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沖縄から帰って1ヶ月・・・もうすぐ11月。私は301号室で類と一緒に寮生活をしていた。


街も大学も街路樹の葉は散ってしまって、吹く風もちょっと強くて冷たくなった。
それでも今日も洗濯物は寮のベランダの低い位置に干して、部屋が冷えるからさっさと窓を閉める・・・そして振り返ったら蓑虫みたいに寝てる類に今日も溜息が漏れた。


「るーいー!もう朝だから起きなさいってば!大学に遅れるよ?ご飯食べなきゃ部屋から出さないからね?」
「・・・う~ん、だって寒い・・・」

「・・・なにも着てないからでしょ!早く起きて服を着たら大丈夫だって。もうっ・・・ホントに朝は弱いんだから」
「くすっ、あんたは朝からよく怒ってるね。じゃあさ・・・キスして?そうしたら着替える」

「ばっ、馬鹿言わないの!」


そう言ったら「じゃあ起きない」ってホントに布団に潜るから、仕方なく・・・やや強引にキスされて類の朝が始まる。


**


大学はそれまでと変わらない学部に戻ったけど、予備で取っていたドイツ語をやめて、その時間には特別に経済学基礎を勉強しにに経済学部に行っていた。

当然夜には寮で類から国際経済の特別講義が始まる。
もう特待生じゃなくなったから試験はみんなと一緒。成績も落とすつもりはないけど順位なんて気にしなくてよくなったから気持ちは楽だった。

「こら!だからって休まない!この部分・・・グラフで見てわかる?この国の輸出がさ・・・」
「・・・・・・どのグラフ?どこの数字見たらいいの?」

「ん~、向かい側だから教えにくい!ちょっと待って」

テーブルの向こう側にいた類が立ち上がって私の後ろに来て、自分の膝の上に私を乗せて説明を始める。
そんなの、余計に考えられなくなるじゃん・・・って思うのに、真剣に経済学の話を私の耳元で囁くように教えてくれる。
でも、身体を預けると何だかウズウズしちゃうから類の言ってることなんて全然頭に入んない。


「牧野、真面目に聞いてないでしょ?」
「だってぇ・・・こんな体勢で真面目にって・・・きゃっ!」

「くすっ・・・だよね?」


途端に連れて行かれるのはキングサイズの白いベッド・・・こんな毎日だから勉強が進むようで進まない。

でも凄く楽しくて幸せで、満ち足りた日々だった。
辛かった時のことなんて忘れるぐらい、彼の腕が毎日傍にあって、いつも抱き締めてくれて優しいキスをくれて。


「あ~あ!こうして抱き締めてくれてる時におでこくっつけたらさ、類の脳みそが私に入ってきて全部知識をコピーしてくれたらいいのになぁ!そうしたら勉強せずに済むのに」

「あはは!それ、ノーベル賞が受賞出来そうな発想だね!」
「えへへ!だってホントに思ったんだもん」



**



11月に入ったら大学の校内にクリスマスツリーの準備がされた。
まだ飾り付けなんてされないけど、これが12月になったらオーナメントが飾られて夕方になったら点灯されるようになる。

英徳大学のクリスマスツリーは結構有名でこれだけ見に来るカップルもいるぐらい。
今年はそれを類と見ることが出来るんだなって・・・カフェで彼を待ってる時にぼんやり考えていた。


クリスマスプレゼント・・・なんにしようかな。


「よっ!牧野。珍しく1人じゃん。類はどうした?」
「まさかもう夫婦喧嘩か?類を怒らせるなよ~?意外と怖いからな!」

その声で振り向いたらいつもの2人組が私の方に向かって手を振りながら歩いてきた。
西門さんと美作さん・・・今日も相変わらず格好つけてて、2人が歩いてると周りの女の子の視線が熱い。

見慣れるって怖いよね・・・毎日類を見てるから、これほどのイケメンペアを見てもあんまりドキドキしなくなっちゃった。


2人は私の座ってたテーブルの向かい側に座って、大急ぎで走ってきたスタッフさんに珈琲を頼んだ。


「類は教授に呼ばれてるから先にここで待っててって言われてるの。もうすぐ来ると思うけど」
「一晩中一緒にいるのに昼もだと飽きねぇか?たまには会わない日を作った方が長続きすんだぞ?」

「あ、飽きないもん!会わない日・・・そのうちそんな日も来るわよ、学年も学部も違うんだから」
「あははっ!そりゃそうだ。でも総二郎の言うことも当たってるって。ほら、この前みたいに離れてたらお互いの必要性ってよく判るだろ?でもまぁ・・・類だからな。傍から離さないかもな」


