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俺のコートの中で牧野が大人しくなって、その細い身体を抱き締めていた。
ちょうど牧野の頭の上に俺の顎が乗っかって・・・そうしてたら今度は俺に身体を預けて遊び始めた。

クスクス笑いながらコートのなかでモゾモゾする。
「くすぐったいじゃん」って言えば「温かいんだもん」って笑う。
「俺のコート貸してあげようか?」って言えば「このままがいい」って真っ赤になる。


秋の風がさーっと吹いてコートの中の牧野がぶるっと震えた。
だからもう少しだけ引き寄せてすっぽり包んだら、下襟から顔だけ出してまるでリスみたい。
くすっ、と笑えば同じようにクスクス笑いながらほっぺたを赤くしたよね。


抱き締めたまま・・・今ここで自分の気持ちを伝えようかって考えていたら、急に牧野がひょいっと顔を上げて「しりとりしよう!」って言い出した。

しりとり?今ここでしりとり?
どうしたらそんな発想になるんだろうね。でも、それは牧野から始まった。


「えっとね、えっと・・・銀杏!」
「う・・・ウミホタル」
「る?類って変わったこと言うねぇ!」
「ね・・・鼠小僧」
「う?・・・うろこ!」
「こ・・・コスモス」

何故かすごく真面目にしりとりなんてして、俺のコートの中で眉間に皺なんか寄せて・・・でも、『秋桜』を出したらハッとした顔でソワソワしていた動きを止めた。

「す?す・・・す、好き!」


・・・え、今なんて言ったの?まさか、今の・・・しりとりじゃなくて?
見下ろしたら耳まで真っ赤にさせて上目遣いで俺を見てる。牧野、それって反則だよ?もしかして「す」が来るの、待ってたの?

「き・・・キス、してあげる・・・」


その言葉と同時に牧野の頬を支えてそっと唇を重ねた。
俺から牧野への初めてのキス・・・2人とも少しだけ震えて少しだけ照れて・・・でも、すごく熱くて甘かった。

それを離したら「類、大好き・・・」って。まだしりとりが続いてるのかと思ってクスクス笑った。
そんなんだったら一生キスが続いちゃうよ?


今まで後ろから抱き締めていたけど、コートの中で身体の向きを変えて正面から・・・牧野の顔が俺の胸にあってコートの中だけど背中に手が回って、俺まで抱き締めてもらった。
その時、牧野の目から涙が溢れたのを見たから聞いたんだ。


「なんで泣いてるの?こんな時って泣くものなの?」

「・・・幸せすぎたら涙が出ちゃうんだよ。類、そんなことも知らないの?」


ごめんね・・・この時、俺は嬉しすぎて・・・ただ嬉しすぎて泣けなかったんだよね。



*************



「・・・ダメでしゅ。起きないでしゅね・・・」
「こちょこちょしてみようか?玲那、そっちでしてみる?ぼく、こっちでしてみる」

「パパにこしょこしょ?・・・えっと、怒らない?」
「怒んないよ。だってパパだもん」


耳元でそんな会話が聞こえて薄ら目を開けた。
そしたら秋の青空をバックに天使が2人、真上から俺の事を見下ろしている・・・そしてちょっとだけニヤッと笑った。

あれ・・・もしかして夢見てた?
秋桜畑の夢・・・つくしがまだ幼い格好してしりとりしたあの時の・・・ぼんやり思い出していたら急に天使達が俺の身体の上に小さな手を伸ばして擽り始めた!

「うわっ!・・・待って、待って!!あっはは、ちょっと・・・あっはは!やめてよ、2人とも!!」
「きゃはは!パパが寝てるからだよ!こちょこちょしちゃえーっ!」
「あはは!パパ、お寝坊でしゅからもっとこしょこしょするぅ!」

「あははは!くすぐったい、くすぐったいって!玲那、玲音・・・起きる、起きるから!あはは!」
「パパの負けぇ!」
「負けたでしゅ~!!あはははは!」


「こらっ!2人とも!」
「「きゃああぁーっ!あははは!」」


今度は俺が両手で2人を抱きかかえて落ち葉の中で転げ回る。
3人とも髪や服に落ち葉をくっつけて大笑いして、その声を聞いたのか屋敷の方から愛しい人がこっちにやって来る。


「あっ!ママだぁ!」
「ママァ!ママもここで遊ぶでしゅかぁ?」

天使達は途端に俺から離れてつくしの方に行く・・・両手を広げて転けそうになりながらつくしの元に走ってく。
それを3人分のコートを持ったつくしが抱き留めて、小さな2人にコートを着せるんだ。

