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類の家が用意してくれた私の部屋で1人、ポツンと座っていた。

確かに可愛らしくてワクワク、ウキウキする部屋。
今まで田舎の和室暮らしだったからこんなお姫さまみたいな部屋は初めて・・・しかもたった1日でここまで準備出来るだなんてどんな家なんだろう。

この部屋には可愛らしい机もあって、そこにはノートパソコンが置いてあった。


「これ、使ってもいいのかしら・・・」

開いて電源を入れてみたら画面が表示され、触ってみるともうすぐにでもネットが使えるように設定されていた。


「花沢物産ってどんな会社なのかしら・・・調べてみよ」

会社だけは大きくて、って昨日類は言ったけど、それがどのくらいの規模なのか自分の目で見てみようと思った。

設立年月日、現在の代表者・・・そして資本金・・・うそっ!なに?この金額・・・すごいなぁ。
事業内容は鉄鋼製品、金属資源、モビリティ、化学、エネルギー、食料、流通事業、ヘルスケア事業、ICT事業、多種多様な商品販売とそれを支えるロジスティクス・・・ファイナンス、さらには国際的なプロジェクト案件の構築・・・。


瀧野瀬なんか比べものにならない大きさじゃない。

連結子会社は国内70社 海外200社以上、持分法適用会社は国内40社 海外150社以上で合計460社以上。
世界でも上位に入ってる大企業・・・決算報告も見たけど飛んでもない数字が並んでいた。


「そりゃこれだけのことを1日でやっちゃうわけだ。あら・・・そう言えば宮崎では少しぐらい私のことを探してるのかしら」

何気に瀧野瀬のホームページも覗いて見たけど、私が宮崎を出る前と何も変わってなかった。
そりゃそうか、まだ家を出てから4日しか経ってないもの。


ただ、探さないためにも無事でいることを伝えた方がいいのは確かかもしれない。

「ホームページのお問い合わせに入れちゃおうかな。IPアドレスからこのお屋敷が特定されるとは限らないし、メールが送られるルートまで調べるかしら?その時はその時か・・・じゃ、メールアドレスは宮崎に置いてきたスマホにすれば問題ないし・・・よし!」


『つくしです。心配かけてごめんなさい。私なら元気にしていますから安心して下さい。新しい世界でいろんな発見をしてきますのでもう少しそっとしておいてね♥』


こんな感じで送っておけば安心するかしら。
これでお父様、お母様、お爺様の誰かには伝わるだろう・・・そう思って、ポチッと送信ボタンを押した。



「お風呂どうしよう。やっぱり類の部屋に行くしかないのかなぁ・・・」

着替えとパジャマを持って部屋の中をウロウロ、ウロウロ・・・何周回ったかわかんないぐらい回った後で、決心固めて類の部屋をノックした。
「どうぞ・・・」とすっごく小さな声が聞こえたから恐る恐る開けて中に入ったけど・・・類が何処にいるのかわからなくてキョロキョロしてたら、奥のドアが開いて昨日と同じようにバスローブ姿の類がヌッと出てきた!


「きゃああぁーっ!ごめんなさい、まさか今の時間がお風呂タイムだとは思わなかったの!ホントにごめん!」

「・・・別にいいよ。見られてもなんとも思わないから。牧野も入りに来たの?」

「そそそ、そうなの!あの、類のお部屋じゃなくてもいいんだけど、その、他にあるならそこでも!」

「母さんの部屋とか?」

「いや、そうじゃなくて・・・」


どうやらこのお屋敷ではそれぞれの家主は自分の部屋の専用バスルームを使ってて、ゲスト用ってのはあるけど普段は使ってないらしく、お願いしてもすぐには準備出来ないようだった。それにこんな時間から頼みにくいし・・・。
だから仕方なく今日もこの部屋のバスルームを借りることにした。


彼が使った後だって思うと緊張する・・・。
このドアの向こう側に男の人がいるんだって思うと、2日目なのになんで今日の方がドキドキしてるんだろう。



**



「はぁ、さっぱりした!じゃ、おやすみなさい、類」

「ん、おやすみ。ゆっくり寝てね」
「うん、また明日」


お風呂から上がったらパジャマにタオルなんて引っ掛けた格好で、花沢類の部屋を出て自分の部屋に戻った。
ゆっくり寝てね・・・だって!何だか凄く照れ臭い・・・類は今から何をするんだろう。昨日みたいにテレビ観るのかな?

明日にはドアが出来るって言われた壁の方を見て、まだ濡れてる髪をゴシゴシ拭いた。



そのあとすぐに髪を乾かしてベッドに潜り込んだ。
あんまりにもいい香りがするお布団で、それにすごく暖かくて嬉しくなって・・・でも、風で窓ガラスがガタッって鳴ったらビクッとする。
急いでベッドから出て鍵を確認するけどちゃんと閉まってる。なのに、またガタガタッと鳴ると気になって眠れない。

もう何回も確かめたのに・・・これだけのお屋敷だから防犯設備だってちゃんとしてるってわかるのに。


「やだ、もうっ・・・宮崎の方が山の木が五月蠅くて喧しかったのに、なんで風ぐらいで寝られないの?」

今度は頭から布団を被って音を聞かないようにしたのに、逆に耳が冴えて些細な音が気になって気になって・・・。


何処かからサイレンの音?
今のは犬の鳴き声?
この音は何かの機械音?

