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大変でしゅ、大変でしゅ!
ひま、早く父ちゃまに母ちゃまのことをおしえなきゃいけないのに・・・!

ここはどこでしゅか?ひま、こんな道、しらない・・・どうしたら、どうしたらいいでしゅか・・・?

「うえっ・・・ぐずっ、ああ~んっ!・・・だれかたしゅけくだしゃい~!!うわぁ~ん!」

お姉ちゃんになるんでしゅから泣きたくなかったけど、
ひまは強い子だから泣きたくなかったけど、

でも・・・でも・・・!


「ワンワン!!」
「いやあぁぁーっ!わんわん、こわいでしゅ!」

こんな大きなイヌがいるおうちなんてしらないでしゅ!ひまはこわくなってまたはしったでしゅ!
だれか・・・だれか・・・ひまのおうち、さがしてくだしゃい・・・ひっく!

はやくしなきゃ、母ちゃまが・・・!


ちょっとだけ大きな道が見えたから、お車に気をつけてのぞいてみたら・・・あれ?お着物着た人がいる・・・?
あのお着物は、ひま、見たことが・・・



「あら?陽葵様じゃございませんか?どうなさったのです?こんな所にお1人で?」

「あっ、しのしゃん・・・、うわぁ~ん!!」
「あらあら、陽葵様、泣いていてはわかりませんわ、志乃にお話くださいませ」

「母ちゃまが、母ちゃまがおなか、痛いって泣いてるんでしゅ~!!」
「えぇっ!つくし様が?!」



***************



書斎で執筆の仕事中、何処かから凄い足音が聞こえたかと思うと、小脇に陽葵を抱えた志乃さんが血相変えて飛び込んで来た。

「どうしたんだ、志乃さん・・・陽葵?自分の部屋にいたんじゃないのか?」
「た、大変ですわ!高橋邸からの帰り道で陽葵様が泣いていらして、理由を聞いたのですけどお庭でつくし様が陣痛を起こして倒れていらっしゃるそうです!」

「えっ!庭のどこでだ?!」
「うわあ~~ん!父ちゃま~!!早くたしゅけてくだしゃい~!!おにわの1番たかいところでしゅ~!」


庭の1番高ところ?ニシキギのところか?!
筆を放り投げて部屋から飛び出て、裏庭の奥の方、この時期に紅葉するニシキギのある場所にいったらその木の根元につくしが倒れ込んでいた。

「つくし!!大丈夫か!」

「総、二郎・・・ひ・・・まりは?」

「志乃さんが保護してくれたから屋敷にいる!もう少し我慢しろ、すぐに病院に行くぞ!」
「う・・・ん、はぁはぁ・・・お願い・・・!」

腹がデカいから背負うわけにもいかず抱きかかえて屋敷に戻ると、廊下に車椅子が準備されていてお袋が泣きそうな顔でオロオロしていた。


「お袋、病院には?!」

「電話したわ!1番近い車寄せで待機してるからすぐに行きましょう!・・・つくしさん、頑張るのよ!」
「・・・お義母様、はい!頑張って・・・きます!」

つくしを車椅子に乗せて車寄せまで行こうとしたら、前の方から陽葵が自分と同じぐらいの大きさの入院道具を入れたバッグを引き摺りながらやってくるのが見えた。

「陽葵!それは志乃さんに渡すんだ!まだ陽葵には無理だから!」
「これはひまのおしごとなんでしゅ!ひまもがんばるんだから、よいしょ・・・母ちゃまのお荷物はひまが…んっしょ、もつんでしゅ!」

「総二郎様、申し訳ございません。どうしてもとお渡しくださらないのです。こんな時なのに・・・」


志乃さんが困ったような顔で陽葵を見下ろしてるけど、本人は真っ赤な顔して必死にバッグの持ち手を握ってる。
「おねぇちゃんになるんだから・・・!」を繰り返して自分の家族のために頑張ろうとしてるんだろうな・・・。

車椅子に座ったつくしも息を荒くしながら、その微笑ましい娘の姿を見ながら笑っていた。


「よし!陽葵、父様と一緒に母様を病院に連れて行こうな。時間がかかるが大丈夫か?」
「あい!ひま、おねんねしないでがんばりましゅ!父ちゃま、いきまちゅよ!」

「ははっ!みんなで頑張るか!」


つくしの車椅子は志乃さんに任せて俺は陽葵に合わせて歩いてやった。
そりゃ少しは気が急くがすぐに産まれたりしないのも経験済み。この陽葵の懸命さを大事にしてやろうと思った。


でも靴を履いたらバッグのことなんて忘れたかのように車に向かって猛ダッシュ!今度は俺がバッグを持って車に乗り込んだ。

「母ちゃま・・・母ちゃま、おなか痛い?ひまはここにいるでしゅよ?母ちゃま!」
「はぁはぁ、うん、大丈夫よ。陽葵・・・待っててね、母様、頑張るからね」

「あい!父ちゃまはちゃんとひまが見てるから心配ないでしゅよ。おねんねしたらメッ!てしましゅ!」
「あはは・・・うん、頼むね、陽葵」

片方の手は俺と繋ぎ、もう片方は陽葵を撫でてる。
汗を流しながら痛みに耐えて、それでもこんなに優しい笑顔が作れるって、女はすげぇなって・・・つくしを見てたらそう思う。

たまに俺の方を見てやっぱりニコッと笑う。
「男の子だったらいいなぁ・・・」って西門の事を思ってか、またそんな言葉を出しながら腹を摩っていた。




病院に着いたらここからは医者任せだから俺達は特別室でいよいよって時間まで待機。
出先から親父も駆けつけて陽葵と志乃さんを入れて5人・・・ここからはイライラしながら看護師が呼びにくるのを待つしかなかった。


「父ちゃま、母ちゃまはどうしたんでしゅか?今は何処にいるの?」
「母様は医者のところでお前の弟妹を産むための準備中だ。大人しく待たないとダメだぞ?」

「おばあちゃま、母ちゃまはまだおなか、痛いでしゅか?」
「そ、そうねぇ。赤ちゃんが産まれるまではねぇ」

「おじいちゃま、あとどのくらいで赤ちゃん、産まれましゅか?」
「え?えっと・・・あと5時間かな?」
「親父、適当なことを言うな!陽葵、それは誰にもまだ判んないから待つしかないって言っただろう?」

「しのしゃん・・・おしっこ・・・」
「あぁ!はいはい。こちらですわ」


病院に来て2時間、俺の事を見張っておくと言った陽葵は目を擦っては志乃さんに抱かれて、時々ハッと目を覚ましては俺の横に来て抱っこをせがむ。
「寝てもいいぞ」って言うと「母ちゃまががんばってるからひまも・・・」って言いながら目が閉じる。


その時、ノックと同時に看護師が入ってきて「間もなくです!」と!

「陽葵、母様のところに行くぞ!」
「・・・はっ、母ちゃま、産まれたでしゅか?」

「今からだ!あと少しで陽葵はお姉ちゃんだぞ?」
「あい!ひま、お姉ちゃんでしゅ!」


陽葵を抱きかかえて分娩室まで行くと、もう手前で看護師が俺の白衣を持って待っていた。
そこで陽葵をお袋に預けて急いで白衣を羽織り、分娩室に入ろうとしたら思いっきり陽葵に引っ張られた!

「うわっ!何すんだ、陽葵!」
「ひまも入るぅ~!!母ちゃまのところに行くぅ~!!」

「陽葵様、この中にはお父様しか入られませんの!ここで待つのですよ?赤ちゃんが産まれたら会えますから!」
「やだぁ!やだぁ!やだやだやだぁーっ!!」

「陽葵、お姉ちゃんだろ?産まれてくる子に笑われるぞ?ちゃんとお利口にして待ってろ。産まれたら呼びにくるからな」


「父ちゃま、ズルいでしゅ・・・」
「はは!まぁいいから待っとけ!」


ズルい・・・か!
仕方ねぇな、これは俺だけに許された特権みたいなもんだ!たとえ娘でも譲ってやれねぇからな!



**



おぎゃあ~!!おぎゃあ~!!」

「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」


助産婦のひと言でつくしの目から大粒の涙が溢れた。
「良かったぁ・・・」って何度も、何度も・・・この1年、ずっと頭から離れなかっただろうからやっと肩の力が抜けたのか、汗にまみれた顔から涙がポロポロと流れ落ちた。

「お疲れさん、つくし・・・ありがとう!」
「総二郎・・・うん、男の子だって!」


このあと、つくしの処置も終わって赤ん坊は綺麗にされてつくしの横に寝かされ、ようやく親父達も部屋の中に入れるようになった。
もう廊下で男だったと聞かされたんだろう、入ってきた時にお袋はもう大泣きでつくしを抱き締めていた。

「すぐにでも後援会に知らせないとな!」と、親父も満面の笑みで頷いていた。


意外にも大人しかったのは陽葵。
志乃さんと手を繋いで入ってきたがキョロキョロして言葉を出さなかった。


「どうした、陽葵。お前の弟だぞ?」
「おとうと?えっと・・・男の子?」

「そうだ。さ、おいで。母様の横で寝てるから会わせてやる」
「・・・あい!」


陽葵を抱きかかえてつくしの横で寝ている赤ん坊を見せると、すっげぇデカい目で弟を見ながら口を思いっきり開けていた。

「父ちゃま・・・まだシワシワでしゅね。おかお、きれいになるんでしゅか?」
「ははっ!生まれたての時はこんな感じだ。すぐに陽葵みたいになるぞ?」

「陽葵、お姉ちゃんになったからお世話してあげてね」
「母ちゃま、えっと、えっと・・・おちゅかれさまでしゅ!それと、それと、えっと・・・ありがとうでしゅ!」

「あはは・・・うん、母様、頑張ったよ」
「あい!ひまもがんばったでしゅ!」


このあと赤ん坊の頬に自分の頬を擦り寄せて「おねえちゃんでしゅよ~!」を何回も言っていた。




*************




ひまはちょっとびっくりしたでしゅ。
赤ちゃんはほんとうにまっかっかでシワシワでちた・・・痛いのかとおもって、かわいそうになって、ひまも泣きたくなりまちた。
父ちゃまはすっごく嬉しそう・・・片手でひまを抱っこして、もうひとつのお手々で赤ちゃんをなでなでしてる・・・。

「なかなかいい顔してんじゃん!俺に似てるな」
「えぇ?あはは・・・私の方に似てるよ~」

「ひまは?ひまは父ちゃまでしゅか?母ちゃまでしゅか?」
「陽葵は目が母様似でそれ以外は父様似だな。鼻が高くて良かったな!」

「あっ、総二郎ったら酷い!ははっ・・・」


ひまにはよくわからなかったでしゅ。
だって父ちゃまはこんなにシワシワじゃないでちゅよ?シワシワはおじいちゃまでしゅ。


その日だけ父ちゃまとひまは病院にお泊まりしたんでしゅ。
母ちゃまが1人だとかわいそうでしゅから、おんなじお部屋で寝たんでしゅよ。


「おぎゃあ~!!ほぎゃあ~!!」
「うわあぁ~~~ん!!赤ちゃんが泣いたぁ!」

「陽葵まで泣かなくてもいいだろう?」
「あはは!泣き虫なお姉ちゃんって笑われるわよ?」

「・・・ひっく、笑われる・・・でしゅか?」


しょっか・・・ひまはお姉ちゃんになったでしゅから、もう泣いちゃいけないでしゅね・・・。
うん!ひまはもう泣くの、やめましゅ!



赤ちゃんのお名前は父ちゃまがつけたでしゅ。弓弦(ゆづる)君って言いましゅ。
ひまはゆう君のお姉ちゃんでしゅから、これからは赤ちゃんことばをやめて、おちゃもがんばりましゅ!

ゆう君のお手本になるんでしゅ!



「ゆう君、ひま姉ちゃまでしゅよ~!はやくいっしょに遊びましょ♥」
「ばぶぅ~!」






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またいつか、陽葵日記をお届けしますね♥
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Comments 4

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2018/11/22 (Thu) 12:27 | EDIT | REPLY |   
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2018/11/22 (Thu) 14:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様 こんばんは。

あはは!旦那様・・・そりゃいけませんでしたねぇ。
でもうちの旦那も最悪ですよ(笑)

頑張って産んだのに初めてのひと言が「不細工やねぇ!」だったんですから。
まだ分娩台にいた私は「帰れ!!」って叫んだの覚えてますよ。

そして本当に母と旦那がもう帰ってて(深夜だったので)病室がめちゃくちゃ散らかってて・・・。
お腹が痛いのに自分で片付けましたもん。

ふふふ、またいつか陽葵ちゃんのお話、お届けしますね!


え?(笑)ワクワク・・・あはは!するかしら?(笑)

2018/11/22 (Thu) 17:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

はい!無事に生まれました~♥
ひまお姉ちゃまの奮闘記、またいつかお届けしたいと思います。

総ちゃんのことを「父様」と書くのが実は大好き!
ここの総ちゃんは凜々しい感じにしております♡
エロっぽくなくて格好いい総ちゃん・・・如何にも「お父様」っていう雰囲気・・・憧れるなぁ!

まぁ、主役は陽葵ちゃんですけどね!
気長に待っててくださいね♡

あっ!お米にもコメントありがとうございます(笑)

2018/11/22 (Thu) 17:19 | EDIT | REPLY |   

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