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次の日、午前中は私が立ち上がることも出来なかったからホテルで休んでいて、午後から西門に戻った。
その理由も総二郎が馬鹿正直に家元と家元夫人に話していたから恥ずかしいってもんじゃない。

「大丈夫?牧野さん・・・大変だったわねぇ」って言われたけど、その『大変』が道明寺の事なのか、夜の事なのかわからなくて返事が出来なかった。
ただ、赤い顔を下に向けて頷くだけ・・・総二郎はクスクス笑いながら暢気に出されたお茶を飲んでいた。


「それにしても、親父もお袋もデカい事言ったわりにはさっさと帰るし、あれから大変だったんだぞ?!」

「ははっ、すまなかったな。なに、司君が会場にはあまりいなかったもんだから話のしようがなくてなぁ」
「ほほほ、そうですわね。やっぱり私たちがいると何も出来ないんですのよ。それはこれからも同じだから大丈夫なんじゃない?」

「いや、今度こそ話はついたからいいんだけどよ・・・」

総二郎はここで簡単に・・・勿論トランプのことなんて言わずに道明寺と話し合ったことを伝えていた。
西門が私を全力で守ること、総二郎が私を泣かさないこと、ストーカーからも守ること、それを約束したと話したらお2人も苦笑いしていたけど。

「総二郎さんが泣かすかどうかは責任取れないけどそれ以外は大丈夫よ」って、そこ・・・1番重要な部分だと思うんだけど。



そして私の両親に西門家が挨拶に、と言い出したから慌てて止めた!

「あ、あの、うちは全然気にしませんから。むしろ大喜び・・・いえ、嬉しくなって何言い出すかわかりませんし、とてもじゃないけどお家元をお呼び出来るような家じゃないんで!ホントにお気持ちだけ私がいただきますから!」

「そういうわけにはいかないだろう?大切なお嬢様をうちの息子が望んでいるのだからご挨拶はしないと。後見についてくださる月代家の伯母上にもお会いしていただかなければ・・・なぁ、母さん」

「それは当然ですわ。総二郎さんもまだご挨拶もしていないのでしょ?本来はこのパーティーの前にきちんとお話しするべきだったのですわ。順番が狂ってお怒りにならないかしら・・・」


お怒りになる?何処の誰が?
私の入院の時も・・・まぁ、病気だからかもしれないけど総二郎が連絡したもんだから小躍りして喜んで、お見舞いにもらった食べ物とアメニティ持って帰ったのに?

それこそ、いつ西門から正式に連絡があるかと心待ちにしてると思うけど?

冗談じゃない・・・あんな荒ら屋にこの人達を連れて行くわけには!家元夫人なんかその場で気を失うかもしれないじゃない?
どうしてもっていうんなら・・・


「あっ、あの!もし良かったら両親に久しぶりに東京に出てきてもらおうかと思います。ご、ご迷惑でなかったらお屋敷に呼んでもいいでしょうか?あの、どっかの離れとかで全然構わないんで!」

「あら、そう?うちは全然構わなくてよ?それなら総二郎さんのお茶でおもてなしを・・・ねぇ、総二郎さん」

「あぁ、そうだな。そうしようか」


「・・・うそ!」


総二郎がパパとママにお茶会?それ・・・無理なんじゃないの?



**



そんなこんなでうちの両親が東京にやってきたのはそれから1週間後。

今はパパの古い友人を頼って水戸の方に行ってたから、総二郎がそこまで西門の車を迎えにやってくれてそのままお屋敷へ来るはず・・・私は本邸に着いた途端に2人が何をしでかすのかわかんないからずっと門の前で待っていた。


予定時間の午前10時、その車は西門に戻って来て、中から出てきたパパとママは恐ろしくこのお屋敷に不似合いな格好をしていて倒れそうになった!

「うわあっ!パパったらなんでそんな草臥れたスーツで来たの?他にはなかったの?ママっ!どうしてこの季節に春みたいな浮かれた色のスーツ着てんのよ!しかもそのお化粧はなに?ちょ、ちょっと・・・どうして今日みたいな日にもマトモな格好が出来ないの!」

「だってぇ・・・これが1番いい服なんだもん。ねぇ、パパ」
「うん、そうだよな?つくし、人を見た目で判断しちゃいけないんだぞ?」

「そういうことが通じる場所じゃないのよっ!もう、困ったなぁ・・・予想通りだったけど総二郎に相談しなきゃ。今日は月代様も来て下さるんだし・・・」


「何処がいけないのぉ?パパ、格好いいのに」「ママも可愛いよ。ピンクが似合うもんね!」・・・そんなアホな会話してる場合じゃないっつーの!!
こうなったら正面じゃなくて裏口から入ってもらおう、なんて思ってパパの腕を掴んで裏に回ろうとしたら後ろから声をかけられた。


