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「いらっしゃいませ~って、桜子?どうしたの?」
「こんにちは!先輩。バイトは何時までですの?」


それは春も終わって5月の終わり頃。
バイト先のお団子屋さんに現れたのは、この店になんとも不似合いな露出度の高い服を着た桜子・・・しかも後ろには金髪の男性が1人。
新しい彼氏かしら。すごいイケメンで落ち着いたブラウンの瞳は花沢類を思い出させた。


「えっと、あと15分かな?・・・ってか、あんた!まだそんな格好寒いでしょ?風邪引くわよ?お腹が見えてるじゃないの!」

「なに、オバさんみたいなこと言ってるんですか?このぐらい普通です!そんなことより遊びに行きましょ?」
「・・・はい?」


ショッキングピンクのヘソ出しミニドレスの桜子とポニーテールにトレーナーとジーンズ姿の私が遊びに行く?しかも、そこに居るあんたの彼氏連れて?
またそんな馬鹿なこと言って!って怒ったら、その男の人は私の相手だと言い出した。

「はぁ?!ちょ、ちょっと待ってよ!なに、その話!私はその人のことなんて知らないわよ?」

「当たり前ですわ。初めて会うんですもの。彼の名前はピエールです。イギリス人で歳は先輩と同じですの」
「ハイ!ツクシって言うんだよね?ヨロシク!」

「よ、宜しくって・・・うそ!同じ歳?これで?」

ニコッと笑われた口元から白い歯が光る・・・和菓子のショーケース越しに手を差し出されたから、つい釣られて手を出したらギュッと握られてドキッとした。
こんな風に男の人に触られたことなんて、あの人達以外では初めてだし!

「あっ、あの・・・まだ仕事中なんで、ま・・・待っててもらえますか?でも、私可愛い格好じゃないんでやっぱり止めた方が良くないですか?桜子!あんたが説明しなさいよ!」
「あら、可愛いお洋服でしたら持ってきました。はい、これ。バイトが終わったらこれに着替えてくださいな」

「・・・あんた、こういう時だけ準備いいわね」


でも、バイトが終わって桜子から渡された袋を開けてみたら、中には真っ白なミニドレス!しかも胸の部分が開きすぎっ!
こんなの着たらそこだけがブカブカで胸のないのが一発でわかるじゃないの!

しかも膝上20センチ?ちょっと屈んだらパンツ丸見えじゃない?今日のパンツは白とグレーの縞々なんだけど・・・ホントにこれを着るのかしら。

悩んだ末、頑張ってそれを着てから桜子の所に行くと、見た目が幼いからってポニーテールを解かれて、すごい勢いでヘアメイクされた!しかもお団子屋さんの前の道路なのにーっ!


「さっ、桜子、人が見てるって!恥ずかしいじゃないの!」
「いいから、いいから!さっ、後はこのピアスを挿しましょ♥」

「うわっ!そんな派手な大きいものを付けるの?耳が伸びちゃうっ!」
「お店に入ったらすぐにメイクも直しますわよ。流石にメイクはここでは無理ですから」


バイト前とは別人になった私はピエールに腰を持たれてそのまま賑やかな通りの方に向かって歩くことに・・・。
こんなの知ってる人に見られたら・・・総二郎に見られたらどうするのよっ!



******************



桜子が変な言い方をしたから気になって、あれから何回かつくしのバイト先の団子屋に様子を見に行っていた。

団子屋の向かい側の角にある喫茶店の窓際・・・店の入り口が団子屋からは見えねぇから都合が良かった。
掌の中にすっぽり入るオペラグラスなんて持って、ストーカーみたいな気分で嫌だったが遠くからチラッと見るだけで店の中には入ることはねぇし、バイト終了まで見届けるわけでもない。

時間があるときに少しだけ・・・その度に元気のないあいつを見ると胸が痛んだ。
あんな顔にさせたのは俺か?なんて思ったりもしたが、今更声をかけるつもりもなく、働いてる姿だけを確認しては家に戻っていた。


そんなある日、いつものようにその店から団子屋の中のつくしを見つけて、今日も休まず来てることを確認したから帰ろうとしたら・・・団子屋に入っていったのは桜子と外人の男?!
桜子のド派手な服装は見慣れてるからいいとして、その隣の金髪もかなり遊んでそうな服装でチャラいヤツだった。

「なんだ?・・・桜子の男か?でも、そんなの連れて団子屋に?あの金髪、団子食えるのかよ・・・」


まさか、あの金髪をつくしにって事はねぇよな?
いや、そもそもつくしがあんな金髪を彼氏に持つはずがねぇし、ああいう男は嫌いなはず・・・つくしの好みは俺なんだから。

・・・って今は恋人じゃねぇけど。


それでも何故か気になってずっと中の3人の動きを睨むように見ていた。
そしたらショーケース越しにつくしに手を差し出して握手?!握手だけならいいが、キスなんてしてねぇよな?って思うが、桜子が邪魔でよく見えない!

ガタンと席を立って窓硝子に手をついて・・・でも、見つかっちゃヤバいと思ってすぐに元の体勢に戻した。


なんだ!あの男・・・つくしに触れやがったな?
桜子も桜子だ!自分の男ならちゃんと管理しろってんだ!自分以外の女に手なんて出させるな!馬鹿野郎・・・!

ムカムカしながら横目で見ていたら桜子と金髪だけが店の外に出て、そのままガードレールに凭れるようにして立っていた。
もしかしてつくしを連れて飲みにでも行く気か?


あんなガキっぽいつくしが桜子の行くような店に入れると思ってんのかな。
俺だって飲みに行く時にはつくしの着る服を上から下まで全部揃えたぞ?そうしないと自分でコーディネートしようと思わないヤツだからな。
まぁ、あのままのつくしが1番いいんだけどさ・・・たまには着飾った姿を見たいって思うもんだからな、男ってのは。

特別な時だけでいいから俺のために・・・そう、クリスマスの時もそう思ってたから腹が立ったんだ。


あの時の事を思い出してイラッとしてたら団子屋の裏から見慣れない派手な女が出てきた。やけにセクシーな白のワンピで胸元もすげぇ開いてて・・・って、あれはつくしじゃねぇか!


うそっ・・・なんだ、あのミニドレス!足、丸出しじゃね?!

そして桜子に近づいていったら今度はとっ捕まって髪の毛弄られてた。
勿論それを横でニコニコしながら見てる金髪野郎・・・そいつは支度が出来上がったつくしの腰を抱いて、アパートとは反対の方向に歩き出した。

尻をプリプリ振りながら歩く桜子なんてどうでもいいが、なんでつくしまでそんな格好で夜の街に向かうんだ?


♪~♪~

「・・・なんだ!」
『若宗匠!何処にいらっしゃるんですか?家元がお待ちですよ!今日は会食のある日だと言っておいたでしょう?』

「・・・すぐに戻る!」


くそっ・・・!あいつ、つくしに何かしやがったら許さねぇからな!



************



<side桜子>

あら?西門さんったら後を付けてこないのかしら?
ずっと向かいの喫茶店で先輩を見張ってるの、私、随分前から知ったましたのに。今日だってちゃんと西門さんが喫茶店にいるのを確かめてから、私の友達のピエールに演技を頼んだんですもの。

ふふふ、でもこれで少しは焦るんじゃないかしら。
2人ともいつまでも意地を張ってると知りませんわよ?ピエールには本気になったらどうぞお好きに♥って言ってあるんだから。


「ツクシってキュートだよね!俺、君みたいな人、タイプなんだよね。普段はカジュアルでもドレスアップしたら別人になるって感じ?新鮮でいいよね!」
「は?えっ、えーと・・・そうですか?」

「うん!このまま今日の夜、一緒に過ごさない?」
「はぁっ?!いくら何でもそれは無理っ!!何言ってんのよっ!」

「・・・・・・」

あ、あら?
もしかしたら本当にピエールったら先輩に恋したのかしら?それは困るわ・・・私、西門流を敵に回したくはないもの。

どうしましょ・・・?

「怒った顔もキュート!!ツクシ、キスしてもいい?」
「馬鹿言ってんじゃないわよ!!出会って30分でキスなんて冗談じゃないわ!」


先輩・・・西門さんは最短3分でキスだそうですよ?過去の話ですけどね。



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2018/12/17 (Mon) 14:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは🎵

yuka様 こんばんは!

そうそう!シリアスな話じゃないんですよ(笑)
実はここからちょっとだけコメディになります。

去年は羽目を外したので今年は落ち着いたお話です。
落ち着いてはないか💦

初めは持たせてなかったのよ!
でも、考えたらやっぱり見えるわけないか!って思って。
視力良すぎるでしょ?あははっ!

ストーカー総ちゃん、まだまだやります!次回も宜しくです!

2018/12/17 (Mon) 19:30 | EDIT | REPLY |   

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