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plumeria

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大好きな類の香り・・・その香りに包まれてアパートの玄関で彼に抱き締められていた。

もう掴めないと思った腕。
もう聞くこともないと思っていた声。

もう触ることが出来ないと思っていた柔らかい髪・・・もう届かないと思った私の想い。
それが今、目の前にあって私を包んでくれている。

5分ぐらいしてやっと類が離してくれたのけど、その目を見るのがちょっと恥ずかしい・・・涙を拭きながら向きを変えた。


「取り敢えず中に入って?何にもないんだけど・・・」
「くすっ、301よりはいいよ。畳しかないんだもん」

「・・・ここに来た時には全部揃ってたよ。お父様、私が困らないようにしてくれたから。もう調べてるんでしょ?」

その言葉を聞いて、玄関から入ってすぐのキッチンで類は立ち止まった。
さっきまで優しい笑顔を見せてくれたのに今度は悲しそうに・・・まるで自分が悪いことをしたかのように項垂れた。


「ごめん・・・そうだよね。あんたは俺を置いて行きたかったわけじゃない。追い出された・・・そうだよね?」

「そうかもしれないけど、お父様の提案に頷いたのは私だもん。頷いちゃいけなかったんだよ・・・類を信じてなかったわけじゃないけど勝手に類のためだって思い込んだの。類を1人にしたくなかったの」

「自分が1人になったのに?」
「私は我慢出来ると思ったの。そのうち慣れて、また1人で強く生きていけばいいって思った・・・」


「生きていけそうだった?」

「ううん・・・やっぱりダメだった」

類の足はまた動き出して部屋の真ん中まで来て、そこでもう1度・・・今度はそっと抱き締めてくれた。


そのまま部屋の中をゆっくり見回して溜息をついた。
「どうしてこんなに寒い部屋なの?」って・・・くす、私と同じことを感じるんだね。

すぐ傍にあった沖縄の観光ガイド、以前とは違う教科書、見たこともない食器・・・初めて見るカーテンの色とベッドカバー。南の島独特な飾り物がわざわざ置いてあったり、カラフルなクッションがあったり。
そのどれを見ても類にはしっくりこなかったのか、不思議そうな顔をしていた。

「可笑しいんでしょ?多分、お父様に頼まれた人が大学生活を楽しめるようにって明るくしてくれたんだと思うよ」

「・・・・・・そう」

「ふふ、案内してくれた人も私が自分で選んできたと思ってその観光ガイド、くれたんだよ。・・・珈琲、煎れようか。喫茶店でバイト始めたからいいヤツもらったんだよね」


ここで類の手を離してキッチンに向い、久しぶりに自分以外の人のために珈琲を煎れた。
チラッと振り向いたら類はベランダに出てこの部屋からの景色を眺めてた。
その後ろ姿・・・本当に類が来てくれたんだと思うとまた涙が出てくる・・・何か言われたら珈琲の湯気のせいにしよう、なんて思いながらカップにそれを注いだ。


「類、珈琲入ったよ」
「・・・うん」

彼は部屋の中に戻って来て、私の隣に座ると珈琲を飲んだ。
ドキドキする・・・私の左腕に触れてる類の腕。自分以外の誰かが動いてるこの部屋・・・なんだかソワソワして落ち着かない。


「類・・・ここ、どうやってわかったの?お父様、教えたわけじゃないんでしょ?」

「・・・うん、父さんは何も言わずにフランスに戻ったよ。最後まで知らないって言い続けて話してくれなかった・・・別にいいけどね。母さんが協力してくれて、あとはあきらんちのシステムに助けてもらった・・・見つけたときは身体が震えたよ」


このあと、どうやって探したのかを全部聞いた。

それがどれだけ大変で、どれだけの人に迷惑かけて疲れさせたのかと思うと申し訳なくて・・・簡単に決めたわけじゃなかったけど、逃げた自分の罪の大きさを思い知った。
お母様がそんなに心配してくれたなんて・・・思いもしなかった。

「寮には戻れなかったんだ。あんたがいた部屋の前をどうしても通れなかった。牧野がどんな顔してあの寮を出て行ったのかを想像したら苦しくて・・・だから何日間もあきらの家にいたんだ」

「わざと明るくするの辛かった。あの日の類の顔、忘れないって思った。寝癖がついたままで半分目も開いてなくて、片手をあげて行ってらっしゃいって・・・行ってらっしゃ・・・いって・・・」

「・・・牧野、もう泣かなくていいから」


触れあっていただけの腕が引き寄せられ、類の胸の中に身体が・・・見上げたら優しい目で私を見る彼の顔があった。
自然と目を閉じる・・・類の指が私の顎にそっと触れて、また私たちは唇を重ねた。



