FC2ブログ

plumeria

plumeria

馬鹿だった・・・馬鹿だった、大馬鹿だった!
私が1番彼から離れちゃいけないんだった・・・!

なんでそんなことがあの時にはわからなかったんだろう、それを何度も叫びながら大学からアパートまでの道を走った。
荷物なんて教室なのに、お財布だって鞄の中なのに、スマホが・・・スマホがアパートにあるから!


早くそれで類に電話しなきゃ・・・!
私はここにいるよって教えるのよ、そして怒られてもいいから謝らなきゃ!


「待ってて・・・まだ、私の事を想ってくれてるなら待っててね、類・・・!」


何度も転けそうになりながら、2回ぐらい車に轢かれそうになって怒鳴られても振り向かずに、とにかくアパートに向かって走った。

アパートに着いたら休みもしないで階段を駆け上がり、ここまで来て鍵を大学に忘れたことに気がついた!
急いで大家さんの部屋に行って事情を話して合鍵を借りた。

「ごめんなさい!後で大学に取りに行くからすぐに返しますね!」
「それはいいんだけど、牧野さん、あのねお隣に・・・」

「あぁ!話があるならその時に聞きます!急いでるの、本当にごめんなさい!」

大家さんの話なんて今は聞いていられない。
私は急いでドアを開けると靴なんか脱ぎ捨てて部屋の中に転がるようにして入り、机の上に置きっぱなしのスマホを手に持った。


「・・・はぁ、はぁ・・・んっ、はぁ・・・よし!電源入れよう!」

汗を拭いながら電源を入れて、画面が明るくなったら・・・まず、アルバムを開いてみた。

我慢してたから。
類の写真見るの・・・ずっと我慢してたから。



そこには笑ってる類がいた。
むっつりしてる顔も、お昼寝の顔も・・・真剣に勉強してる顔もあった。
殆どが隠し撮り・・・カメラを向けると怒るからいつも隠れて撮ってた類の顔。それがスクロールしたら何枚も何枚も・・・どれを見てもその時の事を思い出せるほど。

「あっ、これ・・・1番好きなヤツだ」

パリのアパルトマンのテラス・・・そこで類がヴァイオリン持ったまま転寝してる写真。
夕日が彼に当って髪が金色に光ってて、長い睫に驚いてそーっと近づいてドキドキしながら撮ったヤツ。

やっぱり会いたい・・・もう1度この寝顔を隣で見たい。


今度は見ることが出来なかったアプリを開いた。未読数は259・・・最後のメッセージはもう5日前。
この日にもう私の事は諦めちゃったのかな・・・なんて思うと寂しかったけど、首をブンブン振ってからそのメッセージを遡った。

1番初めは私が沖縄に行く飛行機に乗った後、夕方かと思ったらお昼過ぎにはもう気がついたみたい。思ったより早い時間にそのメッセージは届いていた。


『あんた、何処にいるの?』
『電源切ってるの?早く電話しな!怒るよ』
『今、何処にいるの?教えて、迎えに行くから』
『いい加減にしないと本当に怒るよ?』



「あは・・・類が怒ってる。すごい怒ってる・・・怖いなぁ」


『牧野、会いたいんだけど』
『もしかして1人なの?泣いてないの?』
『早く戻っておいでよ。もうすぐ寒くなるよ?』
『牧野・・・もう限界だよ』



今度は苦しそうなメッセージばかり・・・それを読んでいたら胸が詰まって私まで苦しくなった。
もう限界だよって、あの類がそんなメッセージを打つ姿を想像したら、自分のした事がどれだけ彼を傷付けたんだろうって。

1番最近のメッセージは

『絶対にあんたを見つけるからね』


それを読んだら急いで今度は電話の画面に切り替えた。
着信件数は500を超えてる・・・そんなの全部無視して急いで彼の名前をタップした。


ドキドキ・・・ドキドキ・・・ドキドキしながら耳に当ててたら、何処か近くで同時に携帯電話の着信音が聞こえた。


あれ?誰かの電話が鳴ってんの?
そう思ったとき、私の部屋のインターホンが鳴った。

こんな時に誰よ!って頭にきて無視したけど、何度も鳴らされるから電話を耳に当てたまま勢いよくドアを開けた!


