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plumeria

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「そんなに泣くこと?いいじゃん、ちゃんと履いてたんだから」
「だから!そんな問題じゃないでしょうっ!」

「でもさ、よく考えてみて?何処の世界に24歳の女性が部屋の中で逆立ちしてると思う?それ、やるとしても中学生ぐらいまでじゃない?しかもワンピースってわかっててやる?普通はパンツスタイルの時じゃないの?」

「もう黙ってて!」


牧野はあの後思いっきり体勢を崩してドタッ!と凄い音を立てて床に落ちた。
見えたのは右足の包帯と・・・白いパンツ。

それは否定しないし目が離せなくなったのも事実だけど、だからってそこまで怒って踞って泣かなくても・・・。


牧野の部屋の入り口で壁に縋って腕組みしてる俺と、俺から1番離れた所の部屋の隅で壁に向かって踞ってる牧野。
確かに女性の部屋をノックもせずに開けたんだから悪いとは思うけど、ご飯食べて、仮にもキスした後に壁倒立してるだなんて誰も思わないよね。

むしろ驚いてるの、毎回俺じゃないの?


「それじゃお風呂の準備出来てるから後で落ち着いたらおいで?俺は先に入っとくから」
「・・・・・・」

「ちゃんと入らなきゃダメだよ。今日まで薬塗らなきゃいけないでしょ?」
「・・・・・・」

完全に拗ねて返事もなし・・・仕方ないからドアを閉めて自分の部屋に戻った。


シャワーを浴びた後でまたソファーに座ってパソコンでメールのチェック。
そんなことをしながら頭の中でリビングの出来事を思い出していた。


キスなんていつしたっけ?・・・不意打ちのように静がしてきた時以来?それもあんまり覚えてない・・・その時にこんなにドキドキしたっけ?
いや、何とも思わなかった。だから・・・さっきしてみたかったんだ。

やっぱりキスなんて恋愛感情なくても出来るものなのかって確かめたくて・・・でも、今はすごくその時の感覚も感情も覚えてる。
自分の身体が瞬間熱を持って、唇を離した後に見つめた牧野の目の中に俺が映ってて驚いた。

あんなに近くで人の目を見たことなんてなかったから。
しかも真っ黒で大きくて、吸い込まれるかと思った。

あの時、父さん達が入って来なかったら・・・もしかして、俺?



コンコン・・・


「・・・どうぞ」
「お邪魔します・・・」

俺が返事したら牧野がパジャマを持って入ってきた。真っ赤な目をして・・・ほっぺたまで赤くして。
だから1度見ただけですぐに視線をパソコンに戻して知らん顔。そしたら俺の前を小走りでバスルームに向かい、バタンと大きな音を立てて閉めた。

くすっ・・・分かり易いよね。まだ3日しか一緒にいないけど。
それでもちゃんとノックして入ってきて、お風呂に向かったんだから良かった。


これでもう忘れるかな?
いや、忘れないか!壁倒立でパンツ披露なんて、一生覚えてるだろうけな・・・そんな女の子を拾ったってこと。



***************



類が自分の部屋に戻ってからしばらくショックのあまり立ち上がれなかった。
類の言うことが正しいってことはわかる・・・確かにノックするしないは別として、ワンピース着たまま壁倒立する24歳はいないよね・・・体操選手じゃないんだから。いや、体操選手はジャージだよね。


よく考えてみて、つくし・・・たとえこれがワンピースじゃなくてパンツスタイルでも、今度は上着が捲れてブラ丸出しなのよ?
あんなに麗しい男性に披露していいわけがないわ・・・。


「はぁ・・・私ってどうしてこうなんだろう。こんなんで素敵な恋人を見つけることなんて出来るの?全く自信がなくなったわ・・・」


あんまりにも落ち込み過ぎて今度はどうでも良くなった・・・って言うか、これで類と私は恋に落ちないことが決定したと言ってもいいぐらいの醜態だもん。
ドキドキし過ぎた数分後にこんなに撃沈されるとは思わなかった。

世の中って甘くないわよね・・・って呟きながら立ち上がり、可愛らしい洋服ダンスの中からパジャマを取りだして真ん中のドアに向かった。

ノックすれば間違いないわ・・・この向こうで類が全裸になってたらきっと「待って」って言ってくれるはずだから。
ここでも変な事ばかり考えてノックして、返ってきたのが「どうぞ」だったから静かに開けて彼の部屋に入った。


あ・・・なんだ!ソファーでパソコンしてる。それにもうバスローブってことはお風呂上がりだよね?
1度目が合ったと思ったけどすぐに類はお仕事を始めたから、その前を小走りで走ってバスルームに向かった。

はぁ・・・たったこれだけのことですっごく緊張した!


