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遠い昔の夢を見た。

まだ俺が5歳ぐらいの時・・・数少ない親戚がいた宮崎に行った時の夢だ。



何処か知らないけど森の中に入って行ったら青緑色の小さな池があって、そこで小さな女の子がシャボン玉を作ってた。
他には誰もいない・・・その子だけが池の畔に座ってストローを何度もシャボンの液に浸けては吹いて、沢山のシャボン玉を作るんだ。

それは風に乗って池の中に向かって、そこで割れたり水の上に浮かんだり・・・でも、やっぱり最後は割れてなくなる。

それを何度も何度も繰り返してやめない。
無表情のままシャボン玉を作り続ける女の子の姿を不思議な思いで見ていた。


なんで1人なんだろう。
なんでこんな所でシャボン玉なんて作るんだろう・・・誰も見る人もいないのに。


俺は自然とその子に近づいていた。まるで磁石に引き寄せられる金属みたいに・・・。
そして小枝を踏んでしまってパキン!と小さな音を立てたら、その子は俺に気がついた。

シャボンの瓶を持ったまま立ち上がって、ジッとこっちを見てる。
黒くて大きな瞳・・・上手くは言えないけどすごい生命力みたいなものを感じたんだ。子供だったから漠然と思っただけだけど。
真っ黒くてストレートな綺麗な髪が風にサラサラと揺れて、着ているミニのワンピースが舞い上がった。


まだ5歳のくせにそんなことにドキン!として目が離せなかった。
そして話しかけたんだ・・・この俺が。


「シャボン玉・・・楽しいの?この辺に住んでるの?」
「・・・あんた、誰?ここの人じゃないよね?」

「うん、ぼくは東京からこっちにいる親戚の家に来てるだけ。君は・・・ここの子?」
「私はこの近くに住んでるの。ここは私の秘密の池だったのに・・・へへっ、知らない子に見つかっちゃった!」

「あっ、ごめん・・・でも、誰にも言わないから」

そう言うとニコッと笑った。その笑顔が可愛くて自分の中で大きな音がしたような気がした。
誰かが・・・総二郎が言ったんだっけ「女の子を見るとドキッとするだろ?それって”恋”って言うんだぜ」・・・って。


「・・・いいよ。じゃあね」

「・・・あ、名前・・・」


そう問いかけたけど、その子はくるりと向きを変えたら背の高い草を掻き分けるようにして森の奥に消えていった。
急いで追いかけようとしたけどこんな森に慣れてないから上手く進めなくて、俺はその子がシャボン玉を作っていた場所まで行ったけどそれ以上は進めなかった。


その子が踞っていた場所に立ってみた。
さっき飛ばしたシャボン玉があと1個・・・池の真ん中でフワフワ飛んでて、それをしばらく見ていたら池の中に落ちて割れた。

あの子は沢山のシャボン玉が生まれていくところを見ていたんじゃなくて、壊れていくところを見ていたんだろうか。
あの淋しそうな表情はそう感じさせた。

だからいつまでもいつまでも作り続けたんだろうか。
壊れないものを見たくて・・・ずっと吹いていたんだろうか。




なんで今頃こんな夢を見るんだろう。
もう20年も経ってるのに・・・。



**



「・・・様。・・・い様」


・・・あぁ、もう朝なんだ?また部屋まで入ってきて・・・いつまで子供扱い?・・・ったく。


「類様!そろそろ起きていただけませんか?今日はまだお休みではございませんよ?」

「・・・ん、まだ寝る・・・」
「ダメです!起きて下さいませ!もう旦那様も奥様もお食事をされてます。類様も早くお支度を!」


「・・・食事なんていらないから寝かせて・・・」
「類様!加代を怒らせないで下さいませ!・・・失礼します!!」


ガバッ!と布団を剥がされて仕方なく起きる・・・。
使用人頭の加代は鼻息を荒くして俺のベッドの横に立って布団を片手に仁王立ち・・・それを薄く開けた目で睨んでも、逆に睨み返されて撃沈。渋々ベッドから降りて顔を洗いに行った。

そして服を着替えて・・・髪は寝癖がついたままだけどどうでもいいかと思ってダイニングに向かった。



途中、廊下から庭を見るとフラットコーテッドレトリーバーのショコラとボルゾイのクレムが遊んでる。
両方とも俺の飼い犬で他の誰にも懐いていないから、毎朝出掛けるときには餌をあげに行くのが唯一の日課・・・自分の食事よりもこっちの方が大事ってぐらい両親との朝食が苦手だったりする・・・。


窓を開けて手をあげたらすぐに尻尾を振って俺のところまで走ってくる。

「おはよ、お前たち・・・もう少し待ってて?どうしても食べて来いって煩いからさ」

「ワンワン!ワン!」
「ワン!」

「くすっ、元気がいいよね。仲良く遊ぶんだよ」
「「ワン!」」


いいよね・・・出勤がなくて。毎朝芝生の上を走り回るこいつらを見ると羨ましくて仕方ない。
1日代わってくれればいいのに・・・犬相手に本気で考えて、また溜息をつきながら睨んでる加代のいる方に向かった。


ダイニングに行ったら父さんと母さんが仲良く並んで朝食を食べていた。
すぐに目に飛び込んでくる光景にガックリして、そこに行こうとする足が一瞬だけ止まってしまう。「さぁ、類様も」と、加代の声で重たい足を進ませるのも毎朝のことなんだけど。


また父さんのトーストに母さんがジャムを塗ってる。父さんもワクワクしながら待つの、いい加減やめたらいいのに。
しかも少し口にジャムがついたからって母さんが拭かなきゃいけないの?


「ママ、いつもすまないねぇ」
「ううん、このぐらい当然よぉ!」・・・マジ、鳥肌立つんだけど。これを見るからイヤなのに・・・!


「ねぇ・・・いつも思うんだけど、こんなに広いんだから向かい合って座ったらいいのに、なんでそんなにくっついてんの?」

「あら!いいじゃないの。自分に恋人がいないからって僻まないでちょうだい。いやぁねぇ、類」
「そうだよなぁ、こんなに朝から楽しいのに恋も知らんとは可哀想に・・・。どうして類はそんなに冷めてるんだ?」


誰が僻んでて可哀想なの?
一体自分たちが何歳だと思ってんの?って聞いたら絶対素直に49歳と47歳ですって答えるんだよ、この人達。


「・・・別に冷めてるわけじゃない。結婚したらこうなるのかと考えたらゾッとする先輩がすぐ傍にいるからだよ」

「まぁ!そんな人がいるの?誰?藤本?」
「あぁ、確かに藤本の所は恐妻だからねぇ・・・可哀想に、だから彼は太れないんだよ」
「恐妻?それはダメよねぇ!愛が足らないのかしら・・・藤本にお説教だわ!」


本気で言ってるんだろうか。それともボケてんの?・・・どっちでもいいけど。


「そんな事したら余計に痩せちゃうよ。もう俺の事はいいから2人で楽しくしときなよ。じゃ、先に会社に行くから」

「あらら!もう食べないの?類も痩せちゃうわよ?」
「・・・太れないんだよ」


こんな所で食べる気になるわけがない!
いつものように珈琲を一口だけ飲んだら自分の部屋にさっさと戻った。そしてスーツに着替えて両親よりも先に出勤・・・結局毎日俺の方が早く出社するってどうなの?

だからもう少し寝かせてくれてもいいのに!


ブツブツ言いながら愛犬に食事をあげて、背中を撫でてやる。
平日はここまでしか出来ないから今度の休みには思いっきり遊んでやるね、そんな口からデマカセを犬相手に呟いたあと、自分の車に乗り込んだ。




花沢類 25歳。
花沢物産の後継者で現在専務職。

毎日幸せいっぱいの両親と同居で恋人はなし・・・って言うか、多分恋そのものをしたことがない。

そんな俺が彼女と出会ったのはこの日の夜・・・衝撃的なその出会いまであと12時間と15分だった。




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類君の新しいお話です。イメージ画像はシャボン玉。
出だしはLOVE度控えめですが、そのうちだんだん変わるかも?

