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「総?総ってば…ねぇ起きて?」


気を失った俺が次に目覚めたのはまさかの西門宗家。
どうやらあの直後、チェックアウトの時間になってしまい、女将が男性従業員に指示を出して車に運んでくれたらしい………


帰りは自分で運転するつもりだったのに、つくしの運転でぐっすりと東京まで気が付かずに運ばれてきたようだった。


「あ?なんで家?」


時間を確認すればまだ15:00になったばかり。
今日も終日休みを取っているため、自宅に帰るつもりなど毛頭になく、観光して帰ってくるつもりだったのに………


「だって全然起きてくれないんだもん。
 それに………
 やっぱり疲れていると思って………」


そりゃ朝の6時ころまで頑張ったんだから疲れてはいるけど…
この休みのためにスケジュールを詰め込んでいたことを知っているつくしは仕事疲れだと思っているようだったけど…


「つくしちゃんだって朝方まで頑張ってただろ?」


その言葉に先ほどまでの心配そうな顔とは一転して今度は真っ赤になる。
それを揶揄ってやろうと口を開いたところで後ろから声がした。


「あらあら。二人ともおかえりなさい
 ふふふ。いい報告が聞けるかしら?」


俺たちの帰りを誰かが伝えたのか、家元夫人が出てきた。
つくしと結託して車まで用意した家元夫人。
本来なら何か一言言ってやりたいくらいだが、とりあえず後ろに控えている内弟子たちもいるため取り繕う。


「ええ。とても楽しい誕生日でしたよ。
 家元夫人のお陰もありましたからね」


ちょっとだけ嫌味を込めて言ったみたらなぜか満面の笑み。


「そうでしょ?それにもう一つのプレゼントも
 気に入ってくださったかしら?」

「もう一つ?」


俺が聞き返したところで、つくしが「実はこれからなんです」と申し訳なさそうにつぶやいた。


「あら。そうなの?
 じゃあ、今から一緒に行ってみましょうよ」


なんて言いながら勝手に車に乗り込もうとしている。


「さぁさぁ、総二郎さんも早く。
 つくしちゃん、運転よろしくね。
 じゃあ、ちょっと出かけてくるわね」


内弟子たちに外出を告げると、つくしが困惑顔のまま車を発進させた。


「この車も私からのプレゼントです。
 これくらい大きければ孫も乗せて
 つくしちゃんの運転で
3人で出かけられますでしょ?」

「3人?」

「ええ、私とつくしちゃんと孫」

「なんで俺がいねぇんだよ」

「あなたはお仕事しないといけないでしょ?
 それに夢だったのよ。
 お嫁さんと孫と3人で仲良くお出かけするのが。
 つくしちゃんが総二郎さんの彼女になって
 くださったときから夢が叶うわって思っていたの」


嬉しそうに話す家元夫人。
何を勝手に考えているんだと反撃しようとしたところで目的地に着いたらしい。


そこは………
西門邸の裏にあって…
元々は蔵だったはずなのに小奇麗な純和風の家が建っていた。


自動で門が開いて、中に入る。
するとそこには車庫があり、俺の愛車とバイクがすでに止められていた。


開いているスペースに駐車すると真っ先に降りていく家元夫人。


「総。あのね。これが渡そうとしていた
 プレゼントの一つでね」


そういって渡されたのが、小さなかわいらしい封筒。
その中にはカードキーが入っている。


「これって…」

「さぁさぁ、とりあえず中に入って。
 総二郎さんのお部屋にあったものも
 すべて昨日のうちにこちらに運んだのよ。
 つくしちゃんのお荷物も全部届いてるわ」

「え!」


驚く俺につくしが恥ずかしそうに微笑んだ。


そんな俺たちを嬉しそうに引き連れて、部屋の説明を始める家元夫人。


「こちらがキッチンとダイニングとリビングルーム。
 広々としてますでしょ?
 つくしちゃんがお料理お好きみたいだから。
 それから右の扉がゲストルーム。
 その隣の和室はお茶室にもできるわ!
 こちらはうふふふふ。寝室よ。
 寝室にもバスルーム完備よ。
 奥には総二郎さんの書斎もございますからね。
 その隣と隣と隣は子供部屋にできるわ。」


なんて言いながら次々に部屋を開けていく。
最後に意味ありげにもう一度寝室を確認するとにっこりと俺たちを見た。


「そうそう、こちらのドアは本邸に
 繋がってますからね。
 ふふふ。じゃあ、後は二人でね。
 夕食はご一緒しましょうね」


なんて言いながら、そのドアを開けると、本邸につながる廊下ができていた。
含み笑いをしながらいそいそと本邸に戻っていく姿を見送る。


ちょっと唖然としているところで後ろからつくしの声が聞こえた。


「改めてお誕生日おめでとう。
 朝、私からの決意表明はしたつもりだけど…
 これからはずっと一緒に………」


ずっと一緒に住みたいと言っていた俺。
俺に嫁ぐことを決めてくれてその上、今日から一緒に暮らしてくれると言う。


「最高のプレゼントだ!」


つくしを抱き寄せて部屋を見渡し、これからの生活を想像してにやける。


「あ、それからね。
 これは旅館の女将さんから!」


そう言って渡された袋の中は例の飴玉。


「気に入ってたみたいだから
 それはお前にやるよ」

「本当に?ありがとう!」


なんて嬉しそうに口にしているけど………


寝室もそこにあるわけだし?
夕食までちょっと時間もあるわけだし?


つくしが飴をなめ終わるのを待って早速寝室を使うことにした。





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