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plumeria

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『なんの嫌がらせ?ねぇ、どうしてその日なの?おかしくない?平日だよ?』


記者会見をフランスで見ていた類からの苦情・・・結婚式が自分の誕生日と重なってるからって朝からすげぇ不機嫌な声で電話がかかってきた。
あきらからも電話はあったが2月は結納だから内々の事。報道もされないし誰も呼ばないから怒ってはいなかった。
むしろ記念日が重なったって喜んでる感じもあったぐらいだ。

だけど、やっぱり結婚式となるとそれなりに報道もされるし、こいつらも呼ぶし・・・いや、来なくても全然いいんだけど。


「色々事情があるんだって」
『どんな事情?早過ぎない?記者会見から2ヶ月・・・どうして急ぐのさ』

「どうしてって・・・だから色々?」
『普通は記者会見から半年先か1年先だよね?色々ってなに?』


この低くて不機嫌な声は全部わかってるはずなのに・・・どうしてそこを納得しねぇんだ?
わざわざ俺の口から言わせて文句言いたいって事か?相変わらずつくしの事となると面倒臭いヤツだな・・・類。


「その頃じゃねぇとつくしがドレス着れねぇからだよ。それ以上延ばすと・・・腹が出るから」
『・・・・・・』

「類、わかってるくせに黙るのやめろ」
『・・・いつなの?』

「予定日は9月20日。そういうことだ」


このあと無言で電話を切りやがった。
自分の誕生日パーティーを優先して戻ってくるなよ、そう言おうと思ったのに。


記者会見が終わったことで色んなところから祝いの訪問と届け物が毎日のように・・・20畳ほどの部屋を二間使ってもその品が収めきれずに空き部屋を利用して使用人達が送り主と品名を書いて整理するのに大忙し。
これに対してお袋とつくしが毎日のように対応して、疲れ過ぎてダウンすることもあって心配だった。

それにこの季節だからインフルエンザとか風邪とかを屋敷に持ち込まないように、罹患した者は速効屋敷から追い出し、いや休暇を与えてつくしに近づけないようにとお袋の厳戒態勢は続いた。
それに屋敷には看護師が1名常駐し、常につくしの体調管理に食事指導と検査・・・ついでに俺が無茶しないかと監視されてるようだ。たまに来る鋭い視線にビクッとする・・・あの主治医には信用されてねぇからな。


「総二郎様、宜しいでしょうか」
「どうかした?志乃さん、そんな怖い顔して」

「あのう・・・それがお届け物の中に気になるものがありまして」
「気になるもの?」

怪訝な顔して俺の前に来た志乃さんが手招きして連れて行ったのは贈り物の置いてある部屋。そこに親父とお袋もいて、2人共が同じように腕組みして悩んでいた。


「どうしたんだ?嫌がらせでもあったのか?」

「まぁ、なんとなく嫌がらせみたいなものかしら・・・ねぇ、お家元」
「どうだろうなぁ。いや、好意として受け取ってやろうか・・・昔の盆栽の罪滅ぼしと思って」

「なんの話をしてんだよ!で、誰が何を送ってきたんだ?」


2人の目線の先には真っ白な布がかけられた足つきの漆黒塗り台がある。
そこに何があるのかと思って捲ってみたら・・・


「なんだ、これ?布・・・反物じゃね?なんにするんだ?」

「それ、白無垢用の正絹よ。しかも最高級品で鳳凰や御所車柄の総手刺繍・・・相当なお値段だと思うわ」

「・・・は?何処の誰がこんなもの・・・・・・まさか、盆栽の罪滅ぼしって・・・!」


「そう、道明寺家の使いの人が持ってきたんだよ」


馬鹿か!!なんでつくしに司が選んだ生地で白無垢作んなきゃいけねぇんだよっ!しかも前の男モトカレなのに・・・!
西門を虚仮にしてぇのか・・・司の野郎!


「叩き返せ、こんなもの!つくしには俺が選んだもので全部作るって決めてんだから必要ねぇってな!!」

「そうなんだけどお手紙までついてるのよ。『結婚式には死んでも出席しないが確認だけはさせてもらう。この生地じゃなかった場合西門に走攻撃をかけるからな』・・・”走”の字が違うような気もするけど、総二郎さんの名前も書きたくなかったのかしらねぇ?」

「・・・違ぇよ、本当に漢字を知らねぇだけだ。でも赤い生地もあるがこれはなんだ?」

「あぁ、おそらく”ふき”じゃないの?」


白無垢には「生まれ変わる」という意味がある。

結婚式で白無垢を着る意味は、「結婚する以前の自分は一度死んで、新たに嫁ぎ先に染まりそこで生きる」ということを表現してんだ。
今となっては古いと思われるだろうが女にとっちゃ自分の姓が変わるってんでそう言われてきたもの・・・

そして「ふき」とは裏地を表に折り返し綿入れをしている裾部分のこと・・・そこを赤で仕立てることで目出度い「紅白」とも考えるし、一度死んで生まれ変わるときの「血の色」を表し、新たな命の誕生を表現しているわけだ。

あの鈍い司だから類のように感付いたんじゃなくて、誰かからつくしの妊娠を聞いたな?
それでこんな嫌みったらしいことを・・・!


