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plumeria

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それはつくしの誕生日を城の皆で祝った翌日の朝。
二人でゆっくり、まったり、ベッドの中での微睡みタイム。
「そう言えば…」と、つくしが話出した。


「あのね、ちょっと気になる事があるの」

「ん?なにかあったの?」

「あたしが育ててる花畑の隣に、畑も作ったじゃない、庭師の猪木さんに手伝って貰って」

「秋のさつまいも、美味しかったよね♪」

「うんうん、皆で楽しかったよねぇ♪」
「……いや、そうじゃなくて」


「ん?」

「今は、冬越えさせる大根くらいしか無いんだけど…」

「どした?」

「なんかね、荒らされてるのよ」

「荒らされてる?」

「……うん、桃ちゃん達がするはずないし」
「ちょっと、気持ち悪いかな?って」



そんな話を聞いて、その日のうちに監視カメラを畑に向け設置した。

翌朝


「田村、何か映ってた?」

「……ご覧下さい」

「………あっ!って…何これ?まさか琥珀?!琥珀にはご飯、あげてるよね?」

「いえ、SPの琥珀ではございませんで、うり坊ではないかと?」

「うり坊?何処の子供?」

「何処の?類様……イノシシのお子様でございます」


確かに映っていたのは人じゃないけどさ。
何もそんなに「馬鹿じゃないの?」って顔して見なくていいんじゃないの?


画面の中でウロウロと動いていたのは茶色の縞模様の小っこいの。
一瞬琥珀と見間違えたけど、よく見たら3匹いた。

そいつらが喧嘩してるのかじゃれてるのか、ぶつかったり突き飛ばしたりしながら畑の大根を……。


「……嫌な予感がする。こんなのつくしが見たら可愛いッ♥って飼うんじゃないの?」
「可能性は高うございますね。でも、ご心配要りません!ここをご覧下さい」

「何処?」
「ここ……この奥でございます」

うり坊3匹の後ろの方で何かがゆらゆらと動いてる。
じーっとそこを見たら黒い大きな塊…それがゆっくり動いて月明かりの下で姿を現した!


「……まさか、これ……」
「そのまさかでございます、類様」

「乙事主(おっことぬし)?」
「……いや、うり坊達のお母様のイノシシではないかと…」

「わ、分かってるよ!言ってみただけじゃん」
「………そうでございましたか。大変失礼致しました…。
それにしても…この時期に珍しいですね…なくはないのでしょうが……」
「ふーん?珍しいの?でも実際にいるもんね」

「ねぇ、田村。
これどういう風につくしに隠せばいいと思う?」

「……庭師に指示を出して朝一番に畑の手入れをしていただきますか?
ただ、日頃つくし様が手入れをされてますので気がつかれる可能性はありますが……」
「だよね…」


「えーと、何を隠すの?」

「つくし?!」
「つくし様!」

「いつからそこにいたの?
何で声かけないのさ?」


びっくりさせないでよね!
あっパソコン!
ちゃんと隠さなきゃ!!

田村に目配せしながらパソコンを背中に隠した。

「えっ…声かけたじゃない!でも二人で話に夢中になって気付いてくれないんだもん!

それで二人は何を隠してるの?」


俺と田村がせっかく背中に隠しながら話してたのに、つくしはひょいっと簡単に覗き込んで来た。


「きゃー!可愛い♪♪
この子は…猪?よね?ということは、うり坊!
しかも三匹も!

あっ、あれ?奥にも一匹?
あっ、この子はお母さんだ!親子なのね♪

…って、あれっ?ここお庭の畑…?」



あーあ…。
全部バレちゃったじゃん…。
どうするのさ。

横目で田村を見れば困った顔をしてこっちを見てる。


「ねぇ、見て見て!
この子達、お母さんと一緒に帰ってくよ~。こうやって通ってたのね、きっと。

畑を荒らしてたのは…しょうがないか、遊び盛りだし!

うふふ。
この子達男の子かな?それとも女の子かな?
うーん…女の子のような気がするな~。
名前どうしようかな……」



画面を見ながら一人楽しそうに喋るつくしを見て、また田村と視線を合わせた。

うん…もう無理そうだよね……。


「あっ、思いついた!
空ちゃん、霞ちゃん、馨ちゃんなんてどうだろう?」

「何か意味があるの?」

満面の笑みで振り返るつくしになんとなく聞いてみた。

「この子達の顔見てたらこの漢字がポン!と浮かんだの」
「つくしがいいならそれでいいんじゃない?雄でも牝でも……」

こうなったらもう開き直るしかない…よね……。

直接見たい、触りたいと訴えるつくしを、
田村と二人で何とか説得した。

野生動物に人間が安直に手を触れてはいけない事、人間に触られ、人間の臭いの付いたうり坊を我が子と認識しなくなる恐れがあるかもしれない事。

残念そうに俯いて一つ頷き、
「そうだよね…私達が手を出してはダメな事も、あるよね…」
と、言った次の瞬間、
「でも、この親子達が畑に通って来てくれる間は、何かしてあげられないかな…」
と、俺と田村に向けられたウルウルの瞳に、

………負けた……



大晦日、類の執務室。


昨夜の監視カメラの画像を覗き込み、
可愛い、可愛いを連発するつくし。


「昨夜も、来てくれたんだね♪」

「……そうだね、あれから皆で畑を整えたもん、あんたなんか、倉庫から芋まで持ち出してさ…」

「だって…この時期は食べ物が極端に少ないから、ここまで来てるんでしょ?」
「何事も無く、春を迎えられるといいね♪」


「そうだな……」

「元気に育つと、いいね♪」

「……ん」


うり坊達を愛おしげに見つめる横顔が、
とても綺麗に見えた。

霞ちゃんと馨ちゃんは、おめめがパッチリよね?とか、空ちゃんは態度が大きいわ…とか、お母さんは出て来ないのかしら?
とか言ってるけど、
俺には 皆同じにしか見えなくて、そう言ったら、
愛情が足りないっ!って怒られた。

仕方ないじゃん、俺の愛情は全部 つくしに注いでるんだもん♪


その時、料理長が珍しく俺達のところに寄って来て、
「新年のお料理ですが…」そういった時、つくしが急にポン!と手を叩いた!

「そうよ!それよ!!」
「は?何?どうしたの、つくし」

「新年よ、新年!うり坊たちにもおせち料理をあげなきゃ!」
「「「はぁ?!うり坊におせち?!」」」


俺と田村と料理長の声が同時に響いて、すぐに3人で顔を見合わせた。

野生動物におせちはダメでしょ!
そもそも餌を与えちゃいけませんって言うぐらいなのに!
大根は諦めても芋まで準備して、ホントはそこでも注意したかったのに。


「えーと、つくし。あのさ、うり坊におせちはダメだと思うよ?」

「人間のじゃないわよ!田村さん、穀物倉庫に連れてって?」
「は?穀物倉庫につくし様が?」

「うん!早く飾らないと夜になっちゃう!」

「はっ、はい!!」
「つくし、何する気なの?」

「いいからいいから~!」



夕方遅くなってつくしの畑にはうり坊たちのために正月用の「おせち」が盛られていた。

土台にはジャガイモ、その両サイドにはトウモロコシ。
紫キャベツを花みたいに飾って、キュウリとなすびを交互に並べてカラフルに♪
パプリカの鮮やかな赤と黄色はブロッコリーと一緒に。

そして1番前にはプチトマトを「2019」って読めるように並べて置いた。

これをオレンジやリンゴの果物で囲ってうり坊用の「おせち」の完成♥


「きゃああぁーっ!可愛く出来た!
うり坊たち、喜んでくれるかしら!」


「ん、きっと喜んでくれるよ。でも、今日だけだよ?
それが野生動物のためだからね」


「うん!これからはそっと見守るね」


もう陽が暮れる……2018年が終わっていく。
「今年もいい年だったね」って言うと「楽しかったね」ってニコニコ笑っていた。




そして年が明け2019年

「あけましておめでとう。今年も宜しくね」
「宜しくお願いしま~す!」

城主である俺の言葉で新年のパーティーが始まって数分後、田村が俺達の傍に寄って来た。

「パーティーの途中に申し訳ございません。
実はお見せしたいものがございまして」

「なに?新年早々何かあったの?」
「困ったこと?楽しいこと?どっち?」

「ははは、楽しいこと、でございますよ。つくし様」


田村に言われてパーティー会場を出て、向かったのは……つくしの畑。


「あっ、類……これ!」
「……あはは!ホントだ!凄い!」

野菜達は見事に何もなかった。
つくしが作った「おせち」は全部あいつらのお腹に入ったみたい。

そして畑の真ん中に残されていたうり坊の足跡がある文字に似ていた!



『亥』



「あっはは!確かに亥年だもんね!」
「どうやって歩いたらこんな風になるのかしら?」

「何だかいい年になりそうだね」
「うん!今年もお友達が増えそうだね!」

「…………」





おしまい

皆様、良いお年になりますように♥GPSより



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皆様、明けましておめでとうございます~♡
今年も宜しくお願い致します~♥



偶然にも火曜日が元旦でしたので「イノシシ」(笑)、だと怖かったので「うり坊」にしました!
いやいや、あきら君には申し訳ないんだけどね💦

さて、ここで問題になったのが冬は本来イノシシが繁殖しない時期だと言うこと(笑)

「どうする?書いちゃったけど」
「この時期、うり坊いないらしいのよ」

「なんでもありじゃない?お城なのに電話があるし」
「道明寺ヘリ使ってるけど?」

「だいたい時代考証とかあるの?花沢城って・・・」
「「さぁ?」」

「この時期産まれた事にしよう!希にあるって事で!」
「「そうしよう!」」

合言葉は「適当大好き♥」、なので真冬に動き回るイノシシ親子でございます!
どうかお気になさらずに・・・



では今回もS様のお遊びコーナー!!

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空ちゃんはわかりますよね?(笑)
霞ちゃんはかすみ草から取りました。Gipskräuterは「かすみ草」の事です。
馨ちゃんはですね、Plumeriaの和名が「インド素馨」って言うんです。そこからもらいました。

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どうやら1番の暴れん坊は空ちゃんのようです。
1番苦労するのが霞ちゃん・・・納得(笑)


それでは今度は1月8日です~!!あきら君は何を連れてくるのかしら?
お楽しみに~♥
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