***********



フランスで細くなったクセにまたそれ以上軽くなった。
牧野を抱き締めたときにそう思った・・・ホントにこのまま消えてしまうんじゃないだろうかって。

今こうやって腕の中に入れて唇を重ねているのにその不安が消えない。
だから、牧野を抱き上げてすぐ傍のベッドに・・・驚いたような顔を見せたけど、そのままそっと横たえたら彼女も俺の首に腕を伸ばして引き寄せてくれた。


「牧野・・・覚えてる?嵐の夜のこと・・・どうしよう、俺・・・あの時みたいにドキドキしてる」

「覚えてるよ・・・忘れるわけないよ。私も同じ・・・ドキドキしてる」


「・・・愛してる・・・牧野、あんたがいたら何も要らない・・・だから俺から離れないで」


この言葉の返事なんて待たない。
すぐにキスして俺の指は牧野の服のボタンを外す・・・僅かに開いた口元から漏れる甘い声にゾクゾクしながら彼女の素肌に触れたら、俺の背中にある指も同じ温かさを求めているようだった。

1度唇を離して身体を起こし、着ているものを脱ぎ捨てたら久しぶりに真っ赤になった牧野の顔を見た。


「くすっ、今更?あんたもだよ・・・」
「あっ、あの・・・まだ明るいんだもん。類、カーテン・・・」

「気にしない・・・早く見せて?」
「うわっ、やぁっ・・・!類、る・・・」


再び重なる唇・・・そのあと牧野の服も1枚ずつ下に落ちていき、小さな音と共に外されたブラから可愛らしい胸が現れた。
今度はそれを口に含みながら片方の手は1番敏感なところに・・・もう温かく湿って潤ってるところに指を入れ込むとビクンと大きく身体を反らせて口を手で覆った。


普通のアパートだから声を我慢してるんだ・・・でも、ごめんね。
だからってやめられない・・・あんたが欲しくて欲しくて、どうしても今、欲しくて堪らないから・・・。

溢れ出る蜜を指に絡ませながら動きを早めると、我慢してるはずの声がどんどん大きくなって、それを止めようとすると甘く艶かしい吐息を漏らす。
小さな声で俺の名前を呼んで、その度に背中に食い込んでくるぐらい爪を立ててる。


「あぁっ・・・類、あっ・・・やぁっ、そこ・・・類、もう、もう・・・!」
「・・・気持ちいい?・・・俺も早くあんたの中に入りたい」

「・・・ん、いいよ、類」


久しぶりに繋げた身体・・・こんなにも熱かった?って驚くほど牧野の中は熱を持ってて、すごい力で締め付けてくる。
ゆっくり動かしたら甘ったれた声で俺を煽り、スピードを上げると小刻みな矯声に変わる・・・俺はそれを繰り返しながら牧野の中にいることを確かめていた。


もっと引き寄せて欲しい。
もっと甘えて欲しい。

俺の総てで愛してあげるから全部受け取って・・・あんたの総ては俺に注いで欲しい。


最後は牧野の最奥に自分の精を放って、しばらく繋げた身体を離すことなんて出来なかった。



凄く・・・幸せだった。
疲れ切った牧野の髪を直しながら、まだ明るい部屋のベッドで微睡んでいる時間。


「まだ怖い・・・この腕を離したらまたあんた、何処かに行っちゃいそう」
「ふふっ、もう何処にも行かないよ。1人になったら何も出来ないってちゃんとわかったから・・・」

「ホントにショックだったんだ・・・1人で悩ませたこと、それをわかってあげられなかったこと・・・あんたの涙を見逃したこと」
「だって隠したのは私だよ?1番いけない嘘をついたんだもん・・・怒ってもいいよ?」

「ううん、もういい・・・こうしてる時間は穏やかな気持ちの方がいいから」


誰かを好きになるということは自分が強くなると言うこと・・・。
誰かを愛することが出来ること・・・幸せってそういうことなんだろうね。






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2018/10/27 (Sat) 00:35 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/27 (Sat) 07:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

あっ!ヤバい(笑)注意書き忘れた・・・!

大したことないからいいかと思ったけど、微Rだもんね♥

あはは!これね、急いで付け足したのよ・・・(笑)
だって要るって言うんだもん。

また1話延びちゃった(笑)

2018/10/27 (Sat) 11:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

そうですね、私なら「紅いもタルト」です♥
沖縄に毎年行く人がいるのでわざわざ注文して1箱買ってきてもらってました(笑)

類君、私に買ってくれないかなぁ・・・(笑)


ふふふ、そうなんです。終わってしまうんです。
半年間・・・いや、長かった(笑)
200話、行くかと思ったけど力尽きました・・・あはは!

2018/10/27 (Sat) 11:24 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/27 (Sat) 15:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

そうそう、1日でね(笑)結構慌てたけど間に合って良かった・・・。

こういうところは少し慣れてきたかも(笑)


あって良かったのなら・・・まぁ、いいか!!

2018/10/27 (Sat) 21:43 | EDIT | REPLY |   

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