FC2ブログ

plumeria

plumeria

入院してから7日目、類の傷も良くなってきたから午後から退院することにした。

入院したとき、私は軽い脱水症状と手首の怪我だけだったから本当はすぐに退院できたんだけど・・・。
類が全然離してくれないから一緒に入院してたって感じで。
入院して2日目、類の怪我は思ったよりひどくて感染症を起こしかけて熱が出たり下がったりを繰り返していた。

ちょうど西門さん達が来ていたときだったっけ。
私のことを気遣って元気にしてたけど、話してる最中にとうとう先生を呼ぶほど熱が上がってしまって・・・
それからは面会謝絶状態だった。多分、類がわざとそうしたんだと思うんだけど。

熱が出る度に私を呼んでるから、側を離れられなくて・・・とうとう看護師さんも来てくれなくなったのよね。
そして今日、もう発熱しなくなって数値も正常になったからやっと退院になった。

「思ったより入院が長くなってごめんね。付き合わせて・・・大学も気になったでしょ?」

「まぁね・・・でもいい家庭教師がついてるから今からまた頑張るよ。卒業まで面倒見てよね!」


類は午前中に最後の検査と処置をしてもらうため病室を出て行った。


******


類が病室を留守にしていた時、桜子が持ってきてくれた大学のノートを見ていた。
もう何日も大学に行ってなかったので、類には大丈夫って言ったけど本当は結構焦っていた。
せっかく特待試験に合格して大学に残ったのに、次の試験結果次第ではその特待から外れるかもしれない。
これから先は類と一緒にいるって決めても、大学だけは自分の力で卒業したかったから・・・。

桜子は私と同じ学部の人から授業のノートを借りて届けてくれていた。


しばらくしたら部屋をノックをされた。
今日の退院は花沢のお屋敷には知らせてはいたけど、類が直接マンションに帰るからと迎えを断っていた。
だから、誰も来るはずがないのに・・・そう思いながらドアを開けた。

ドアの前には病院の事務の女の人が真っ青な顔をして立っていて、私を見てオドオドしている。

「あ・・・あの、ご面会なんですけど・・・」

「面会・・・ですか?でも今は検査でここにはいないんですけど・・・」

「いえ、牧野さんにです・・・道明寺さんって方ですけど」


「・・・・・・え?」


道明寺?道明寺がここに来たの?・・・ドクンって心臓が一瞬大きな音をたてた。
持っていたノートを落としそうになって、慌ててそれを持ち直したら目の前が暗くなった・・・そして顔を上げたら

「どう・・・みょうじ?」


私の前には、もう何ヶ月も会っていない道明寺が立っている・・・相変わらず自信に満ちあふれたような顔で。
そして高い位置から私を見下ろしてきた。その威圧的な瞳は昔と全然変わっていない・・・。

そう・・・昔は私、その自信に満ちあふれた顔に恋をしたのよ・・・でも、今は何も感じなかった。


「久しぶりだな・・・牧野。早く支度をしろ。アメリカへ帰るぞ」

「は?・・・今なんて言ったの?アメリカに・・・帰る?帰るってなによ!西田さんから聞いてないの?もうあんたとは
別れたいって言ったはずでしょう?どうして今頃ここに来るのよ!」

道明寺は無言で部屋の中に入るとソファーに座った。私は慌ててドアを閉めて道明寺の横まで行った。
類がもうすぐ帰ってくる・・・なんとかその前にここから出て行って欲しかったのに!
こんな所に類が帰ってきたらとんでもないことになりそうで怖くなった。


「あのね、道明寺。もう私はあんたとはやっていけないの。わかんないかな・・・アメリカで独りぼっちだった私の気持ち・・・
なんであの時には助けてくれなかったのに、今ここに来るの?もう、無理なのよ!あんたとは!」

「西田が何て言ったのか知らねーけど、俺は認めてねーぞ?お前が日本にいようが構わなかったが、お前は俺のもんだ。
これからはこの俺がアメリカで守ってやるよ・・・それで、いいだろう?俺がこの間のドイツ野郎の件を片付けてやろうと
思ってたのに、美作に助けられたって?ふん・・・余計なことしやがって、あきらにも文句言わねーとな・・・」

なんなの?この全然勝ち目のなさそうな話の展開はっ!私の言うことなんて何も聞いちゃいないじゃないの!
私の気持ちの問題だって言ってるのにっ!

「道明寺が認めるとか認めないとかって話じゃないのよ。私の気持ちがもう道明寺にはないって言ってるの。
別れるのには十分な理由だと思うんだけど。もしも、あんたがもっと連絡をしてくれてたら今頃はまだアメリカで
待ってたかもしれないよ?でも、もう今更でしょう?ほとんど会ってもないんだよ?この何年間って・・・!」

「・・・これからは連絡すりゃいいんだろ?会ってくれって言うんならこれからは会ってやるよ。それ以上くだらないことで
ガタガタ言ってんじゃねーよ!」

「そんなくだらない事がすごく大事だったのよっ!私には!」


話が通じない道明寺にイライラして声が大きくなった。
私が熱くなるのと反対で、道明寺の表情は冷静過ぎて・・・自分との温度差を感じずにはいられない。
これ以上話し合いは出来ないと・・・もう私たちの間の距離は縮まることはないんだって思った。



「なにを大きな声出してるの?・・・牧野、廊下まで聞こえてるよ?」


はっとして振り返ったら検査から帰って来た類がドアを開けて立っていた。
今までの話を全部聞かれたんだろうか・・・道明寺が言った言葉をどこまで?

類は平然と何事もないかのようにスタスタと部屋に入ってきて・・・そして私の横に立った。
そして道明寺との睨み合いになってしまった。


「よぉ、類も随分会ってないな・・・この前電話で話したのも何年ぶりだ?」

わざと薄笑いを浮かべて類を挑発してるみたい。でも、類の方は表情をなにも変えなかった。

「そうだね。会うのは3年ぶりぐらい?相変わらずだね・・・連絡もなしで来るなんて」

「牧野を連れて帰るだけだ。すぐにここを出て行く・・・」
「牧野は渡さないよ!」

道明寺の言葉を遮るように類が大きな声を出した・・・その手は私の肩を引き寄せてくれる。
もう一度類は道明寺に言った。


「牧野は・・・司には渡さない!」

aka2.jpg



関連記事

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/05 (Fri) 08:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

えみりん様、いらっしゃいませ!

いいですよ!何回でもっ!
私も実家で犬を飼ってました。兄が拾ってきたんですよ。
その犬も18年間飼って、最後は6ヶ月くらいもう動けなくて
母が毎日抱えて世話をしてましたね。

私の家には今はオカメインコが6羽います。
これがねー!書いてる最中にPCのボードの上を歩くんですよ。
そう!この私にしたら司君を書くのは難しいのに、悩んでたら
眼の前をペタペタと・・・。ガックリきます。
変な文字を打っていくんですよね。あ、一羽だけ手乗りなんです。

類って名前にしたかったけど、恥ずかしいでしょ?
家の中で大声出して呼ぶのに「類!」って。近所にバレちゃう・・・。
総ちゃんは抵抗なかったです。でも、うちの総ちゃんは後から判明したけど
メスでした。卵産んだんですもん。もうびっくり!
多分お父さんはあきらです。同室だから。

この二羽だけ名前をもらいました。

会社の子が赤ちゃん産んでなまえが「そういちろう」だったんです。
思わず「なんで総二郎じゃないの?」って言ってしまった私。
周りを巻き込むなって感じですね!(何の話し?)

どうも、脱線してすみませんでした。

2017/05/05 (Fri) 09:56 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/05 (Fri) 14:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは❗

司君のこと好きなんですよね?確か…違いました?
なんだかね、司君のことが好きな方が見ると怒られそうで
ほんとは怖いんですよ。

もうちょっとだけ暴れる予定なので。

さとぴょん様、ご希望のはほんとに来るのかしらね?
申し訳ありませんけど、まだ勇気が出ないよ~❗


頑張っておりますから、待っててくださいね。

2017/05/05 (Fri) 15:48 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply