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plumeria

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「・・・うちに来る?ほら、俺、彼氏だし」
「へ?」

なんでこんな言葉が出たのかわからないけど、行き場がなくて何処かの公園に行くって聞いた後でこの子を車から降ろすなんて出来なかった。
何か事情があるんだろうって事はわかったけど、それが自由になりたかったって聞けば尚更だ。

自由を求める気持ちは凄くわかる。
それにこの子の家族もそのうち探し始めるだろうし、少しの期間なら・・・ってそう思っただけ。


「いえ!さっきのは助けてもらうためについ口から出ちゃっただけですから!き、気にしないで下さい!」
「気にしてるわけじゃないけど行くところないんでしょ?うちならあんたの気が済むまでいたらいいし」

「で、でも花沢類さんのご家族にはなんて言うんですか?家出人、拾ったって?」
「・・・えっと、彼女でいいんじゃない?あんまり気にしないと思うんだけど、うち・・・」


いや、どうだろう・・・。
もしかしたら逆に俺が女性に興味を持ったって思い込んで大喜びしたりして。


とにかく今後の事はゆっくり決めようって事になり、牧野を乗せたまま車を公園から出した。

牧野が大人しかったのは乗って5分ぐらい。
そのうち何か気になるものを見つけたみたいで、窓の外を見ながら小さな声で呟いた。

「うわっ!すご・・・東京タワー?光ってる・・・」

「・・・・・・」

いや、確かに東京タワーはまだあるけど牧野が見てるのはスカイツリー・・・もしかしたらそれすら知らないとか?
九州の山奥って言ったっけ。まぁ、そんな所から初めて出てきたんじゃ無理もないか。


「夜じゃないみたい!明るいなぁ!」
「あっ!変な格好した人がいた!すっごい髪の色ーっ!」
「うわっ・・・今の建物なんだろう?斬新なデザイン・・・窓が丸かったわ」
「なになに?この車の数・・・何車線あるの?うわあっ!派手な車」

「・・・・・・」

多分、全部独り言だろうけど心の中の声がここまで漏れる子ってのも珍しいかも。女の子ってみんなこうなのかな・・・。

くすっ、何だか面白い。
24歳なのにアクセサリーもネイルもしてないんだ・・・本当に田舎でのんびり過ごしたんだろうと、その姿を想像しながら運転していた。


「牧野の家って農家なの?」
「は?あぁ・・・いいえ、自営業になるのかな」

「へぇ、お店でもやってるの?何屋さん?」
「何屋さん?えっと・・・大雑把にいうと建築とかが中心・・・かな?」

「携帯・・・えっと電波届くところ?」
「一応。でもスマホは置いてきました。連絡されるのが嫌だったから・・・やっぱり持って来ればよかったわ。何にも調べられなくて困っちゃった」

「・・・だろうね」


変わった子・・・でも、生命力に溢れた子。
俺が持ってない「何か」を持ってるような子・・・凄く不思議なものを拾った気分で自宅に向かっていた。



*************



「・・・ここ?花沢類さんのおうちって」
「うん、そう。あのさ・・・花沢類さんってのやめない?類でいいから・・・」

「あっ、はい!る・・・類、でいいですか?」
「ん、宜しく」


そこは宮崎の瀧野瀬なんて問題じゃないぐらい大きなお屋敷だった。

白いフェンスに囲まれた白い洋館・・・ここが日本?って一瞬首を傾げるような外壁の模様。
もう暗かったけどお庭中にある庭園灯でその様子は全部丸見え・・・瀧野瀬は純和風な豪邸で、厳つい門構えに和室だらけで、お庭だって鬱蒼とした木ばっかりでこんな芝生なんてなかったし。

お花はお爺さまが育ててた菊と藤棚ぐらい。ここみたいに花壇があって配色も美しく花が植えられてるなんてことはない。
その光景に驚いて類の車から降りても足が動かなかった。


「牧野、こっち。そんなに珍しい?大きいだけだよ」
「大きいだけって・・・規模が違いすぎるんだけど」

「なんの規模?」
「は?ううん、何でもないです!」

「その敬語もやめよ?なんかムズムズするし、恋人って敬語じゃないでしょ?」
「・・・・・・」


そりゃ本当の恋人ならね・・・。

類が玄関に近づいたら内側からドアが開き、そこには綺麗なお姉さん達がお揃いのエプロンを付けて左右に並び、一斉に「お帰りなさいませ!」の声があがった。
それに驚いてまた足が止まったら、今度は類が手を引っ張って中に・・・でも、その瞬間に左右のお姉さんからすっごい冷たい視線が来たのには別の意味で怖かった!

そして正面には1人の女の人。
やっぱりお姉さん達とお揃いの格好だけど流石にエプロンはしていない。

歳だってお母様と同じぐらい?そんな感じの落ち着いた人だった。


「お帰りなさいませ、類様。お食事のご準備が・・・あら、その方は?」

「加代、ただいま。この人は牧野つくし。しばらくこの家に置こうと思うから宜しく」

「は・・・牧野様?お屋敷にですか?それって類様・・・」

「うん、まぁ、そんなとこ。牧野の食事もすぐに準備できる?簡単な物しか食べてないから」


「・・・・・・か、畏まりました!!」


加代さんと呼ばれた人は小走りで奥に駆け込んで行ったし、玄関の左右のお姉さん達からは悲鳴が上がるし、類はそんな中私の手を引っ張ったまま2階に上がっていくし!


私はこれからこのお屋敷でどうなるの?
この人の彼女になりきってここで暮らすの?それって・・・それって私の「恋」は探せるのーっ?!


「あっ、あの、もう手を離しても大丈夫なんだけど!」
「え?あぁ、忘れてた」

「ご、ごめんなさい。私が驚きすぎたから」

なんで引っ張られた私の方が謝ってるのかわからないけど、階段を上がりきった所で手を離してもらって、彼の少し後ろをついていった。

どれだけ長い廊下なのかしら。
お城みたいな窓が並んでて、そこから見える中庭に噴水があって水がきらきら光って綺麗・・・それを見ながら歩いていたら、もう止まってた類の背中に体当たりしておでこをぶつけた!

「大丈夫?鼻が・・・え?おでこぶつけたの?」
「・・・えぇ、おでこなの。でも、大丈夫・・・いたた」


そんなこと真顔で言わないでよ!
鼻が低いの気にしてんのよ、これでもっ!


「牧野の部屋も準備させるけど今は取り敢えずここで・・・俺の部屋だけど」
「類の部屋に入っていいの?」

「・・・廊下で過ごすの?」
「そうじゃないけど!」


これまたすっごい装飾が施されたドアを開けたら、彼が「どうぞ」って私を先に中に入れてくれた。


「うわあっ!・・・これが類の部屋?」
「うん、何もないけど」


大理石の床に真っ白なラグ、それに部屋のど真ん中に真っ白なベッド。
大型のテレビが1台と小さな机が1つ、硝子張りのテーブルがあってカーテンは真っ白なレースに濃いめのブルーが重なってた。

あんまりにも広い部屋なのにそれしかないから、凄く綺麗なのに凄く殺風景って思えるほど。
完全和室の中で育った私には考えられない、お伽噺の中に出てくるお部屋だった。


「男の人の部屋とは思えないね・・・」

そう言って振り向いた時、類はスーツを脱いでネクタイを外し、ワイシャツのボタンを外してるところだった!


「きゃああぁーっ!なんでそこで脱いでるのよ、隠れて脱ぎなさいよーーっ!」
「・・・は?」





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Comments 8

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2018/11/06 (Tue) 01:23 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/06 (Tue) 06:54 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/06 (Tue) 10:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

桜姫様 こんにちは。

おっ、嬉しいお言葉ありがとうございます♥
何気にクスッとした感じのお笑いを混ぜ込みながら進めております♥


あはは!お嬢様・・・って言うかただの田舎のお姉ちゃんになってますが(笑)
活躍出来るかしら?

ワクワクしながらのんびり読んでて下さいね~!

2018/11/06 (Tue) 17:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

つくしちゃん、謎の生活を送ってますね(笑)
それも追々判ってくると思います♥

年齢設定が違いすぎるけど、私も田舎者なのでどうしても東京の電波塔=東京タワーかも(笑)
わかっちゃいるけど言葉では「あ!東京タワーだ!」って言いそう(笑)

こんな二人にラブラブな日々が来るんでしょうか・・・少々疑問に思えてきました💦

2018/11/06 (Tue) 17:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

あはは!確かに使用人さん、ある意味自由ですね!普通は黙ってるんでしょうけどね。

加代さん・・・いい反応でしょ?この人も面白い設定にしてるので♥


えーーー?!
私はそんな事言いません!!それはさとぴょん様と空様じゃないですか?
私は走って逃げるか顔を隠して照れたフリをします。

決して指の間からは見ませんよ?むふふ!

2018/11/06 (Tue) 17:43 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/06 (Tue) 21:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz**様、こんばんは。

そうですね、ここでお別れしたら本格的にホームレスになりそうですから(笑)
あはは!お手伝いさん、そんなに怖く感じました?

もしもの時でも負けないと思います。なんちゃって彼氏の類君もいますから。

つくしちゃんも男性に免疫がないからシャツのボタン外しただけで大騒ぎ(笑)
こりゃ甘くなりそうにないですね~。

しばらくはこんな感じで・・・いつかきっかけがあるのかも?

2018/11/06 (Tue) 23:23 | EDIT | REPLY |   

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