「はい!どちら様ですか!今、忙しいんですけ・・・ど・・・」



ドアを開けたら目の前には1人の男性が立ってた。

なんでこんな所に見覚えのある人がいるの・・・?
大好きな薄茶の瞳で、綺麗な茶色の髪で、その人が持ってるスマホが私のスマホと同じリズムで鳴り続けてる。

ポカンと口を開けて、瞬きもせずに目を見開いて、スマホの通話も切らないまま持ち続けてる・・・そんな私を見てこの人が出した言葉は・・・


「隣の301に入った花沢類と言います。これからも宜しくってことで、これ・・・つまんないものだけど受け取ってもらえる?」


隣の部屋の彼はそう言って私に銀色に光るものをくれた。
それは・・・301号室の合鍵。可愛くも何ともない、普通の鍵で彼が持っていたからちょっとだけ温かくなってる。

それを私の掌にポトンと落とした。


「・・・・・・る・・・」
「ん?どうした?挨拶したのに無視するの?」

「・・・・・・ごめ・・・」
「くすっ、ほら、なんて言うの?こういう時」


「・・・こちらこそ・・・宜しく、お願いします」



***************



牧野の手からスマホを取って、自分のスマホも通話を切って、牧野の部屋の玄関に入った。
その顔はもうぐちゃぐちゃで、涙で濡れて見られたもんじゃない。その涙を掌や甲で拭い取るけど追いつかなくてどんどん流れ出す・・・どうしようもなくなって両手で顔を覆ってしまった。

小さな肩を揺らしながら、足なんでガタガタ震えながら立ってるのがやっとみたい。


「馬鹿だね、あんた。1人でこんな所まで来て・・・俺、疲れちゃったよ」
「・・・ごめ、ごめん・・・な、さい」

「ん~、ちょっと許せないかも。俺の事、置いてきぼりにしたんだから」
「・・・うん、わかってる・・・私が・・・悪いの」

「反省・・・した?」
「・・・うん」

その言葉を聞いた途端、俺は牧野に飛びついて抱き締めた。
細い身体が折れるかと思うぐらい・・・強く抱き締めたら俺の胸の中で嗚咽を漏らして、背中に回った手はすごい力で俺の服を掴んでる。
本当はすごく怒ってるのに、怒鳴りたい気持ちもあるのに・・・でも、そんなものは抱き締めたら何処かに飛んで行ってしまった。

いま、この腕の中の確かにある温もりにこれまでの全部が溶かされていくみたい。
温かくて嬉しくて、愛おしくて愛おしくて堪らない・・・離れていた期間は僅かなのに、随分長いこと会ってなかったような気がして離すことが出来なかった。

それでもしばらくしたら落ち着いたのか、噎び泣いていたのがすすり泣きに変わって、赤くなった鼻の頭を擦っていた。


「もう泣きやみな。目が腫れるよ?」
「・・・うん。類・・・どうしてここにいるの?お隣、引っ越しってホントなの?」

「くすっ、ホント・・・って言うかさっき借りたんだよ。偶然301号室が空き部屋だったから」
「・・・あは、びっくりした」

「あんたに鍵をあげたけど実は何にもない・・・寮の302号室より殺風景だよ」
「ふふっ、そりゃ困ったね」


「沢山話したいことがある・・・でも、1番初めは・・・」


薄暗いアパートの玄関先で、もう1度牧野を抱き締めてキスをした。
溶けてしまいそうなほど甘いキス・・・離れてた時間を巻き戻すかのように・・・。





05147651962b0c2631f88548295dec01_t.jpg
関連記事
Posted by

Comments 14

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/26 (Fri) 00:50 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/26 (Fri) 05:18 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/26 (Fri) 05:37 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/26 (Fri) 07:47 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/26 (Fri) 08:28 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/26 (Fri) 08:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

はい!お待たせしました♥
やっと会えました~!