・・・・・・誰かが廊下を歩いてる?

誰かが私の部屋の前にいるような気がして、またベッドを抜け出した。
そしてドアまで行ってそっと耳を当ててみる・・・確かにコトンと小さな音が聞こえた。

まさか・・・こんな大きなお屋敷なのに泥棒?大きすぎて逆に戸締まりしてない場所があったりして?


すぐ傍にあった調度品の花瓶を片手に持って、すごく怖かったけど思い切ってドアをバンッ!!と開けてみた!
それと同時に思いっきり花瓶を頭の高さまで上げて・・・!

そこに居るのは誰っ?!・・・・・・あれ?」



「ごめん、俺だけど」

私の部屋の前にいたのは類・・・バスローブ姿で、今にもノックしようとしてたのか片手を拳にして肩の高さにあげていた。
ハッとして自分の手に持っていた花瓶を後ろに回したけどもう遅い。

「あっ、あの、ごめんなさい!誰かが居ると思って、まさかとは思ったけど泥棒だったらと・・・」


「取り敢えず花瓶・・・元の位置に戻してくれる?」



*************



もう何回目だろう・・・隣の部屋の窓がガタガタいうの。
牧野が何かを確かめてるんだろうけど、そんなに外が気になるのかな・・・それともこの程度の風が気になるんだろうか。

防音壁だから声なんて聞こえないし床を歩く音はしないけど、流石に窓をあれだけ鳴らされたら俺の方が気になる、そう思って部屋を確かめに行った。


でも、こんな時間に女性の部屋を訪ねるのってどうなの?
いや、昨日は同室なんだから気にしなくてもいいのかな・・・こんな場面に慣れてないから廊下まで出た割にはノックしようかやめようかと悩んでいた。

でも、こんな場面を使用人に見られたらすごくガッついた男に見えない?
それも・・・イヤだ。


まぁ、ここは恋人設定だからいいか、って事でノックしようと手をあげた瞬間にドアの方がすごい勢いで開いた!

「そこに居るのは誰っ?!・・・・・・あれ?」

「ごめん、俺だけど」


すごく驚いた・・・目の前で振り上げられたの、ガラス製の花瓶・・・だよね?

まさかそれを俺の頭目掛けて投げるつもりだったんだろうか?
あまりのことに衝撃を受けてしばらく声が出なかったけど、牧野が謝ってきたから取り敢えず花瓶は元あった場所に戻してもらった。


「本当にごめんね!すごく怖かったもんだから・・・」
「いや、怖かったのは俺でしょ。どうしたの?寝られないの?窓を何度も確かめに行ったでしょ?」

「うん・・・慣れないからだろうけど風の音が気になって・・・窓が開いてるのかと思ったんだけど閉まってるし」
「このぐらいの風が気になるの?そんなに九州って静かなの?」

「ううん・・・実家の方が五月蠅かった・・・でも、何となく落ち着かなくて」
「昨日はぐっすり寝てたけど?」

「1人じゃなかったから・・・」


庭ではしゃいでいた時や食事の時とは大違い・・・小さな子供のようにしゅんとして困ったような顔をした。
牧野の言った家出の目的もイマイチ理解は出来ないんだけど、それでも1人で都会に出て来たんだから今頃になって不安になったんだろうか。

変なの・・・この子。



「それなら・・・俺の部屋に来る?昨日みたいに」





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2018/11/13 (Tue) 02:31 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/13 (Tue) 06:40 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/13 (Tue) 13:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

桜姫様、こんにちは♥

むふふ・・・って感じにはなりそうにないですが、類君ったら誘っちゃいましたね!
どうなるんでしょうね・・・少し近寄ったりして?

ふふふ、楽しみにしててくださいね!


あら・・・類君の方が先に恋するのかしら?♥

2018/11/13 (Tue) 15:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

どうなんでしょうねぇ・・まだそこまでの感情はないのかもしれませんが(笑)
あまりにも変わってるので気になって仕方ないのかも・・・それがやがて恋に変化してくるんでしょうかね?

無感情と天然田舎娘なので時間がかかりそう・・・焦れったいでしょうが気長にお待ち下さいませ(笑)

2018/11/13 (Tue) 15:17 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ルチノー様・・・こんにちは。

ちょっとーーーーーーーーーーーーーっ!!!
やめてーーーーーーーーーーーーーーっ!!!

お話は置いといて、それはいいとして!!

爆笑っ!!


ルチノー様に花瓶振り下ろしていいですか?

なんでレストランに2号店が出来てんのーーーーーーっ!!!
Gip様に見せたくなるじゃん!!

いや、怒られるの私だからしないけど。
(優しいと思ったら大間違い。めっちゃ怒られるんだから!厳しいのよ?Gip様・・・)

2018/11/13 (Tue) 15:23 | EDIT | REPLY |   

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