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アヴェ=マリアのピアノ・ヴァイオリンです。良かったら聴いてみてくださいね♥



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「それでは只今より演奏会を始めたいと思います。ピアニストは牧野つくしさん、フランスから来ていただいたマリアさん。フルートは同じくフランスから来ていただいたアラン君、ヴァイオリニストは花沢類君と私、橋本です」

俺達が並んで礼をすると子供達の可愛らしい拍手が盛大に、総二郎達の茶化したような拍手に混じって父さんの小さな拍手も聞こえた。それをチラッと確認だけしてヴァイオリンを手に持った。

今日はお婆さまのヴァイオリン・・・フランスで弾いていたから今では俺の手に1番馴染んでいたから。


第1曲目は俺と牧野の「アヴェ=マリア」。

拍手が鳴り止んでシーンとした中で、俺が牧野に合図を送ったら彼女の伴奏が始まる。
イギリスの詩人ウォルター・スコットの「湖上の美人」のなかで、少女が湖畔の聖母像に、祈りをささげる歌・・・だからピアノの音はまるで流れる水の音のように軽やかで美しい。

その伴奏に合わせて主旋律を俺のヴァイオリンで・・・伸びやかで美しいメロディーが会場内に流れ出すと牧野のピアノは少しだけ音を控えて俺を引き立ててくれる。

暖かさ、優しさ、苦しさ、切なさ、人間の持つあらゆる感情をやわらかい光に包んで、聴くたびに懐かしさとともに浄化される気さえする。
よく耳にする曲だけど、今日はそういう部分を感じ取ってもらいたい・・・それを願って1番初めの演奏を終わった。


赤いミニドレスの牧野の手を取って前に出て一礼すると子供達から「可愛い~」の声が聞こえて、それに凄く照れてて可愛かった。あきらと総二郎がやけにニヤついてるのは気に入らないけど。

それに温かい拍手と笑顔・・・まぁ、父さんにはまだ笑顔なんてないけど、牧野の両親は早くも涙腺崩壊。「少ししか習わせてあげられなかったのに~」って声が聞こえて、牧野は「静かにしなざい!」って真っ赤になって怒ってた。


次はくるみ割り人形より「行進曲」と「花のワルツ」

行進曲は牧野がメインでマリアがアレンジを担当する。
軽快で楽しいメロディーで本当に子供達が行進してしまいそうな弾けるような音の連続。ヴァイオリンも流れるような、と言うより忙しい感じで、俺は笑顔を作る反面かなり焦ってた。


花のワルツはマリアと俺がそれぞれメインのピアノとヴァイオリン。牧野が補助に入って橋本さんが第二ヴァイオリン。ここにトナカイのコスプレをしたアランが入ると子供達は大笑いだった。

そんな空気の中、いつまで経っても怒ったような父さんの顔が真ん中にあって嫌でも目に入る。それを母さんが宥めてるようだったけど、無理して聴きに来るからだよ、なんて軽く溜息と・・・同時に少し可笑しかった。
それに齋藤を見ると、こっちも面白くなさそうにうちの両親を睨んでる気がする・・・でも、齋藤の父親の方は意外と音楽が好きなのか穏やかな表情だった。


橋本さんと軽く音合わせが済むとマリアにも合図を送る。
マリアのウィンクがあって、牧野も頷いたらここはヴァイオリンの音からのスタート。

まずはヴァイオリン2台の高音低音のハーモニーから始まり、ピアノの流れるような伴奏が入って来る。

その出だし部分が終わると牧野のワルツのリズム伴奏が始まり主旋律が奏でられる。
ここはヴァイオリンが2台あることで音に幅が出て、ピアノもずっと軽やかに響くリズムと華やかに主旋律を追うようなメロディ伴奏が入りとても豪華だった。

そこに時々入る可愛らしいフルートの音がまた全体を盛り上げてくれる。
金管楽器特有の音は、俺達の演奏に違う色をつけてくれるから聴いている方も楽しくなるだろう。しかもアランは普段そんな風に見えないのに意外と演出家で、少し踊りながら演奏してるから子供達が自然と笑顔になる。

これは意外と長くて全体で7分ぐらいあるから行進曲と会わせると約10分・・・終わった頃には全員汗びっしょりだった。


ここでは5人が並んで手を繋いで礼をした。


そして3曲目、今度はいきなりのクリスマスキャロル、「We Wish You A Merry Christmas」。
ここでマリアとアランが歌ってくれると突然の発言!俺達も驚いたけど2人とも学生の頃に「聖歌隊」にいたそうだ。

だから牧野の演奏と俺のヴァイオリンで2人が歌ってくれたけど、ぶっつけ本番でお互いに手で合図を送りながら大慌て。それでもミスすることなく最後まで乗り切った。

『We wish you a merry Christmas、We wish you a merry Christmas
We wish you a merry Christmas、And a happy New Year.
Glad tidings we bring、To you and your kin;
Glad tidings for Christmas、And a happy New Year!』

楽しいクリスマスをあなたにそして幸せな新年を
喜びの便りをあなたと家族にクリスマスに 幸せな新年に!



そして俺と橋本さんの「2つのヴァイオリンのための協奏曲 」
全3楽章の構成で演奏時間は約15分。この曲のヴァイオリンは第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンと呼ばれてはいるが、それぞれの独奏は対等でどちらがメインだって区別はない。
第1楽章 は軽快に、俺と橋本さんの独奏部分もあって、それが何度も繰り返され多彩な音を響かせる。
第2楽章 は緩やかな中にも高貴さを湛えた華麗な楽章。
第3楽章 はより緊張感溢れる曲想で、独奏部は第1楽章と似てるけど、独自の動きをする合奏部との掛け合いもあって走り抜けるように終わっていく。

橋本さんは第3楽章辺りで指に違和感が出てくるんだけど、そこは演技力でカバーしてギリギリの演奏だとは誰にも気付かせない。この時は指導者の演奏を子供達も真剣な目で見て、集中して聴いてるから気が抜けない。

演奏が終わったときには腕を痛そうに押さえて笑っていた橋本さんだけど、俺と握手したら会場から凄い拍手と子供達の歓声が響いた。
父さんが軽く頷いて、それを見た母さんがハンカチで目頭を拭いているのには少し照れてしまった。
そのあと牧野を見たら・・・こっちは号泣だった。


この次にはラストのアメージンググレイスのはずだったのに、橋本さんが立ち上がった。


「ここで類君には内緒だったんだけど、私のクラスの子供達からのクリスマスプレゼントを受け取っていただこうと思います。
今日のために全員で密かに練習したんですよ?さぁ、みんな!準備してくれるかい?」

「「「「はーいっ!!」」」」

「・・・橋本さん?」
「あはは!みんな頑張ってね~!!」

「えっ?牧野は知ってたの?」
「えへへ!」


子供達が一斉に走り出して廊下の奥に向かい、その間に保護者達が大急ぎで長いテーブルを並べて、俺も招待客も何が起きたんだかわからずにポカンとしていた。
特に父さんは小さい子供なんて縁がないから嫌がってるんじゃないの?ってその顔を見たら、意外にも笑顔だったから驚いた。

なんで・・・父さんがこんな子供達を見て笑顔なんだろう・・・、俺はそっちに驚いて子供達の支度なんて目に入らなかった。


「類、何ぼーっとしてんの?始まるよ?今度は私達もお客さんだから隅っこに行こ!」
「え?あぁ・・・ごめん」

牧野に引っ張られて隅に移動したら、目の前には可愛いお揃いの帽子を被った子供達がハンドベルを持っていた。小さい子は小学1年ぐらい?大きな子で中学生・・・そんな子供達が15人ほど並んで、中には2つのベルを持ってる子もいた。

「それでは私の生徒達の演奏をお聴きくださいね。曲は『星に願いを』、『ジングルベル』『もろびとこぞりて』の3曲です」


橋本さんの合図で子供達が大きく息を吸って、可愛らしい演奏が始まった。
ディズニーの『星に願いを』はスローテンポだから練習しやすかったんだろう、小さい子は自分のベルを大事そうに抱えて、順番が来たら元気よく振って音を出してた。
大きな子にはリズムをつけるベルの音や複雑な所を担当させて、1曲目が終わると今までで1番の拍手だった。

2曲目の『ジングルベル』も聞き慣れてるから楽しそうに、最後の『もろびとこぞりて』は小さい子には難しかったみたいだけど全員で最後まで笑顔一杯でベルを鳴らしてくれた。

これにはアリスや双子は勿論、加代も前田さんも、不気味だったけど管理人と守衛まで半泣きで拍手。
今日の主役はこの子達かな?って牧野と顔を見合わせて笑った。

全部演奏し終わった時、1番大きな男の子がスッと前に出てきて隣の女の子に何かを指示したら、女の子は教室の隅から花束を持って来た。そして今度は1番小さな子を呼ぶとその子はやっぱり隅っこから小さな箱を持ってきた。

これには橋本さんも驚いてその様子を窺ってる。
牧野に「何が始まるの?」って聞いたら「これは知らない・・・」って不思議そうな顔を見せた。


「今日はクリスマスコンサートに招待していただき、また演奏をさせていただきありがとうございました。この教室はまだ出来たばかりで仲間も少ないけれど、橋本先生のおかげで楽しくレッスン出来ています。
これは僕たちから先生へのクリスマスプレゼントです。受け取ってください!」

「・・・え?お、俺に?」

「そう、先生にだよ~」
「ほら、早く受け取らなきゃ、先生!」


子供達が橋本さんの手を引っ張って会場の真ん中に連れて来て、そこで大きな花束を渡した。
それを受け取った橋本さんに、1番のちびっ子が小さな箱を渡した。

「これね、ピアノの形のオルゴールなの。キラキラ星が聞けるんだよ!」

沙耶香さんが好きだったキラキラ星のオルゴール・・・それを大事そうに胸で抱えた橋本さんが子供達の真ん中で泣いていた。



「それじゃ最後の演奏に入ります。曲は・・・アメイジンググレイスです」

ここで弾くのはマリアと俺。
橋本さんは子供達の所に座り、アランは1番後ろからマリアを見ると言い、牧野はゆっくり父さんの所に向かった。


「お父様、隣で聴いていいですか?」

「す、好きにしたらいい・・・」


ホント・・・あんたには誰も敵わないね。


こうして最後の演奏はマリアと・・・伸びやかで透き通るようなメロディーがこの教室に響き渡った。
この曲が終わる頃、ここに居る全員の表情はとても穏やかに見えた。


たったこれだけの人数だけど割れんばかりの拍手が鳴り響き、全員が立ち上がって全員で笑っていた。

牧野が計画したクリスマスコンサートはそんな幸せに包まれた中で終わった。






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Comments 4

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2018/12/24 (Mon) 13:00 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/24 (Mon) 13:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

あっはは!じゃあ私はトライアングルでいいですかね?
ってそんな楽器が入る場所があるんでしょうか?

私はハンドベル持っても子供に「邪魔!」って言われそう・・・

私の担当は・・・アラン君のトナカイの衣装でしょうか?
昔、狸と小鳥の衣装を作ったことがあるので、トナカイぐらいなら何とかいけます!!(爆)

そう言いながら類のタキシードのリボンタイをつけたい(笑)
いや!総ちゃんとあきら君の間に座って聴くってのもいいかもっ!!

今年も「くるみ割り人形」、全曲聴いてほんわかしました。
個人的には「葦笛の踊り」が好きです♡

それではコンサート後の花沢家をお楽しみに♡

2018/12/24 (Mon) 16:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 こんにちは。

ふふふ、成功致しましたっ!
私のお気に入りはハンドベルです(笑)
このために何度もハンドベルの動画を見ましたが、意外と難しいのですね💦
小さな子にはハードルが高かったかも・・・。

子供が幼稚園の時にやったから簡単なんだと思っていたら・・・全然そうじゃなかった。

コンサート後、さて何が起きるやら。
最後まで応援宜しくお願いします♡

2018/12/24 (Mon) 16:47 | EDIT | REPLY |   

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