シャワーで身体を洗ってバスタブで少しだけゆっくりして・・・さっき類が入ったんだって思ったらまた胸が痛くなったけど、お湯で身体を温めたら気分まで緩んじゃった。
いい香り・・・これ、いつも類の髪から香ってくるシャンプーの香り?

横を見たらバスルームに似合わないほど大きな鏡がある。そこにぼんやり映った自分の顔を見た。

よし・・・!もうここから出たら普通にしよう。
さっきのことを謝って、今日は自分の部屋で寝よう・・・そう思いながらザバッとお湯からあがった。


ドレッシングルームには今日もピンク色のバスローブが置いてある。
そうか、今日まで手当があるからパジャマだと出来ないのか。それとも自分でする?・・・でも、そう言ったらまだ怒ってるように思われるかな?

下着姿でどっちにしようか散々悩んで、結局バスローブにした。
だって自分の部屋に戻ってからパジャマになればいいんだもん。よく考えたら悩むことなんてなかった。



「類・・・あの、さっきはごめんね」

「・・・ん?いいよ。気にしてないから」

「あ、えっと・・・手当・・・」

「ちょっと待ってて・・・あと2件ほどメールの返信するから」


そう言ってカタカタキーボードを叩いてる。
類の真剣な表情をベッドに座って見ていた。あ・・・目を擦った。もう眠たいのかな?


「よし、終わった!じゃ、薬塗ろうか。昨日みたいに座って」
「うん。ありがとう」

「良かったね、1日だけで包帯が終わって」
「うん・・・良かった」


やだ!やっぱり意識しちゃって会話が出来ない!

そんな私を無視して類は昨日と同じようにガーゼに薬塗ってそれを患部に当てて、太股に包帯を巻いてくれる。
「もう少しあげて・・・」なんて言われて足を浮かせると、私の肌に彼の手が当たって包帯と一緒に撫でるように動かすからゾクゾクしちゃって・・・ドンドン顔が変になっていくのが自分でもわかった。

どうか今この瞬間に類が顔を上げませんように!って思った瞬間、彼と目が合って変顔MAXの私を見られた。


「・・・ぷっ!なんでそんな顔?もう痛くないんでしょ?」
「い、痛くはないけどくすぐったいんだもん!」

「あ・・・そっか。ごめんね」
「ううん、大丈夫・・・」


処置が終わったら救急箱を片付けてる類に向かって「おやすみさない」って言葉をかけた。
ニコッと笑って「おやすみ」って・・・どうしてだろう、引き止めて欲しいような、1人でぐっすり寝たいような?

取り付けられたばかりのドアを開けて、閉める寸前に彼を見たら・・・もうベッドの中に入って姿が見えなかった。


寝るの、早っ!!





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Comments 8

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2018/11/21 (Wed) 00:13 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/21 (Wed) 06:50 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/21 (Wed) 08:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

桜姫様、こんにちは。

あはは!笑っていただけて嬉しいです。
きっと最後までホッコリしてると思いますよ♡

ちょっとだけ事件はありますがこの調子で進むと思います。
まだまだ先が長いと思うので宜しくお願い致します!

2018/11/21 (Wed) 10:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

あらら・・・邪魔かどうかはわかりませんが💦
恋が進むためには起爆剤が必要ですのでねぇ・・・何もなかったらこの2人は進まないと思いますよ?(笑)

その時には我慢してくださいね(笑)
間違っても何かが起きることはございませんけどね。私もダメなので。

いつもコメントありがとうございます♡

2018/11/21 (Wed) 10:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、こんにちは。

だ、大丈夫ですか?包帯グルグル?
そりゃ類君に巻いてもらわないとっ!!7針って・・・結構酷くないですか?

私も同じ場所に切り傷があります。
ここね(笑)意外と動かすから痛いんですよね・・・。お大事にしてくださいね💦
何かあったら「花沢外科」にお電話ください!


お話・・・そうなんです!まだ3日目!
スピードアップしなきゃ!(笑)

2018/11/21 (Wed) 10:31 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/21 (Wed) 21:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz**様、こんばんは。

ふふふ、それは今からのお話でわかります。
三年寝太郎・・・でも、やるときにはやる類君です(笑)

しかし・・・毎回こうやってお部屋のことを書いているといつまで経ってもお話が進まない(笑)

すこしスピードアップしましょうかね!

2018/11/22 (Thu) 00:01 | EDIT | REPLY |   

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