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plumeria

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24日の朝、いつも通り類の腕の中で目が覚めた。
今日は天気予報では雪が降るって言ってたっけ・・・ベッドの中からカーテンの隙間を見ようとしたら類の手が伸びてきた。

「きゃっ・・・類、起きてたの?」
「・・・牧野が動くから目が覚めた。おはよ・・・」

「おはよ、類。今日だね、コンサート」
「・・・うん、楽しもうね」

いつものように軽めのキスをしたらすぐに甘いキスのお返しが来る。
「朝だから・・・」って言ってもまた私を自分の上に乗っけて遊び出す、ホントに子供みたいな朝の類・・・何度怒ってもケラケラ笑って反省しないからもう諦めた。

だからしばらく類と一緒にお布団の中でゴロゴロして・・・それから1時間も経ってから2人で一緒にベッドを出た。


類が珈琲を煎れてる時に私がサンドイッチを作っていつも通りの朝ご飯。
それが済んだら普通の日と同じようにお洗濯してお掃除して、類はやりかけのレポートをパソコンで作りながらまだ欠伸してる。

とても今から演奏会やるなんて思えないのんびりした時間を過ごしたらすぐにお昼になった。

お昼ご飯は朝食が遅かったから少しだけ・・・おつまみ程度に食べてようやく支度に取り掛かった。でも着替えはcantabileでするから普通のセーターにジーンズでコート羽織るだけなんだけど。


「牧野、そのお菓子全部持てないでしょ?半分持つよ」
「うん!意外と重たいのよ。何人来るんだっけ?多めに作ったから足りると思うんだけど」

「・・・残ったらあんたの分?」
「あっはは!そうかもね~。アリスさんとマリアさんにも渡そうかな。日本のお菓子を食べてもらうの!」


昨日の夜、橋本さんと買ったお菓子を部屋中に広げて可愛い袋に詰め直した。
私が詰めたら類がクリスマスカードを入れて封をして、最後にリボンをくっつけて。
疲れて帰ったのに遅くまで大笑いしながら準備したお菓子の袋は大きな紙袋3つ分にもなって大荷物。それを類が2つ、私が1つ持って寮の部屋を出た。

階段を降りたらすぐに見える管理人室。そこに行くと管理人さんが恐縮した顔で椅子から立ち上がった。


「管理人さーん!今日は宜しくお願いします。お待ちしていますね~!」
「はっ、はい!でも本当に宜しいのでしょうか?」

「・・・いいんじゃない?どうせ寮だってみんな留守にするでしょ?牧野が喜ぶから来てやって」
「よ、喜んでっ!必ず行きますので!」

「管理人さん、何も持ってこなくていいですからねぇ~。服だって普段着でいいですよ?コンサートって言っても音楽教室でするんだから」


今度は門の前・・・守衛さんが今日も類を見てビシッ!と敬礼してる。
その横に行って「待ってるから来てくださいね」って言うと、同じように類を見て困っていた。

「・・・気にしないで管理人と一緒においでよ。せっかく牧野が張り切って準備したんだから」
「はっ!畏まりました!」

「ヤだなぁ!命令してるんじゃないんだから気楽に来てくださいね?類のヴァイオリン、本当に素敵なの!私もサンタガールになるから見に来てね♪」

「はっ?!牧野さんのサンタガールですか?た、楽しみです!」

「そこは見なくていいよ・・・牧野もそこは宣伝しなくていいの!」

不機嫌になった類に引っ張られながらも守衛さんに手を振って、私達は寮を出た。



**



cantabileに着いたらもう橋本さんが準備を進めていて教室内は綺麗に飾り付けが完了していた。

オーナメントが光り輝くツリーのてっぺんには大きな星がキラキラしてて、セントポーリアの鉢植えとシクラメンでクリスマスっぽく演出。子供達用のお菓子は演奏が終わった後で類と橋本さんがサンタさんの代わりに配ってくれるから大きな白い袋に移し替えた。

観客席の真ん中は類のお父様とお母様、そして右隣は西門さんと美作さんファミリー。
左側の席にはアリスさん達でその隣に陽翔親子。私の両親はドキドキするだろうから端の方。その隣に前田さんと加代さん。
2番目の席には管理人さん達と子供達の保護者。子供達は横の方に作ってある席に座ってもらうことにした。

ここでは椅子の大きさに差なんてない。
全員が同じ椅子に座って聴いてもらいたくて、それを花沢のご両親がどう思うかわからないけど特別扱いはしない。

いつも特別な場所にいるご両親だけど、今日はみんなと同じようにしてもらいたくて類に話したら「それでいいよ」って言ってくれたから。

「来るかどうかなんてわからないけどね・・・」って、あれからもずっと類は言い続けてる。


そのうちマリアさんとアランさんも到着して演奏家は揃った。
ほんの少しだけ自己練習して、1回だけのリハーサル。橋本さんは本番に備えて気になる所だけ類と合わせてた。

「ツクシ、上達したじゃない?あの時よりもずっと落ち着いてるわ」
「あはは!だって恐怖感がないんだもん。今日は楽しんだらいいって思ってるからだし、それに今回の方が難しくないからよ」

「アランもフルートの独奏したらいいのに」
「嫌だ。俺は少しでも多くマリアを見ておきたいからこれだけでいい」

「あっはは!流石だねぇ!類君もそのぐらい情熱的にならないとダメなんじゃないかい?」

「・・・寮では情熱的だよ」
「類っ!!バラさなくていいのっ!」

「「「うわっ!ホントなんだ?!」」」

ギャアギャア言いながらのリハーサルも終わって私達はそれぞれの衣装に着替えた。
やっぱり白のタキシードに相当嫌そうな顔してる2人の写真を撮ったらすっごく怒られた。でも消去なんてしない・・・これは私の宝物だから。


「きゃあぁ!マリアさん、子供には刺激が強くない?危ない人も来るわよ?」

最大限胸の谷間を披露してるマリアさんにそう言ったけど「このぐらい普通よ?」ってあっけらかんとして、アランさんの方が「危ない人って誰?」って怖い顔してた。

「見たらわかるよ。多分入ってきて速効マリアにキスすると思うよ?」
「・・・うん、やりかねないわ」


私は可愛い感じのサンタガールだけど、演奏の時だけ上着を脱ぐって言ったら類がもの凄い勢いで止めていた。

「どうして脱ぐのさ!いいじゃん、長袖で!」
「だってピアノ弾くのに袖があると動きにくいんだもん。ただでさえ私、小っこいから手を伸ばすしさ・・・」

「・・・反対!正式なリサイタルじゃないんだからそんなの気にしないでいいんだって!」

これについては4対1で私達が勝って、演奏中はオフショルダーのドレス姿で決定した。




「先生~こんにちは~!」

1番に入ってきたのは小学生の男の子親子だった。
それから少しずつ増えてきて数人の親子でワイワイしていたら、陽翔親子が入ってきた。

「陽翔!来てくれてありがとう!お父さんですか?・・・今日はありがとうございます!」

「お前が来いって煩いからだろ。クソ忙しいのに・・・」
「お招きいただいてありがとう。牧野さんって言うんだね?陽翔から聞いてます。色々世話を掛けたようで」

「世話だなんてとんでもない!陽翔は仲のいい幼馴染みです。これからもいいお友達でいたいですから」
「お前、それサイテーなひと言だな・・・」

「あっ・・・ごめん、そうかも」


それでもニヤッと笑った陽翔は席を案内したらそこにドカッと座った。

遅れちゃいけないと思ったのか管理人さんと守衛さんがいつもの服装じゃなくてスーツ姿でやってきたのは陽翔の5分後。
2人ともカチンコチンになってたから私が手を引いて席まで案内した。
そのすぐ後には加代さんが入ってきた。席を案内したのは類で、加代さんは何度も頭を下げて1番端の席に座った。


それにしても生徒のお母様達が類を見る目・・・ハート型になってて顔が真っ赤。それに少しムッとしてたら橋本さんに頭をポンポンと叩かれた。
「顔が怖いよ、つくしちゃん」って・・・慌ててほっぺたを撫でで笑顔を作る、そんな私をマリア達もクスクス笑ってた。



お父様とお母様・・・いつ頃来てくれるだろう。
私は窓から暗くなっていく風景を眺めながらソワソワしてた。





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2018/12/23 (Sun) 06:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは!

とうとう始まります~♥
白いタキシード・・・やっぱり黒の方が好きなんですけどねぇ💦
迷ったんですが白にしちゃった!

まぁ、類君は何を着ても格好いいのでセーターとジーンズで弾いてもサマになるんでしょうけど。
サンタガールは私の会社でもクリスマスで若い子が着てました(笑)

いいなぁって思いながら見てるだけ。
自分が着ろって言われたら逃げますけどね。

明日は2話連続です。楽しんでいただけたら嬉しいです♥

2018/12/23 (Sun) 21:20 | EDIT | REPLY |   

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