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遠い昔、俺がまだ小さい頃、花沢家の庭に小さな「秋の公園」が作られた。

いつも屋敷の中で1人、窓から外を眺める日が多かったからかもしれない。加代が少しでも自然の中で遊べるようにと作ってくれた俺だけの「公園」。
木製のベンチがあって秋の草花が咲いて、銀杏や紅葉は勿論周りには実の成る木が植えられて。

屋根付きの小さなブランコが1つにウッドハウス。イチイガシの木の下には滑り台付きの砦が作られた。
その横には大きな丸太のテーブル・・・同じく丸太の椅子と一緒にカナダから取り寄せたりして本格的に作ってくれた。


でも遊ぶのはいつも1人だから、たまにそこに行ってどんぐりを拾うぐらい・・・拾ったどんぐりの中から綺麗な形のものを部屋に持って帰っていつも3個、並べてた。

お父様とお母様と俺・・・大きさも大中小で3個。
毎年それを飾っては2人が帰ってきたら引き出しの中の小さな箱にしまうんだ。


寂しかったけど寂しいと言えない。
1人は嫌だと思いながら平気だと強がる・・・可愛くなかった自分の子供時代を秋になったら思い出す。


そんな俺だけの「秋の公園」も今では大活躍だったりする。



**



「パパ、みてみて!ここまで出来るようになったぁ!」
玲音レオン、落ちないでよ?ママが飛び出してくるよ」

3歳になったばかりの双子の兄、玲音がブランコを立ち漕ぎして得意気に俺に見せる。
暴れん坊1号はいつでも何処かに絆創膏を貼って俺達をヒヤヒヤさせてばかり。男の子だからってつくしは笑うけど、すごく心配で目が離せない。

「いつか大怪我するんじゃないの?」って俺が言うと「それも男の勲章でしょう!治る怪我なら問題ナシよ!」・・・そういうくせに毎回泣きながら手当てするのはつくしなんだけどね。


「パパ、きょうもおちゅかれさま。あい!ごはんでしゅよ」
「くすっ・・・玲那レナ、これはなに?美味しいのかな?」

「ママからおちえてもらったからおいちいでしゅよ」

双子の妹、玲那はまだ少し言葉が上手く出ない甘えっ子。
この暴れん坊2号は可愛らしさを武器にして屋敷中の人間を虜にしてる。玲那がお願い事をすると屋敷の誰かが必ずそれをやってしまうから我儘に育たないかとこっちも心配だ。

「そんなことにはならないわ。だってこの私がいるんだもの!」・・・そんな風に威張ってつくしは言う。
でも、玲那がちょっと我儘なお願いをして泣いたら最初だけ知らんぷり。2回目はチラッと横目で見て3回目は向き合って、4回目にはオロオロして5回目には一緒に泣いてる。

それを見て玲音と俺は「ママも玲那には勝てないね」を繰り返すんだ。


そんな玲那が俺にくれたのは丸太のテーブルの上に置かれたシュガーメープルの黄色い葉。そこに乗せたコムラサキの実と、その横にはサンシュユの赤い実があって小さな手でそれをひとつひとつ盛り付けていく。
有り難いことに飲み物だけは本物のオレンジジュース。

おままごと・・・そんなことしたことがないからホントに食べなきゃいけないんだと思って、去年は口に入れてしまったんだ。
そして見事にお腹を壊して俺がつくしに怒られたっけ。


『馬鹿じゃないの?大人がそんなことでどうするのよ!』


子供と遊んで馬鹿って言われたのにはショックだったよね。痛いお腹を抱えてベッドに寝てるのに腕組みしたつくしに長時間説教されて。
だから今年は食べるふり・・・それでも玲那は嬉しそうに「おいちいでしゅか?」って聞いてくる。


「美味しかったよ、ありがとう、玲那」
「ふふふ!よかった!パパ、まいにちはたらいてくれるから大切にしましゅ!」

「・・・・・・ぷっ!」

何だかすごく照れるんだけど・・・大切にしますって子供から言われるとは思わなかった。


思わず嬉しくなって髪を撫でるとつくしみたいな目でニッコリ笑う。
そうなるともう我慢出来ないから思いっきり抱き締めたら、突然後ろから暴れん坊1号が飛びついて来る!

