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plumeria

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「5年間の私の想い・・・その変化をちゃんともう1回話したいの。お願い・・・」

私の言葉に総二郎は凄く嫌な顔をした。
そしてすぐに返事はしてくれなかった・・・ただ、黙って私からも視線を外してドアを見つめていた。


「・・・あのね、アメリカでは待てないって事だけを理由にして話したの。でも、本当は違うの・・・だから怒られてもいいからそれを道明寺に伝えなきゃ、私、一生あの人を見る度に誤魔化した自分を思い出すと思うのよね。
だから、お願い、総二郎・・・私のこと信じてよ」

「誤魔化した自分・・・か。そりゃ引き摺るかもな」

小さな声で「仕方ねぇな・・・」って言って、総二郎はやっぱり道明寺の方を見ずに言葉を出した。


「司・・・30分は長ぇから3分だけな」
「20分にしてやる」

「馬鹿言え!長くて5分だ!」
「15分・・・それでいいだろう」

「だから!そんなに長くは待てねぇ・・・10分だ!」
「15分」


「総二郎、15分ぐらい待てるでしょ?」、そう言うと渋々ドアを開けて出て行った。
そのあとは苦笑いの花沢類と美作さんが「頑張って!」「気をつけろよ?」なんて小さな声を私の耳元で囁いて出て行った。


はぁっ、と1回深呼吸して振り向いた。
窓に近いソファーに座った道明寺が私の方を見ている・・・そこに向かってゆっくり歩いて行った。


そしてさっきまで総二郎が座っていた所に座って、真っ直ぐ彼を見つめた・・・ちょっだけドキッとする・・・。
道明寺も私をここに連れて来た時とは違う、落ち着いた顔をしていたからほんの少しだけ笑顔を作った。


「道明寺、あんたの話ってなに?」

「・・・別になにもねぇよ。ただあのまま総二郎に持って行かれるのが嫌だっただけだ」

「はぁ?相変わらず我儘だなぁ!あんなに長いこと私のことを放ったらかしてたくせに!」

「だから放ったらかしてたんじゃねぇよ!お前の事を信じてたんだ・・・もっと自分に力がついて、会社の連中からあれこれ言われない程実績を積んだらババァからお前を守れると思った。
連絡ばかりして女に現を抜かしてると言われないためにわざわざ遠ざけたってのもある・・・俺なりの計算だったんだ」

「・・・でも仕事が楽しかったんだよね?」

「・・・それも嘘じゃねぇ。確かに・・・仕事にはのめり込んでた」


アメリカで話したのと同じような台詞を私たちは繰り返した。
ただ違うのは、私は悲しさも寂しさもなく、道明寺にはピリピリした緊張感はなかった。2人ともあの時よりは穏やかになっていた。


「ふふっ、ここに来たとき、あんたの顔怖かったわ」

「あぁ?当たり前だろう!お前があんな格好で総二郎なんかと・・・!」

「そうだよね。私、その事はあんたに謝らないといけないのよ。だから・・・今、ここに残ってるの」


勘が鈍いはずの道明寺が凄く不機嫌な顔して横を向いた。
流石に私の言うことがわかるのかな?・・・今にも「聞きたくねぇ!」なんて言って席を立ちそうなのに必死に堪えてるのがわかるぐらい。
やっぱり5年間の空白があっても1度は恋をした人だもん・・・お互いにわかっちゃうのかもね。


「私、あんたの事を待ってる間に・・・もう総二郎に恋してたんだと思う」


随分酷いこと言ってるって思う・・・道明寺は流石に眉を顰めたけど、大声出したり暴れたり、そんな事はしなかった。ただ組んでる腕の力が強まったからタキシードにぐしゃっと皺が寄ったのはわかった。
それを見て1度自分も大きく息を吐いて・・・言葉を続けた。


「寂しかったの・・・あんたがいなくなって1人になって、初めの頃は花沢類も美作さんもいたけど外国に行ってしまうし、桜子も仕事始めるし、幼馴染みの優紀にはいつも傍にいる彼氏がいるし。
気がついたらね、毎週会うのは総二郎で、誰も誘ってくれない食事にたまに連れてってくれるのも総二郎だったの」