今回は事件少なめ、切なさ控えめ、出来たら短め(言ってもいいのかどうかわかんないけど)でお届けしたいと思います。
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Comments 16

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2018/10/31 (Wed) 01:03 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/31 (Wed) 01:09 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/31 (Wed) 02:01 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/31 (Wed) 02:40 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/31 (Wed) 07:05 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/31 (Wed) 08:30 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/31 (Wed) 10:04 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/31 (Wed) 15:52 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは。

ははは!どうなるかわかりませんが始まっちゃいました♥

そうですね、ご両親はそこまで登場はしませんけど今回はラブラブですね!
このお話は少しコメディ要素がありますのでどうでしょうか、ラブラブはしないと思うんですけど💦

「恋の始まり」とあるので恋は始まるんだろうとは思いますが(笑)


動物園!あはは!
大丈夫です、そんなことにはなりませんので!

すごーくゆっくりLOVE度をあげていきますのでのんびり読んでいただけると嬉しいです。

2018/10/31 (Wed) 16:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: plu様

はる様、こんにちは!

コメントありがとうございます♥
今回は切ない部分がないと(言い切れないけど)思います。

何となくクスクス笑っていただけたらなぁ、とは思っています。
中々つくしちゃんの設定がややこしいので・・・わかりにくかったらごめんなさいね💦

2018/10/31 (Wed) 17:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: よかった!

おれお様、こんにちは。

おおおっ!そんな海を越えてのコメントありがとうございます!

隣の・・・よりももっとクールな類君のような気もしますが、ゆっくりのんびり恋が始まるイメージです。
そのお2つがお好きなのですか?(笑)

11月は類君のお話が2つ同時進行ですのでどうぞ宜しく♥

2018/10/31 (Wed) 17:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ミキッp様、こんにちは。

再びクールな類君でスタートしました(笑)
どのように変わって行くのか楽しみにしていてくださいね。

類パパと類ママのように・・・どうですかね?
どっちが先に恋に落ちるか、まずはそこからでしょうか?

ふふふ、どうぞのんびりと待っててくださいね。

2018/10/31 (Wed) 17:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

隣の類パパは忘れてくださいね(笑)既に180度人格が変わりました。あはは!

少し初めの方はややこしいと思うので申し訳ないですが、ラブラブになるのは少し先・・・気長に待ってやってください。
クールな類君が今回はどのぐらい続くのか・・・私もまだよくわかっていません💦

恋が早く始まるといいんだけど・・・(笑)

2018/10/31 (Wed) 17:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、こんにちは。

あはは!そこですか!
類君が高校生の設定だったら年は40ぐらいですかねぇ・・・それだとどうですか?(笑)

まぁまぁ、気持ちだけは何歳でもいいんですから♥

ふふふ、そのうちラブラブすると思いますが初めの方はこんな感じで。
のんびり気長に待っててくださいませ。

どうぞ宜しくお願い致します。

2018/10/31 (Wed) 17:25 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは。

類の両親、今回はこんな感じですね♥
あまりにも皆様から苦情が来ましたので思いきって今度はバカップルにしました!あっはは!

まぁ、今回はあんまりお話には関係ないですから楽しい脇役で頑張っていただきます。

気が利いたと言われるとどうでしょうか(笑)
ただ複雑なだけかも?・・・いつもややこしくてすみません💦


ふふふ、類はあんな感じです。今度変わるかどうかはお楽しみに♥

2018/10/31 (Wed) 17:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

あら、そこまでは考えませんでした。
あれは総ての男性にそうなんですかね・・・類君にはないものだと思っていましたが。

あるのかしら・・・まぁ、加代さんなら気にしないと思います。


犬の名前、覚えにくくてすみません💦色々私の中では理由があるんです・・・お話には関係ないんですけどね(笑)
秋田犬や柴犬のイメージではなかったものですから・・・。

はい、これはオカルトではございません。
超緩やかな恋物語です。もうリハビリ要素満載のプチコメディです。

あんまり期待しないで読んで下さい💦
LOVE度低いって言ってるのに(笑)どうしましょ!

2018/10/31 (Wed) 18:15 | EDIT | REPLY |   

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