「なにすんの!玲音、苦しいでしょ!」
「だって、パパが玲那だけ抱っこするんだもん!ぼくも、ぼくも抱っこされたい~!」

「玲音はむこうでブランコしてたらいいのに~!パパの抱っこは玲那のものでしゅ~!」
「玲那、それもちょっと違うよ?でも前と後ろからは痛いって・・・こら、2人とも引っ張らないで!」


背中に玲音、膝の上に玲那。
右手で玲音を支えて左手で玲那を抱えながら落ち葉が舞う庭の隅で大笑いをする。


「パパ、サッカーしようよ、サッカー」
「パパ、おままごとがおわったら、どんぐりひろうのてちゅだって!」

「ダメだよ、パパはぼくとサッカーするんだよ」
「ちがいまちゅよーだ!パパは玲那とどんぐりひろうんだもん!」


「喧嘩するならどっちもしないよ?さぁ、どうする?」

「サッカーした後でどんぐりひろいする・・・」
「玲那もボールけってみるでしゅ・・・」

「よし!じゃあサッカーからね」


芝生の上でボールを蹴って3人で走り回った。
流石、男の子だから玲音はよく走る。つくしに似て足が速いのかもしれないなって思いながら少し強めに蹴っても必死に追いついて蹴り返してくる。

玲那はヨタヨタしてるからすぐに転けて泣きそうな顔をする。
でも、玲那もつくしに似て根性があるから涙を堪えて必死に玲音の後を追いかける。わざと軽く蹴ったら嬉しそうに両手で掴まえて大笑い。
「サッカーは手を使わないんだよ?玲那」って玲音が呆れて言うけどお構いなしにボールを奪って走り去る。


「あはは!玲那、そこから蹴ってごらん?」
「ける?えーと・・・こうでしゅか?」

「地面に置いてね、足を当ててごらん?パパの方に向かって。出来るかな?」
「ん、やってみる!」


すっごく真剣な顔で何故か手までグーで握って「いきましゅ!」って言ったけど、蹴ったボールは2メートルしか動かなくてみんなでずっ転けた。



約束通り、サッカーが終わったらイチイガシの木の下でどんぐり拾い。

コロコロと可愛らしい実を見つけては2人が丸太のテーブルに置いていく。
俺はそれを1つずつ立たせて並べていく・・・昔、3個だけ並べてたのを思い出しながら。


ほらね、もう20個を超えたよ。
今はこんなに沢山並べられるよ。


「パ~パ、どうしたんでしゅか?泣いてるの?」
「どうかしたの、パパ。誰も怒ってないよ?」

「・・・え?」


幸せすぎると涙が出るんだって・・・そう言えばつくしが言ってたっけ?




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イチイガシの実、どんぐりですね♥

類君の秋のSSです。こちらも偶数日に公開です!
今度のチビちゃんは夏のイベント、お題「七夕」に登場した双子ちゃんです。



<お知らせ>

明日の11時にはちょっと変わったお話があります♥
何処の誰が書いたものなのか・・・是非是非遊びに来て下さいね~!
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2018/10/16 (Tue) 12:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

ままごとのご飯・・・ヨウシュヤマゴボウ(笑)めっちゃ怖い!
まぁ、サンシュユの実も毒は無いだろうから類君がデリケートだったんでしょうね!

うちの子はままごとのご飯って出されたのを見たらダンゴムシでしたもん。
あれは驚いたわーっ!!(笑)

黒光りしてるご飯・・・「美味しいですよ~」ってくれたけど、食べる真似すら出来なかった(笑)

でね、サッカーボールを蹴ることが出来ないのもうちのこの実話!
要領が悪いのか全然ボール競技が苦手でね(笑)男の子だったらモテなかっただろうなぁ・・・。


明日のお話・・・それじゃないし(笑)

2018/10/16 (Tue) 14:33 | EDIT | REPLY |   

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