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婚約者に挑みたい・・・類の本気の目がちょっとだけ怖かった。


私の婚約者は五十嵐物産の跡取り、五十嵐浩司さん。

少し前に類から聞かれて私のしていた仕事の事を話したけど、どうやら私はお爺様に何かの裏作業をさせられていたんだって気がしていた。そして五十嵐さんはそんなお爺様と気が合うのか年は孫ほど違うのに頻繁に会ってるみたいだったし、お仕事上の大事なパートナーだって言っていた。


そもそも宮崎を出るまで、余りにも勝手に決められた事だったから考えなかったのよ。

どうして私のことを婚約者だと思うのなら14年間も会いに来なかったのかって・・・。
私にも結婚の意識がなかったし、婚約者だって言われても全然ピンと来なくて話は進まなかったけど、普通はそういう人ってせめてお正月ぐらいは顔を見に来るんじゃないの?

何度かお屋敷に来ていたことは知ってる。お手伝いさんがそんな話をしていたから。それでもお爺様にだけ会ったら、お父様達にも滅多に顔を見せずに帰ってたって聞いた。
いくら養子に出されたとは言え私の両親に違いはないのに。

本気で結婚しようって思うのなら・・・それさえなかった五十嵐さんの事も不思議になっていた。


もしかしたら私がさせられていた作業に五十嵐さんまで絡んで、実は法に触れるような不正をしているんじゃないかって・・・そんなことを考え始めていた。
それなら辻褄が合いそう・・・私を隔離して為替操作をしていたことも、婚約者にさせられたことも、その総てを2人が計画的に行っていたら?


私の名前が「瀧野瀬つくし」だと言うことも話したいけど、話せばお爺様の会社がバレる・・・もし、本当にお爺様が不正をしていたら私はそれに荷担したことになる。
そんな私が花沢物産の後継者である類の恋人としては認められないんじゃないの?

そしたら、これだけ親切にしてくれてるお父様達だけど許してくれる訳がない・・・犯罪者って事になったら・・・なったら・・・


「牧野?どうかした?」

「・・・あっ、ううん。何でもない・・・」

「まだ話してないことがあるんじゃないの?それ、俺じゃ解決出来ない?」

「・・・そんなんじゃないけど、少し考えたいことがあるの。前に話した仕事のことでね・・・気になることがあるんだけど、それは私とお爺様のことだから。もう少し待ってて欲しい・・・ダメかな、類」



****************



横になっていた身体を起こして、不安そうな目をして俺を見下ろした。
そんなに怯えたような表情の牧野は見たことがなくて、色々聞きたいことがあったけどもう少し待とうか・・・なんて甘い考えをしてしまった。

「わかった・・・もう少しだけ待ってあげる。でも、早いうちに教えて欲しいな・・・牧野のことで知らないことがあるって思うと悲しくなるから」

「・・・うん、ちゃんと話すし、お爺様のことで相談したいことが出てきたら必ず類に聞く・・・ごめんね」

「いいよ。あんたのこと信じてるから」


起こしていた身体をもう1度引き寄せたらポスッと俺の胸に顔をくっつけた。
ほんの少し湿ってる髪の毛が頬に当たって、それがむしろ心地良かったりする・・・こんなに寝る時に温かい気分って初めてかもしれない、そう思うととても寝られそうにない。

「ね・・・聞いてもいい?」
「ん?・・・なに?」

「本当に学生の時って彼女、出来なかったの?」
「・・・うん、幼馴染みが結構女癖悪くてね。それをいつも見てたから、そういうのに少し嫌気が差してたってのもある・・・かな?」

「あきらって人?」
「くすっ・・・そうそう。もう1人いるけどね」

それがあんたを乗せなかったバイク便のお兄さんだって知ったら驚くだろうけど。
それにあんたのことを子供って言ってたって・・・それを話したら怒るんだろうね。

目を閉じたままバスローブに半分顔をくっつけて小さな声で話すから、ちょうど牧野の唇があるところが熱くなって擽ったい。
何度も目元を擦ってるから眠たいのかな・・・そっとおでこに頬をくっつけたら甘い匂いがしてくるような気がした。

・・・自分はこういうのに凄く疎いってことは自覚してたけど・・・もしかしたら、今・・・牧野が欲しくなってるかも。


こんなに甘えてるんだもの、牧野ももしかしたら受け入れてくれるかも・・・そう思って少しだけ身体を起こしてみた。
そしたら・・・俺の胸からパタンって音を立てて牧野の腕が落ちて、次にはボスッて牧野の顔がシーツの上に落ちた。

・・・あれ?これって、まさか・・・?


「・・・すーっ・・・」
「・・・・・・」


既に俺を置いて牧野は「夢の国」に入ってた。



**



次の日の朝、久しぶりに温かいものを抱いたまま目を覚ました。
それは牧野も同時だったみたい・・・俺が薄く目を開けた時、牧野も目を擦りながら俺の腕の中でゴソゴソ動いてた。

「おはよ、牧野・・・よく寝てたね・・・」
「うん、おはよう、類。気持ち良かった・・・何だか安心してぐっすり・・・」

「そうなんだ、それはよかっ・・・」


この時ハッと気が付いた。
自分の身体に起きてるあの反応・・・一瞬で目が覚めてドクン!と心臓が鳴った!

マズい・・・こんな所を牧野に見られたくない!ど、どうしようって考えてる間にも牧野はモゾモゾ動いて俺を刺激するんだけど!
ちょ、ちょっと待って・・・そんなに今、動かないでっ!

「ま、牧野・・・着替えておいでよ」
「え?もうそんな時間?まだ朝食の時間じゃないよね?」

「・・・そ、そうかもしれないけど時間には余裕があった方がいいでしょ?だから着替えておいで」
「やだ。まだお布団の中がいい・・・温かいんだもん」

「でもさ、部屋の中は暖房が効いてるから寒くないし。あっ!昨日布団を乱したまんまじゃない?それに牧野、随分泣いたからシーツごと交換してもらわなきゃ!」

「でも、今日からここで寝るんでしょ?」
「・・・そ、そう・・・そうだよね」

「類、変なの!」
「・・・へ、変かな」


いや、これは何も昨日の夜に牧野が欲しいだなんて思ったから起きてる訳じゃない・・・そういう感情とは無縁の生理現象だけど、見られるのは・・・やっぱり嫌かもっ!
これは身体が自動的に行う「試運転」だと総二郎に教えられたし・・・

『類みたいに彼女がいないヤツほどそれがないと困るんだぜ?いつかは子供がいないと困るだろ?そん時にキチンと働けるように試運転しとかなきゃな!』

・・・た、確かに今までは気にしたことなかったけど、どうして今日に限ってこんなに?!


「牧野・・・やっぱり着替えておいで?ゆっくりでいいから」

「・・・うん、わかった」

「・・・ごめんね」
「なんで類が謝るの?類はベッドから出ないの?」

「ま、牧野が行ってから出るから心配しないで・・・」


・・・これから毎日朝イチに気にしないといけないんだろうか。凄く複雑・・・いや、牧野が驚かないならいいんだけど。

彼女が部屋に戻ったからやっとこれでベッドから出られると、布団を剥いで洗面所に向かおうとしたらバンッ!とドアが開いた。

「類ーっ、シーツって何処かに出しとくのー?!」
「うわああぁぁぁっ!!ノックしてから開けてよっ!!」






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2018/12/26 (Wed) 06:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

今まで結構コメディで来たのでこれからが大変です💦
流石につくしちゃんの事は巫山戯て書けないし・・・ちょっと悩みますねぇ・・・。

余り重たくならないように書き進めたいと思います♥


類君の朝事情(笑)
こんな類君を書いたのは他に居らっしゃるんでしょうかね・・・(笑)
大変申し訳ないと思いつつ、書いてて楽しかったです💦

ごめんね、類君っ!!

2018/12/26 (Wed) 15:09 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/26 (Wed) 21:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz**様、おはようございます。

おっ!いいところを突いていらっしゃる(笑)
その部分はすぐに来るんですが、その前にクリスマスパーティーで3人に会わせたいんですよね~(笑)

今度は類君に頑張ってもらわねば・・・。
静さんが起爆剤だったように類君にもそんな爆弾を落としたいと思います(笑)

えっ?!

そこは・・・ご想像にお任せ致します!!💦
私にもその部分はわからないので~💦

しかも類君には無縁の世界のような気もするので詳しくは書けませんでした(笑)

あははっ!許してくださいませ!

2018/12/27 (Thu) 08:26 | EDIT | REPLY |   

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