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次の日の朝、類と一緒に桃太郎と菊次郎にご飯を食べさせに行って、ほんの少しだけ犬舎に前で遊んでやった。
菊次郎がガンガン私の背中を押してくるから転けそうになって、そうしたら桃太郎が菊次郎を止めに行く。

そして今度は2匹がじゃれ合って芝生の中を転げ回っていた。


「あははは!朝から元気がいいのねぇ!」
「日曜にドッグランに行って楽しかったから、まだ気分がいいんじゃないの?」

「ここの庭の方が広いのにねぇ!」
「遊んでくれる人がいる方が嬉しいんだよ。ほら、牧野が仕事に行き始めたから昼間は誰も遊んでやらないし」

「そっかぁ・・・またお休みの日に遊んでやらなきゃね」


2匹にバイバイして今度は自分たちが朝食を食べにダイニングへ・・・ここは真逆で凄く冷たい空気が流れてた。


「・・・どうかしたんですか?お母様、お父様?」
「「・・・・・・」」

「牧野、気にしないで食べよ」


いつもならお父様のパンにジャム塗るのはお母様なのに、今日はお父様が横をチラチラ見ながら自分でやってる。何度か可愛い喧嘩を見たことはあったけど・・・今回はそんなに簡単なものじゃないのかしら?
昨日遅かったよね?それと何か関係があるのかしら?

「牧野、ヨーグルト溢した」
「はっ!あぁっ・・・私としたことが!」

「それにパンにつけたのドレッシングじゃない?」
「へっ?あーっ!サラダにかけようと思ったのに!」

「あと、手に持ってるの、いくら牧野でも食べられないと思うよ?」
「えっ?ああっ!なんでこんなものを!」

私が手に持っていたのはフルーツの盛り合わせに飾りで添えられていたパイナップルの葉っぱ!
慌てて戻したけど、いつもならこんなドジを大笑いするのにお母様の口はムスッとしたまま・・・凄く怖かった。


「あのさ・・・牧野が怖がるから話してみなよ。何があったの?母さん」

「類、あなたはそんなことしないでしょうけどね・・・パパったら昨日、スーツに何処かの女の匂いをつけて帰ったのよ!私が商談のために遅くまで会議してたのに、その間に会議を抜け出してスーツにガンガン匂いつけるような女と会ってたのよ?!」

「・・・スーツに匂い?」
「それで?その女性は何処の誰なの、父さん」

「・・・ドバイから来た企業家なんだけど、ちゃんと打ち合わせに行くと言ったのにママが機嫌を直してくれんのだよ」

「だって!!会うのは男性って言うから1人で行かせたのよ?!それが女性でしたってどういう事?!誰が間違えたの?秘書なの?あなたなの?」

お母様の凄い捲し立てようにドン引きして、今度は珈琲にテーブルソルトを入れそうになった。
慌ててお砂糖と交換したら今度はシュガーポットごと倒して加代さんを呼ぶ羽目になり、ダイニングはかなりの緊張感が・・・。


「でも・・・お母様の気持ち、わかるかも・・・」


つい、昨日の類を思いだしてポロッと言ってしまった。
そしたらお父様、お母様、類が同時に私のことを見て、その次にお母様がバンッ!とテーブルを叩いて類を睨んだ!

「類!あなたまでそんなことをしてつくしちゃんに嫌な思いをさせてるのっ?!謝ったの?答えなさいっ!」

「・・・はっ?」
「あ、お、お母様、私は別に昨日の事なんて・・・あっ!」

「昨日?昨日ってなに?類!あなたには何の予定もなかったじゃないのっ!」
「お母様!何でもないんですってば!」


その時、類のいつもの「クスッ」って笑い声が聞こえて、私の耳がカーッと熱くなった。


結局、ブツブツ言いながらもお父様とお母様は一緒にダイニングを出て行った。多分、夕方にはご機嫌も治るんだろな。
類は私の隣で何故か嬉しそう・・・それに焦って最後のフルーツを口に押し込んだら「ご馳走様!」って類より先に小走りで部屋に戻った。

「牧野、待ってよ!」
「だ、だって時間があんまりないもん!ほら、桃太郎達と遊んだから!」

「そんなのまだ大丈夫だよ。それよりさ・・・もしかして昨日はそれで怒ったの?」
「なんの話?知らないっ!」


「牧野!待ってったら!」
「遅刻するから待たないっ!」


***



その日も1日忙しく働いて、類が車でって言ってくれたけどやっぱりバスで帰った。
今日は乗り過ごさないぞって外の景色を確認しながら、ちゃんと自分の降りるバス停で降りたら執事さんに頼まれたっていう庭師のおじさんが待ってくれていた。

とっても面白いおじさんでたまには桃太郎達の世話もするらしい。
でも、馴れてないから触らせてくれないと嘆いていた。


「お嬢さんは不思議な人ですねぇ、あの類様を笑わせるんだから。いやぁ、なかなか人に気を許されない方だったのに」

「そうなんですか?1番始めに出会った時から面白かったですよ?百面相みたいで!」

「は?類様が百面相・・・ははっ!私なんてその中の1つしか見たことがないって訳だ?やっぱり凄いお嬢様だ!」

「怒ると子供みたいだし、笑うと可愛いですよ?驚いた時なんて目が落ちそうなほど大きくなるもん!」

庭師のおじさんは類の怒った顔も笑った顔も殆ど見たことはないと言った。
いつも同じ表情で言葉も少なく、同じリズムで歩いて急ぐこともなく・・・小さい頃はちょっとだけ子供らしい部分もあったけど成長するにつれそれが酷くなって心配だったって。


「一体何がお幸せな時間なんだろうって思った事もあります。使用人の私達に見せないだけなんですねぇ・・・お嬢様が来られてから自然なお顔をされてるからホッとしました。あ!類様に言わないでくださいね?」

「うふふ、わかりました。でも言っても怒りませんよ?多分照れて笑ってると思うわ」


そんな会話をしながら今日は真っ直ぐお屋敷に戻ることが出来た。
庭師のおじさんは裏から入ると言って門をくぐった所で別れ、私は1人で玄関に向かった。

「あっ、加代さん、ただいま帰りましたぁ!」
「牧野様!あぁ、良かった!今日は乗り過ごさなかったのですね?」

やっぱり玄関前に出て待っててくれた加代さんの手を取って中に入ろうとした時、私の背中を車のライトが照らした。

「類・・・あれ?類の車じゃないわ」
「本当に。どちら様でしょう、こんな時間なのに」

加代さんも訝しげにそのライトを照らしてる車を見てる・・・そしてライトが消えたらドアが開いて運転席から人が降りてきた。


何処かで見たことがある人。
私の身体がその姿を見た瞬間に固まってしまった。

緩いウエーブが掛かった長い髪が艶々してて、モデルみたいに綺麗な人で、立ってるだけでゴージャスな人。
1歩出す足の運び方も美しくて、何処を見ても非の打ち所のないお嬢様。


昨日、類を連れていった人・・・その人が妖しい笑顔を浮かべて私達の方に向かって歩いてきた。


「こんばんは、加代さん。お久しぶり・・・お元気だった?」

「は、はい!お久しぶりでございます。藤堂様も随分と美しくなられましたこと・・・毎度驚かされますわ。それにお元気そうでなりよりです。いつ、日本にお戻りですか?」

「昨日帰ってきたの。類、言わなかったの?昨日は楽しんだのよ。それでこちらは?あなた・・・何処かで会ったかしら?」


私にも女神のような笑顔を向けて軽くお辞儀をされたから、慌てて身体を向けて深々と頭を下げた。

何処かで会ったって・・・まさか覚えてるのかしら、あのロビーで擦れ違ったこと・・・目も合わせていないのに?
名乗らなければいけないと思いつつ、口籠もっていたら加代さんが紹介してくれた。

1番怖い紹介の仕方だったけど。


「こちらは牧野つくし様。類様とお付き合いをされている方で、現在はご一緒にお住まいですの」

「お付き合いって・・・類と、この人が?」


昨日、類のスーツについてた香りが、今は直接私の鼻をつく。
加代さんの言葉のあとのこの人の顔は・・・凄く恐ろしかった。





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2018/12/18 (Tue) 06:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは!

とうとう乗り込んできましたね~!凄い根性です!
あれだけフラれたのに何しに来たんでしょうね?

ちょこっとつくしちゃんが可哀想ですが・・・えぇ!類君にバッサリやっていただきましょうっ!(笑)
・・・ってめっちゃ意地悪ですよね、私。

ちょっと反省💦

2018/12/18 (Tue) 19:07 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/18 (Tue) 20:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz** 様、こんばんは!

うふふ!仲直り出来る喧嘩なら少しぐらいした方がいいって言いますもんね!
この2人なら1日でラブラブモードに戻るんじゃないでしょうか?類パパ次第ですけど。

そこはご想像にお任せします。ははは!

で、乗り込んできましたね。
えーと、えーと、えーと・・・申し訳ございません💦

今が1番嫌な時かもしれません!!お許しを~💦

2018/12/18 (Tue) 22:04 | EDIT | REPLY |   

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