FC2ブログ

plumeria

plumeria

キスしようか・・・そう言われた時冗談だと思った。

私が変なことを言ったから、まるでキスの催促でもしたと思ったのかしら。
それとも、こんなの大したことじゃないよ?って言う意味?

「え、いや、だって私たちは嘘の恋人だよ?」
「・・・それでも出来るんじゃない?」

「類・・・?」

スローモーションにように類の顔が近づいてきて私の頭に手を添えて引き寄せる、その瞬間にどうしていいのかわからなくなって目を閉じたら・・・温かい唇がそっと私のそれと重なった。

ほんの少し舌先が当たったような気がしたけどそれに驚いて身体が固まる!
慌てて類の胸に手を当てたらその唇はゆっくり離れていって・・・そして彼の茶色の瞳は私の目の前にあった。


ドキンドキン・・・!
心臓が口から出るのかと思うぐらい五月蠅くて、目だって床に落ちるんじゃないかってぐらい見開いてしまって、たった今彼の唇が触れた所に震えながら自分の指を当てた。


「・・・ごめん、嫌だった?」
「う、ううん、そうじゃなくて・・・あの、古い本で読んだのと同じだと思って・・・」

「古い本?」
「そうそう!あの・・・初めてのキスは、その・・・レモンの味だってヤツ?」

「あぁ、レモン味のケーキ食べたからじゃない?」
「・・・は?」


・・・そう言えばレモン入りのチーズケーキだったけど、それって・・・

すっごく真顔の類と見つめ合ったまま、今の言葉をどう理解しようかと思っていたら、後ろでガタン!と大きな音がして2人でリビングの入り口のドアに視線を向けた。


「何やってらっしゃるの?パパ!もうっ・・・ドジね!」
「すまん、すまん!あんまり横に身体を傾けたもんだから足が滑って・・・」



その声はお父様とお母様!
まさか、今のを見てたんじゃないでしょうね?!

今度はそっちに驚いてアタフタしてたら、類は大きな溜息ついて元の位置に戻った。そして「入ればいいじゃん・・・」って声をかけると、ニコニコ笑いながら2人が入ってきた。


「なにコソコソ見てんのさ・・・覗き見なんて趣味悪いよ」

「いやぁねぇ!覗き見なんてしてないわよ、ちょうど開けて入ろうとしたらあなた達が・・・ねぇ、パパ」
「いや、まぁいいことだぞ?仲がいいってことは素晴らしいことだ。うんうん・・・ただ使用人もいるんだから、自分の部屋に戻ってからの方が気にならなくて、もっとゆっくり出来るからいいと思うがな、類」

なんの話をしてるのよ!
み、見られたのなら仕方ないけど、これはあくまでも「お試し」のキスみたいなものでそんな深い意味なんて・・・!

「わかったよ。今度からそうする」
「今度から?!」


隣を見たら、類は涼しい顔して残りの珈琲飲んで、加代さんが私の作ったケーキを2人に出した。
「あら!つくしちゃん、上手なのねぇ!」ってお母様に褒めていただいたけど、私はいつまで経っても自分の唇に残る類の・・・類の唇の感触が忘れられなくて顔が赤いままだった。



**



「それじゃあ先に休むね。会食お疲れ様・・・明日、イギリスからあきらが帰ってくるから挨拶に来るって言ってた。都合が良かったら会ってやって」
「おぉ、あきら君もヨーロッパの統括部長だろ?忙しそうだな。来たら教えてくれ、少しぐらい会えるだろう」

私には判らないけど明日の仕事の話を少しだけして、類はリビングのソファーから立ち上がった。
私も2人に頭を下げて類の後について部屋を出ていき、階段を登りながら今の話を聞いてみた。


「あきら君って言ってたけどお仕事関係者の人をそう呼ぶの?若い人?」

「あきらはさっき話した俺の幼馴染みの1人。美作商事の一人息子でね、普段イギリスで仕事してるんだけど、一時帰国して日本にいるから顔を見せに来るんだって」

「類のお友達なのね?」


凄く普通に話してるつもりだったけど、本当は今でもドキドキしてた。
この後お部屋に入ったら本当に2人っきり。お父様の言葉じゃないけど、またあんな事されたら・・・それを想像したら身体中が熱くなった。

この人はどうなのかしら・・・私みたいにドキドキしてる風には見えないけど。

チラッと横顔を見上げたら今日はすぐに目が合って、慌てて視線を逸らせた。


「自分の部屋のドアから入る?」なんて少し変わった言い方だけど「うん!そうする」って答えてひとつ向こう側のドアを開けた。入った瞬間、その場に座り込んでまた口元を手で覆う・・・目の前まで来た類の顔を思い出しただけで胸が苦しかった。

「こんなんじゃ朝までに呼吸困難で死んじゃうわ・・・と、取り敢えず少し休もう・・・」


這うようにしてベッドまで辿り着き、その上にコロンと寝そべった。
テレビも何もつけてないからシーンとしてる・・・壁の真ん中についたドアの向こうであの人は何をしてるんだろうって考えていた。

カタンって音がした。
もしかしたら歩いてる?今の音・・・足音かしら。
あっ・・・テレビつけた?音楽が聞こえてきた。


昨日は壁だったところがドアになったからなのか、ほんの少しだけ音が聞こえるような気がして自然と耳に意識が集中する。そんな自分が嫌でブンブン頭を振って耳を塞いで「あーあーあー!」なんて呟いてみるけど効果なし。

どうしても頭の中に類の近づいてくる甘い顔がチラつくから、ガバッと身体を起こしてベッドから飛び降りた!


