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高校生?って聞いたのがいけなかったんだろうか。凄く嫌そうな顔をされたんだけど。
やっぱりここは嘘でも大学生?と聞くべきだったかな・・・だってあまりにも幼かったから子供の家出だと思った。

しかも公園に泊まるって成人した大人の女性じゃ考えられないし、子供だからそんな勇気があったんだろう、そう思ったのに次に彼女から出てきた言葉に驚いてしまった。

「あの~、私、実は24歳なんですけど」
「・・・えっ?」

「そんなに子供っぽいですか?あはは!まぁ、よく言われるんですけど24なんです・・・これでも」
「成人してたの?」

「・・・はぁ、まぁ・・・」


俺の1つ下?・・・これで?

だってノーメイクでしょ?しかもその格好・・・可愛いかもしれないけど子供用のワンピースに見えるのは俺だけ?それにモカシンだし鞄すら持ってないし、髪だって真っ直ぐで真っ黒。
だいたい24歳にもなってそんな話に乗っかって、あんな男に追いかけられて全速力で走って逃げる?


適当に走らせていたけど、話を聞く必要があるかと思って近くの公園入り口に車を停めた。
「この公園じゃないみたい・・・」なんて真顔で言うから驚いたけど、同時に凄い音がこの子のお腹から聞こえた。

「うわあぁっ!ご、ごめんなさいっ!お昼から何も食べてなくて!」
「・・・お金持ってないの?」

「持ってたけど全部交通費に使ったの。それで働こうとして道を歩いていたら、変な人に引っ掛かったって言うか・・・」
「・・・全部交通費?」

「電車に乗った事がなかったの。だから適当に駅に来た電車に乗ったら東京とは反対方向だったみたいで、慌てて降りて東京に行くにはどれに乗ればいいですか?って聞いてね、それでまずは博多に行きなさいって言われてね・・・」

「あ、ちょっと待って。すぐ戻るから」


博多・・・って事は九州から来たってのはわかったけど話がややこしそうだ。
それにとんでもない天然かもしれないし。東京に出てきた経路を聞くだけでも一晩かかりそう・・・それなら先に何か食べさせないと・・・。


車を停めた場所の道路の反対側・・・もうすぐ閉店しそうなパン屋があったから、急いで車を降りて道路を横切りその店に入った。
そして最後に残ってたサンドイッチとチョコのクロワッサンを買って、ついでに紅茶を2つ・・・俺はこんなの飲んだこともなかったけど、1人だと飲みにくいかもしれないからそれを買った。

また急いで車に・・・もしかして逃げてないよね?って思ったけど、彼女は大人しく車に乗っていた。


「お待たせ・・・はい、これ。好きかどうかなんてわかんないけど、もうこれしか残ってなかったから」
「・・・え?いいんですか?」

「ここで断わられても俺、食事済んでるから食べないし。女性がお腹空かせてるのに放っとけないでしょ。しかもまたあんな音出されても困るし」

「うわあぁーい!いただきまーす!」
「・・・・・・」

手渡したパンを大きな口開けてパクンと・・・見てるだけでこっちがお腹いっぱいになりそうなその食べっぷり。
それに驚いて目が離せなかった・・・まさか、初対面の男の前でそんなにがっついて食べる女性が居るだなんて。


でも、ジッと見てると何処かで会ったような気がする・・・でも、こんな変わった子、1度見たら忘れないよね、そう思って自分も買ってきた紅茶を飲んだ。


「それでさ・・・あんた、いや君・・・いや、えっと・・・名前なんて言うの?」

「あ、すみません、た・・・いえ、牧野つくしって言います」
「牧野つくしさん・・・変わった名前だね」

「雑草のように逞しく育てって意味じゃないかしら。私のお父様・・・いえ、父はどっちかって言うと気が弱くて大人しい人だから」

「じゃ・・・つくしは言いにくいから牧野でいい?」
「なんでもいいです。名前なんてポチでもタマでも!」


なんだろう・・・この不思議な感じ。何となく自分の両親に通じる部分があるようで怖いんだけど。



**************



危ない危ない・・・瀧野瀬の名前は伏せなきゃ。
東京の方で知られてるかどうかわかんないけど九州じゃ有名な企業で、名前も珍しいんだから見つかって連れ戻されちゃ家出した意味がなくなっちゃう!

そう思って咄嗟に「牧野」を名乗った。

それにお父様とかお母様とか呼んじゃダメ・・・そんな呼び方する家だと思われたらマズいもの。

世間ではなんて言うんだろ?
パパ?お父さん?・・・父ちゃん、親父・・・う~ん、どれにしよう?なんて、買ってもらったサンドイッチを頬張りながら考え込んでいた。でもやっぱりあのお父様を見てたら「パパ」って感じじゃないよね?ふふっ、お父さんにしておこう!



チラッと運転席を見たら紅茶を飲んでる彼・・・やっぱり凄く格好いい。ホントにこんな男の人が都会にはいるのねぇってドキドキしていた。

モデルさんかしら・・・雑誌か何かの表紙を飾っててもおかしくないわ。
こんな人が普通に会社員してるとは思えない。でも出会ったのは高層ビル街でこの人はスーツ姿・・・それにそんなビルに車を駐車してたってことはそこの社員さん?東京にはこんな素敵なサラリーマンがいるの?

睫が長い・・・それに綺麗な手をしてて男の人じゃないみたい。
染めてるわけじゃなさそうな茶髪・・・もしかしてハーフかしら?


彼から目が離せなくなってサンドイッチ持ってる手が止まった。
でも私の視線に気がついた彼がこっちを見たから、慌ててまたサンドイッチを口の中に突っ込んだ!


「あの、私も聞いていいですか?お名前・・・なんて言うんですか?」

「俺?花沢類・・・あんたの1つ上だよ」
「花沢・・・るいさん?るいって名前ですよね?」

「うん、種類の類って書くんだけど」
「ご両親、どういう意味でつけたんでしょうねぇ?お友達が多い方が良かったから?」

「・・・・・・は?」


私の表現方法が可笑しかったのかしら・・・花沢類さんは凄く不思議な物体を見るような目付きで私のことを見た。



「それで、牧野は九州の何処が地元なの?」

「宮崎・・・色々あって家に居られなくなって出てきたんです」

「宮崎?じゃあつくしって名前は歴史の中からもらったんじゃないの?古事記とかでは九州のことを竺紫(つくし)って読んでるでしょ?その『竺紫(つくし)の日向(ひむか)の橘の小戸(おど)の阿波岐原(あはきはら)』って場所、宮崎だとかって言われてるから。まぁ、四国だって説もあるみたいだけど」

「は?そ、そうなんですか?」


いや、そんな拘りなんてなかったと思うんだけど。
どう考えても「雑草説」のほうが正しいと思う・・・神話の世界と瀧野瀬なんて全然繋がらないし。



「でも心配してるんじゃないの?ご両親、居るんでしょ?」

「はい、居ますけど心配・・・するのかな?両親とは殆ど一緒に暮らしてなかったから。私、お爺ちゃんの家で育ってて、お爺ちゃんには家を出るって言ってきたんです。やるだけやってみるか?って言ったぐらいだからしばらくは知らん顔してると思います」

「でも24歳の女性でしょ?行き先も伝えなかったら捜索願いとか出すんじゃないの?」


捜索願い?それって警察に、だよね?
彼に言われてちょっと考えたけどお爺さまは凄く警察が嫌いだった・・・たまに聞いていたのよね。『警察とか金融庁に目をつけられてないか・・・』って言葉。
それも私がお爺さまに頼まれてパソコン操作してるときに陰でコソコソと。


「多分それもしないと思います。家出なんですけどちゃんと『外の世界を見てきます』って言ってきたから」

「外の世界って?」

「私ね、この歳まで全然外に出してもらえなかったんです。ほぼ軟禁状態で家の中しか知らないんです。それが嫌で飛び出してきたの・・・新しい事を見つけたくて、何も知らないまま山の奥で暮らすのにもう耐えられなくなったから・・・だから、東京で少し働いて夢を見つけたくて」

「軟禁状態?つまり虐待ってこと?」

「は?えっと・・・そこまでは言わないけど、無理矢理将来の結婚相手も決めようとするから・・・もう、息が詰まりそうだったんです」


どうしよう・・・花沢類さんは何か勘違いしてるかも。
いや、勘違いされてもいいんだけどね。もうここで別れる人だろうから。

虐待なんてされてなくて、むしろ贅沢な暮らしだったんだけど、息苦しかったのは事実・・・軟禁状態も事実だし、無理矢理将来を決めようとされてるのも事実。

うん、半分ぐらいは正しい事を言ってるわ!
新しいものを探す・・・ここは恋を探しに来たってことなんだけど。


「花沢類さん、本当にご親切にして下さってありがとうございました。ちょっとこの公園でもなさそうだけど、ブラブラ歩きながら昨日の公園を探します。それじゃ、ここでお別れですね。サンドイッチ代、払えなくてごめんなさい。ご馳走様でした」

私は彼にお礼を言ってここで車を降りようと思った。
でも彼の方が私の腕をガシッと掴んで、その超麗しい顔を近づけてきた!


きゃああぁーっ!マジで?破壊力半端ないんだけどっ!そんな至近距離で目を見つめないでーっ!


思わず大声でそう叫びそうになったけど、驚きすぎて逆に声にならなかった。

そしてこのあとにとんでもない言葉が・・・


「・・・うちに来る?ほら、俺、彼氏だし」
「・・・・・・へ?」




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日本の神様の中で最も貴いとされる太陽の神、天照大神。
神社で唱えられる祓詞(はらえことば)「竺紫の日向(ひむか)の橘の小戸(おど)の阿波岐原(あはきはら)」で、イザナキノミコトが黄泉の国から戻った際、穢れを祓う禊(みそぎ)を行い、左目を洗ったときに誕生した神とされます。

これが宮崎だと言われていましたが、徳島であるという説も出てきてるそうですよ。
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2018/11/05 (Mon) 06:44 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/05 (Mon) 14:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 こんにちは!

あはは!お持ち帰り・・・多少意味は違いますがお持ち帰りですよね(笑)

好奇心ってヤツでしょうか?自分の思ってる女性像と掛け離れてるので面白かったんでしょうね!

九州の爺さん、さて・・・どんな事してたんでしょう。
つくしちゃんは頭はいいけど世間知らず、という設定ですから・・・。その辺が絡んでるかも?

これから花沢家は楽しくなりそうですね♥

2018/11/05 (Mon) 15:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。


あっはは!認める・・・爆笑!
「もういいか・・・」って感じだったんでしょうかね!

ボチボチ歩いて昨日の公園探します(笑)こんな事言われちゃあねぇ!
サンドイッチ代も払えないほどお金がないのに野放しに出来なかったんでしょうね。

あの類パパと類ママですから楽しいことが始まるかもよ?


え?こっちでももう催促?

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

いや、こっちは相当先でしょ。

2018/11/05 (Mon) 16:00 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/05 (Mon) 21:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz**様 こんばんは。

お返事遅くなってすみません。

もう次話が出てる時間・・・(笑)
はい!ここで別れたらお話が進みませんので(笑)

さて、どのぐらい居座ってしまうのかが問題ですね。
つくしちゃんに振り回される類君って感じかな?

恋が芽生えるのは時間掛かりそうですね!
のんびりと見守っていただけたらと思います♥

2018/11/06 (Tue) 01:08 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/06 (Tue) 10:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。


待て・・・出来てた?
出来てなくて1回吠えなかった?

うんうん、最終回まで大人しくしておいて下さい(笑)

2018/11/06 (Tue) 17:45 | EDIT | REPLY |   

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