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東京に戻ってから、傷口も痛まなくなったから仕事にも復帰。
これまで休んでいたからすげぇ量の仕事が回ってきた。

残り少ない紅葉の茶会・・・後は全部俺が亭主だと言い残し、今度は親父が3日間休暇を取ると言って姿を眩ましやがった。


つくしは大学の卒業には問題ないって事で西門の勉強の方に力を入れることにした。
アルバイトはつくしの希望で復活させたが、それ以外の時間は出来るだけ西門で稽古と、行儀見習いという花嫁修業。

茶道に華道に着付けに書道、禅の講義と和食のマナー、陶芸の知識と茶道具の手入れの仕方、日本庭園の管理方法と園芸、日本文学史と古典舞踊の観劇。
その時間割をみて「大学の講義よりも厳しくない?」って眉を顰めたのには笑えた。

志乃さんからは「本当に修行したんでしょうね?」ってつくしの小筆文字を見て嫌みを言われたが、今後志乃さんが特訓するって事で話はついた。



予定より遅い5日後、やっと親父が姿を現したから久しぶりに4人揃ってダイニングで寛いでいた時に今後の話になった。

茶道では10月は炉を開く準備を始め、11月の初めには新茶が入る。
やたら多い行事をどう分担するかを話し合ったり、その合間につくしの稽古を誰がつけるかなど、当然こいつは初めてのことだから口も挟まず黙って俺達の話を聞いていた。


「茶道は当然俺だけど華道も教えようと思う。免状は時間かけてもいいと思うけど、形だけでも出来るようにならないとな」

「あら、それでしたら華道は私がお稽古するわ。総二郎さんには他のお仕事もあるでしょう?それにあなたに任せていたらお稽古がお稽古にならないかもしれないでしょ?お花を触らずに違うことしそうだし」

「・・・そんな言い方を実の親がするのかよ。ハズレちゃいないが修行中もたまには真面目に稽古したぞ?」
「ちょ、ちょっとっ!そんな言い方しないでよっ!」


それまで黙っていたつくしがいきなり湯呑みの茶を噴いて、慌てて俺達の会話を止めた。
親父までも茶を噴いて、お袋の着物の袖を引っ張って首を横に振っていた。こいつら・・・俺達がいない間にどんな想像膨らましてやがったんだ?


「ま、まぁ、1ヶ月の稽古の成果って事で久しぶりに牧野さんの茶でもいただこうか?なぁ、総二郎」

「・・・親父、さりげなくプレッシャー与えてんな?でも、茶だけは手加減せずに教えたから少しは上達してると思うぞ」
「お茶だけって・・・他もきちんとやったわよ!」

流石、親父とお袋・・・俺が何の目的であんな山奥の別荘に行ったかなんてちゃんと理解してるようだ。
それでも1人に絞ってるから文句も言われず、身体も治して帰ったから「ひとまず安心」って事なんだろう。



このあとつくしが自分で着物に着替えて茶室に向かい、1ヶ月前と同じように2人に茶を点てた。

所作は以前に比べて美しくなったし、流れもスムーズ・・・辿々しい部分もなくなって、落ち着いて一連の流れをやって見せたから合格をもらった。
それでも「一生稽古」の精神を話され、つくしはそれを真剣な表情で聞いていた。


「それでは月代家に後見人の話も付けましたし、これからは総二郎さんのお相手としてさりげなく皆様に報告していきましょう。そうね、私に同行して皆様にお顔を覚えていただくのが1番宜しいわ。そうすれば総二郎さん宛の釣書も来なくなりますし」

「まぁ、時期を見ていいように進めなさい。ところで・・・いつ頃だと正式に発表できるのだね?司君との話し合いはもうないのだろう?」


ここでつくしと俺は顔を見合わせた。
それを見て親父とお袋が「どうした?」「何かあったの?」と不思議そうな顔で俺達に聞き返した。


「・・・それがさ、花沢の創立記念パーティーに招待されてるんだよ。俺・・・ついでにつくしも」

「あら!類君のところの?そう言えばうちに総二郎さん宛の招待状が来てたわ。お返事はしてないけど」

「返事を出さなかったからだろうけどスマホに連絡があってさ。つくしも連れて来いってさ。当然そこには司も来るだろ?」

「・・・そうだろうな。あの両家の関係を考えたら出席するだろう。私たちもセレモニーだけは出るのだよ。その後の祝賀パーティーは失礼しようと思ってるんだがね」


俺宛の招待状なんかまだ見てなかったから知らなかったけど、どうやら今回はセレモニーがあった後に祝賀パーティーってのが同じ会場であるらしい。
そっちは若い者が中心で、みたいな雰囲気らしく親父達はここで帰ると言った。


「ここで俺がつくしを連れてる時点で司が荒れるかもしれない・・・どうする?道明寺家を敵に回す可能性もあるけど」
「総二郎さん・・・やっぱり私は行かない方がいいんじゃないの?」

両親の手前、「総二郎さん」と呼ぶつくしが可愛くて、思わず抱き締めそうになって親父に睨まれた。
お袋に至っては「きゃあっ!いつからそんな風に呼び合ってるの?」って自分の事みたいに真っ赤な顔して・・・。


「司の事を騙して付き合っていたわけじゃねぇけど気持ちの上ではそうなる。それを話して司が大人しく『あぁ、そうか、わかった』って納得するとは思えねぇ・・・1番考えられるのは西門への攻撃だと思う。後援会の連中を巻き込んで徹底的に嫌がらせするかもしれねぇな。そうすると決まっちゃいねぇけど可能性はある」

「だっ、だから私は行かない方が・・・そうでしょう?お家元」



**************



総二郎とお家元、家元夫人は黙ったまま全員が腕組みなんてして睨み合い、じゃなかった相談をしていた。

花沢類には悪いけど私が行かなかったら揉め事は起きない。
道明寺がそのうち落ち着いて私の事も完全に過去の話になれば、その時に公表すればいい。それがたとえ5年かかろうがこれまでの事を考えたら全然苦じゃなかった。

会いもせず、話しもせずにひたすら1人で待つ5年に比べたら、総二郎はずっと傍にいてくれるんだし・・・そう思ってわざわざ道明寺の機嫌を悪くするのは止めようと必死に訴えた。


「親父・・・俺は司がつくしに未練があるかもしれねぇからもう少し先でもいいと思ったんだが、1ヶ月一緒に過ごしてみて考えを改めた。やっぱりケジメってものを付けたい・・・つくしをずっと公表しないまま連れて歩くより、堂々としていたいと思う」

「それはもう正式発表する、と言う事か?今度のパーティーも婚約者としての同伴、そういう意味だな?」

「いや!だから、それはやっぱりそれはマズいんじゃないかしら。私だけに怒るならいいけど西門流にご迷惑かけるわけには・・・」

私が慌てて手を振って止めたらお家元も家元夫人もニコッと笑って私の方を見た。

何でそんなに余裕があるの?知らないわけじゃないよね?あの道明寺だよ?怒ったらたとえ総二郎のご両親でも・・・真っ青になる私に家元夫人が「落ち着きなさい」と優しく声をかけてくれた。


「牧野さん、あなたのご心配もわかるが私たちもそれなりに古い家で応援してくださる方も多いのだよ。なに、道明寺ホールディングスが何を仕掛けてくるかはわからんが、この西門を攻撃してきたら迎え撃つまで。
それに下手に攻撃すれば道明寺とて無傷では済まないと言うことを、司君に教えてあげてもいいのだがな」

「そうですわねぇ。あの総二郎さんが牧野さんの事を大事に想って西門に迎えたいと決めたのですから私たちにしても家族ですわ。それなら娘を守るのも親の務めですもの。ほほほ、楓さん相手でしたら不足はございませんわ」


「マジで?流石親父にお袋!心強いな!」
「はっ?で、でも・・・あいつがキレたらとんでもないことが起きますよ?今度こそ総二郎さん、命ないと思うんですけど!」

「・・・すげぇ怖いこと言うな、お前・・・」


こんなに一生懸命止めてるのに、話題は既に私の着ていく着物とドレスの話に変わっていた。

せっかくだから急いで京都から大振袖を取り寄せようとか、人間国宝の染め師さんの反物から作ろうとか、最高級品の西陣織の帯に決めたとか。
ドレスは早速デザイナーを呼んで仮縫いをする事になって、私じゃなくて総二郎がドレスの色を選んでいた。


「いや、だから・・・お願い、私の話も聞いて?ねぇ!」


私の声なんてこの3人には全然届かない。
よくわからないうちに花沢類のパーティーに総二郎の婚約者として行くことが決まったらしい。




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2018/10/21 (Sun) 15:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

いや、もしかしたら助けてくれるのは意外な人かもよ?(笑)

ホントに西門家vs道明寺家に突入したらお話が終わらないんじゃないかしら・・・ね?
しかも怖いし(笑)

実は楓さんが苦手だし・・・。


あっはは!総ちゃんの命・・・ヤバいヤバい!そんな事したらGip様に私が怒られる!
「ドシリアスでもいいけど死んじゃダメ!」ってよく言ってるから。

久しぶりに4人揃った場面、頑張りまーす!
(わかってるだろうけどこのお話、実はコメディ系だから・・・え?違う?)

2018/10/21 (Sun) 18:06 | EDIT | REPLY |   

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