確かに離してくれないのよ。
あの沖縄の騒動以来、ちょっと寮の下にあるパン屋さんに黙って行っただけで守衛さんに問い詰めてたもんね。
「牧野は何処に行ったの!」って・・・ホントに気の毒だったわ、守衛さん。



視線を戻したら、また女子学生が緑色一色のツリ-の下で彼氏と何か話してる。
クリスマスの予定でも立ててるのかなぁ・・・。

「なに見てたんだ?・・・あぁ、ツリーね!クリスマスが近いから悩んでたの?」

「うん・・・類が欲しいもの、何かなぁって。なんだと思う?」

「そりゃ、牧野だろ?お前がいたらなにも要らねぇと思うから、在り来たりだけど自分にリボン掛けとけば?その時には類が驚くような下着じゃねぇとな!白の無地とかナシだぜ?で・・・新しい技でも身に付けて・・・」

「きゃああぁーっ!なんてこと言うのよ!ここ大学でしょうが!・・・もう、西門さんったら!」

2人の声より自分の叫び声で周りの人達に振り向かれて、慌てて窓の外に視線を移した。


「あ!類が来た」


窓の向こう側の通路から急ぎ足で来る彼の姿を見つけた。

そしてすぐにいつもの席で待ってる私のところにやってきて、そこに2人がいたからすごく嫌そうな顔をした。


「露骨に嫌な顔すんなよ、類。感じ悪いヤツだな」
「・・・総二郎、また牧野に何か言ったの?牧野が困った顔してるじゃん」

「なにも言ってねぇし。1人で淋しそうだったから一緒に待ってやってただけだろ?なぁ、牧野!」

「う、うん!あの・・・みんなはクリスマスって何か予定あるの?」


3人が揃ったから聞いてみた。
この人達の家だったら何か行事があるのかもしれない・・・類1人には何となく聞きにくかったから今まで言葉にはしなかったけど、この状況なら教えてくれるかも。

3人は顔を見合わせて・・・まずは西門さんが答えてくれた。

「俺は何にもしねぇな。特別な日には誰とも過ごさねぇって決めてるし、都合が合えばあきらと飲むぐらい?だよな?」

「あぁ、そうだな。下手に誰かと過ごして噂が流れても嫌だしな。俺、今年は自宅で家族とパーティーだってさ。総二郎、暇ならこいよ。俺が助かるからさ」
「あきらん家かぁ・・・まぁ、何処にも行き場がなかったら行くわ!」

2人とも女性とは過ごさないらしい。
類はどうするんだろう?ってチラッと見たら・・・あんまりいい表情じゃなかった。


「類は今年もフランスか?花沢は毎年フランスでノエルのパーティーしてるんだろ?」


「・・・今年は両親が12月の中頃に日本に戻ってくるからこっちだよ。でも、自宅なんて帰らない。寮で2人で過ごすから・・・」


小さなボソッとした声で類がそう言った。
まだ、お父様とは喧嘩別れしたまま・・・あれからひと言も会話をしていない。


私のことは許してくれたみたいだけど、2人の距離はまだまだ近づいていなかった。





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類君のクリスマスストーリー始まりました♥
「隣の部屋の彼」続編になります。

更新は偶数日を予定しております。急な変更があるかも?(笑)
どうぞ宜しくお願い致します。
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Comments 4

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2018/12/06 (Thu) 13:08 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

はい!今は「同じ部屋の彼」でございます♥
イチャイチャさせております~!楽しいですね、やっぱり仲のいい場面を書くのは楽しいです!

このまま行くとちょうど24日に終わると思うんだけど・・・もしかしたらまた延びるかも💦
ラブラブ&ほんわかとクリスマスコンサートが出来るように頑張ります!

事件は起こりませんし、喧嘩もしませんのでご安心を!(笑)

2018/12/06 (Thu) 14:11 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/06 (Thu) 14:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、こんばんは!

始まっちゃいました!隣の類君(笑)

今は嘘つきな類君で遊んでるので、この類君を思い出すのに必死!
もしかしたら嘘つき類君と隣の類君のキャラが重なってるかも~💦

まだ甘くない嘘つき類君の代わりにこっちでラブラブしようと思います!
クリスマスまで楽しんでくださいね~♥

2018/12/06 (Thu) 17:36 | EDIT | REPLY |   

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