FC2ブログ

plumeria

plumeria

なんてこった・・・まさかホテルに着いた早々司と鉢合わせるとは思わなかった。

セレモニーに相応しく黒のタキシード。
そんな格好の人間は今このロビーには何人もいるのに存在感半端ねぇ。いい歳したおっさん達の方が隅からこいつに視線を送ってやがる。

「そ、総二郎・・・」
「心配すんな。会っちまったもんは仕方ねぇや」


さっさと予約しているうちの部屋に入ってしまえば会うのはまだ先だろうと思っていたのに・・・これまで考えていたシナリオなんてものはあっさり頭から消えて行って、目の前で睨み付けてる親友をどうしたもんかと悩んだ。

しかもその横には心配そうな顔したあきらがいて、司をいつでも止められるように準備してる風だったけど敵うわけがない。
下手したらあいつまでとばっちりを食うから手を引けと目で合図した。


司はゆっくりと俺達の方に向かって歩いてきた。
その顔・・・目だけで人を殺せるって言われてた時と同じ顔だ。そこら辺の人間がビビって席を移動して、俺達の周りには人がいなくなった。


「よぉ、司、久しぶり・・・って程でもねぇか。3ヶ月前か?ニューヨークで会ったの」

「・・・どういう事だ?総二郎、なんで牧野がこんな支度してお前の横を歩いてんだ?」

「見たらわかるだろ?・・・そういうことだ」


つくしは司から視線を外して俺の少し後ろに立っていた。

それまで抱いていた肩は当然外していたけど、こいつはそれも見てたかもしれねぇ。そうじゃなくてもつくしの支度を見れば西門が準備したって事ぐらい推測できるだろうし。

それから連想されるのは俺とつくしの関係。
西門公認だと言ってるようなもんだからな・・・気付くかどうかわかんねぇけど西門の紋付きの大振袖だ。



「総二郎、あの時は偶然っつったよな?仕事でアメリカに来てるだけで、西門のスィートがあるからうちのホテルにいるだけだってよ・・・まさかあれ、嘘だったのか」

「嘘じゃねぇよ。政府主催の交流会だぜ?調べたいなら調べろよ。俺は仕事、こいつはお前に会いに行ったんだよ」


「それからたった3ヶ月でこうなるのか?・・・早過ぎる展開じゃねぇのか、牧野」


司は顔を背けているつくしに向かって言葉を出した。
その言い方、やっぱりまだつくしのことを諦めきれてないのか・・・アメリカじゃ突然の事で冷静なフリをしただけで、実は内心相当ダメージを喰らったってわけか?

それまでの5年間にこいつが味わった寂しさを理解出来るなら当然の流れってもんだろう。
それなのに、まだ自分の思い通りにならなきゃ納得しねぇのか。



「何とか言えよ、牧野・・・実は俺の事を裏切ってこいつとデキてたんじゃねぇのか?」

「・・・そんなわけないでしょう?そんなこと出来ないの、道明寺が1番知ってるじゃない。あんた達が親友なの知ってて裏切ったりしない。私たちが・・・こ、恋人になったのは最近のことだよ。あの後、西門さんが優しくしてくれて、それで・・・」

「総二郎が優しい?お前、総二郎の性格なんて何年も前から知ってるじゃねぇか!今頃優しくされてすぐに靡くのかよ!やっぱりお前ら・・・!」
「だから違うって言ってんでしょうが!」

「司!牧野も場所を考えろ!・・・今、このホテルには花沢の関係者、つまり世界中から企業家が集まってんだ。自分たちからスキャンダルを作ってどうする!」

あきらが司の腕を掴んで牧野の前に行こうとしたのを引き止めたが、その手もすぐに振り払われた。
それでも止めようとするあきらに「お前は引っ込んでろ!」とデカい声で叫ぶと支配人が大慌てで奥から飛んで来た。

ホテルのロビーがざわつき始めるとエントランスの方からも記者達の声が聞こえてくる。誰かがこの騒ぎを聞きつけて記事にしようとしてるのか?
司にはそんな雑音が入らないのか、また牧野の方に少し近づいた。


「お前、俺を待つ気がなくなったって言ったよな?もう解放してくれって・・・待てなくなったのは新しい男がいたからか。こいつが俺にそう言って来いってアメリカに送り込んだんじゃねぇのか!」

「そうじゃない!!あれは私がもう疲れたから自分で決心して話合いに行ったの!あの時に西門さんがアメリカにいたなんて本当に知らなかったのよ!送り込んだとか言わないで!」

「信じられるかよ!どれだけ俺が必死で世界中を飛び回ってたと思うんだ!馬鹿にしやがって!!」

「あんたは自分の力を試すことに夢中になってただけだよ!私のためじゃない・・・自分の為に飛び回ってたんでしょ!」
「何だと・・・牧野、てめぇ!!」

「何よ!!」


つくし・・・俺が両手広げて庇ってるのに何でこんなに怒鳴るんだ?
司に向かってとんでもねぇ暴言吐いてるけど俺の腕を掴んでる手・・・めっちゃ震えてるんだけど。


そろそろヤバいかってあきらと目配せしたとき、頭上から懐かしくも軽い声が聞こえた。



「くす・・・何騒いでんの?上まで聞こえてるよ」



**************



道明寺と久しぶりに怒鳴り合ったその時、すぐ近くにあった階段の上から聞こえてきたのは懐かしい花沢類の声・・・!
私と総二郎、道明寺に美作さんが同時に声がした方を見上げると、手摺りに肘をついてニコニコ笑った花沢類がこっちを見下ろしていた。

柔らかそうな茶色の髪も、色素の薄い瞳も昔のまま・・・私と目が合うと片手を振ってその目を細めた。


「きゃあぁーっ!花沢類、懐かしいーっ!」
「牧野、相変わらずデカい声だね」

周りの人達の視線も集まったから道明寺もここで怒鳴るのを止めて、くるっと向きを変えて花沢類がいる階段の方に向かった。そして降りてくる彼とは反対に無言で上がっていき、2人がすれ違う時も言葉を交わさなかった。

それを見てホッと肩を撫で下ろし、総二郎を見たら同じように頭を搔いてた。


「なに?また喧嘩でもしたの?司、すっごく怖い顔で行っちゃったね」
「へっ?いや、そんな・・・喧嘩なんてしてないよ?」

「そう?それならいいんだけど。それより会いたかった・・・牧野、元気そうだね」
「う、うん!元気だよ!」

「ふぅん・・・なんか幸せそうだね」
「・・・し、幸せ・・・だよ?」


花沢類が何か楽しいことでもあったかのように私に向かって微笑む、その笑顔が逆に怖かった。

何処まで知ってるのかわからなくて戸惑っていたら、今度は総二郎の目の前に行って私に向けた顔とは全然違う冷たい表情を見せたからドキッとした!

ま、まさか、花沢類まで総二郎に・・・?


「・・・あきらから聞いたんだけど、牧野と仲良くしてるってホント?」
「仲良く?お前、何歳だ」

「23・・・それはいいんだけど、大丈夫なんだろうね?」
「なにが?西門なら問題ねぇけど。見たらわかるだろうけど親公認でここに連れて来てるからな」

「そうじゃなくて。泣かしたらどうなるかわかってるよね?俺・・・司より酷いことする自信があるけど」
「そんな自信持つな!泣かしちゃいねぇし・・・ってか、もう遊びなんて数年前から止めてるし」

「・・・もし、牧野が泣いたらフランスに持って行くからね」
「こいつは荷物じゃねぇ。余計な心配すんな!」


何の話をしてるんだか・・・。

花沢類には「大事にするから」なんて言ってくれて、それを彼は納得できないって顔で受けていたけど、また私の方に向けてくれる顔は爽やかな笑顔に戻る。

そして「会場まで案内するね」って私の肩に手を回したから総二郎が後ろから「離せ!」って怒ってた。


「あれ?牧野・・・せっかくの振袖なのに背中に変なゴミがついてるよ?とってあげようか?」
「えっ?ホント?とってとって!」

「類!それはゴミじゃなくて西門の家紋だっつーの!縫い込んであるんだから取れねぇよ!」
「西門の家紋をゴミ・・・さすが類だな」




30ba7b196ec6fed86ceb6edbdd492489_t.jpg
関連記事
Posted by

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/24 (Wed) 13:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ついつい読みっぱになっております

まーこ様、こんにちは。

お久しぶりです♥
おぉっ!(笑)総ちゃんのお話なのにありがとうございます!

ははは、類の匂いがしましたか?
やっと登場です♥

こちらの類君は切ない系ではないのですが・・・許してもらえるかしら?(笑)

そうですね(笑)奪い取りに来そうですね!
有無を言わさずフランスへ・・・まぁ、私はそれでもいいんですが(笑)
総つくじゃなくなるので類君には別のお話で頑張っていただきたいと思います!

ご訪問&コメント、ありがとうございました♥

2018/10/24 (Wed) 15:43 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/24 (Wed) 16:19 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

ふふふ、司君、本当はまだつくしちゃんのことが忘れられないのですよ。
放ったらかしていたことなんてどっかに行っちゃったかな?(笑)

まぁ、あっさり別れるもの司らしくないかなぁ、なんて思って再登場!

でも、まりぽん様・・・このお話はシリアスものではございません。
ふふふ、久しぶりの4人を楽しんでいただけたら嬉しいです。


勿論、総ちゃん頑張りますよ♥

2018/10/24 (Wed) 18:21 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/25 (Thu) 12:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

そうそう!すっごく考えたんですが3ヶ月半ぐらいしか経ってない計算になるんですよ。
そのうちの1ヶ月は奥日光ですけどね(笑)

私は司君だけどうしても掴めなくて、どう書いていいのかわからなくて(笑)
本当はあんまりこういうタイプじゃないんだろうなぁ、って思うんですけど、話の流れ上いつも同じ登場と退場で申し訳なく思います💦

司君を好きな方はあんまり我が家にはお越しにならないだろうという甘い考え(笑)


笑う類君、結構怖いですよね(笑)
何となくですが、司君よりやることが怖いのが類君のような気がします。

類君、白い羽もあるんだろうけど、黒い尻尾、持ってそうじゃないですか?

ふふふ、どうしよう。フランスに行ったら(笑)

2018/10/25 (Thu) 18:48 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply