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25日、バイト代を持って街の中に出てみた。
そして今日は総二郎のじゃなくて自分のために買い物をしてみようと思った。

でも、それは・・・彼に見てもらいたいから。


去年の自分を思い出していた。
バイトバイトで彼に会わなかった去年。

総二郎のために買いたいものがあってお金を貯めたくて必死だった。食費も抑えて化粧品だって買わなくて、髪だって伸ばしっぱなしで・・・それでも自分より総二郎のために選びたかったから。

その方が総二郎も喜んでくれるって思ったの。その嬉しそうな顔を思い描くだけで頑張れた・・・『そろそろ変えようと思ってたんだよな!いいじゃん、このグローブ』なんて、彼の返事まで毎日想像してた。
受け取った後はいつものように抱き締めてくれて『ありがとう!』なんて叫ばれてキスされて・・・楽しいクリスマスが始まるって考えてた。

それは私の勝手な考えであって、総二郎はそんなことより一緒にいたかったのかもしれない。


離れてみて自分がそう思った・・・何にも要らないけど傍にいて欲しいなって思った。
会って、お話しして、手を繋いで、温かさを感じて・・・どうしてそれをせずにがむしゃらに働いたんだろうって。


「総二郎はどんなのが好きだっけ・・・意外と大人っぽいのが好きなのよね。でも私はそれが似合わないから・・・どうしようかなぁ、コートだけ可愛いのにして中のワンピースを色っぽくしようかなぁ。
ヒールもいつもぺったんこだから思い切って高いヤツ・・・10センチにしたら釣り合うかしら」

こんな買い物なんてしたことがないから手が震える。
総二郎の物を買う時には思わなかったけど、自分の服なんて専門店で買ったことなんてないんだもん。
店員さんも流石に初めは寄って来なかったけど、私が手に持つものが値段的にいい商品だったからなのか急いで声を掛けてきた。

そのお姉さんに相談して選んだのはオフホワイトのふわっとしたコート。その下には黒のベルベットドレス・・・スリムラインのドレスにしようかと思ったら、体型に凹凸がないから止めとけってストレートに言われて落ち込んだ。
何とこの店で使ったお金はバイト代の半分以上・・・1回のお買い物でこんなに使ったのは人生で初めて!

今からすぐに着たいと申し出て、このお店で着替えさせてもらい、店員さんに1番近くにあるヘアサロンを聞いて、予約までその場でしてしまった。

それまで着ていた服の方を紙袋に突っ込んで、この後コインロッカーに預けることにした。


「とても良くお似合いですわ。これからデートですか?ふふふ、彼氏さんは嬉しいでしょうねぇ」

「嬉しい・・・ですかね?」

「そりゃ嬉しいですわよ。こんなに可愛らしいお嬢さんと一緒に過ごせるんですもの。素敵なクリスマスになりますように」

「・・・ありがとうございます」


10センチも高い世界は私をグッと大人の世界に連れてってくれそうな気がした。
こんなにも違うんだ?って感心しちゃう。そしてコインロッカーを探して荷物を軽くしてからヘアサロンに向かった。



「綺麗な髪ですわねぇ。今は殆どの人が染めてるから逆にこんなに綺麗な黒髪は目立ちますよ?」

「そ、そうですか?あはは・・・」

「今日は黒のドレスですね。重たくならないように巻きますか?せっかくのクリスマスですもの、ほんの少しラメスプレー掛けても綺麗ですよ?」

「お、お任せします!」


ここでは毛先のカットをしてもらった後でサイドに編み込みを入れてもらって後ろは巻いてもらった。
飾りでほんの少しラメを入れてクリスタルのお花ピンをいくつか挿してもらい、ふんわりと仕上げてもらった。
ここでも「素敵なクリスマスを」って声を掛けられてお店を出た。


次に向かったのはジュエリーショップ。
総二郎が買ってくれたものに比べたら桁が3つぐらい違うけど、残ったバイト代の殆どをここで使った。クリスマスだから赤がいいかなってルビーのついたピアスとネックレス。

それを買って店員さんにつけてもらった。
赤く光る耳元は私に勇気をくれるだろうか・・・鏡の中の緊張した私に「頑張れ!」ってエールを送る、その姿に「気合い入ってますねぇ!」って店員さんが笑った。



少し歩いたら私のことを見る人がいる。
何だろうと思ったら振り向いてる人もいる・・・そんなに可笑しいかしら?って思うけど、ちゃんとプロにコーディネイトしてもらったんだもん・・・可笑しくはないはず。

もしかしてストッキングに伝線?って思ったけどそれもない。・・・まぁ、いいか!って、開き直って去年待ち合わせたツリーの前に向かった。


そこには去年と同じように待ち合わせしてる女の子や、もう出会ってツリーを眺めてるカップルがいてとっても賑やかだった。
そんな中で総二郎と待ち合わせなんてしてないのにイルミネーションで飾られた街路樹の下に立っていた。

手に持っているのは去年のプレゼント。

どうして持ってきたんだか・・・。
どうしてここに居るんだか・・・。

それでも何となく、ここに居たら会えそうな気がしたから。


「ツクシ!」


そう・・・ここに居たら名前を呼んでもらえそうな気がしたから・・・・・・って、あれ?今の声は?!

自分の名前を呼ばれたから声のした方に顔を向けたら、私に手を振りながら近づいてきたのはスーツ姿のピエール?!
すっごく嬉しそうに、すっごくお洒落して、如何にも私と待ち合わせしてるかのように傍まで走り寄って来て、大勢の見てる前でガシッと抱き締められた!


「ちょ、ちょっと!何すんのよっ!私が待ってんのは・・・」
「お待たせ~!今日はどうしたの?ツクシ・・・凄く綺麗!感動した!」

「はぁ?!私が感動してもらいたいのはあんたじゃなくてっ・・・」
「ツクシ!今から何処に行く?!俺、何処にでも連れてってあげる!」

「きゃああぁーっ!離しなさいよっ、ピエール、近すぎっ!」
「大好きだよ、ツクシ!!」


どうしてぇ?!どうしてピエールがここに来るの?
どうして私はこんなに頑張ってお洒落したのにピエールに抱き締められてんのーーっ?!


「そ、総二郎っ!助けてぇっ!!」



******************



25日、何の約束もしてねぇけど去年の待ち合わせ場所に向かった。

去年みたいにスーツでも何でもない俺にしちゃラフな格好・・・とてもじゃねぇがクリスマスディナーに女を誘えるような服装じゃない。
そんな上にコートだけ羽織って、そのポケットの中に無造作に先日買ったものを突っ込んだ。

もしかしたらつくしに会えるんじゃないかって気がして・・・会えても別の男連れてるかもしれねぇけど、その時は気持ちに任せるしかねぇな、なんて考えていた。


ほんの少しの自分の我儘と、一緒に居たいという素直な気持ちを伝えたい。
小っ恥ずかしい台詞だけど「お前じゃねぇとダメだった」って伝えたい。バイト、やっぱり減らしてくんねぇかな・・・って言ったらなんて返事が来るんだろうな。

『馬鹿じゃないの?減らせるわけないじゃん』ってのが濃厚だけど、その時も怒鳴らずに話が出来るのか?


ブツブツ言いながらツリーの前に行くと、少し離れた所で綺麗に着飾った女の子が外人と抱き合ってるのを見てしまった。

すげぇ目立つ・・・相手が金髪だからか?
それに女の方も顔は良く見えねぇけど身支度は一級品・・・どっかのお嬢か?ヤベ・・・顔見知りだったらどうしよう。
こんな日に1人でウロウロしてるだなんて俺が茶を教えてるお嬢に見られるのは癪だしな。

向きを変えて別の場所に行こうかとも思ったが、其奴らが居る所が去年の待ち合わせ場所だし。
仕方ねぇから反対側からその場所を見とこうかと忌々しくその光景を眺めてたら、どうやら女の方は迷惑がってるのか金髪を引き離そうとしてる?

めっちゃ可愛い格好してるのにコートから出てる足で蹴ろうとしてねぇか?
しかもその動きとあの金髪・・・どっかで見たことあるような・・・

そう思って足が止まった時、聞こえた声が


「そ、総二郎っ!助けてぇっ!!」


「つくし・・・つくしか?!」







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2018/12/25 (Tue) 11:19 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは!

あははっ!やっと1年が経ちました♡
せっかく頑張ったバイト代をあのつくしちゃんがぱーっ!と使うんですもの(笑)

何とか仲直りして楽しいクリスマスを迎えて欲しいですねっ!
ピエール・・・このあとの攻撃が恐ろしい・・・(笑)

総ちゃんも一発でわからなかったつくしちゃん♡
きっとすっごく変身してたんでしょうね(笑)

2018/12/25 (Tue) 18:54 | EDIT | REPLY |   

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