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plumeria

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牧野が司に直接伝えた決別の言葉・・・その後しばらく司は黙ったままだった。
俺も黙ったまま牧野と司の間から動かなかった。

数分後、司はふぅっと小さく息を吐いてゆっくりとドアの方に向きを変えた。
表情を全く変えずに、その感情は読み取れなかった。ただ、さっきまでの殺気だったものはなかった。
そして、その背中越しに少しだけ顔を俺に向けて話してきた。

「類・・・その腕はドイツの奴らに撃たれたって聞いたが・・・本当か」
「あぁ。牧野に怪我を負わせるわけにはいかないからね。」

「そうか・・・傷はひどかったのか?」
「かすっただけだよ。次は頭って言われたときに美作に助けられた」

そういえば司も最近アメリカで事故に巻き込まれて腕を負傷してたっけ・・・

「司は?お前も怪我したんだろ?もう大丈夫なのか?危ないことばっかりしてるからだよ!」
「うるせー!それこそお前に関係ねーよっ!」

最後にそんな捨て台詞を残して病室から出て行こうとした。


「道明寺?」

牧野が声を掛けたけど、ドアの手前で立ち止まった司はもう振り向かなかった。

「類・・・花沢に今後何が起きても俺は絶対に助けないからな・・・花沢とはこれまでだ。覚えとけ!」

それだけ言って司はドアを閉めた。
司の甲高い靴の音が廊下に響いて・・・そして遠ざかっていった。


******


「なんだったの?道明寺・・・本当にこのためだけに来たのかな?」
「そうなんじゃないの?でも負けを認めたくないんだよ。プライドだけは人一倍高いからさ」

昔からそうなんだよ・・・人のものは欲しがるくせに手に入ったらほったらかし・・・
負けず嫌いで、我儘で・・・でも本当はすごく寂しがりなんだよね。素直じゃないからね。


「道明寺・・・大丈夫かな。私ストレート過ぎたかな」

「え?なんの心配してんの?あんた、さっき思いっきり振ってたじゃん!」

「そうなんだけど、ほら!あの人意外と話せる人が少ないからさ、溜まっちゃうんじゃないかな?きっとそうだよ!」

「あんただって話してもらえなかったくせに」

「いや、だから、そうなんだけど・・・」
「もう、司の事は言わないで」

他の男の名前がでてくるその唇は、俺の唇で塞いでしまおう・・・
倒れそうになる牧野の身体を両手で支えて・・・唇を離したら真っ赤になった牧野が泣きそうになってた。

「・・・もうっ!類ったら!」
「だって、いやだったから・・・」

「ごめんね。花沢に迷惑掛けるのかな・・・私のせいで」

「本当に心配性だね!会社のことは牧野が考えなくてもいいんだって。司だってあんな事言ってるけど
会社同士の取引なんて個人の恋愛問題じゃ左右されないよ。前にも言ったけど、もしそうなっても道明寺以外の
取引先なんていくらでもあるんだから。花沢だって一応、世界中に名前だけは知られてるんだし、俺も来年からは
仕事を本格的にやらないといけないからね。俺が頑張れば大丈夫でしょ!」

「・・・そうだったね。来年はもう・・・」

「牧野?」

急に静かになってしまったけど・・・もしかしたら卒業したら俺がどこかへ行くと思ってるのかな。
そのうちにちゃんと話そうと思ってるから・・・今はまだ言えないけどね。

「さぁ、牧野!荷物はあんまりないと思うけどタクシー呼んでるから支度しよう?」
「うん・・・。でも本当に何もないのよ。ここには何でも揃ってるんだもん。カバンすら持ってきてないよ」

「そうだったね。あそこから直接病院だったもんね。」

もう一度牧野を抱き締めた。本当は司が現れたときに少し不安だったんだ・・・牧野の反応が。
でもそんな事思ってたなんて言えない。俺も牧野の事だけは負けず嫌いだったんだな・・・
すごく嬉しかったんだ・・・あんなにもはっきりと司の前で俺を選んでくれて!


「ありがとう・・・牧野、愛してるよ」
「急にどうしたの?・・・私も類のこと・・・愛してるよ」

自然と唇が重なる・・・もう誰も邪魔なんてしないよね。
立ったままキスしてるから牧野が少し背伸びしてる。なんだかすごく可愛いんだけど・・・フラフラしてるとこが・・・。
思わず抱き締めようとして手を背中に回した時だった・・・



「花沢さーん、お迎えのタクシーが・・・っ!!きゃーーっ!失礼しましたーー!!」

若い看護師がまたいいタイミングで入ってきて、そして叫んで逃げていった・・・。


「あの人よく叫ぶよね?」
「・・・類のせいなんじゃないの?」

「またあの看護師長に怒られるよね?早く帰ろうか?」
「そうだね!また怒鳴られるね。間違いないよ」


2人で手を繋いで病院を出る。一週間ぶりの外の空気に深呼吸をした。

「今日はすごくいい天気なんだねー!類。やっぱり病室の窓とは景色が違うね!」
「そうだね・・・眩しくて眼が痛いくらい」

呼んでいたタクシーがすぐ近くまで来ていた。
どうして花沢の車を呼ばなかったのか・・・それは牧野とここに行きたかったから!
花沢の車だと目立つからね!


「牧野、今日の晩ご飯の買い物に行こうか!いつものスーパーに!」

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