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「……で?ここは何処だ?」
「エッへへ!ここはね、河口湖の貸別荘なの。今日のために予約入れててね、総に美味しい物作ってあげようと思って。可愛い別荘でしょ?」

「貸別荘?」

つくしの運転する車を降りたら目の前にはコテージ型のペンション…所謂ログキャビンがあった。

周りは木に囲まれてるが鬱蒼としてるわけでもなく、こんな季節だから緑なんて綺麗じゃねぇけど静かで開放的。
2階建てでテラスにはバーベキューガーデンまである、そこそこ大きなログキャビンだ。

でも、確かに可愛いっちゃ可愛いかもしれねぇが、わざわざこんな貸別荘を予約?


「軽井沢に西門の別荘があるじゃん?そこじゃダメだったのかよ」

「ん?だって…ネットで見た時にここが気に入ったんだもん。中もね、すっごく可愛いの!
ベッドもテーブルも椅子も全部家具職人さんの手作りなんだって!とにかく入ってみようよ、ねっ?!」

ほらほら、荷物持って!と誕生日の俺に命令して車の後部座席から大量な段ボールを降ろし、そいつを抱えてログキャビンの中に入るのを急かされた。


「確か、鍵はね…ここのポストに準備されてるはず…あれ?」
「どうした?」

「鍵が…ない?あれ?…なんでかな、確かにここに入れとくってメールで書いてあったのに……」


ブツブツ言ってるから何気なくドアに手をかけたらガチャっと開いた。

「おい、開いてるぞ?」
「へっ?!そうなの?開けてくれてたんだ?」

「知るかよ!とにかく入ろうぜ?外は寒いし!」


部屋の中に入ったらすぐに吹き抜けの広いリビングがあって、何故かすげぇいい匂いがした。
なんだ?食事も誰かに頼んで作ってもらったのか?

つくしなら自分で作りそうなのにって振り向いたら、今度はつくしの方が俺よりも不思議そうな顔してこの匂いをクンクン嗅いでた。


「誰が作ったんだ?最近の貸別荘はここまでしてくれんの?うわ、いいワインあるじゃん。飲もうぜ?」

「ううん…おかしいなぁ。どうしてこんな事になってんだろ。今日のご飯は全部私が作ろうと思って材料こんなに買ってきたのに。後でケーキも焼こうと思ってさ、苺だってこんなに沢山用意したんだもん」


「……苺?」


なんか最初の方の夢に出てこなかったか?苺食ってこいつに抱かれて……

抱かれて?


ここで何故か夢の延長みたいな気分になってつくしに近づいた。
こいつはキッチンに入って鍋の中を見ながら「おかしいなぁ?」を連発してるけど、俺の目には夢ん中で抱いてもらった「ソコ」だけが映ってる……ヤバい、またスイッチ入ったか?

夜まで待て…なんかそんな言葉も聞いたような気がするが、入ったスイッチは急には切れねぇよな?
目的地には着いたんだし、ってことで。

さっき見つけたワインを開けてまずは一杯……極上の気分になったらいただくのは……。


つくしは冷蔵庫の中を覗いて、そこでも「なんでこんなに食材があるんだろ?」なんて言ってる。
その冷蔵庫を後ろからバン!と締めたら驚いて振り向いた。


「うわっ、何よ、びっくりするじゃない!総、あのさ、ちょっと管理会社に電話を……」

「別にいいんじゃね?お前がキッチンに入る時間が短縮されて良かったじゃん」

「は?そんな問題じゃないでしょ!買ってきた材料どうするの?」

「そんな食材より食いたいものがあるんだけど…なぁ?つくし」


「…え?は?…ちょ、ちょっと待って!総、あの……やんっ!」

ジタバタするつくしを抱きかかえてすぐ傍のソファーに降ろし、そのまま後ろ頭を抱えこんで唇を重ねた。
ゆっくりとそこに横たえて、また舌をこいつの中にねじ込む…それを受け止めようと必死に藻掻いてるけど、明るいからなのかちょっと色気が足んねぇな。

それならもう少し進めるか…と、俺の指はこいつの服のボタンを外し始めた。
それにワタワタして俺の手首を掴まえるけど、そんなの全然効果ないっての!