「・・・遊びの延長だったんじゃねぇのか」

「さぁ・・・どうだろうね。総二郎は私に1度も告白みたいな言葉を出さなかったし、私もあんたを裏切っちゃいけないって思うから何も言わなかったの。途中からね、どっちが好きなのかわかんなくなったのよ。だから道明寺に迎えに来て欲しいような、電話がなくてホッとしてるような不思議な感じだった。それが2年ぐらい続いたかなぁ・・・」


迎えに来て欲しかったって言葉を出したときは私の方をチラッと見た。
でも、すぐに赤い顔して目を逸らせた・・・ひん曲がった口元を手で覆って、咳払いなんてしちゃって。


「もう待てないって言葉だけで終わらせてごめん・・・半分は私も気持ちが変わってたの。すぐ近くにある温かさに惹かれちゃった・・・。でも、信じて欲しい・・・アメリカであんたと話した時には私と総二郎には何もなかったんだよ?
総二郎も私が完全にあんたのことを忘れるまで待つつもりだったみたい。ちょっと色々あってそれが早まったけど、あの人は私たちの婚約中には何もしてないの。気持ちの上であんたを裏切ったのは私の方だよ・・・ごめん、道明寺」


道明寺は私のことを見なかったけど、私は道明寺の顔を見ながら話した。
心の奥でずっと気になっていたことだから・・・どれだけ怒鳴られても言わなきゃって思ったから。

道明寺を裏切ったのは総二郎じゃなくて、私だって・・・それを伝えないとこの人達の友情が終わりそうだったから。


「・・・もし、なんて言葉は使いたくねぇけどよ」

道明寺が顔を横に向けたままボソッと言った。


「もし、俺がもう少し早くにお前と連絡取り合ってたら今頃どうなってる?」

「そうだね・・・あんたがアメリカに行って2年以内なら別れてないだろうと思うわ。でも、3年以上経ってたら・・・悩んだでしょうね」

「その間の1年はなんだよ?」

「あはは!恋をしたくなかった時・・・かな?あんたに腹を立ててる時で、総二郎の事をなんとも思わなかったとき・・・恋なんてするもんじゃないなぁって毎日泣いてたもん」


「・・・そうか」ってここで初めて道明寺がクスッと笑った。



「それじゃ、そろそろ15分じゃない?総二郎が怒るから行くね」

私が席を立つと道明寺も同時に立ち上がった。
そして私の横まで来ると・・・ふわっと抱き締められた!!


「どっ、道明寺?あんた・・・!」
「15分まであと2分ある。それまで罰として抱かれとけ」


昔大好きだった道明寺の香りがする・・・今の私の手はこの人の背中を掴むことは出来ないけど総二郎よりも大きな胸は懐かしかった。
何回こうしてもらったか・・・少なすぎて覚えてないけどドキドキしてた学生時代を思い出した。



「・・・絶対に泣くぞ。それでもいいのか?」
「泣かないよ。もう泣きすぎたもん」

「あの家は辛いぞ・・・うちよりもバケもんが多いからな」
「そうかもね。でも一緒に闘ってくれるってよ?」

「茶なんて点てられんのか・・・うちより面倒なことだらけじゃねぇか」
「お稽古してるよ。いつかあんたに点ててあげるよ」

「お前みたいなちんちくりん・・・苛められるぞ、あいつの過去の女に」
「神経だけは図太いから大丈夫だよ。でも・・・少しは綺麗になったでしょ?」


「・・・あぁ、綺麗になったな。俺と別れてからってのがすげぇ腹立つけど」



「あんたに恋をしたこと・・・忘れないよ、道明寺」



2分間は・・・あっという間だった。




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2018/11/02 (Fri) 14:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

あはは!クリンクリン(笑)そう言えばそうですね!
上手いなぁ、さとぴょん様。

2分って結構長いですよね、ジッとしてると。
ちょっと試してみたんですよ。最初5分だったけど、5分間は長いわ!!

だから3分だとラーメンみたいだから2分・・・そんな説明いらない?(笑)


あ~ん!嬉しいひと言です!
全然わかんないんだもーーん!!ありがとう♥

2018/11/02 (Fri) 23:59 | EDIT | REPLY |   

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