FC2ブログ

plumeria

plumeria

それから数週間後、花沢物産のパーティーの日になった。

マンションを朝早くに出て西門に戻り、午後からのパーティーに向けて準備が行われた。
テーブルマナーの確認、挨拶の仕方、困ったときの返事の仕方等々・・・どれもこんがらがって上手く出来ないけど「何とかなるだろ!」って総二郎のひと言で私はとにかく挨拶以外は無言を通すことになった。


「・・・やっぱり行かなきゃいけないの?このまま逃げたいんだけど」

「逃げたら類がどんな手使っても迎えに来ると思うぞ。そういうとこ執念深いからな、あいつ。何にも喋らなくていいから寂しかったら何か食っとけ、気が紛れるから」

「あんな豪華な振袖に帯締めて何か食べろったって無理でしょ?その後は拷問コルセットだよ?水が飲めるかも心配だよ・・・」




そしてお家元、家元夫人も交えてのお昼ご飯・・・ここで既に気疲れして食欲なんてなかった。

総二郎が「食べとかなきゃ倒れるぞ」、なんて言うけど今日に限って目の前の煮魚の目ですら道明寺に見える・・・。そう言ったら「重傷だな・・・」って呆れられた。

「多分司はセレモニーでは何も言ってこないと思うぞ。揉めるんならパーティーが始まる前・・・ってところか」
「・・・そんなこと言ってるけど相手は道明寺だよ?そんなの無視していきなりってことも考えられるでしょ。知ってるくせに!」

「いや、私たちがいる前では司君は動いてこないだろう。なんと言っても小さい頃にこの私に殴られてるからな」
「そんなこともありましたわね。それに私の前でもあの子は大人しいはずですわ。私なんて小学生だったとは言え司君の裸を見た仲ですもの」

「・・・は?道明寺を殴った上に裸を見たんですか?」


ある意味凄くない?

確かに私は道明寺に跳び蹴りした過去を持つ女だけど、ここにも殴った人がいるなんて!
しかも私でさえ見たことがないのにあいつの、はっ・・・裸を見ただなんて!!

「司はガキん時に親父の一番大事にしていた盆栽の鉢を割ったんだ。しかもあきらに向かって投げ付けてな。
で、お袋が言ったのはうちの池に類を突き落とそうとして司自身が滑って落ちたんだ。それをお袋が引き上げて風呂に入れたんだよ。使用人が怖がって誰も司の傍に行けなかったからな」

「・・・あいつらしいわ」

それならセレモニーは総二郎よりお二人の傍についてよう。
総二郎は如何にも自分が冷静だと言わんばかりに偉そうにしてるけど、実は頭に血が上ったら道明寺同様喧嘩っ早いのは知ってるから。


食事が終わったら総二郎は紋付き袴に、私は先日用意していただいた大振袖に着替えた。
流石にこれは自分では着ることが出来ないから、志乃さんと着付師の男性が手伝ってくれて京都の巨匠が手掛けたという着物を着た。帯は京都西陣の最高級品、手機の袋帯・・・これだけで300万らしいけどそれを自分のお腹に巻いてるかと思うと・・・。

髪も今風と言うより古典的に纏められて兎に角上品に、お化粧も和装メイクのプロが来てくれていつもとは全然違う顔に作り替えられた。
引いたこともない真っ赤な口紅・・・ピンクブラウンの目元に初めて入れたアイライン。でもほんの少しだけ。


「はい、牧野さん仕上がりましたよ。総二郎様をお呼びしましょうね」
「あっ、志乃さん!」

「・・・はい?どうしました?」

「あっ、あの・・・可笑しくないですか?総二郎さん、笑わないかしら・・・」

私のひと言に志乃さんは驚いたような顔をして、でもすぐにニッコリ笑って「大丈夫ですよ」って・・・。
こんな姿になったことがないから総二郎、また「顔が子供だな!」とか言わないかなぁ?


ドキドキしながら彼を待っていたら襖がスッと開いて、総二郎だけが入ってきた。



***************



つくしの支度が出来上がったと聞いてその部屋に向かった。

小柄なヤツだから大振袖なんて似合わねぇだろうに、って思いながら襖を開けたら・・・そこに豪華な振袖に身を包んだつくしが恥ずかしそうに立っていた。

それを見た瞬間、目が釘付けになった。


やべぇ・・・これをあいつらに見せるわけにはいかねぇ。
絶対に持って行こうとする・・・特に類!あいつがすっ飛んできてこいつを攫っていくんじゃね?


「・・・あの?総二郎・・・やっぱり変?似合わない・・・とか?」
「は?あ、いや、そうじゃない。でも・・・ヤバいかもしれない」

「へっ?なにが?なにがヤバいの?」


まったく・・・自分の事になると全然わかってねぇんだから!
堪らなくなってつくしに向かって突進して行くと、殴られるとでも思ったのか両手で自分の頭を抱え込みやがった!
そんな動作に構いもしねぇで横から抱き締めたら、今度は「ぎゃあーっ!」と悲鳴を上げた。

「アホか!自分の男が抱き締めただけで悲鳴あげるヤツが何処の世界にいるんだよ!」
「だっ、だって!こんな格好してるのに、いっ、いきなりそんな風に飛びついて来るとは思わないじゃないの!」

「飛びつく?人を飢えた虎みたいに言うんじゃねぇよ!いいから黙っとけ!」
「きゃっ・・・!」

「・・・くそっ、化粧が邪魔しなかったら正面から抱き締めてぇのにな・・・」

「そ、総二郎?」

綺麗にしてもらったばかりだから崩すわけにもいかず、つくしの耳元にキスして「綺麗だ・・・」って言うと、ほんのり頬を染めて「ありがと・・・」って答えが返ってきた。


・・・いつかはこいつを白無垢に替えて俺の前に立つんだろうか。

それはいつ頃だろうな、ってなことを考えながらもう1度抱き締めたら「苦しいから離れてっ!」と怒鳴られた。



つくしの手を取って玄関まで行くと、そこには色留袖に着替えたお袋と、同じく紋付き袴の親父がニコニコとつくしを迎えてくれた。特にお袋は念願の娘を持った気分なのか、俺よりテンションが高くて上機嫌。

会場のホテルに行くのにリムジンに乗り込んだが、何故かお袋とつくしが並んで座り、俺と親父が仏頂面で隣に座った。



そしてホテルに着くともう既に招待客は集まり始めていて、エントランスに車が入る度に報道陣が詰め寄せた。

当然、うちの車が来たときには一段と凄いフラュシュが焚かれ、シャッター音が響くってもんじゃない。
つくしは初めてだからドン引きして中々車から出られなかったが、手を引いて無理矢理降ろすと思った通り記者達からの質問が飛び交った。

「西門総二郎さんですね?お連れの方はどなたですか?」
「そんな噂はまだ聞いていませんが、ご両親と一緒と言うことは本命の方ですか?」

「答えて下さいよ、西門さん!恋人で宜しいんですか?」
「お美しい方ですねぇ、どちらのお嬢様ですか?今後のご予定は?」


そんな言葉にはイチイチ反応せずに笑顔だけ見せて素通り・・・つくしが焦って走ろうとするから「内股!」って小さく言ったら途端に動きが鈍くなった。
「700万の振袖が泣くぞ」って耳元で言うとこいつの方が泣きそうな顔してた。



ホテルの中に入ったらもう報道陣はいないからホッとしてつくしの肩を抱いてロビーを歩いた。
先に入った両親が何処に行ったのか、あちこち見回して探していたら、つくしが俺の着物の袂を引っ張る・・・「どうした?」ってつくしを見たら驚いた顔して目線を遠くにやっていた。

「何だよ、親父達、奥にいたのか?」
「・・・違うよ、あれ・・・」

「あれ?」


つくしが「あれ」といったもの・・・その指の先には、これもまた驚いた顔をした司がいた。




5c44b5e641a4cdfac2254648be8f78c0_t.jpg
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/23 (Tue) 20:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんばんは

meimei様 こんばんは。

コメントありがとうございます。
そうですね~💦急に寒くなりましたね。

毎年秋が短くなってる気がするのは私だけ?(笑)

ふふふ、とうとうですね!私も久しぶりに書きますので楽しんじゃいました♥
コメディ、としてお読み下さいね!

2018/10/23 (Tue) 21:34 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/23 (Tue) 23:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

どうしましょ、司君のイメージが掴めないからととんでもないことを(笑)
実はそんなやんちゃなことはF4はしなかったんだろうとは思うんですけどね。

逆に言えば盆栽が当たったあきらと池に突き落とされた類・・・こっちも想像したら怖いわ(笑)
あきら君の髪の毛に盆栽の土・・・類君の手の中に池の鯉・・・ホラーだわぁ!


あらら、そんなシーン読めるかしら?(笑)

「あれ」がどう出てくるかお楽しみに~♥

2018/10/24 (Wed) 00:57 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply