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plumeria

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「いや、それはね、えっと・・・なんというか総二郎が私のためにって言うか・・・」

「総二郎・・・いつの間にそう呼んでんだ?荷物を引ったくられたヤツのためにラスベガスに寄るのかよ・・・その話を信用しろってのか?!」

「だって本当なんだもん!本当に私は知らなかったんだけど乗った飛行機がラスベガス行きだったのよ!」


こんな話をしながらでも道明寺はゆっくり近づいてくる・・・その足音もしない1歩が超怖い!

逃げようにも逃げられない・・・ベッドのシーツが指に絡まるし、これ以上足を動かすともっと捲れ上がってヤバいことになるし・・・道明寺の目が怖すぎて逸らすことも出来なくなって、震えながらベッドの上に転がっていた。

あの時のアメリカ行きが悲しいだけで終わらないようにって連れて行ってくれたんだけど、それって如何にも私たちが既に恋人だったみたいに聞こえない?
真実をそのまま伝えたら、それこそ誤解されそうな事ばかりで口籠もってしまった。


「正直に言えよ・・・俺を裏切ってたって」

「そうじゃない!私はあんたを待ってたよ!でも、連絡してこなかったのはそっちじゃない・・・」


その時、バンッ!とドアが開いて総二郎の声が聞こえた!


「司ーっ!つくしを何処にやった!」


彼はすぐに奥のベッドルームに駆けつけてくれたけど、道明寺は総二郎の方を向かずに私の顔から視線を外そうとしない。
ずっと睨み付けたまま私の前に立っていた。

それを見た総二郎が慌てて走り寄って道明寺の肩を掴み、そこで初めて2人は向かい合った。


「司、てめぇ、つくしに何しやがった!」
「・・・手を離せ」

「答えろ!突然姿消したかと思えばこんな所に連れ込みやがって・・・!最近ストーカーに監禁されて恐ろしい目に遭ったばかりなんだよ!てめぇが同じようなことをすんな!」

「ストーカー?」

「あぁ、そうだ!お前がつくしを放ったらかしてる間にこいつを狙ったヤツがいるんだよ!そんなことも知らねぇクセに恋人面続けんな、馬鹿野郎!!」


総二郎が道明寺を突き飛ばして、蹌踉けた彼を花沢類達が慌てて受け止めた。
でも道明寺はすぐに助けてもらった手を跳ね返し、総二郎が触ったタキシードの襟元を払うような仕草をした。そして今度は総二郎の襟元を掴み上げた!

総二郎も自分の首元にある道明寺の手首を掴んで、片方の手で同じように道明寺のタキシードを掴んだ。
この2人が喧嘩してる所なんて見たことがなくて驚いたけど、花沢類と美作さんは呆れたような顔でこの光景を見ていた。


「2人ともやめて・・・!総二郎、私は何もされてないから落ち着いて!道明寺も総二郎から手を離して!この人も私のストーカーに刺されて重傷だったんだから!」

「・・・刺された?」

「そうよ!ストーカに掴まった私を助けるために刺されたのよ!やっと傷が治ったんだから、もう1回怪我させたら今度は私があんたを許さないわよ!」

「・・・はっ、鈍臭ぇヤツだな!女の前でやられたのか」
「馬鹿言わないでよ!私が人質だったからよ・・・もう少しで死ぬところだったんだから!・・・だから早く手を離して!」


驚いた道明寺は総二郎から手を離して、彼はすぐに私の横に来て抱き起こしてくれた。
「馬鹿か!今度はこんな危ねぇヤツに掴まったのかよ!」って耳元で怒鳴られたけど、身体を支えてくれてる手は優しかった。




「・・・仕方ないなぁ。もうパーティーはどうでもいいからここで5人で飲んじゃう?」


急に花沢類が戯けてそんなことを言うから思わずズルッと来たけど、美作さんも「そうだな、じゃあルームサービス頼もうか!」って言い出すし、道明寺は黙ってソファーにドカッと座るし・・・私は総二郎に抱き締められてるし。
ホントにこの部屋で宴会すんの?って内線かけてる美作さんを見ていたら、目の前にヌッと黒い影が・・・!

