郎、あきらもその画面を食い入るように見つめた。

言葉通り右から顔を下に向けて歩いてきた黒髪の女性・・・見覚えのある服装で牧野が使ってる大学用の鞄が見えた!
間違いなく牧野だ、そう思った時に顔を上げてキョロキョロしてるところが映し出された。

「牧野だな・・・やっぱり移動は飛行機か。他に何か行き先が確認出来る物は持ってないか?拡大して調べてくれ!」

「何を探してるんだ?手に持ってるの・・・あぁ、退学届か!ポストを探してるのか?」


すごく暗い顔して・・・何を考えてそんな所を歩いてるのさ。ホントに馬鹿なんだから!

このあと牧野の映ってる映像の背景から第1ターミナルの南ウイングに向かって歩いて行ったとわかった。
そこを利用している主な航空会社はJALで行き先は中国、四国、九州、沖縄方面・・・牧野は西日本に向かったようだと美作の情報担当者に言われた。

だけどこのほかの監視カメラでこの時間帯に牧野が鮮明に映っているのはこれだけで、後は人混みに紛れて誰かの陰に隠れてるのか、確実に牧野だとわかる映像は他には見当たらなかった。

行き先が西の方だと言うことだけで確かなことはこれ以上出てこなかった。


「ホントにありがと・・・一晩中みんなを使ってごめん。ほんの少しはわかったから・・・」

「でも、これじゃあ全然行き先の特定が出来ねぇじゃん?どうすんだよ」
「総二郎、そんな風に焦らすな。類だって必死なんだから・・・そうだな、あと何を調べたら牧野の所在を特定できるか・・・だな」

「金の流れは?人間1人どっかに隠すんならそれなりの金が要るんじゃね?」
「普通にアパートやマンションを借りるだけならそんなに高額じゃないだろ?買うならまだしも賃貸じゃわからないと思う。それに花沢の名前を使っては借りないだろうしな」

「親に捜索願い出させるか?」
「花沢が出すなら本気で探すかもしれないが、一般人の捜索願いは受理はするけど本気で探さないのが現状だな」

「大学か専門学校に行くのかな・・・編入生の名簿とかねぇの?」
「大学、短大、専門学校か?数が多過ぎて時間がかかるだけだ。しかも学生してるかもわからないんだろ?働いてたら尚更調べるのは無理だ。大手企業ならわかるがそんな所には入れないだろう」

「あれからスマホの電波、拾えてねぇのかよ」
「あぁ、何処からも情報はない。いまだに電源を落としてるんだと思う」

「・・・他はなんだ?」


総二郎とあきらは交互にそんな事を言って牧野の心配をしていた。


あとは何を調べればいい?
ただ、この移動もカモフラージュって事もあり得る・・・1度は西日本に向かわせてそこから北に移動させる。父さんならそこまでやってもおかしくはない。


何もわからないまま、何も掴めないまま何日かが悶々と過ぎていった。
あきらに甘えて美作のゲストルームで過ごし、やりきれない思いを抱えて窓の外を眺める事しか出来なかった。




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2018/10/19 (Fri) 09:19 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。


そうそう、監視されてるのよ・・・怖いわぁ!

美作も苦労しておりますね・・・今度はやっぱり類ママか?(笑)

ふふふ、再会まであと○日。
全員集合で頑張っていただきたいと思います!


毎朝拝んでおりますよ♥
(自分が煎れたくないために)

2018/10/19 (Fri) 12:02 | EDIT | REPLY |   

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