『西門が一番嫌がる祝いの品はなんだ?』・・・そう言ってタマさんに頼んで揃えさせたんだろうが!



「でも、確かに嫌みな贈り物だけど道明寺家の紋入りの着物が来た訳じゃないし・・・」
「そんなもの来たら燃やしてしまえ!」

散々議論した挙句、白無垢になってしまえば気にならないだろうってことで、こいつを使って大至急仕立てることにした。

すげぇムカつく・・・マジで腹が立つ!
でも、まぁ・・・それを許す心の広さを見せるのもいいか。

いや、やっぱり許せねぇけど!


くそっ・・・トランプで馬鹿にしたことを相当根に持ってるな?



**



2月28日

朝から雪が降っていて、月代の屋敷全体を白く輝かせていた。
本来は牧野家で行うべき結納だが、ここは後ろ盾となる月代家につくしの両親を呼んで行った。


西門は元々が京都・・・だから関東で行われる結納とは少し違い、独自のしきたりがあったがどちらかと言うと関西式。
一般的には武家の流れを汲む関東式は質素、公家の流れを汲む関西式は豪華と言われているが、まさに豪華絢爛、ド派手だった。

普段の茶会などが質素だからだろうか、こんな儀式のようなものは派手にしたがるんだよな・・・特にお袋が。


関西式では結納は男性から女性へ贈るものという考え方が強く、関東式のように結納金の「半返し」のような習慣はなし。つまり女性側から受け取るものがなく、牧野の家にはラッキーだっただろう。

ただし西門では結納金というものがそもそもない。
本来はそれを使って嫁入りの支度をして欲しいという意味だが、女性の支度は総て西門で用意するものと決まっているから。


この時、つくしは当然牧野家側に座り、俺と向かい合わせ。
2月らしく梅の花模様の振袖を着て、心なしか頬を紅潮させてるつくしは可愛らしかった。


そして仲人役の九頭竜会長の嗄れた声で結納は始まった。

「本日はお日柄もよく、ご両家様には誠におめでとうございます。
ただいまより、牧野つくし様と西門総二郎様との結納の儀をとり行わせていただきます」

金屏風の前に並べられた品々と目録、それを見る牧野の父さんと母さんの目が怖い・・・噴き出しそうになるのを必死に堪えて次の言葉を待っていた。

「こちらは西門様からのご結納の品でございます。どうぞ幾久しくお納めください」

それに返事をするのはつくし本人。
まだ出てもない腹だけど前屈みになって礼をするのに何故かハラハラして、今度は俺の方が身を乗り出してお袋に小突かれた。


「ありがとうございます。ご結納の品、幾久しくお受けいたします」


このあとも形式的な会話が幾つかあったが、そんなものは耳に入らず俺は美しくなったつくしだけを見ていた。
目が合うと恥ずかしそうに、少し怒ったような顔で睨む・・・俺はそんなつくしに得意の角度でニヤリと笑う。
月代の大伯母様がそれを見てクスクス笑うと、今度は親父とお袋にまで睨まれ、訳のわかんない牧野の両親は思いっきりキョロキョロする。

もしかしたら今までにない西門の結納かもな。


「これをもちまして、牧野つくし様と西門総二郎様とのご結納式は滞りなくあい済みました。
本日は誠におめでとうございます」


会長の最後の締めの言葉の時、雪は降り止んで温かい日差しがあった。




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2018/11/17 (Sat) 16:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

抹茶と鶯様、こんばんは。

出ました!ブリザード類!
とんでもない冷気を含んだ電話だったんですよ、きっと。
総ちゃんの耳が凍傷になったかもしれません・・・。

この前、総ちゃんで遊ぶからこんな事になるのよ(笑)
お誕生日をとるか、結婚式をとるか・・・さて、どっちでしょ!

司君の贈り物(笑)


西門が一番嫌がる贈り物はなんだ?・・・自分でもここ、気に入ってます♥

タマさん、怒ればいいものをちゃんと用意したところが凄いけど(笑)


いよいよラスト前~♥長かったなぁ・・・。
(マジで疲れたこの話・・・なにがって?うん・・・お子が出来たときの話ですよ)


2018/11/17 (Sat) 23:04 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/17 (Sat) 23:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

抹茶と鶯様、こんばんは!

うそっ・・・ドキ!そのツカサは知らない方がよくないですか?

あの時、読者様にも言われたんですよ。
「勇気がありますね」って・・・。

つかつくさんが来ないと踏んでの愚行ですからね(笑)

いやいや、怖いわーっ!

しかし・・・私だけじゃなかったんだと言うことが嬉しいです♥
(味噌味のキスもあるけど。あとは家電品視点!!これは誰かいるのかしら?)


えっ!あの時レバニラだったの?(笑)
ニラの香りがするお子が産まれたらどうしましょ!!

2018/11/18 (Sun) 01:24 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/18 (Sun) 01:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

抹茶と鶯様、こんにちは。

はっ!ヤバい・・・思い出させちゃった(笑)

逃げなきゃ!!
また捕まえられる~💦💦

今年は暖冬だも~ん!!

2018/11/18 (Sun) 13:46 | EDIT | REPLY |   

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