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先月お届けした「木犀花」の陽葵ちゃんのお話・・・あれから1年後です♡


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ある年の秋の初め。

出産予定日を1週間も過ぎた頃、そろそろつくしを病院に入院させた方が良くないかと家元達にも心配されていた。
だけど陽葵がいるからギリギリまで、そう言ってつくしは大きな腹を抱えて西門の本邸内をウロウロしては皆をハラハラさせ、尚更その回りを陽葵がウロチョロするもんだから危なっかしくて仕方ない。

すれ違う使用人全員から「陽葵様、危のうございますよ?」と声をかけられても、自分がつくしを守ってる気分になってるから言う事なんて聞く耳持たず。


「ひまが母ちゃまを見てるから心配しなくていいんでしゅ!みんなはお仕事をしてくだしゃい!」
「陽葵、そんな言い方はダメでしょ?みんなは母様を心配してくれてるのよ?それに陽葵が転けたらそれも困るでしょ?」

「ひまはお姉ちゃんでしゅ!こけたりしましぇん!」
「あはは!じゃあお姉ちゃんになるんだからそろそろ言葉の練習しないとねぇ?」

「・・・がんばりましゅ!」


そんな光景も微笑ましいっちゃ微笑ましいが確かに危ない。
つくしが1人で転けるとは思えないが、あんまり陽葵がくっつきすぎるとそれに気を取られて・・・なんてこともあるから、最終的には俺の出番ってわけだ。


「陽葵、父様とお茶の稽古をしようか」
「・・・父ちゃまとおちゃ・・・でしゅか?」

「陽葵はお姉ちゃんになるんだろ?この家は茶道の家なんだから年上の子はお手本にならないとな。どうだ?」
「いや、ひまはちょっと・・・ご用を思いだしたでしゅ。おへやにもどりましゅ・・・おけいこはまたこんど、でしゅ!」


陽葵は凄い速さで自分の部屋がある棟に走って行った。
ははっ!稽古嫌いはガキん時の俺と同じ。

俺は逃げなかったが、どうせそのうち嫌でもさせられるんだ・・・まだ4歳の陽葵に無理強いなんてする気はなかったから逃げても怒りはしなかった。
ただ、これで少しはつくしの気が休まる、それだけだった。


「あはは!逃げ足は速いわねぇ・・・はぁ、助かった!あんまりにもくっつくから怖くて怖くて」
「だろうな。それだけ腹がデカくなると足元が見えにくいだろ?」

「見えるんだけど陽葵の動きが速いから追いかけられないんだもん。はぁ、早く産まれないかなぁ・・・」


片手で大きな腹を抱え、もう片方では腰をトントンと叩き苦笑い。
こればっかりは男にはわかんねぇし、代わってやれねぇしで俺は「もう少しの辛抱だ」、なんて気の利かない言葉しか出せなかった。


西門のしきたりのようなもので性別は先に聞いたりしない。
後継者問題でガタガタ言うヤツから守るためだが、つくしの勘では「男の子のような気がする」だったから楽しみだった。男の子はいてくれれば助かるが、何よりもつくしを救ってくれるだろうから。

時代遅れな問題であれこれ言う連中から少しは解放されるだろうし、俺としてはまだ子供は欲しかったから男が産まれてくれればその次の子供の性別は気にしなくていいし。
こんなに苦しい思いをしてるつくしの前で「次の子供」の話なんて出来ないけど、頭の中ではそんな光景を想像してニヤニヤしていた。


「それじゃあ俺は執筆が溜まってるから今から書斎に籠もるけど、何かあったらすぐに呼べよ?」
「うん、私は病院に入る前に客間のお花を変えておきたいからお花でも探してくる」

「大丈夫か?」
「心配ないって!お屋敷からは出ないんだから」

2人目だから少しは余裕があるんだろうか、つくしは腹を抱えながら俺とは反対方向に向かった。



*************



客間のお花替えは家元夫人か私の仕事、そう決められていたし、しばらくお義母様にお願いしないといけないから、今日のうちに変えようと思っていた。
多分、この様子だと明日には病院かな?って思うぐらいお腹が下がってる。

本当はみんなを安心させるために入院した方がいいんだけど陽葵が「一緒に泊まる~!」って我儘言いそうだったから我慢していた。
幸いまだそこまで痛みはないし、総二郎はしばらく外での仕事を断わってくれてるから傍にいるし、恐れることはないって思ってた。



「母ちゃま、どこに行くんでしゅか?」

庭に行くために廊下を歩いていたら、自分の部屋に戻ると言った陽葵が声をかけてきた。
やれやれ、見つかっちゃったか・・・って苦笑い。でも、この子も私の心配してくれてるんだもんね・・・だから手招きしたら嬉しそうに近寄って来た。

「今からね、お庭の奥の方にお花を摘みに行くの。牡丹の間のお花を変えようと思って」
「お花をつみに行くんでしゅか?ひま、いっしょに行く!」

「そうなの?じゃあお靴を履いて一緒に行こうか?でも鋏は持っちゃダメよ、切り取るのは母様がやるからね」
「はーい!」


西門の裏庭はとにかく広い。

咲く季節も違うし、とにかく日当たり抜群じゃないといけない花もあれば日陰を好む花もある。
一年草もあれば多年草も、花木もあるし花の咲かない枝だけを楽しむものもある。その時に1番いいと判断したものを亭主が選べるようにと沢山の花と木が植えられていて、それを庭師さんが管理してくれている。

そこまで高低はないけど多少小高くなっている場所に私の摘みたい花があったから、陽葵の手を引いて庭の1番奥まで歩いて行った。

「母ちゃま、だいじょうぶでしゅか?おなか、痛くないでしゅか?」
「ん?少しは痛い時があるけどね~。もうすぐ赤ちゃんに会えるねぇ・・・嬉しい?」

「あい!うれしいでしゅ!ひま、お姉ちゃんでしゅから、赤ちゃんのおせわ、するんでしゅよ」
「ふふふ、そうなの?嬉しいなぁ、母様助かっちゃう!」

「父ちゃまのおせわも、ひまががんばりましゅ!」
「あはは!お父様も?そりゃあお父様、喜ぶと思うわよ~」


はぁ・・・流石に庭の奥まで来ると身体がキツい。
陽葵がいるから笑っているけど、本当は嫌な予感がしていた。庭に出た時に少しだけギュッと締め付けられるような痛みが来た・・・?

もしかして、って思ったけどせっかくだからお花を摘み取って帰ろうと、目的の所まで来たら赤く紅葉したニシキギと竜胆を切り取り、白い野路菊を少しだけ・・・ここでまたズキッとお腹に痛みが走った。


「あっ・・・痛っ・・・」
「母ちゃま?どうしたんでしゅか?」

「ううん、大丈夫よ・・・お屋敷に戻ろうか陽葵・・・うっ、あぁっ!!」
「母ちゃま?母ちゃま!!おなか、痛いんでしゅか!?」


「陽葵・・・ごめん、お父様を・・・お父様を呼んできてくれる?お部屋で・・・お仕事を・・・ううっ!」


こんな時に本格的に痛み出すなんて・・・!
慌てなくてもすぐには産まれないってわかってるけど、傍にいるのが陽葵だもの。怖がらせちゃいけないから頑張ってお屋敷まで歩こうと思ったけど、そこで今度は激痛が走った!

これ以上自分で動いたらいけない、そう判断して陽葵に総二郎を呼んでくるように頼んだ。


陽葵は目を大きくして痛がる私の横でカチンコチンになってる。
このままだと私の姿を見て泣き出すかもしれない・・・だから「急いで、陽葵!お姉ちゃんでしょ?」って言うと、ハッと我に返って屋敷の方に向かって走り出した。


「ひま、しゅぐに父ちゃまを呼んできましゅ!母ちゃま、待ってて・・・待っててね!」
「頼んだよ、陽葵!」

「ひま、お姉ちゃんでしゅから、がんばりましゅ!!いってきましゅ!!」



「あっ?陽葵、そっちは違う・・・あっ、痛っ!ひ、陽葵、いたたた、そっちは・・・そっちは裏門だって!!」

陽葵が駆け下りていったのはいいけど、お屋敷の中に入る方向とは反対に曲がってしまった!
まさか、庭に出てくる門と間違えて裏門から外には出ないよね?陽葵・・・陽葵、裏口からでもお屋敷に戻れるよね?

その門からは出たことがないし、出たらすぐに民家が多くて小道が沢山あって迷いやすいのに・・・!


「痛っ・・・誰か、誰か陽葵を・・・陽葵を止めてっ・・・ううっ!」



**



たいへんでしゅ!たいへんでしゅ!
母ちゃまがおなか痛くなったでしゅ!

あれは赤ちゃんが出たがってるからでしゅ!

しゅぐに病院に行かなきゃ・・・ひまはすっごく早くはしって、はしって、はしって・・・


「あれ?ひまは何処に行けばいいでしゅか?父ちゃま、どこ?」


ここはおそと?・・・でも、いつも母ちゃまとおさんぽする道じゃないでしゅ!ここはどこ・・・?
おうちに戻って父ちゃまにお話ししないといけないのに、ひまの知らないおっきなおうちがたくさん・・・あれ?あれ?


ひまのおうちはどこでしゅか?





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Comments 6

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2018/11/21 (Wed) 15:01 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/21 (Wed) 16:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは

meimei様 こんばんは。

あっはは!似合わないですか?
それは私も思います。でも、たまには書いてみたいんですよ。

それがよくわからなくて、本当はもう違うんでしょうけどね。
うちの子供のことは忘れたし・・・これは2話です。明日、後編です。

宜しくお願い致します。えへへ!頑張ったのよ?

2018/11/21 (Wed) 20:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

今度はお婆ちゃまになったんですか?(笑)
あっはは!ご心配かけますねぇ💦

ひまちゃん、焦りすぎて違う所に・・・そのぐらい西門邸は広いと言う事ですね!
門もたくさんあるのでひまちゃんにはまだわからないって感じでしょうか。

ちなみに・・・うちの子供は保育園時代に脱走して行方不明になりました(笑)
どうやら門ではなく、フェンスをよじ登って逃げたらしい・・・電話があったときは驚きましたが、その日のうちに捕まえました。

え?迷子と脱走は違う?

えへへ・・・うちの子は親から逃げることに快感を覚えていたようです。
今まで覚えてるだけでも五回はアナウンスで呼び出ししたなぁ・・・笑いながら私達から逃げるんですよ。

鬼ごっこの気分だったんでしょうか?(笑)

2018/11/21 (Wed) 20:27 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/21 (Wed) 21:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは!

あっはは!放送されたんですね?それも凄いですね!
子供というのは時々面白い事しますもんね!


私はさっきまりぽん様にコメントお返しした後で、離れて暮らしてる娘から電話があり、

「今から○○ちゃんの忘れ物届けに外出する~」

って言うんですよ。もう夜の9時だったかな?

最近全国ニュースでも取り上げられた殺人未遂事件があったすぐ近くに住んでいたのでびっくりして

「こんな時間から外に出ないで!」

「大丈夫よ~近いから」

「ダメって言ったらダメ!!」


結局忘れ物をした方が取りに来ないで、うちの娘が出掛けたみたい。
ホントにお人好しで困ります!!
「ちゃんと戻ったよ」って電話もありましたけどね。

はぁ・・・何歳になっても心配ですわ・・・。


陽葵ちゃん、早く戻ってね(笑)

2018/11/22 (Thu) 00:09 | EDIT | REPLY |   

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