ボタン3つ目まで来たら可愛い胸が半分露わになって、今日の勝負ブラが……さすが、つくし!ラベンダーの花柄とはなかなか煽ってくれるじゃん?

ここでやっと唇を解放したら真っ赤に茹でられた顔して抵抗を始めた。

「やだっ…まだお昼前だって!総…恥ずかしいよぉ!」
「なんで?こんなに可愛くしてくれてんのにまだ隠すのか?この先も今すぐ見せてくれんだろ?」

「だからっ!よ、夜まで待ってって言ったじゃ…きゃあっ!」
「ダメ、待てねぇ…」

ラベンダーの花の中に顔を埋めるとすげぇ甘い匂いがして、その真ん中に吸い付いたら可愛らしい声が部屋に響いてつくしの足が跳ね上がる。
そいつが俺の腰に巻き付くから、そうなったらもう……


RRRRRRRRRRRR!


「今度はなんだっ!今いいトコなのにっ!!」

いきなり鳴った何かのアラームにムカついて身体を起こしたら、つくしも慌てて飛び起きて自分の服のボタンを留めた。
すげぇ気分が乗ってたのに!……そう思ったら今度はつくしがスマホを持ってキッチンに駆け込みやがった。

チッ、逃げられた……そんな気分で1人ソファーで不貞腐れてたら何処かで何かの音がした。

カタン……コトッ…


なんだ?何の音だ?…キョロキョロするけど何も動いてないし勿論誰もいないし。
でもやっぱり何処かでガタガタと…頭の上からか?不審に思って2階に行こうとしたらつくしが走って戻って来た!

そしてグイッと俺の襟元を掴んだから「なんだよっ!」って言うと「しーっ!!」と、指を1本立てられた。


「どうした……何かあったのか?」
「ど、ど、ど、どうしよう!」

「何が?何がどうしよう?」
「……予約日、間違えた!!」


「…………は?」
「だ、だ、だから!間違えて12月13日予約してる!!き、今日はここ、別の人がいるんじゃないかしら!」

「……マジで?!」
「う、うん!マジで!ご、ごめん!」


ガタガタッともう1回音がしたのはやっぱり2階の部屋だ!
俺と同じ考え起こしたヤツがこんな昼間っから…?!で、さっきの音はこいつらの目覚ましかっ?!


「つくし……逃げるぞ!」
「え?逃げる?」

「馬鹿野郎!顔を見られたらヤバい!行くぞ!」
「はっ、はいっ!!」

鞄だけ持ってつくしの手を引き、急いで入り口まで来た時、階段を降りてくる足音がして誰かの叫び声が聞こえてきた!


「誰だぁ!あぁっ、ワインがっ、奮発したワインがーっ!待て、この野郎!」


待てと言われて待つものか!
この車のリモコンキーはつくしの鞄にあるから近づけば開けられる!

「俺が運転する!お前は助手席に乗れ!!」
「は、はいっ!!」


どんな奴が追いかけてきてるのか知らねぇが、目の前に止めていた四駆に乗り込んで急いで車を出した!

よく見たら奥のガレージに車が停まってる。
くそっ、木が邪魔してやがったのか、それとも俺が寝起きだったから気が回らなかったのか?!


おいおいおい、
これも夢になかったっけ?

追いかけて来たのはあの3人だったが、俺はこいつの手を引いてどっかに飛び込んだ夢を見なかったか?
もしかしてみんな正夢かよ!じゃあ、最後の夢はなんだったっけ?

「あああーっ!買ってきた食材が~!」なんて叫んでるつくしを乗せて、俺は河口湖の周辺をぶっ飛ばしてた。


夢中で山を降りて辿り着いたのは富士山が見える「河口湖オルゴールの森美術館」
いきなり流れてきた音楽はここのランチコンサート……13:00から始まる野外コンサートの音だった。


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