「風邪引くからね」、そんな優しい言葉をかけながら。


そして今度は真っ直ぐ俺の方に歩いてくる。
片手には俺のコートを持ってるからつくしの1つしか空いてない手を2人は奪い合ってる・・・まるで子犬みたいにじゃれ付くから彼女が転けないかとヒヤヒヤするよ。

「ほらほら、少し離れて?危ないから」
「やだぁ!玲那はママとお手々つなぐの~!」

「じゃあ玲音が玲那の手を繋いで?お兄ちゃんでしょ?」

「仕方ないなぁ・・・玲那、手を出しなよ」
「玲音じゃイヤだぁ!」

そんな我儘を言ってるけど、つくしが怒ったら俺よりも言うことを聞く。
2人はつくしの手を諦めてそこに転がっていたサッカーボールで遊びだした。



「類、風邪を引いちゃうからコートを着て?あらあら、なんで類まで落ち葉だらけなの?ふふっ、子供なんだから!」
「え、ホント?あの子達が擽ってきたからだよ」

「取ってあげる・・・後ろ向いて?」
「ん、ありがと」

沢山くっつけて!って笑いながら背中の落ち葉を取ってくれて、最後に「しゃがんで?」って言うからしゃがんだら、髪に付いてた落ち葉を取ってくれた。
それを息でフッと飛ばして・・・俺にコートを掛けてくれた。



「あれ?類、目が赤いけどどうしたの?泣いちゃったの?」

「ん?・・・うん、すごく幸せだったから。つくし・・・コートの中に入れてあげようか?」

「あっはは!無理無理。もう入らないよ?」


大きなお腹を抱えたつくしはコートからはみ出しちゃうけど、それでも後ろから抱き締めた。
秋の風がつくしを冷やしちゃいけないから。

そうしたらあの時みたいに俺に身体を預けてくる・・・そして届かないけどコートの前を握り締めて俺を見上げるんだ。


ねぇ、つくし・・・しりとりしようか?今だったらどんな言葉で始まるだろうね。
きっと終わりは変わんないよね。


『す・・・す、好き!』
『き・・・キス、してあげる』
『類、大好き・・・』






おわり



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↑コムラサキと↓サンシュユの実です♥

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Comments 10

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2018/10/20 (Sat) 13:22 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/20 (Sat) 14:14 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

ほのぼのしました?それはよかったです♥
類君のほのぼのは意外と難しいんです、私・・・💦

この人はどうしても切ない系のイメージが強いのでこんな風に仕上げるのはひと苦労です。

半年に1回ぐらいだったら書ける・・・(笑)
そんな感じです。また思いついたら書きますね♥

応援コメント、ありがとうございました。

2018/10/20 (Sat) 15:37 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは♥

あっはは!このお話、1番初めにしりとりを思いついたので書いたんですよ。

お気に入りは「鼠小僧」ですが、最初はもっと沢山しりとりしてたんです。
でも「長すぎるだろ!!」って自分に突っ込み入れて気に入ったところだけを残しました(笑)

糖度高めのお話・・・ほんわかしていただけたら嬉しいです♥

2018/10/20 (Sat) 15:42 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/20 (Sat) 16:42 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

この類君のお話からの総ちゃんのエロ。
本日も読者様には申し訳ない展開でございました(笑)

ふふふ、ほんわか出来ました?
たまにはね・・・たまにはほんわかも書かないとね!


変態オカルト童話作家って言われちゃいけないからさ♥

2018/10/20 (Sat) 17:18 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/20 (Sat) 18:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

エロ姉妹にはまだ入っていません・・・💦
いたって普通ですから。

経験不足ですしね・・・残念っ!!

2018/10/20 (Sat) 18:42 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/21 (Sun) 11:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 1925

ジュン******様 こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます♥

ふふふ、可愛かったですか?実は子供を書くのは苦手なので・・・(笑)
自分の子供が高校生で家からも出てるので、小さい頃なんて忘れたんですよね~💦

覚えてるのは憎たらしいところばっかりで、このように可愛い場面はなかったし・・・。

草原を思いっきり転がって草まみれになった時も、叱り方が半端なくて泣かしましたからね・・・ははは。
とても類君のように優しくなかったです・・・反省。


はい!連載も両方ともラストスパートです!
最後まで頑張りまーす!

2018/10/21 (Sun) 15:45 | EDIT | REPLY |   

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