「お父さん、お母さん・・・ですか?」
「うわあっ!そ、総二郎、なんで出てきたのよ!」

「なんだ、その言い方は!つくし、何処に行こうとしてるんだ?中に入ってもらえばいいのに」


いきなり登場した総二郎にパパもママも呆然としてその場に突っ立っていた。

本人に会うのは初めてのこと、総二郎の殺人的悪魔の笑顔は中年のおじさん、おばさんにも効果絶大だったようで、特にママはその場でひっくり返りそうになってた。
慌てて支えようとしたパパの腕も「離してよ、パパッ!」と振り払い総二郎にうっとりする始末・・・私は肩をがっくり落としてそこにあった石灯籠に縋ってしまった。


「で?何してんだ、つくし」
「いや、正面からじゃ恥ずかしいから裏口からと思って・・・」

「馬鹿か!自分の親に向かってなんて言い草だ?いいから正面から入っていただけ。お父さん達の控え室は桔梗の間だからそちらに案内しろ」

「・・・はーい」


私たちの会話を聞いて、何故か総二郎の男らしさ?みたいなものを感じたらしく、それはもう舞い上がっちゃって!
この文化財のような正面玄関から入ろうとした時も、ママは「ここが玄関?」って凄い上まで見上げていた。

「そう、ここが正面玄関だよ。靴は揃えて隅に置いといてくれたらいいから。じゃ、控え室に案内するね」

「つくし、こんな所に住んでるのかい?」
「・・・ここ、普通のお住まいなの?玄関がうちの居間より広くない?」


ははは・・・誰だって1番初めはここの玄関でまずこういう反応になるんだって総二郎が言った通りだわ。私も確かに同じような反応してここで怒られたもんね。


呆然としてパパとママを連れて桔梗の間に行くと、すぐにお手伝いさんがお茶を持ってきてくれた。
差し出すときには笑いを堪えてる・・・確かにこの2人は控え室でさえ似合わないわ、って自分の親ながら頭を抱ていた。

しばらくしたら廊下から声がかかった・・・総二郎だ。



「お寛ぎのところ、失礼致します」

途端、姿勢を正してカチンコチンに固まる両親・・・こんなのでお家元の前に出られるんだろうかと冷や汗が出た。

総二郎が静かに襖を開けて入ってきてパパとママに一礼する。
流石にこういう所作は一級品、いや特級品だから美し過ぎて、自分たちが頭を下げることも忘れて総二郎に見惚れてた。

「ちょっと、挨拶してるんだけど?!」って小さな声で言うと、慌てて「こっ、こんちきは!」・・・それ、『こんにちは』じゃないの?ってわざとギャグ言ってるのかとドン引きした。


「本日は遠いところから足を運んでいただき、誠に恐れ入ります。本来でしたら私の方が行くべきでございましたが、つくしさんの希望もございましてこちらにさせていただきました。
ご存じかと思いますが当家は茶道の宗家ですので少々堅苦しく感じられるかもしれませんが、どうぞお気を楽にされて下さい」

「はっ、はい!楽にしております故、おっ、お気になさらずに!」
「おほほほほ!わ、私たちこそなにも作法を、し、知りませんから・・・ど、ど、どうしましょ~!」


・・・完全にテンパってるわ。ヤバすぎる。
それでも総二郎は呆れたような顔もせず、ニッコリと笑ってくれた。

「改めまして。お父様、お母様、西門総二郎と申します。お聞きになっていらっしゃるかと思いますが、現在つくしさんと真剣にお付き合いさせていただいております。
そして将来を共に、と考えております。このように古めかしい家ですので苦労はかけると思うのですが全力でお守り致します。つくしさんもこの西門の伝統を受け継ぐ私の手伝いをして下さると決意いただき、日夜稽古に励んでいただいております。
ご心配はございましょうがお許しいただけますか?」


総二郎の真剣な言葉・・・「守る」って言葉の重さをこれほど感じたことはなかった。
私の方がドキドキしてる。どうしよう・・・涙が出そう・・・。


「・・・西門さん、私たちはこの子が幸せなら全然問題ないです。この子がここで苦労してもあなたが傍にいて幸せだと思うのならそれで・・・なぁ、ママ」

「そうねぇ・・・つくしならどんなところでも泣かずに頑張るんじゃないかしら。今までの苦労を考えたら少々のことじゃ負けないと思うから。西門さん、それでもつくしが弱くなった時には支えてやって下さいますか?」


「勿論です。私の方も支えてもらっておりますから」



今まですっごく格好良かったのに、ここでニヤリと私を見て笑った。
なんでそんなイヤらしい目でこっちを見るのよ!


いや、それより問題はこの2人が今からお家元達と会うってことだけど・・・。





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2018/11/06 (Tue) 14:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。


本日は一気にコメディーとなりました♥
これからは楽しくエンドに向けて走ります!!爽やか路線で(強調)

私、あんまり牧野パパとママを出さないので出してみたんだけど、こんな感じですよね?確かこんな夫婦ですよね?
明日も笑っていただけると嬉しいなぁ♥

2018/11/06 (Tue) 18:02 | EDIT | REPLY |   

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