「いつまでそんなことしてんのさ。俺に見せつける気?ムカつくんだけど」

「・・・は?・・・うわああぁっ!!」

花沢類にボソッと言われて慌てて総二郎を力任せに跳ね飛ばしたら、見事に治ったばかりの傷口に当たったみたいで右脇腹を押さえ込んでた。

「・・・いってぇ!何しやがんだ!」
「ああっ、ごめんね、総二郎!・・・だ、大丈夫?」

「お前が突き飛ばしたんじゃねぇか!」


気がついたらシャンパンにオードブルにデザートにって、道明寺の部屋には山ほどご馳走とお酒が届けられ、何故かそこで5人揃ってグラスを持つ羽目に・・・。

「再会を祝って、カンパーイ!」って美作さんが声をかけて・・・誰1人言葉を出さずに無言でシャンパンを飲んだ。


**


すごく・・・空気が重い。誰か喋ればいいのに誰も喋らない。


花沢類は面白がってみんなを見てるし、美作さんはさっきみんなが無視したから拗ねてるし、道明寺は無言で飲んでるけど総二郎を睨んでるし、総二郎は腕組みしたまま睨み返してるし。

仕方ないから私は目の前のデザートに手を伸ばしてパクンと口に・・・それがすごく美味しくて2個め、3個めと。
それを見ていた花沢類がクスッと笑ったから顔を上げたら、4人にガン見されてて驚いた!

「あっ、ごめんなさい。お腹空いちゃったもんで・・・」
「くすっ、いいよ、牧野。食べときなよ。この2人の睨み合いは朝まで続くかもしれないから」

「えっ!朝まで?そ、そんなの嫌だよ、花沢類、どうにかして!」
「どうにか出来ると思う?この俺で」

「・・・そうだね。余計ややこしくなるからいいわ」
「でしょ?だから黙って見とこうよ」


そう言って道明寺と総二郎を見たけど表情1つ変わらない。
朝までこれを見とくの?って顰めっ面で花沢類を見たけどこの人はやっぱり楽しそうにシャンパンを飲んでた。

でも、しばらくしてその沈黙を破ったのは道明寺だった。


「さっき牧野から聞いたんだが・・・お前、本当に牧野があのホテルに泊まってるって知らなかったのかよ。俺にはそう言ったよな?」

「・・・正直に言えば俺は知っていた。で、つくしはホントに知らなかった」

「お前、やっぱり知ってたのか!俺のことを騙したのか!」

「騙したわけじゃねぇ!こいつは俺の所に茶を習いに来てんだから稽古を休むなら理由を言うだろう!それがちょうど俺の仕事と重なってたんだって。ホテルは一緒だったけど、引ったくりに遭って偶然こいつを街中で見つけるまで会ってねぇよ!」


花沢類は全部が初めての話だから「そうなの?」って私に聞いてばかり。「引ったくった方が逆に驚いたんじゃないの?」ってグサッとくるようなことも微笑みながら言うから怒るに怒れない・・・。
「だからスマホの番号が変わったのよ・・・」そう言うと納得していた。


「牧野が別れ話をしに行くってのも知ってたのか」

「勿論。ただ行くのを決めたのはつくし本人だ。俺は助言も引き止めもしなかった・・・もう限界なんだろうと思ったのは確かだからな」

「・・・そう言えばお前、そこまで驚かなかったよな。今考えたらすげぇ冷めてた・・・お前はホッとしてたってことか」

「そうか?演技したつもりだったけどな。俺にしてみればお前の方が冷めてたと思うぞ。ちょっとはビビってたさ・・・頭に血が上ってその場でつくしを、ってな。その時の俺はこうして飛び込んで止める権利はなかったからな」

「・・・・・・」


また道明寺は黙り込んで眉だけを吊り上げてる・・・少し引き攣ってる口の端がすごく怖いんだけど。

この2人が睨み合いをしてる間、美作さんも加えて隅っこに移動して、アメリカでの話から西門さん暴行事件までを大雑把に説明した。

「総二郎はいいとしてあんたは傷が残らなかったの?もう大丈夫?」
「首に僅かに切り傷が出来たぐらいでもう何ともないよ。痕も残らなかったしね」

「しかし総二郎も無茶するよな。俺が日本にいたら一緒に行ったのに。新しいライフルが手に入ってさ」
「いや、そうなったら相手の命がないじゃないの!」


また2人に視線を向けると恐ろしい顔は変わってもなくて、どんどん怪しい雰囲気になっていく。
殴り合いになんかならないでよ?って祈るような気持ちでそれを見ていた。





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2018/10/30 (Tue) 11:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

あっはは!そうなんです。
これ、類の家のパーティーなんです(笑)

いいのかよ!って感じでしょ?多分、こっちの類ママと類パパは(出てこないけど)普通の人でしょうから会場にいるんだろうと思います。
そして息子がいなくても「寝てるんだろうな・・・」で終わってるのよ。

もう、何が楽しいかって・・・こういう花沢類を書くのが大好きです!


多分、この辺りを書いてるときは「隣」の方が別れるシーンだったと思うんですよ。
だから向こうでシクシクしながら、こっちでワクワクしていた記憶があります(笑)


ほんと、4人揃うのは久しぶりですねぇ!

えっと・・・喧嘩の飲み会以来でしょうか?
まず滅多に司君を書かないので貴重なシーンですね!


もっと書けたらいいんだけど・・・何故か手が止まる(笑)

2018/10/30 (Tue) 17:57 | EDIT | REPLY |   

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