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牧野を抱きかかえて向かったのは自分の部屋・・・そこから牧野の部屋に連れて行こうかと思ったけど、自分のベッドに寝かせた。
深い意味なんてなくてドアが開けられなかったから・・・ただ、それだけなんだけど。

そっと降ろしたら少しだけ「う・・・ん」って声を出したけど、そのまままた寝てしまった。


よっぽど疲れたんだね・・・って顔にかかってる髪の毛を直したらほんの少し肌に指が触れた。
それに反応して顔を俺の方に向けたけど、起きる気配はなさそうだ。

小さなノック音が聞こえたからドアまで行くと、加代が俺の食事のことを確認に来たから「牧野と一緒に」と言えば笑って戻って行った。

・・・その時、胸ポケットで電話が鳴った。


その宛名を見て溜息が出た。それでも出ないと後が面倒臭いから、仕方なく通話をタップした。


『もしもし、類?電話に出るのが遅かったのね。まだお仕事?』

「久しぶりだね、静。もう家だけど・・・どうかしたの?そっちは今お昼でしょ?仕事中じゃないの?」

『こっちでの仕事はもう辞めてるの。今は本当にフリーな毎日なのよ。うふふ!私ね、来月帰国するってメールしたでしょ?でも早く類に会いたいから来週には帰ることにしたの。空港に迎えに来てくれるでしょ?』

「・・・俺の方が仕事だから無理。いつまでも学生じゃないんだから勝手に動けないよ」


また自分の都合だけ言ってくる・・・その時間の俺の都合なんて昔から聞こうとしないんだから。
まぁ、それで彼女が怒っても俺には関係ない、そのぐらいの気持ちで耳に当てたスマホも離し気味に・・・出来たら早く牧野の横に戻りたかったけど、話し声で起こしたくなくて廊下に出た。

『お仕事かぁ・・・類も私より仕事を優先するようになったの?ホント、男っていつの間にかそんな風に変わるのよね。類は変わらないと思っていたのに』

「あのさ、俺をいくつだと思ってるの?社会に出たら変化も出て当然だよ。それがわからない静じゃないだろ?」

『・・・あなたはいくつになっても私の類よ。うふふ、いいわ・・・また帰国したら連絡するわね』

「静、その言い方は・・・」


俺の最後の言葉なんて聞かずに電話は切られた。

『いくつになっても私の類』・・・そんなわけないじゃん。
彼女が帰国してきてここに現れて、牧野に何か言わないだろうか。牧野はここでは俺の恋人・・・静が知ったらどうするんだろう。

それが少し気になったけど、静にわかってもらういいチャンスかもしれない、そう思うことにした。


それに恋人だと思われてもいい。いや、むしろ俺はそれを・・・



***************



「う・・・ん、あれ?ここ・・・」

類の運転する車の乗り心地が凄く良かったからウトウトしちゃったんだ。
目が覚めたら類の部屋のベッドにスーツのまま寝ていて、類は何処にもいなかった。

もしかしてダイニングで食事かな?って思ってベッドから降りてドアに向かったら、小さな話し声が聞こえた。


「・・・当然だよ。それがわからない静じゃないだろ?」
「静、その言い方は・・・」


静・・・?静って類の憧れてた人のこと?あの、好きだと思っていたけど違ってたって・・・その人と廊下で話してるの?
でも、最後の言葉の後、類の声がしなくなったから終わったのかもしれない。

ヤバい・・・そうしたら部屋の中に入ってくる?

足音を立てないように急いでベッドまで戻って、そこで起きたまま彼が入って来るのを待った。少しだけ顔が熱くて胸がドキドキしてる。立ち聞きしちゃったの、バレないよね?


あれ、類が入ってこない?


もう1回ドアまで行って、そーっと耳を当てようとしたらガチャ!ってドアが開いて、またおでこをぶつけるとこだった!

「うわあっ!びっくりした!」
「あれ、起きたの?ごめんね、俺を探しに行こうとしたの?」

「は?えと・・・うん、そう!そうなの!私ったら車で爆睡したんだね?ここまで運んでもらっても起きないなんて自分でもびっくりだわ!」

「くすっ、疲れたからだよ。キュイジーヌから出てきた時も歩く速度が遅かったから」
「そ、そお?」

立ち聞きしていたのは気付かれなかったのかもしれないけど、必死に誤魔化してる私のお腹は正直だった。
こんな場面なのにまた凄い音が鳴って、目の前の類はキョトンとしていた。

出会った時も同じ事しなかった?!慌てて自分のお腹を押さえたけど、それがいけなかったのかもう1回大きな音が!!


「ぷっ!くくく・・・」
「あっ、これはあの・・・よく動いたからさ!そういうことなのよ、それにお昼が遅くて慣れてないから少ししか食べられなくて・・・」

「あっはは!ホントにあんた、面白いね!すぐに持ってこさせるよ」
「えっ!ここで食べるの?」

「俺もまだだから一緒に食べよ?」


私の肩に類の手がそっと触れて部屋の真ん中に連れて行かれた。
その肩がすぐに熱を持って、真横を歩く彼にドキドキしてた。


さっき・・・何を話してたんだろう。

でも、それは私が聞いちゃいけないような気がして何も言えなかった。恋人と会話するような言葉だったけど、類は違うって言ったもん。
それに少しだけ声が怖かった・・・私にはあんな声で話しかけないから、ちょっと驚いたぐらい。


類はすぐに内線して部屋に2人分の食事を運ぶように言ってくれた。


「俺も着替えるから牧野も楽な格好に着替えておいで」
「はーい!スーツじゃお腹一杯食べられないもんねぇ!」

「・・・この時間からお腹いっぱい食べるの?」
「もっちろんよ!明日の元気は今日の晩ご飯って言うじゃない!」

「今日の元気は今日の朝ご飯・・・じゃなくて?」
「いいから、いいから!」


半分わざと明るくしながら自分の部屋に戻った。
でも、その笑顔は部屋に入った途端に真顔になる・・・どうしてこんなに「静」って人の事が気になるんだろう。

ゴクンと1度唾を飲み込んでから急いで服を着替えた。


そして類の部屋に戻ったら、もう加代さんが料理を運んできてくれていた。
ダイニングじゃないからお料理も纏めた感じでカトラリーも少なめで。食後の珈琲は自分たちでするからって類が断わって、2人だけのディナーが始まった。

「うわっ!今日も美味しそう・・・これはなんだろ?」
「今日はロシア料理。これはボルシチだね」


初めて見るロシア料理のフルコース。
前菜とサラダの盛り合わせとライ麦パンにボルシチ、メインディッシュは何故かお肉とお魚の2つが用意されてて好きな方を選んでって言われた。

「こっちがビーフストロガノフで、こっちがエビとサーモンのパイ包み焼き・・・どっちがいい?」
「お肉!」

「はい、じゃあビーフストロガノフね」


でも、この部屋にはローテーブルだけ。
そこに並べたからラグの上に座る格好になって、硝子の天板だから胡座をかいてる長い脚が丸見え・・・「こんな風にして食べたことがあるの?」って聞いたら「初めて」って笑ってた。


「もしかしたらこんな事がこれからはあるかもね。この部屋に大きめのテーブル置こうか?」
「うん!ねぇ、類。もうひとつソファーも欲しいの。今1つでしょ?あの、えっと・・・ほら!たまにはお酒とか飲む時にさ!」

「え?酒、飲めるの?牧野」
「ううん、飲めない」


また類がその場に倒れて笑ってる。
そんなに可笑しかったかしら?


晩ご飯が終わる頃にはもう静って人の事も忘れて、また今日の出来事を類に話しまくった。


「明日の朝は早起きして桃太郎と菊次郎に会いに行かなきゃ!」
「じゃあ俺も行く。牧野、朝起こしてよ」


少しだけ細めてる瞳・・・私に向けられる彼の笑顔にホッとしていた。





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2018/12/06 (Thu) 06:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

そうなんです・・・皆様の逆鱗に触れることは重々承知してるのですが。
とうとう現れちゃいます。

原作では全然こんな雰囲気ない人なのに(笑)類君好きさんにはやっぱり嫌われちゃうんですよね~💦
えぇ、勿論その1人ですけど(笑)

この人が出てきたら・・・皆さん、怒るんだろうなぁ💦

でも、その前後には楽しい場面もあるから許してくださいね~!!

2018/12/06 (Thu) 14:07 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/08 (Sat) 15:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz**様 こんばんは。

はい、申し訳ないですか登場致します(笑)
かなりクレーム来ること間違いないですが、そんな登場の仕方です。

つくしちゃんの周りが危険になってきましたかね・・・?
でもまぁ、類君がいるんで大丈夫です♥

見守ってやってくださいな!

2018/12/08 (Sat) 19:16 | EDIT | REPLY |   

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