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<宮崎・瀧野瀬邸 side五十嵐浩司>

「瀧野瀬会長・・・まだつくしさんの居場所がわからないのですか?せっかく会えると思って楽しみにしていたのに」

「・・・すぐに根を上げて戻ってくると思ったが、社のホームページに元気にしとるから探すなと連絡があってな。どこにおるのかはわからんが、誰かに助けられておるのかもしれん・・・何も喋らなければいいがな」

老い耄れた瀧野瀬会長が車椅子に座ったまま、苦々しい顔で窓の外を見ていた。
ほんの小さな戯言でつくしをこの家から逃がしてしまうなんて・・・あの子がいなかったら裏で操作しているFXが少しも進まないと言うのに!

仮装売買、非公表の内部情報を使って売買するインサイダー取引に対してはほぼ無力で不正は出来ないと言われるFXだが、問題はそのための資金を社から横流ししていること。
瀧野瀬つくしの相場を読む能力に頼って、横流しした資金を利用して裏金を作っていたのに・・・!


「・・・彼女は本当に自分がやってることに気がついてないのでしょうかね。取引自体はきちんとしたものだがその元手がどこからきているかなんて全く考えなかったんでしょうか?」

「おそらくわかっておらんだろう。つくしは頭のいい子だが、社の内部事情やの資金の仕組みなどには1度も関与させてないからな。特殊能力はあるが世間知らず・・・言われた事しか出来ないじゃろうよ」

「そんなお嬢さんに育てたのはあなたですからね。悪いお人だ・・・可愛い孫娘をそんな風に利用するなんて」

「はっ!お前さんは今度は自分の嫁にして同じことをしようとしておるのだろう?同じじゃないか!」

「・・・それは失礼」


会社の金を横流しするには架空取引をする相手が必要・・・そのために身内でもなく系列会社でもなく、無関係な五十嵐を巻き込んだのはそっちじゃないか。
そのために従順なつくしを俺に差し出して、自分が充分潤った後は俺に同じことをして儲けろと・・・そう唆したのは爺さんだろう。


その話に乗ったのは俺の親父・・・そして計画が長期に渡るからと勝手に婚約者にされたのは俺がまだ中学生の時だった。

おっとり、のんびりした娘夫婦とは正反対。
まだ10歳のつくしだったが天才的と言うべきか野生的なのか、その勘だけで為替レートを読み、上昇するものを次々と・・・恐るべき頭脳を持っているのに本人はあっけらかんとして無邪気な笑顔を見せてたっけ。

欲がなく素直に言うことを聞き、この屋敷から出さずに世間から遮断したおかげで何も疑わない性格になった。



でも、流石に無理があったって事か。
24歳にもなってやっと好奇心が出てきた・・・あのつくしに余計な知恵がついたらこれまでしてきたことが不自然だったってわかるかもしれない。

そうなる前に早く宮崎に連れて帰って以前のような生活に戻さないとな。


そして五十嵐も膨大な裏金を造り、もっと会社をデカくしていつかあの花沢物産を・・・!


「悪い顔をしとるのぉ?浩司君も」

「・・・あなたほどではありませんよ。瀧野瀬会長」




**************




「・・・全部食べるんだよ~。今日もフリスビーで遊ぼうね、菊次郎。桃太郎はボールの方が好きかな?」

2匹が朝ご飯を食べるのをジッと見ていた。
昨日のことで怯えたりしないだろうかと思ったけど、そんな事はなくて今日も私の顔を見たら喜んで近寄ってくれた。

食べ終わったら容器を片付けて、2匹が芝生の上で伏せていたからその横にコロンと寝てみた。
桃太郎のお腹に頭を乗せて・・・細い雲が流れていく空を見ていた。


類ほど格好いいご主人様だったら、お手伝いさんも誰にも渡したくないって心境になるんだろうか。
そこには主従関係とかなくて、恋愛の対象・・・そんなのネットの中の漫画じゃ読んだことあるけど、実際にもあるのねぇ・・・。

そして私はそこに入り込んだお邪魔虫・・・彼女たちからそう思われてるのね?


「でもさ、私が読んだ話はお手伝いさんからご主人様じゃなくて、その反対だったわよ?ご主人様がお手伝いさんを好きになって自分の部屋に呼んで・・・・・・」
「ワン?」

「いや、桃太郎が知らなくてもいいのよ。これは人間の恋愛なの。ご主人様はなんでもお手伝いさんに命令が出来るのよ」
「ワン・・・」

「何をしてもいいの。お手伝いさんは言われた通りに・・・って、なんで犬に説明するのよ!」
「ワンワン!」


いや、類がそんなことをするとは思えないわ!
たとえお屋敷ナンバーワンの美人お手伝いさんがそこに立ってても類なら素通りするわよ!うん・・・きっとそうよ!

ん?・・・じゃあ私やっぱり相手が私だったら納得できないってこと?・・・いや、そもそもこの恋人は嘘だから・・・。


「あーっ!よくわかんなくなってきた!桃太郎、菊次郎!寝てないで運動するわよ!」
「「ワンワン!!」」



このあと2匹と午前中ずっと遊んでて、お昼ご飯は加代さんとサンルームでピクニックみたいにして食べた。

その時に類の昔の話、何となく興味があって聞いてみた。
静さんって人のことも・・・本当に何でもなかったのか。

「静様、ですか?」、そう聞き返した加代さんは驚いた顔してお箸が止まった。


「藤堂家のお嬢様の静様のこと・・・そうですねぇ・・・類様からお聞きでしたらそれが真実ですわ」

「類は『恋をしてると思ったけど違った。憧れてただけかも』って言ってました。あの、こんな事聞いたって類に言わないでくださいね?」

「ほほほ、わかっていますよ。気になりますものねぇ、好きな人の昔話・・・類様は詳しく話されるような方ではございませんし」


好きな人の昔話・・・ちょっとズキッとくるひと言だけど、ここではそういうことになってるもんね。
だからうんうんって頷いて、本当に赤くなった顔を下に向けてしまった。

あれ・・・どうしたんだろ。耳が熱い。


「お小さい頃は独りっ子同士で中が宜しいのかと思っておりましたわ。類様はお姉様を持った気分、静様は弟が出来た気分、そんな感じに見えました。類様の方は昔からあまり感情をお出しにならないのですけど、静様の前では笑っておられたので、お好きなんだろうって・・・でも、子供の好きって言う感情ですよ?」

「恋・・・じゃないってことですか?」

「そうですね。その頃はご両親様が海外でお仕事をされることが多かったので1番身近にいたのは静様です。恋って言うよりやはり姉弟的な感じだったと思いますけど、それが変わってきたのは静様の方でしょうね」


静さんの方が変わった?類に対して恋心を持ったって言うの?
加代さんは食後の珈琲を煎れてくれて、それを飲みながら話は続いた。


「確かに類様が静様を見る目に恋人のような感覚はなかったと思います。でも、静様は色んな男性と・・・恋人という関係じゃないにしろお付き合いをされていましたけど、私にはそれが類様に対するアピールのように思えましたわ。
ご自分を見てもなんの変化も見せない類様を振り向かせたくてそんな行動をしていたんじゃないかって・・・そう思うんですけどね。あら、申し訳ございません!牧野様にこんなお話はいけませんでしたわね!」

「いいえ、私が聞いたんですからいいんです!あのっ、類が少ししか教えてくれないから・・・私こそごめんなさい!」

「ご心配されなくても牧野様に見せるような笑顔なんてどなたにも向けられたことはございませんわ。だからご両親様もお喜びなんですよ。ふふふ、子供の時の類様を知っている私だって驚きですもの」


「・・・そ、そうですか?ははっ・・・」



いや、見せかけの恋人ですけどね。


このあとはまた2匹と遊んだり、加代さんに頼まれてケーキを焼いたり、夕方まで楽しく過ごした。
そして類が帰って来る時間・・・私は桃太郎と菊次郎の間に入って芝生に座り、彼の車が戻ってくるのを待っていた。


「あっ!帰ってきた・・・あのライト、類の車だよね!」
「「ワンワン!」」


演技なんてしてる訳じゃないけど、何故かすごい笑顔になって類の車に向かって手を振った。
いつもの場所に車が停まったら運転席から類が降りてくる。それを見たら2匹が嬉しそうに飛び出すから、それを追いかけるように私も走った。


「お帰りなさーい!お疲れ様ーっ!」

「・・・ただいま、牧野」





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Comments 4

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2018/11/29 (Thu) 00:22 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/29 (Thu) 06:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

桜姫様 こんにちは!

あっはは!私もやっておきます!!
一緒にやりましょうーっ!

そうですねぇ!家につくしちゃんがいたら毎日楽しいでしょうね♥
ご飯も美味しそうだし。

私の代わりに作ってくれればいいのに・・・💦

つくしちゃんの能力・・・類君を笑わかせるだけですごい能力なんですよ(笑)きっと!

2018/11/29 (Thu) 14:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 こんにちは。

ははは!ここまでお話が長かったのに日にちが経ってなかったのでどうなることやら?って思う方は多かったかも?
これから少しずつお話が進んで行きます。

静嬢にF3に五十嵐君・・・さて、どうやって絡んでくるのかな?

2人はもうお互いの事が気になり始めてるので時間の問題か?(笑)

そう言いながら、私の話はとにかくゆっくりです。のんびりお待ち下さいね!

2018/11/29 (Thu) 15:01 | EDIT | REPLY |   

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