ふふふ、つまらないもの(笑)懐かしいでしょ?

タイトル通りの再会が出来て良かった♥
ここが書きたかったんですよ~!


このために半年もかけて(笑)事件を起こしたんです~!

幸せエンドまで残り3話・・・頑張ります!

2018/10/26 (Fri) 14:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ありがとう

happy様 こんにちは。

あぁ!良かった♥コメントして下さってありがとうございます!

うふふ、これからは離れず幸せに暮らしていくと思います。ご安心下さい♥

大変な毎日・・・お疲れと心痛とがあると思います。
その中でも何かひとつ、笑顔になれるもの、心が安まるものを見つけて少しずつ前を向いていけるようにと祈っています。

くれぐれもご自分のお身体も大切になさって下さいね。

2018/10/26 (Fri) 14:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様、こんにちは!

私なら「紅芋タルト」!ちんすこうは・・・(笑)
でも、持ってきたら大笑いじゃないですか!!

つくしちゃんなら「これだけ?」って言いそう(笑)

あぁ、引っ越しそばね。ソーキそば・・・食べたのかなぁ?私も沖縄に行ったんですけどね・・・。
沖縄料理のお店に連れて言ってもらったんだけど、やっぱりクセが強くてあんまり食べられなかったんです。

そう言えば麺類があったような・・・?

子供が那覇空港でトイレに閉じ込められて職員さんを呼ぶ騒動になって、飛行機に乗り遅れそうになったって事しか記憶に残ってない・・・(笑)
身障者用の特殊トイレに入ったんですよ・・・確か4歳の時。
自動でロックされちゃって解除がわからなくてね・・・焦りましたわ。

あとはマンタ!マンタがすごかった!
美ら海水族館・・・もう1回行きたいなぁ!

2018/10/26 (Fri) 14:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

はい!再会できました♥
そうなんです~!これがこのお話を考えた時に1番初めに浮かんだシーンです。

残り3話となりましたが最後まで応援宜しくお願いします!

2018/10/26 (Fri) 14:34 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、こんにちは。

あはは!焦らしてごめんなさいね💦
つくしちゃん憑依・・・怖い怖い!オカルトになっちゃいますよ?(笑)

さすが類君でしょ?アパートの入り口から攻めたら逃げられませんからね!
まぁ、1歩間違えたらストーカーのようでもありますが・・・ははは!

この先はもう離れませんのでご安心ください。
泣くほど喜んでもらえて良かった(笑)ありがとうございました。

2018/10/26 (Fri) 14:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんにちは~。

あはは、なかなか良かったですか?ムフフ・・・(笑)
ザ、妄想!の代表みたいな再会シーンでしたが、これが書きたかったんです~!

大学で待ち伏せしないの?って思われた方も多いんでしょうけどね♥

やっと会えましたのであとはもうエンディング・・・10月には終われて良かった(笑)
(実は10月10日頃に終わるつもりだったのに色々伸びちゃった💦)


あっちの類君(笑)

はい!あっちの類君は完全にコメディになっております!
このパーティーシーンが終わるまで、類君には頑張っていただこうかと思います。

司君・・・どうしましょうかね💦この人は!
出すと面白いけど書けないからなぁ(笑)毎回司君が出てくると悩みます・・・。

2018/10/26 (Fri) 14:46 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/10/26 (Fri) 20:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz**様、こんばんは。

はい、やっと素直に行動できたようです(笑)
ふふふ、再会できたので私も一安心♥

そうですね、泣いてる場合じゃないのですが類パパとの闘いはまたいずれ・・・でしょうか。

もう離れない2人なので立ち向かって行くと思います。
残りあと数話ですが最後までどうぞ宜しくお願い致します。

コメントありがとうございました♥

2018/10/26 (Fri) 22:18 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply