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類の大きな手が私の濡れてる頬を優しく包んでくれて、前みたいにキスしてくれた。

でも、あの時の「お試しのキス」じゃない・・・今度はちゃんと気持ちが伝わるような、甘いキスだった。柔らかい唇・・・それに少し入れてくる舌の感触に背筋が痺れるような気がしてドキドキが止まらない。
頬を撫でてくれてた手が今度は背中に回ってグッと彼の方に引き寄せられた。

その手の力がどんどん強くなって離してくれそうにもない。
凄く嬉しくて、このまま時間が止まってしまえばいいのに・・・なんて思ったけど、そのうち私はどうやって息継ぎしたらいいのかわかんなくなった!

「んっ・・・ゴホッ、ゴホッ!」
「えっ?どうしたの?牧野!」

「く、苦しいっ・・・類、長過ぎ!」
「・・・は?」

私のひと言で抱き締めてくれてた手を緩めてくれて、私がそこで盛大に咳き込んだからキョトンとしてる。
でも、すぐにその場に倒れ込んで大笑いしてた!

「なっ、なんでそんなに笑うのよ!もうっ、コホッ・・・ちょっと、類ったら!」
「だって・・・だって真面目にキスしたのに長いって言うんだもん!そんなの誰も想像しないじゃん!」

「真面目にって・・・・・・え?真面目に?」

「そうだよ。牧野、もう1回抱き締めていい?」

私の返事なんて待たないで、類はふわっと抱き締めてくれた。
今度は優しく・・・彼の両手が優しく私の背中でクロスしてる。そして私の顔は類の胸の中・・・少し冷たいスーツの上にある。

あっ・・・類の心臓の音が聞こえる。
もしかして私と同じ?類も凄く心臓の音が早い・・・類もドキドキしてたの?
その音をもっと聞きたくて彼の胸に耳を押し当ててみた。それを擽ったそうに笑いながら「甘えてるの?」、そう小さい声で言われた。

それに照れてしまって類のスーツの中に顔を隠したら・・・


「牧野・・・俺、あんたのことが好きになったみたい。もう嘘の恋人じゃなくてさ・・・俺と本当の恋、始めない?」


本当の恋・・・その言葉を聞いた時、バクバクしていた心臓が止まるかと思った。
指先まで熱くなって、泣いてたのに今度は熱が出たみたいに真っ赤になって、キスされたばかりの唇が震えて・・・。
まるで魔法の呪文でも掛けられたみたいに私の身体は固まってしまった。

クスクス笑う類の声が私の頭の上から聞こえて、でも・・・私は彼のスーツをギュッと握って俯いてしまった。


「・・・類、でも」
「でも?でもなに?・・・静のこと?」

「・・・・・・」
「言ってるじゃん。あの人とは何でもないって・・・信じられない?」

「信じてるよ、信じてる・・・そうなんだけど・・・」
「だけど?俺は牧野に全部話してるよ?それだけじゃ足りない?」


そうじゃなくて、静さんは類と・・・そういう関係だったって言った。それは聞いてもいいこと?それとも・・・聞かない方がいいの?言葉に出せなくて類の胸に埋もれたまま迷っていたら「何を言われたのか教えて?」って囁くように聞いてくる。

口に出したくもないのに・・・さっきまで想像してたから真っ赤になって首を横に振った。
もし「あれは静が強引に」とか「あの時は経験してみたくて」とか、そんな言葉が類から出てきたらと思うと・・・。


「あのさ・・・あんまり言いたくはないんだけどね。静は切羽詰まったら狂言言い出すことがあるんだよ。狂言だけじゃなくてそれを行動に出すこともある。プライドが高くて負けず嫌いだからね。
俺は良くそれに利用されるだけ・・・多分、静は別れたばかりの彼の事が1番好きなんだと思うよ。本当はその人のところに戻りたいんだと思う。自信に満ち溢れてるように見えて、不器用で脆いんだ」

「好きな人がいるの?類じゃなくて?」

「くすっ・・・あの人が俺を好きなのは当たってるのかもしれない。でも、それは愛じゃないよ」


狂言?あれは狂言だったのかしら・・・もしかして子供っぽい私をからかったの?

チラッと見上げたらニコッて笑う彼の瞳・・・声には出してないけど「安心していいよ」って言ってるみたい。
だから静さんから言われた言葉をそのまま彼に伝えた。


「・・・わたしにね、類の・・・類の身体を知ってるのかって聞いて来たの。それでね、静さんは知ってるって言ってた」
「俺の身体?」

「・・・類が静さんの総てが欲しいって・・・類から強請られたって・・・」

「・・・・・・」


ここまで言って俯いた。マトモに類の顔を見ることが出来ない・・・こんな会話を類が帰る前に女同士でしていたんだと思われるのが嫌だったし、何よりその答えが私の1番聞きたくないことだったら立ち直れない。

でも、しばらく黙っていた類はフフッって鼻で笑うと私の身体をもう1度強く抱き締めた。


「それ、いつの話だろ?子供の時にビーチで着替えを見られたのかな・・・それともうたた寝してるときに悪戯されたのかな。もしかしたら汗拭いてる時に覗かれたか、迂闊に外でTシャツ脱いだことあったかな・・・どれだろ?」

「・・・えっ?!そうじゃないでしょ?」

「だって身に覚えがないんだもん、それぐらいしか」

「・・・・・・じゃあ、何にもなかったの?!」


「ないよ、あるわけないじゃん。好きでもないのに。それに静に何かを強請った事なんてないよ・・・ただの1度もね」



*******************



牧野に自分の気持ちを伝えた後に聞いた静の言葉・・・それには腹が立ったけど、もうそんな事もどうでも良かった。
それよりそんな出鱈目な話を信じかけたことの方がショックでちょっとだけ牧野を睨んだら、困ったような顔して口をキュッと噤み、俺から目を逸らせた。

でも、そんなの許さない・・・今、俺から目を逸らせるなんて許さないからね。

だからもう1度遠ざかった顔を引き寄せて俺の目の前に・・・まだ涙の痕が残ってるそこを指で軽く触れたら、今度は恥ずかしそうに胸の中に戻って来た。


「牧野・・・返事聞かせてよ」
「・・・・・・」

「ねぇ・・・恋、始めないの?俺じゃダメ?」
「・・・・・・君が欲しいって言葉、ホントに言ってないの?」

「だから言ってないって・・・牧野は欲しいけど」
「・・・はっ?!」

バッと俺の胸から顔を上げたからすぐに掴まえて唇を奪う。
慌ててるみたいだけど離さない・・・片手で後ろ頭を抱え込んでもう片方で腰を引き寄せて・・・危うくこのまま牧野のベッドに押し倒しそうになった。

その時・・・牧野のお腹が鳴った。


「・・・ぷっくくくっ!あっははは!」
「きゃああぁーっ!なんで私のお腹はこんな時にーっ!!」

「ダメだ、あっはは!お腹が痛いっ・・・!」
「もうっ、そこまで笑わなくてもいいじゃない!類の意地悪ーっ!」

「だって状況考えてよ!俺、あんたに告白して返事待ちでさ、キスしてたんだよ?それなのにっ・・・」
「だっ、だから・・・だから悪かったってば!」

「はぁはぁ・・・可笑しかった!ね・・・返事聞かせて?」


急にまた牧野の瞳が潤んてきて、そこに大きな涙を溜めた。それが今にも溢れそうで、先に指で拭ったら俺の指を伝って布団の上に落ちていく・・・いくつも、いくつも。


「そんなに泣くようなことなの?あんたの気持ち、言葉にしてみて?」


「・・・類の事、大好き・・・」

「くすっ・・・ほら、楽になったでしょ?」



俺達の恋は、この日に始まった。
もう1度キスをした時、牧野の両腕は俺の首に回ってて・・・今までで1番長いキスをした。





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Comments 10

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2018/12/21 (Fri) 07:03 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/21 (Fri) 08:21 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/21 (Fri) 10:08 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/21 (Fri) 10:20 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/21 (Fri) 11:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

はい♡やっとでございます~!
意外と長かったのかもしれませんが、私のお話は大抵このぐらいでくっつくんですよ(笑)
遅いときは80話ぐらいまで引き延ばしますから(笑)

早いほうかもしれませんよ?

あはは!期待しました?ごめんなさいね~!それはまだ先でございます♡
もう少しお待ち下さいね!

2018/12/21 (Fri) 16:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、こんにちは!

あっはは!凄いハートマークですねっ!!
色気少なめですが、可愛い告白でしょ?♡

まぁ、コメディなお話ですから急にエロっぽくなったらドン引きですもんねっ!

うふふ・・・栄養補給できてよかったです!頑張ってくださいねぇ~!

2018/12/21 (Fri) 16:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ミキッp様 こんばんは。

お久しぶりです。コメントありがとうございます。

うふふ~!やっと通じましたねぇ~♡
何となくコメディな告白でしたけど、よかったですか?(笑)

今まで割と深刻な告白ばっかりだったので、この類君新鮮なんですよ💦

これからつくしちゃんの背景に話題が移っていきます。
最後までこんな感じで行くと思いますが応援宜しくお願いします!

え?あの方・・・はもう出ません(笑)

2018/12/21 (Fri) 19:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ルチノー様、こんばんは!

あらっ!癒やされました?それは良かったです♡

でも・・・この後にアレはございませんので安心して(?)下さい!
それはまた今度ねっ!

その後、どうですか?身体は壊してませんか?
年末寒いらしいから特に気をつけてね~!

また時間が出来たら遊びに来てください♡待ってます!

2018/12/21 (Fri) 19:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 素敵です

まのい様、こんばんは~♡

ご訪問&コメントありがとうございます。

しかもそんな嬉しいお言葉♥舞い上がってしまいます~💦
25歳の告白にしては子供っぽかったですけど、可愛い類君の顔が浮かびましたか?(笑)

私の中で類君はあまりセクシャルじゃないのでこんな感じのほうが好きです。
(1番好きなのは一途につくしちゃんを想う切ない系の類君ですけどね・・・)

本当の恋が始まりましたのでお話に変化が出てきます。
あんなことや、こんなことや(笑)

ラストは勿論ハピエンで♥

どうぞ応援宜しくお願い致します~!

2018/12/21 (Fri) 19:38 | EDIT | REPLY |   

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