「こんな時は何も考えないのが1番なのに!こうなったら宮崎でやってた精神統一法で・・・!えーいっ!!」


類の部屋に行くドアのちょうど真反対。
そこの壁の前に立って、ワンピースなのに気合いを入れて壁倒立をした!!

宮崎では何も考えたくない時にはこうやってたのよ!そのうち苦しくなって倒れた時にはそれまでのことなんて忘れて・・・



「牧野、お風呂なんだけど・・・・・・え?」
「・・・・・・!」

その時、類がドアを開けて私の部屋を覗いた。
だけどその正面に見えたのは逆立ちしてる私の姿で、ワンピースだから逆さまになって見えるものは・・・!!

「きゃああぁーっ!ノックしてから入りなさいよっ!!」




*******************



<宮崎・瀧野瀬邸>

「お父様、つくしの行方は本当にわからないのですか?あの子はこの屋敷からは殆ど出たことがないんですよ?24にもなってるけど1人で普通の暮らしが出来るとは思えません。今日で5日目・・・もう警察に届け出ませんか?」

「いや、つくしは頭のいい子じゃから何とかしてるだろう。それに浩司君との祝言を嫌がって恋人を探すだなどと訳のわからんことを言いよったが、すぐに諦めて戻ってこよう。騒ぎ立てて変な噂が流れても五十嵐家に迷惑だから放っておきなさい」

「でも、変な所に連れて行かれたら逃げることも出来ないでしょう?そう言えば本社のホームページにはつくしだと思えるメールが来ていたと聞きました。無事だから探さないでって・・・お父様、いいのですか?私は心配で心配で・・・」

「・・・つくしは心配いらん。あの子は必ず戻ってくる」


警察になど言えるものか。
こうなった経緯を説明しているうちに何処で綻びがでるやもしれん・・・。

しかし、本当に出て行くとは思わなかった・・・この屋敷から出ようなどと考えないように何も世間の事は教えず、儂の言うことだけ聞くように躾けてきたのに。
自分の生きる場所はここだけ・・・そう思わせていたのに何という度胸じゃ。まったく・・・!


それに早く戻って来て操作させなくては・・・こうしている間にも世の中の金融は動いておるのだからな。
つくしの先読み能力だけは神憑り的なものがある・・・あの子の力がないと金が動かんじゃないか!

何処に行ったのか知らんが、早く自分の場所に戻って来い・・・つくし!





soap-bubble-1940492__340.jpg
関連記事
Posted by

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/20 (Tue) 06:21 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/20 (Tue) 10:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 こんにちは。

だんだん変化が出てきたかしら?
ふふふ、でもこの話数では私の場合まだまだ・・・(笑)

あきら君、スパイスになるかお邪魔虫になるかはもう少し後ですが、ひとつのきっかけでしょうね。

あはは!お爺様・・・こういう悪人も必要なんですよ(笑)
つくしちゃんが進んで悪事を働いてないことだけは確かですよ。ご安心を♡

2018/11/20 (Tue) 12:21 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんにちは。

あっはは!思い出させますね(笑)
もう1年前の話なのに・・・強烈でしたかね?味噌味・・・。

ここまでは意外と早かったでしょ?隣の部屋なんて告ったの何話目だっけ?遅かったですよね(笑)
ありゃ告ったと同時にヤッちゃいましたけどね。

この類君・・・告れるんだろうか?(笑)


「好きかも・・・?」
「あたしも・・・?」

こんな感じになりそうですよね・・・いかんいかん、もう少しLOVE度を上げていかないと!

だから、いきなりそんなことになりませんから。
「待て!」ですよ?(笑)

2018/11/20 (Tue) 12:26 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/21 (Wed) 21:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz**様、こんばんは。

あはは!驚きました?類君も凄い事言いますよね♥
でも、そのぐらい類君も本気で誰かを好きになったことがないんだと思います。

でもその結果・・・いい方向に進む第1のきっかけかも?ですよ!


逆立ち・・・確かにスカートの時はダメですよね(笑)
今度はつくしちゃんがテンパっていたんだと思います!

やれやれな2人です(笑)

2018/11/21 (Wed) 23:58 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply