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ホテルの最上階にあるエグゼクティブスイートルーム。
真下にはさっきのクリスマスツリーが輝いてるし、この部屋にもゴールドのランプだけが輝いてる大人っぽいツリーがあった。

その窓辺で後ろから花沢類が抱き締めてくれる。
私の胸の前でクロスされてる腕を掴んだら耳元に優しくキスされた。


「もっと早く打ち明けたかったんだ。でも親から婚約者って存在を言われてね」
「婚約者?花沢類の・・・婚約者?」

「そう、俺も知らなかったんだ。そんな人が用意されてるって・・・ちょうど俺の誕生日にその人と会うように言われたけど断わって逃げたんだ。桜の下にね・・・」
「あの時・・・そうだったの?」

このあともその人と会わせようとするご両親に反発し、相手の人には会おうとしなかったってクスクス笑いながら教えてくれた。オーストラリアには仕事で行ったはずなのに相手の人が待ち構えていて、花沢類はその場で婚約解消するようにとだけ言って現地を後にしたって・・・。

相手の人は花沢家にはとても有益になる家柄の人で、綺麗な人だったって言った。
それでも何1つときめくことも心を奪われることもなく、私へのお土産を選ぶ方が楽しかったって。


「何度も牧野に俺の気持ちを伝えてしまおうって思った・・・でも、花沢がゴタゴタしてる中であんたに嫌な思いをさせたくなくて、それでもどうしてもあんたをフランスに連れて行きたくて焦った・・・本当に焦ったよ。
相手の家が婚約破棄を言ってきたのが秋の初めで、うちの両親が牧野を認めてくれたのが先週。良かった、この日に間に合って・・・もう限界だったでしょ?」

「・・・うん、限界だった。もう花沢類が日本にいなくなるって思うだけで胸が張り裂けそうだった。自分から言うのは怖かったの・・・でも、もうこれで最後だから願いが叶わなくても好きだって伝えて別れようって思って・・・」

「牧野の不安はわかってたんだ。でも、司の家で泣いたあんたに同じ思いをさせたくなかったんだ。ちゃんと気持ちを話す時は家が認めてくれた時・・・そう思ってた。花沢の事を恐れないようにしてから伝えようとしたら遠回りになっちゃった・・・ごめんね」


彼の腕を掴んでたけど、今度は身体の向きを変えて彼の胸に顔を埋めた。
そしたらもっと強く抱き締められて苦しいぐらい・・・私も花沢類の背中に手を回してスーツを握り締めた。


この温かさを友達のものだと思わなくていいんだよね?
この腕の強さは私を守ってくれるって信じていいんだよね?

私は花沢類の傍にこの先も、ずっと先も・・・一生あなたの隣は私だって約束してくれるんだよね?


「あんた、明日は会社を休むんだよ。知らなかったでしょ?」
「え、どうして?まだ仕事納めじゃないよ?明日は平日だもん・・・会社だよ?」

「くすっ、牧野が定時で帰ったあとに連絡しておいたから。明日、お休みさせますって・・・ごめんね、花沢の名前出しちゃった」

「うそっ・・・」
「ホント。だから明日の夜までずっと一緒にいよう」


「長い時間だね」って言ったらニコッと笑って両方のほっぺたを大きな手で包まれた。
そしてゆっくりと花沢類が近づいてきて・・・凄く優しいキスをくれた。


その夜は彼の腕に中で夢を見た。
幸せ過ぎる夢を見た。

こんなの初めてで怖くて、それでも嬉しくて温かくて・・・大好きな人と結ばれるってこんなに幸せなんだって。



**



目が覚めたとき隣に花沢類が居て、お布団に埋もれて天使みたいな寝顔を見せてくれた。
くすって笑ったら少しだけ目を開けて「・・・おはよ」って。

そして片手が伸びてきてまだ抱き締められた。

「おはよ、花沢類・・・ちょっと、痛いよ?ダメだよ、離して・・・」
「嫌だ、離さない」

「だって、あの・・・着替え・・・」
「そんなに早く出たいの?・・・そんなの許さないって・・・」


朝一番のキス・・・また花沢類の指が背中を滑るから「ひゃん!」って声があがって、それを聞いた彼がクスクス笑う。
「意地悪だなぁ!」ってちょっと睨んでも効果なし・・・すぐにまた唇が重なって、私も彼の首に腕を回した。

何度もお互いに確かめ合ってからようやくベッドから抜け出したのはお昼前。


うわ・・・お腹と腰が痛い。
友達が言ってたの、本当なんだ・・・。


服を着てから自分の荷物に気がついた。
今日はクリスマス・・・花沢類のために編んだマフラーを持ってきてたんだ。

私はこんなに可愛いドレスにディナーにアクセサリーにこのホテル・・・沢山の贈り物をもらったのに渡せるのがこれだけ?
でも他には用意してないし、って悩んだ末に着替え終わった彼の前に行って、その包みを差し出した。


「あ、あのね・・・実はこれ、編んだんだけど・・・こ、こんな事になると思わなかったから、これしか持ってなくて。使わなくてもいいんだけどせっかくだから渡しても・・・いいかな?」

キョトンとした顔して私から包みを受け取って、その場でガサガサと開けた。
そして中から出てきた手編みのマフラーを見て「ありがと!」って、マフラーにまでキスして首に巻き付けてた!

「うわっ、似合わないよね、こんなマフラー!ごめん・・・何も思いつかなかったの」
「え?似合わない?俺はすっごく気に入ったんだけど。会社に巻いて行ったら自慢しちゃうかも!」

「えぇっ、ダメダメ!会社になんて巻いて行っちゃダメだよ!」
「あはは!じゃあ・・・牧野、左手を出して?」

「左手?」
「うん」


左手を出したら花沢類はポケットから小さな箱を出して、私の左手をひっくり返して・・・まさか、それって?

彼はその箱から凄く綺麗なダイヤの指輪を出して私の左手薬指にはめてくれた。
信じられないような輝きの・・・一粒ダイヤがプラチナの花びらの中に埋もれてるようなデザインの指輪。



「これが本当のプレゼント・・・牧野、愛してるよ」


その手を引き寄せられてまた彼の胸の中に・・・驚き過ぎて言葉も出なくて、涙だけが頬を流れた。

不安だったものが全部溶け出して流れて消えて、私に残ったのは温かい彼の胸の中。
今までで1番幸せなクリスマスの朝だった。


でも、どうしよう・・・会社、辞めなくちゃいけないよね。
まだ何にも出来ない新人なのに、もう退職かぁ・・・って、それだけが残念だったけど。

いつ話そうかな・・・年が明けてからにしようかな?うん、そうしよう・・・それまで頑張ろうって独り言のように呟いてた。



***



12月28日  仕事納めの日。

社内の事務処理と大掃除を終えて、退社時刻の午後5時になった。
年内最後の終礼、ここで社長から年末のお話しがあるからって、事務所に整列してその話を聞いていた。1年間の色んな出来事や商談についての報告、これからの業務についてなどが続いてようやく終わったと思った時だった。


「えー、ここで大変残念な話ですが、牧野つくしさんが本日でこの会社を退職されることになりました」
「はぁっ?!!ちょ、ちょっと待ってください!私がですか?!」

「はい、そうですよ。なのでこれがささやかではありますが私達からのお餞別と花束です。短い間だったけど楽しかったですよ。ありがとう、牧野さん」


いきなりの退職宣言に驚いて、みんなから拍手されたり「お疲れさん!」って言われたり・・・でも、私は何のことだかわからなくて1人でオロオロしていた。
言われるがままに前に出て受け取った大きな花束。
いつの間に書いたのか知らないけど、メッセージがぎっしり書かれた色紙に中身がわかんないけどプレゼントの包み。

それを持って社長の横で拍手を受けていた。


「あっ、あの・・・なんでこんな事に?」

「あはは!いいじゃないですか。こうしないと牧野さんも行きにくいんでしょう?外国ですからねぇ」

「え・・・どうしてそれを・・・」

「ほら、お迎えにいらっしゃいましたよ」


振り向いたら会社の入り口に花沢類が立っていた。
そして会社のみんなに頭を下げて、私に向かって手を差し出した・・・「帰ろう」ってその口が動いたのが見えた。


「花沢さんが牧野さんをフランスに連れて行きたいので年内で辞めさせたいと連絡してこられたんです。でも、まだ働いて間もないあなたは遠慮して自分から言い出せないだろうからってね。ははは、こういう辞め方は初めてだから驚いたけどね」

「類が・・・そんなことを?」

「はい。それにね、花沢物産と取引が出来そうです。あなたのおかげですよ、牧野さん。引き合わせてくれてありがとう!」


「・・・皆さん、短い間でしたけどお世話になりました。ありがとう・・・ございました」


先輩達から「おめでとう」と「頑張れ!」の言葉を沢山もらいながら花沢類のところに走って行った。


本当にいつもびっくりなんだから!
今まで遠回りだったくせに・・・こんなに待たせたくせに・・・!

急にスピード上げるから追いつかないっての!



「類ーっ!お待たせーっ!」
「うん、今からすぐにうちに帰ろう?両親が待ってるからさ」

「あはは!真っ直ぐ?!」
「もちろん!もうどこにも寄り道しないからね。あんたのバースデーパーティーが始まるんだよ」






fin.





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最後までお読みいただきありがとうございました♥
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Comments 12

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2018/12/02 (Sun) 12:39 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/02 (Sun) 13:13 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/02 (Sun) 20:16 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/02 (Sun) 20:21 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様 こんばんは。

はい!何とか無事に終わることが出来ました♥

ドロドロ・・・私、そんなにドロドロさせてるんですかねぇ💦
めっちゃ爽やかに書いてるつもりなんですが・・・あら?違います?

まさかたった14話で事件はねぇっ!
起こしたら長編になりますが、それだとクレームが相当数来そうな内容でしたね(笑)


最後は真っ直ぐ急いで帰ろう!これが描いていたラストでした♡
応援いただいてありがとうございました。

うふふ、総誕、始まってますが宜しくです!

2018/12/02 (Sun) 21:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

あはは!切なかったんですねぇ・・・そういうコメント、多かったですね。
書いてる本人、切なくした気が一切なかったので本当に驚きでした。

でも最後でほんわかしていただけるように、実は2話の予定が1話増えて3話になったクリスマス♡
うるうるしていただけて良かったです。

毎回応援コメント、本当にありがとうございます♥

2018/12/02 (Sun) 22:02 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

さゆ様 こんばんは!

そこっ!そこですか!(爆)
うん、見たいですよね(笑)でも、つくしちゃんだけですからね~💦ホント、羨ましい!

お布団に包まってる類君・・・そうそう、夏のイベントの時もそんな感じのイラスト描きましたね(笑)
夏だから布団から肩を出したヤツ。
今もね、カテゴリーでイベントの中の「禁断のお部屋」最初と最後にそのイラスト載せてます♥ははは!

妄想バンザーイ!!

2018/12/02 (Sun) 22:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、それは良かった!!

『さゆ、良かったね♥驚いちゃった・・・もう、ドジなんだから。もう切らないでね?俺が悲しくなるから』by類

2018/12/02 (Sun) 22:12 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/03 (Mon) 11:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

かおりもち様、こんばんは!

はい!最後は突っ走りました!(笑)
ワクワク、ほんわかとしていただけたら嬉しいです♥

凄く楽しそうに、嬉しそうに手を繋いで帰っていく姿を想像しながら書き終えました。

お付き合いくださいましてどうもありがとうございました♡

2018/12/03 (Mon) 18:45 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/03 (Mon) 23:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは。

安心しましたか?うふふ・・・良かった!
色々とご心配かけましたが、最後は激甘で♡

途中も結構甘かったと思うんですけどねぇ(笑)
私ったら全然切なく書いた気分じゃなかったもんですから・・・ははは!

嬉しいお言葉、いつもありがとうございます♡

2018/12/04 (Tue) 11:50 | EDIT | REPLY |   

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